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56話 また増えた!?


「国盗りって…他のプレイヤーがジパン国を乗っ取るって、いったいどういうことなんだ?」



イノチは意味がわからず、ロキに問いかけた。



「それを説明するには、ちょっとした地理のお勉強が必要なんだけど…あっ、ちょっと待ってね。もしもし…」



ロキは、突然鳴った携帯を取り出すと、おもむろに通話相手と話し始めたのである。



「あっ、じいさん?!もう、遅いよ!何やって…そう、そうそう。あ〜そこまで話したよ。これから、本題…うんうん。」


「けっ…携帯…?!」


「今どこに…え?もうすぐ着く?リョーカイリョーカイ!!今、『イセ』へ帰る途中で、街道を移動中だからすぐ見つかると思うよ!そんじゃ、後でね!」



ロキはそう言い終えると、通話を終了して、携帯を懐に収める。



「…誰と話してたんだ?」


「ごめんごめん!実はさ、今からもう一人増えるんだよね。この世界の地理に詳しい人が来てくれるんだ。彼が来てから詳しい話をしようと思うんだけど…しかし、この馬車せまいねぇ。」


「したかないでしょ!荷台は四人が定員なんだから。どうする、BOSS。どこかで休憩した方がいいかしら。」


「確かになぁ〜話しやすいのはそっちだけど…」


「う〜ん、できれば移動しながらがいいかな。あんまり時間もないからゆっくりもしてられないし…」



悩むイノチに、ロキはこのまま移動を続けることを提案するが、エレナがそれに反論する。



「いきなり一人増やしたのはそっちでしょ!それなら、そいつを馬の背にでも乗せたらいいじゃない!」


「…ん?それは俺のことを言っているのか?」



エレナの視線を感じ取り、ゲンサイが振り向く。


睨み合う二人。

目には見えないが、バチバチと視線がぶつかり合っている間に、ロキが笑顔で入り込んだ。



「ごめんねぇ…エレナちゃんの言ってることもわかるし、目のことも残念だと思うよ。でも、ゲンサイにはちゃんと話を聞いてもらわないといけないし、イノチくんもそう…ということは…ね!」


「うっ…」



その笑顔の意味を理解して、顔を引きつらせるエレナ。



「はいはい…!わかりました。あたしがどけばいいんでしょ、どけば!!」



エレナはそういうと、御者台へと移動していった。

ゲンサイも、鼻を鳴らしてそれを見送る。


ブツブツと文句を垂れながら、横に座ってきたエレナに向かってアレックスは笑顔を向けた。



「エレナさん!ここはここで楽しいですよ♪一緒におしゃべりしましょう♪」


「アレックス…」



アレックスの純粋な笑顔にキュンとするエレナであった。


エレナを見送ったイノチは、再びロキに話しかける。



「で、その地理に詳しい人とやらは、いったいいつ来るんだ?」


「ん?もう来てるよ!」


「は?!来てるってどこに…なっ!!」



ロキの言葉が一瞬理解できなかったが、イノチはエレナがいた場所に人が座っていることに気づいて驚いた。


そこには、体の大きな白ひげの老人が座っていたのである。

ただし、フードを被っていた顔は見えない。


フードから飛び出る白いひげだけが、一際、存在感を放っているのだ。



「いったい、いつの間に…!」


「フォフォフォ…わしなら、先ほどからずっとここにおったよ。あの娘がどいた後からな。」



唖然とするイノチを見て、面白そうに笑う老人。

二人を見て、ロキも面白げに口を開いた。



「さてさて、役者は揃ったね!なら、話の続きといこうじゃないか!」


「…ロキよ、どこまではなしたんじゃっけ?」


「はぁ?!おいおい、今さっき電話で話しただろ?!本当にボケちまってんじゃないのか!大丈夫かよ!?」


「うるさいのぉ!ボケとらんわ!ちと物忘れがひどいだけじゃ!んで、どこから話すんじゃ?」


「国盗りの話だよ…ランク戦!ったく。」



老人は「そうじゃったな!」と口元で大きな笑みをこぼす。そして、イノチとゲンサイの方に顔を向けると、その白いひげで見えにくい口を開き、話を始めたのだ。



「ランク戦の話の前に地理のお勉強じゃ。この世界には、ここジパンの他に、いくつも大きな国があることは知っておるな?」



イノチとゲンサイは、静かにうなずいた。

老人はそれを見てうなずくと、話を続ける。



ここバシレイアには、リシア帝国、島国ジパン、ジプト法国、北の国ノルデンの主要国が存在している。

これはチュートリアルでも聞いていたので、イノチも知っていることだ。


老人が言うには、それ以外にも小さな国が点在してはいるが、これら4大国に及ぶほどの国はないのだと言う。


4大国は、それぞれ独自の文化、経済、政治、宗教などを発展させており、互いに軍事的、政治的に干渉するとこは基本的にないらしい。

ただし、貿易は盛んに行われていて、他国の文化などを取り入れる傾向にはあるのだと言う。



「ここまでは基本中の基本。本題はここからじゃ、これを見よ。」



老人はそう言って、懐から取り出した大きな地図を、イノチたちの前に広げていく。

そして、その中心を指して、再び口を開いた。



「ここがジパン国、ここから南東に行くとリシア帝国で、その逆に南西にはジプト法国がある。そして、北へ行けばノルデンじゃ。」


「ジパン国って世界の中心にあるんだな。」


「さよう…この地理的な位置によってジパン国は現在、貿易の中心国となっておる。お主は『トウト』にある港は見たか?」


「今回は観光で来たわけじゃないからな。見る機会はなかったよ。」


首を横に振るイノチを見ながら、老人は残念そうに話を続ける。



「なんじゃ、見とらんのか。もったいないのぉ、普通じゃ見られんほどの巨大な規模の港であると言うのに…」


「じいさん、話が逸れてるよ!」


「…ん?おぉ、すまんすまん。まぁ、いつか見てみてくれ。それで…どこまで話したっけのぉ?」


「もう!ふざけないで、ちゃんと話せよ!ボケ老人!貿易の中心地ってとこまでだよ!」



ロキがそう言った瞬間だった。

突然、周りの馬たちが暴れ始め、荷台がガタガタと揺れ始める。



「わわわ!みんなどうしたの?!」



手綱を握っていたアレックスが驚いて制御しようとするが、馬たちは何かに怯えるように暴れているのだ。


それは馬車の周りでも同じであった。

トヌスたちも、突然暴れ出した馬を落ち着かせようと、必死になっている。


そんな最中、イノチは老人から発せられる異様な雰囲気を感じ取っていた。横を見れば、ゲンサイも焦りの表情を浮かべ、剣の柄に手を置いている。


一方で、ロキはおでこに手を置いて、やっちゃったという表情を浮かべている。


得体の知れないオーラを放ちつつ、老人がゆっくりと口を開いた。



「誰がボケ老人じゃと…?」


「…じっ…じいさん、言葉のあやって…知ってる?」


「"巧みな言い回し"のことじゃな…今のがそうか?使い方…間違っとりゃせんか?」


「いや…アハハハハ…そうだっけ…?」



ロキは、頭をかきながら苦笑いを浮かべているが、老人の怒りは収まる様子がない。


フードに隠れた目からは光が発せられ、彼の背には地鳴りのような効果音が…


見えはしないが、それほどまでのオーラを発しているのだ。



「ハハハハ…じいさん、話の続きをしようよ!ね!」



ロキがそう言った瞬間、雷のような爆音が荷台で鳴り響いたのだった。

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