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第六話:聖女様は街角の女神

失恋した聖女様は旅に出るのですが、もうトラブル臭しかしません。

果たして目的のステキな旦那様を見つけられるか?


「リーリアぁっ! 何故ですのぉっ!?」


「いや、エマリアル様が聖女様だからじゃないですか?」



 エマリアル一行は現在南方は魔法学園都市ボヘーミャに来ていた。


 ここはどの国にも属さない中立ではあったが魔道の技術を見返りに各国から支援を受けていた。

 魔術を学びたい実力のある者はたとえ平民でも入学できるというここは国では無いものの学園による管理が行われていて学園を中心に街並みが広がっている。


 そんな街並みも裏通りにはそれ相応な場所があり、そこでエマリアルはバージンを捨てる為に奮闘をしていたのだが、何故か上手くいかず女神信教の信者を増やすだけだった。



「何故ですの? もう数ヶ月いろいろな街を回りバージンを捨てる為に頑張っているのにぃ!」


「いや、行く街行く裏通りでエマリアル様の説法で皆純真な女神信教の信者になって行くのですから、世にとっては良い事なんじゃないですか?」


「でも私まだバージンのままですのよぉっ! このままでは何時まで経っても年下の理想の旦那様が捕まえられませんわぁっ!!」


「はぁ~、仕方なくダメもとでケルスをけしかけてみても女には興味が無いとか言って道中襲って来た盗賊の中で好みの奴だけ裏通りに連れ込むとか。裏通りから盗賊の『あ”あ”ぁ”ーっ!』とか断末魔の後にテカテカのケルスが出て来るとかしてんだもんなぁ」


 どうやら盗賊のバージンだけはどんどん捨てられていたようだ。



「おお、こんな所におられたか。流石は聖女様です、この街の裏通りの連中も心入れ替え信者が増えておりますな。しかも聖女様はこの様なモノがいる場所まで探り当てるとは!」


 そう言ってケルスは一人の少女を引っ張り出す。

 ぐるぐる巻きにお札がついた縄に捕らえられていたのは何と魔族の少女だった。



「げっ! こいつ魔族でしかもサキュバスじゃない!?」


「あら、魔族がこんな街中にですの?」


『くそう、放しやがれ! なんでこのおっさんにはあたしの魅了が効かないんだよ!! こんな美少女が言い寄りゃみんな鼻の下長くしてくるのに!!』


「ふっ、(それがし)に魅了は効かん! 良い男であれば別であるがな!!」



 そう平然とこの武僧侶モンクは言い放つ。

 まさしく生臭ボウズである。



『くっそう、放せぇ!!』


「おい、お前なんでこんなん所にいるんだ? サキュバスなら寝静まった頃にこっそり男の所に行くもんだろ? あたしの古巣を荒らしてんじゃねぇよ! 何が目的だ? 言わねぇえと聖女様けしかけっぞ!!」


 しかしリーリアは別の事が気になりこのサキュバスに脅しをかける。



『ひっ! 聖女だと!? まさかあたい()の計画に気付いたのかよ!?』



「計画ですの?」


 サキュバスはあっと言う顔をして口を紡ぐも時遅し、リーリアはにんまりと笑ってサキュバスの前に立つ。



「ほほぉ、詳しく聞かせてもらおうじゃないの? 吐かないと…… はい、聖女様!」


「えっと、膝枕して頭なでなでしながら女神様についてお話すればいいのですわね?」



『ひぃっ! やめて、聖女にそんなことされたら精神が削られ魔力も削られ消えちゃうからっ! 言います、言いますから許してぇっ!!』



 お座りしてその豊満な太ももにポンポンと手をして誘うエマリアルを青い顔してサキュバスはいやんいやんと顔を振る。



「おっし、じゃあ全部吐くんだな。嘘とか言ったりしたら、聖女様の豊満な胸に熱い抱擁もしてもらうからな?」


『ひぃいいいぃぃぃっ! そんなことされたら浄化されちゃうぅっ!』




 こうしてサキュバスはその計画とやらを吐くのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] >エマリアル一行は現在南方は魔法学園都市ボヘーミャに来ていた。  あ。  世界的にはエルハイミの世界なんですね。
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