表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第26章「余命いくばくもないソルジャーを焼き捨てる戦記へ」
239/249

第239話 「ハシアライ」




挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「第7議題! じゃあ井氷鹿(イヒカ)をどうする!」

箸洗(はしあら)いのフカヒレスープでございます」

 ウェイトレス。

 はいはい、ウェイトレス。


 去っていく彼女を、みんなは目で追う。


「待て。いまブロリーちゃん、なんて言ったんだ? 井氷鹿(イヒカ)をどうするってなんだ?」

「ぶ、ブロリーだぁ?」

「リリーだ、ぜんぜんちがう」

 

「そう言えば井氷鹿(イヒカ)は今どこにあるの? なんかコンビニのトラックの荷台に封印されてるんだろ」

「これ報告読んだとき目眩(めまい)がしたぞ。いっしょに “ 穢卑面 ” と “ 咲き銛 ” と “ 勇者 ” も封印されてるんだってな」

「ゴホ。まるで詰め合わせじゃないか」

「パンドラの箱だな、ほんとに」



 ディスプレイに映し出される、あの配送車。

 トラとフォックスが封印に使った、あのコンビニの配送車が映し出された。


 映像は続く。

 配送車は大型の輸送ヘリに()られ、空に舞い上がっている。大がかりだが、たしかに川から引き上げようにも、あの山中ではクレーンすら入れまい。


※ 第226話 「ロデオ」 参照。



「ゴホ。ちなみにだが、この輸送費用で8億ナラーかかった」

 

「ブー!」

 コーラ吹きだすマオちゃん。

 お金の話になったとたん、すごい反応だ。

「ゲッホ! は、は、8億!? そんなかかるの!?」


「言っときますが、まだまだこんなもんじゃないですよ」

「いまこのトラックって、どこにあんの?」

「第47魔王城の駐車場に置いてあるよ。しょうがないだろ、いちばん近い施設はあそこだけなんだ」


 第47魔王城。

 トラたちが大暴れして、いまは半壊中の魔王城だ。あ、いまモニターに写真が出た。なるほど、ボロボロになった魔王城の駐車場に、あの配送車が安置されている。




挿絵(By みてみん)



「あんなとこ置いてんのかよ、ゴホ」

「なんとかアレ、井氷鹿(イヒカ)だけ取り出せない? ようするにその……トラックの荷台からイヒカだけ出す方法」

「ないだろ、そんなもん」


「いや、考えがある。こんなのどう?」

 マオちゃんが身を乗り出し、ふたたびテーブルに手をつく。さっきまで描かれていたフルカワの図はいつのまに消えており、今度はまた別の図面が書き出された。

 ズラズラズラ……

 そこに書かれたのは、トラックの絵。


「トラックがあるじゃん。これをさらにスッポリさ、巨大なプールに沈めるわけよ」

 なんか生き生きと説明するマオちゃん。


 図面はさらに書き足される。

 トラックの絵を、さらに大きな四角がぐるりと囲む。これがプールだろうか。


「巨大な封印のプールを作って、そこにトラックを沈めちゃうの。で、配送車の荷台を開く。当然、()(もり)や穢卑面、勇者も外に解放されるけど、ドッコイそこはまだ封印のなかだ」



挿絵(By みてみん)



「ふむ」

「アイヤ……アイヤ」

「なるほど。トラックをA封印、それを沈めるプールをB封印とすると……」

「A封印からB封印に鎧を取り出し、B封印のなかから井氷鹿(イヒカ)を拾い集めると」


「そういうこと。巨大プールに泳ぎ出すパーツの中から、イヒカだけ拾い出すってことね」

 えへん!

 マオちゃんが胸をはる。

「もちろん巨大プールには、井氷鹿(イヒカ)ブロックだけ正確に回収できる工夫をしておく。なんかこう……ロボットアームみたいなので1枚1枚集めるとか無理かな?」


「……待って、これいくらかかんの?」

「いくらもなにも、こんな巨大な封印は作れるもんなのか?」

「秘密裏にこんなの建造すんの、10億じゃきかないぞ」

「その前にどこに作るのコレ」

 ざわざわ。

 あまりにも非現実すぎる魔王案に、四天王の反応はニブい。



「なにこの反応……テンション低すぎない?」

 ムカつくマオちゃん。

「400年前にアスカにプロポーズしたときもこうだった。無視されるんならまだいい……私と結婚した場合のデメリットを、グチグチグチグチ1時間も……うう、うううう!」

 目に涙を浮かべるマオちゃん。

 嗚咽(おえつ)……いったいなんの話だ。



「なんの話ですか軍曹、泣かないでください」

「待って、整理しよう。①巨大封印施設を作る」


「②そこにトラックを沈めて、イヒカを取り出す」

「③取り出した井氷鹿(イヒカ)を誰かに憑依させる」


「④憑依させたらイヒカで鎧のエネルギーを作らせる……ゴホン!」

「もう私、(いの)りマース。神様……」


「⑤その間、シーカにフルカワ(アモロ本体)を探させる。完全体になれば、アモロの機能も元に戻るだろう」

「戻るんだろうね、マオさん」



「炎よ! 邪悪を打ち砕け!」

 ゴオオオオオオオ!

 マオちゃんの右手に、そして左手に、炎がうずまく。逆回転する2つの炎が合流し、竜巻きとなって4老人を撃ち抜いた。

「プロペラバーニング・スクリュー!」


 ドリルのごとき火炎砲に飲みこまれた四天王。

 ゴオオオオオオオオ!!


 もちろん、誰もカスリ傷ひとつ負っていない。また話をゴマかすギャグ……だが、あまりのしつこさに、4老はとうとう怒った。


「やめてくれっての、マオニャン!」

「エネルギーを無駄遣いしないでくだサーイ!」

「ゴッホ! どっちが邪悪だ、ゴホゴホ!」

「もういい、もういい……病気になりそうだ!」



「……しゅん」

 完全にスベったことを察し、座りなおすマオちゃん。ズズズ……すっかり冷めたフカヒレスープをすする。

「……ズーズ、ズズー」

 ちょっとベソをかいている。

 マオちゃん、魔王なのにかわいそう。


 対して、大人の四天王。


「ゴホ、とにかくひとつずつ進展させるしかあるまい」

「神様、お助けくだサーイ」

「神様で思い出した。井氷鹿(イヒカ)やら穢卑面(エヒメ)やら勇者やらといっしょにトラックに封印されてるとかいう……ルドルフ・ゴースト神父だったか」

「なんか、そいつの関係者ってのが来てるぞ。50人くらい」



 意外な事実も明かされる。

 どうやらルディの教会の人間たちも、魔王軍に接触してきてるらしい。




 ……え?


 ええ……



 シスターたち、来てるの?






※※※※※※

※※※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


終身刑の魔女より

 ↑

いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ