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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第5章「見る影もないラボを焼き捨てる涙へ」
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第36話 「ソゥ ベリー バッド」



『なにがおかしい、シーカ……』


 ガヂャ……!

 朽ち灯が高く持ち上がり、シーカの頭をがっしりと(つか)んだ。



挿絵(By みてみん)



今度は(・・・)どの部位を壊してやろうか』



「う……あ!」

 笑いが止まる。

 引きつった彼の口元が、そのままの形で固まった。


『言語中枢を半分残しておいてやったのは、失敗だったな。身の(ほど)も覚えておれん頭なら、もう必要あるまい』

 おそろしい声。

『いっそ前頭葉(ぜんとうよう)を消し去ってやろうか? 美味(うま)かったぞ、お前の脳は……』



「わ、わ、わか……」

 シーカの表情は恐怖に満ちている。

 脳……?

 (しゃべ)りかたが急に変わったのは、朽ち灯に脳機能を食われた結果……なのか?

 声の変化からも、彼の(おび)えがトラにもはっきり理解できた。


 ガチャ、ン。

 シーカの回答を最後まで待たず、朽ち灯はゆっくりと頭から離れた。


『よろしい……まずは「()白闇(しろやみ)」を食う。次は「煙羅煙羅(えんらえんら)」を喰う』

『ニニコも食う。「()籠手(ごて)」の女も食う。この男は撲殺(ぼくさつ)せよ』

『その次は「独楽(ドグラ)」を喰いに行く。その次は……』


 素直(すなお)になったシーカを見て、ようやく落ち着いたらしい。

 朽ち灯が、先々(さきざき)の計画を語りだした。



 だが……



「なぁシーカ。お前のノルマは? ナンボだ?」


 話の流れをまったく無視して、シーカと会話を(こころ)みるトラ。

 ……なぜコイツはいちいち、朽ち灯の神経を(さか)なでするのか。



『おい……いや、よかろう。でしゃばるなよシーカ。我は主人で、お前は騎馬(きば)だ。馬はしゃべらない。分かっているな……』

 

「シーカってばよ。お前のノルマは?」

 朽ち灯を無視するトラ。

 

 シーカは……


 無視。

 じっと(にら)むトラに、シーカはなにも答えない。代わりに、朽ち灯のしゃべること、しゃべること。


『フン。冥途(めいど)土産(みやげ)に教えてやろう。我が呪いは、1億2345万6789回、意味のない破壊を行うことだ』


「その喋りかたも、朽ち灯にやられたのか? シーカ」


 朽ち灯を無視し続けるトラ。

 朽ち灯も、無視されていることを無視している。



『脳の「ブローカ野」を破壊してやった、と言ってもわかるまいな。言語を中枢する……』


「シーカ。お前の、ノルマはなんだ(・・・・・・・)?」


 だんだん声が大きくなる。

 だが、シーカは何も答えない。


 ってか、朽ち灯がさっきノルマ言ったじゃん。

 

 その朽ち灯を恐れているのか、シーカの表情は変わらない。

 無表情―――彼の顔からは、なにも読みとれない。

 なにを考えているのか……



「あああああ! はよ言え! 俺のガマンがいつまで()つと思ってやがんだ!」

 絶叫。


「……」

 だが、やはりシーカは答えない。

 トラの目をじっと見て……ふるふる、と首を横にふった。



『いい子だ、シーカ』

 満足げな声をもらす朽ち灯。


 ブチ切れるトラ―――


「悪い子だ、シーカァアア! メチャクチャにしてやる! ソープにも行けねえ体にしてやる!」


 すげえことを言いだした。

 ……メチャクチャである。



挿絵(By みてみん)



 めちゃくちゃ、である。



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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