表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/290

83話 ゲンサイ×八岐大蛇


《自分で助けてみるんだなぁぁぁ!!》



八岐大蛇はそう叫ぶと、今までで一番高威力のブレスを口から放った。


その先には意識を失ったまま、逆さまに落ちてくるミコトの姿がある。


紫色のエネルギー波がミコトに襲いかかる中、黒い竜の影が彼女の元へとたどり着いたことに八岐大蛇は気づいた。



《(ゼンめ、間に合ったか…しかし、そのタイミングでは避けられまい!!)》



なおもゼンとミコトに襲いかかる強大なブレス。

それを眺めながら、八岐大蛇はニヤリと笑みをこぼす。


が、その瞬間に首に強い衝撃を受け、体勢を大きく崩してしまう。



《ぐっはぁっ!!》



突然の衝撃に思わず表情を歪める八岐大蛇。

その影響でブレスの軌道もずれてしまい、紫色のエネルギー波はゼンたちの横すれすれを通り過ぎて行った。



《痛ってぇぇぇ!!誰だ!?》



頭を振りつつ、気配を感じてそちらに目を向ければ、そこには黒いフードを被り、長い剣を片手に持つ男の姿がある。



《(なんだ…?こいつは…プレイヤーか?俺に気配を感じさせないとは…しかも、なんだあの剣は…)》



少し驚いた様子の八岐大蛇に持っていた剣の先を向け、男が話しかける。



「お前…あいつと同じくらい強いんだってな。」


《あいつ…?それは誰のことだ?》



首を傾げる八岐大蛇に対して、男はため息をついた。


そして、突然斬りかかったのだ。



《なっ!?》



一気に間合いを詰めてきたそのスピードに八岐大蛇は一瞬驚いた。


が、剣を振りかざす男を視界に捉えて、すぐに落ち着きを取り戻す。



《はっ!どこの誰かは知らんが、そんな剣で俺の絶対防御は崩せん!たかがプレイヤーごときが調子に乗るなよ!》



しかし、次の瞬間、その自信は簡単に砕かれてしまう。


ガシュッ!と鈍い音がした。

その後に自分の左目に痛みを感じる八岐大蛇。



《なっ…なんだ?何が起きた…左側の視界が…これは痛みか?》



気づけば左目を斬られていたのだ。

八岐大蛇は再び混乱する。


初めて感じる斬撃の痛み…

遮られた視界…


残る右目で捉えた男は、口元に不敵な笑みを浮かべ、剣についた血糊を拭っている。



《(なんなんだっ!あの小娘といい、こいつといい…なぜ絶対防御がこうも簡単に貫かれる!?)》



唖然とする八岐大蛇。

対して、男はニヤリと笑いながら口を開いた。



「驚いてるなぁ…無理もないぜ。俺と対峙したユニークはいつもそんな表情になるからな。ククク…」


《てめぇ…いったい何者だ。》



焦りの浮かぶ表情で男を睨む八岐大蛇は、ふとあることに気づいた。


男の持つ剣。

その紋様に見覚えがあったのだ。



《お前、もしや攻略者か…?!その剣は…ロキ様の…》



その言葉に男はみるみる笑みを深める。



「正解だぜ。その通り、俺はこの世界を一度クリアしたプレイヤーだ。」


《…聞いたことがあるぞ。過去に、本来プレイヤーには超えることができない絶対防御を打ち崩し、俺たち神獣を死に追いやったプレイヤーがいたことを…それがお前か…》



男は剣をクルクルと回している。

八岐大蛇はその余裕の態度にイラ立ちを隠せない。



《なるほどな…大した余裕だ。さすがは攻略者と言ったところだな。》


「まぁな…今までのユニークは大したことなかったからな。お前はどうなんだ?」



男の挑発にイラ立つも、八岐大蛇は静かに笑い声をあげた。



《ククク…グハハハハハ!他の連中と一緒にされるとはな…舐めるなよ、小僧!!俺はこの世界で一二の強さを争う神獣だ!いくらお前が絶対防御を超えられるとしても、元々の格が違うんだ!!他の奴らと同じにするんじゃねぇ!!》



そう叫びながら、男に向かって尻尾を叩きつける。

男はそれを素早くかわすが、その場所には大きく亀裂が走っていく。


不規則に隆起する地面。

その上を特に問題にすることもなく、男は軽快に飛び越えていった。




その様子を離れた位置で見ていたゼンは、なぜここに彼がいるのか疑問を浮かべていた。


彼はジプトにて、"ウォタとともに"作戦を遂行中のはず。



「ジプトでの作戦は終わったのか?なぜゲンサイがここにいる…それにウォタはどうしたのだ。」



八岐大蛇と激しく撃ち合うゲンサイを見つめていると、横で倒れているミコトが意識を取り戻す。



「う…うぅ…」


「ミコトッ!気がついたか!」


「ゼ…ゼン…ちゃん…ゼンちゃん!!?」



ゼンの姿を見て、驚きと共にミコトは勢いよく起き上がった。



「ゼンちゃん!戻ってきたんだね!!よかった…よかったよぉ…うぅぅ…」


「ミコト…心配をかけてすまなかった。」



泣き出したミコトを優しく包み込み、謝罪の言葉を綴るゼンにミコトも抱きついて嗚咽を漏らした。



「心配したんだよぉ…」


「本当にすまなかった。そして、感謝するよ。私は君に気付かされたんだ…本当の強さとは何かということをね。一人で強くなろうとしても限界がある…それを君が教えてくれたんだ。」


「私は何もしてないよ。それに気づけたのはゼンちゃんだから…」



小さく微笑むミコト。

ゼンはその言葉に同じように微笑んだが、すぐに真面目な顔をミコトへと向ける。



「安心するのはまだ早い。状況は未だ拮抗しているんだよ。今はゲンサイが駆けつけてくれたから奴を抑えてくれているが、戦況はどちらに転んでもおかしくはない。」


「ゲンサイさんが…!?」



ゲンサイの名を聞いてミコトは驚いた。

そして、ウォタのことが頭をよぎる。



(ゲンサイさんが何故ここに?トウトの街にいるはずじゃ…)



八岐大蛇と未だ激しい撃ち合いを繰り広げているゲンサイを、ミコトはじっと見つめていた。



「どうした…ミコト…?」



その様子を心配したゼンが声をかけてきたが、ミコトは気づいたように首を横に振る。



「…ううん、なんでもないよ。それよりも、私たちもゲンサイさんを手伝わなきゃ!」


「そうだな…なぜか彼の攻撃はオロチに通用するようだ。彼を主軸として私とミコトでサポートするぞ!」



ミコトはその言葉にうなずくが、すぐにあることを思い出す。



「そうだ!タケルくんは…!?」



ミコトとゼンがあたりを見回すと、少し離れた位置に倒れて気を失っているタケルの姿を発見したのだった。





金属音が何度も響き渡る。


ゲンサイが斬りつければ、八岐大蛇が爪でそれを防ぐ。

八岐大蛇が反対側の爪で斬撃を放てば、今度はゲンサイがそれを防ぐ。


先ほどから両者の攻防は拮抗していた。



《ガハハハハハハ!いいじゃねぇか!こんなにやり応えのある奴はウォタ以来だぜ!》


「……」



楽しげに笑う八岐大蛇とは裏腹に、ゲンサイは無言で真上から剣戟を放っていく。



《おっと…あぶねぇ。ならよぉ、これならどうだ!?》



その剣戟をかわした八岐大蛇はそう言うと、ゲンサイとの距離を大きく開けるように瞬時に移動する。


そして、口を大きく開け、ブレスを撃ち放った。


轟音と共に紫色のエネルギー波がゲンサイ目がけて駆け抜ける。


地面を抉り、草木を燃やしながら襲いかかってくる強大なそれを、立ち尽くして見ているゲンサイ。


しかし…



「…チャンス到来だな。」



そうこぼして、ゲンサイは突然姿を消した。

誰もいなくなった場所を八岐大蛇のブレスが通り過ぎていく。



《なっ!?消えた!どこへ…むっ!》



一瞬驚いた八岐大蛇だったが、頭上に気配を感じてそちらに意識を向ければ、剣を構え、自分目がけて落下してくるゲンサイに気づく。



《あまいっ!!》



八岐大蛇はブレスを放ったまま、その口を上に向けた。

まるで巨大な柱を立たせるように、紫色のエネルギー波が垂直に立ち上がる。



《それでは避けれまい!!ガハハハハハハ!!》



落下してくるゲンサイに向かって余裕の表情を向ける八岐大蛇だが、次の瞬間、その顔には驚愕が浮かんだ。


ブレスに当たった瞬間にゲンサイの体が霧散し、消えてしまったのだ。



《なっ!?残像だと…!?ならば、奴の本体はどこだ!》



そう吠え、ゲンサイの姿を探す八岐大蛇の下から小さく声が聞こえてくる。



「スキル…斬斬舞きりきりまい



声に気づいた八岐大蛇が視線を落とした先で、手に持つ剣を青く光らせ、ゲンサイがつぶやく。



「ば〜か!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ