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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第26章「余命いくばくもないソルジャーを焼き捨てる戦記へ」
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第236話 「ニモノ」




挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)







「第4議題、アモロ本体について!」

「煮物椀でございます。マッシュルームと茄子(なす)のホワイトソース煮です」

 


挿絵(By みてみん)



 まーたあのウェイトレス。

 叫びつつ配膳をするが、アル老人……つまり祖父の料理を出したとき、彼の前でぽつりと言った。


「次に冗談でも死ぬとか言ったら、おばあちゃんに言うからね」


 すごい目で祖父をにらむや、孫娘はまた会議室から出て行った。


 なにか言い返したげなアル老人だったが、ほかの3老がニヤニヤと見ているのに気づき、なんとも気恥ずかしそうにモジモジしている。

 80歳くらいになって孫に怒られるとは情けない。


「なんとも……いや、ああいう孫でな。連れてきたのは失敗だった」

 もじもじ。


「恥ずかしがるなよ、照れることないだろう」

「なかなか面白い子デースね。どうデースか、うちの部下と見合いさせまセーンか?」

「ちょっともう一回呼べよ、ていうかもうここに座らせとけ」 


 ジジイをからかうジジイ3人。

 その様子を見たマオちゃんが怒る。


「みんな真面目にやってよ! 会議中なのわかってる!?」

 怒る。

 いつのまにか泣き止んでる……


 やれやれとあきれた表情を並べる老人たち。


「感情の起伏(きふく)がすごすぎるよ、マオニャン」

「昔からそういうとこあったが、女の子になってから(・・・・・・・・・)一段とひどい」

「なつかしいな、マオさんとの付き合いももう50年になるのか」

「私はいまでもその時のノリで軍曹と呼んでしまう。治らんもんだな、クセというのは」


「私がこの体に憑依(ひょうい)してから、まだ9年だしね。あれ、もうそんなになるんだっけ! 早いなあ」

 しみじみ。

「このナスの煮物おいしい。隠し味にクルミが入ってるね」


「うむ、これはなかなか……って違うでショーウ」

 ノリツッコミのベルダン老。

「あなたとアモロ本体について話すのはこれが初めてデース。くわしく教えてくだサーイ」


「詳しくって言われてもねえ、フルカワについて……なにから話せばいいのか。うーん……」

 困った顔のマオちゃん。

「いやね? フルカワのやつ、能力はすごいのよ。欠損した肉体を再生する機能があるらしいの」



「ウソつけ」

「ウソデース」

「ウソだな」

「ウソですね」

 

「どんだけ私、信用無いんだ!」

 怒るマオちゃん。

 コーラを一気飲み、グビィ!

「ゲーップ!」


「はしたないな、ゴホ。信用とかそういう話じゃないよ、マオさん」

「本当にそんなことできるなら、もっと早くにフルカワを探してるはずだ」

「いや、そもそもフルカワって名前はなに? アモロ本体じゃだめなの?」

「言われてみれば変デースね。わざわざ別称を使う意味がわかりまセーン」

 やいのやいの。



「そんなこと私にもわかんないよ。私たち(・・・)を作った「魔導士チャッカ」がそう呼んでたんだから」

 コーラをグビッ。

 ゲップ。

「魔導士チャッカが呼んでたんだよ、アモロの本体を「フルカワ」って。ちなみにこんな感じ」


 凹んだテーブルに手をつくマオちゃん。

 すると……


 ズズズ!

 テーブルにアモロの図面が現われた。魔王の能力『 念写 』だ。

 

 黒線がズラズラと走り、アモロの全体像が書き出される。図に注釈されるように、能力やノルマも文字で書き足された。


「ほう、これがフルカワか」

「漢字で書くと……なるほど。()(カワ)ね」


 浮き出た図面には、おなじみ3本指のアモロ。これが付属品であり、そのアモロ3本を(たば)ねるキーホルダーみたいな部品。

 これがフルカワのようだ。


「なんかふつうだな、ゴホ」

「こんな小さいの探すの無理デース」

「待て待て。マオニャン、さっきなんか妙なこと言わなかった?」

「機能があるらしい(・・・)とか。らしい(・・・)ってなんですか軍曹」


「見たことないんだよ、実際にフルカワが人体の再生をしてるとこ」

 グビグビ。

フルカワ本人(・・・・・・)は出来ると言い張ってたけど、実際にやってみせてくれたことがなかった。怒った魔導士チャッカが、永久に追放しちゃったんだ」


「ほ、本人?」

「フルカワは本当におしゃべりだったなー。あいつが追放されたときは正直ホッとしたよ、マジでウザかったし」


「アイヤーアイヤー」

「なんで2回言う」

「……要するに、なに? そのフルカワには再生能力はあるの? 無いの?」



「だからわかんないって! やってるの見たことないんだもん。もしかしたら出来ると言ってるだけ(・・・・・・)で、そんな能力なかったのかもしれない」

 ゲップ。


「アイヤー、もう最悪デース」

「アイヤー。ゴホ、頭が痛くなってきた」

「アイヤー……追放というか廃棄じゃない?」

「俺のマネすんな、バカにしてんのか!」

 

「57年前はほんっと偶然再会したもんでさ……ちょっと、アイヤアイヤうるさいな、いいから聞いてよ!」

 怒るマオちゃん。

 コーラぜんぶゴクゴク一気飲み。

「どこまで話したっけ? あ、57年前はほんっと偶然再会したもんで、不意打ちで私殺されちゃったし。1600年前に追放したこと根に持ってたのかなアイツ」




挿絵(By みてみん)




「持つでしょうね、軍曹」

「持つだろうな、ゴホ」

「持つに決まってマース」

「だとしたらマオニャン、フルカワに会うの気まずくないかい?」


「めっちゃ気まずい。だけど探さないわけにいかないしなー」

 ゲップ。

 ゲーップ。

「アモロが機能停止してしまったいま、フルカワを探し出してアモロと合体させるしかない。完全体に戻すしかない。そしたらアモロは機能回復するはずだ」


「……完全体ね」

「それってなんて呼べばいいんだ。アモロか? フルカワか?」

「フルカワアモロでいいんじゃない?」

「しかし探すって……マオさん、手はあるのか?」


「ある、まさに()が。ひとつは朽ち灯、ひとつは焼き籠手。フルカワを探すにはもうこれしかない」

 

 マオちゃんはどこから出したのか、マウスを握っている。スイスイと操作するや、ディスプレイの画面が切り替わった。


「見てくれ、この2人だ」

 

 画面に映し出される男女。

 シーカ。

 そしてフォックス。

 

 もうイヤな予感しかしない。


 “ 探索 ” させる気満々―――




挿絵(By みてみん)




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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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