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84 攻略開始

 山ダンジョン入り口付近。

 いわば麓というべき場所だ。


 入るとすぐさまモンスターの群れが襲ってきたが、先生が指を振るだけで煙のように霧散して消えてしまった。


「やっぱり先生強い!!」


 さすが不死の王ノーライフキング!

 彼が操る魔法は、入り口すぐの小手調べモンスター程度では敵にもならない。


 ラスボスが挑むダンジョン攻略。


 見るからに鬼畜な構図。

 どんなに困難で攻略不可能なダンジョンだろうと、これからすぐさまヌルゲー化。


『ぎゃああああああああッッ!! ダメええええええええッッ!!』


 と思ったら上空からドラゴン形態のヴィールが飛来してきた。

 山ダンジョンの上空ってどうなってるんだろ?

 考えるだけ無駄か。


『ご主人様の意地悪!! 死体モドキなんか投入したらその瞬間に勝負が決まってスタートからゴールまで消化試合だよ!!』


 はい、まったくその通りです。


『ズルはダメなので、この死体モドキは没収! 没収です!! 山頂で管理しておきます!!』

『聖者殿、先にゴールで待っておりますぞー』


 そして先生は、ドラゴン形態ヴィールに鷲掴みにされ連れ去られていった。

 まあ、先生の実力なら簡単に拒むことができたんだろうから実質的にはダンジョン主のエスコートで最終地点まで先行した形だが。


「……ノーライフキングとドラゴンが待ってるダンジョン最深部かー」

「帰りましょうか?」


 字面から絶望しか感じ取れない。


『大丈夫! 大丈夫だよ! 死体モドキは見物人だよ!』

『聖者様が最終地点までやってこられるのをお待ちしてますぞー』


 なんかスピーカーを通した放送みたいな感じでヴィールと先生の声が響いてきた。

 どういう仕組みかは知らないが、アイツらはダンジョン内をどこでも常時監視、声掛けできるようだ。


 本当にアイツらアトラクション気分だな。


「……まあまあ」


 とプラティが俺をなだめる。


「先生に攻略を手伝ってもらうのは、たしかに酷すぎると思うからこれでいいんじゃない? ヴィールも遊び気分だし付き合ってあげましょうよ」


 それもそうだな。

 では皆で力を合わせ、ズルなどせず正攻法でダンジョン攻略していきますか。


『ぐわははははは! 来るがいい下等生物ども! おれが考え出した地獄ダンジョンに一人残らず屍を晒すがいい!!』


 …………。


「ヴィールの方がズルしてくるってことはないかな?」

「さあ……、ゲームマスターはえてして滅茶苦茶やりたがるものだし……!」


 仁義のないゲーム設定とか仕掛けてきたらこっちも容赦なく反則使ってバランスブレイクしたらいいか。

 俺たちは改めて、山ダンジョンの最終地点、即ち山頂へ向けて登っていくのだった。


              *    *    *


 ダンジョンなのに山、っていうので直感的になれず戸惑う。

 普通ならダンジョンと言えば地下に向かって長く続く洞窟。野外というだけでも、そこをダンジョンと言われて「?」となってしまう。


 でも前の世界にいた時プレイしたゲームには『○○山』みたいなダンジョンもよく出てきたよな。

 大抵山頂に飛竜がいて、それに乗って魔王の城とか次の大陸に行く系だ。


 実際の山も地形やら森が入り組んでいて容易に迷い、常にどこかで必ず遭難者が出る。

 ヘタな洞窟より何倍も困難な迷宮ではないのか?


 そんな山ダンジョンをしばらく進んだ俺たちだが、大して困難な印象は受けなかった。

 ヴィールは気合いを入れてダンジョンを改造したと言っていたが、中の様子も襲ってくるモンスターも、以前と変わり映えしない。


 アイツはこのダンジョンの、一体どの辺をいじったというのだろう?


『ふっふっふ……、前のダンジョンと何が変わったのだろう? と疑問に思っているな?』


 その矢先、ヴィールの放送が響きだした。


『安心するがいい、そこはまだ一合目だ』

「一合目?」


 どうやら洞窟ダンジョンで言うところの第一階層ということらしい。


『一合目は内装、出現するモンスターと、改造前と同じにしておいたぞ! スクエアボアなんかがダンジョン改造して獲れなくなったら困るからな!』


 たしかに。

 ヴィールのヤツ、ダンジョンを改造する目的が新しい素材になるモンスターを探すことだってちゃんと覚えていたんだな。

 新しい素材も大事だが、既にある有効な素材も大事だ。


『新! おれのダンジョンは一合目から五合目までの五エリア構造!』


 ああ。

 普通の山みたいに十合目まであるわけじゃないんだ。


『一合目は旧来通りの代わり映えしない作りだが、二合目からは新要素でご主人様を迎え撃つぞ! 早く登って来い!!』


 ヴィール、早いとこ頑張って作った新設部分を披露したくてたまらないんだろうな。

 仕方ない、期待に応えてできるだけ急いでやるか。


『おやぁ~? そんなに速足でいいのか? 急ぐと罠踏んじゃうかもよ?』


 ……。

 やっぱり手前で休憩して行こうか。


『まあよかろう。では謹んで見るがいい! このグリンツェルドラゴンのヴィール様が持てる技を結集して作り出した新エリア、その第一弾!』


 おっ、ここから木々が途切れて明るくなるぞ?


『……春エリアだ!!』

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書籍版19巻、8/25発売予定!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「……!」 これの使い方がいまいち分からない。 大声や強調を表しているのか、間を空けて驚いているのか。 はっきりさせてほしい。
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