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婚約式1

 

「――はあ!? 私の夢に決まっているじゃない!」



 って、あら?

 ここは私の部屋ね。

 ということは、元に戻ってる?



「ファラーラ様、お目覚めでございますか?」

「シアラ!」

「はい!?」

「会いたかったわ!」

「光栄です!」



 ベッドから飛び出して抱きつけば、シアラは嬉しそうな声で答えてくれた。

 ノリが良くなったわね。



「ええっと、それで今日の私の予定は?」

「はい。午後からはエルダ様たちとお約束がおありですが、午前中は何もございません。ゆっくりなさいますか?」

「……そうね。そうするわ」



 寝ていたのに、すごく疲れているのはあの夢のせいね。

 夢、とはもう言えなくなってきたような気がするけど。

 蝶子は無事に戻れたかしら。

 入れ替わっていたのだとしたら、目が覚めたときに知らない部屋にいて驚くかも。

 だけど、相上がいるから大丈夫よね。


 それよりも私のことよ。

 あれが夢じゃないとしたら、昨日殿下に蝶子が会いにいったのよね。

 そのときに、す、好きって告白されたんだわ。

 ま、まあ、知ってたけど!


 なんだかよくわからないけれど、きゅーんときて、ぎゅーんときたから回れ右してベッドにダイブ。

 好きって! 好きって! 殿下が好きって! 私のことを好きって!


 って、ちょっと待って。

 やっぱりあれは本当に夢だったなんてないわよね?

 いえ、夢なんだけど。



「ファラーラ様、いかがなされました?」

「……ねえ、シアラ。私は昨日、殿下にお会いしたのよね?」

「は、はい。そのはずですが……?」

「その後、学院に寄ったわよね?」

「はい、そのように伺っております。お戻りになってからは酷くお疲れになっていたようで、すぐにお休みになりました。ですから、朝食はいつでもお召し上がりいただけるようにご用意しております」



 シアラの言葉に私のお腹がぐうって答えたわ。

 そうね。花より団子。

 腹が減っては戦はできぬ。

 恋と戦争は手段を選ばないんだから。


 って、べべべ別に!

 勝ちたいわけじゃないのよ。

 ただ負けたくないだけ。


 打倒! サラ・トルヴィーニ!

 常勝! ファラーラ・ファッジン!


 朝食は一日の源だもの。

 たくさん食べたって太ったりしないわよね?

 そういえば、蝶子の世界のご飯も美味しそうだったわ。

 ああ、どうせなら食事前に入れ替わりたかった……って、やっぱりあれは夢よ。

 変なことを考えたら、また変なことになるかもしれない。

 気をつけないと!


 でもねえ。美味しいものは色々と食べてみたいわよね。

 ジェネジオに紹介してもらった料理人もすごく美味しいお料理を作ってくれるけれど。

 ほら、私ってば発明(させる)王ファラーラ・ファッジンだから。

 食への探求心も強いのよ。


 蝶子の世界なら〝お取り寄せ〟なんてできたのに。

 いっそのこと世界グルメツアーなんてどうかしら?

 海外悠々自適生活もいいけれど、住むところは一か所に決めるんじゃなくて、美味しいものを求めて旅をするのもいいかも。


 それとも物産展なんてどうかしら?

 テノン商会おすすめの地方特産品を氷魔法か何かでクール便にして(ジェネジオが)運ばせたり、料理人を(ジェネジオが)手配してその場で直接調理したものを食べられるのもいいわね。

 そうね。マージンはたったの一割でいいわ。

 私も世界中の美味しいものが食べられるんだもの。それくらいは譲歩してあげないとね。



「――ファラ? ファラ?」

「え? あ! エルダ!」

「うん、エルダだよ。ぼうっとしてたみたいだけど、大丈夫?」

「だだだ、大丈夫よ! ほら、もう卒業してしまったんだって思って、ちょっとしんみりしていたの!」



 嘘です。

 本当は美味しいご飯のことを考えていました。

 せっかくエルダたちが遊びにきてくれてるのに。



「本当に……これからはファラーラ様に気軽にお会いできないと思うと残念でなりませんわ」



 苦しまぎれの私の言葉に、レジーナ様が表情を曇らせる。

 うう、罪悪感が……。

 しかもミーラ様とエルダまで大きく頷いた。

 私ってば罪つくりな女ね。



「ですが、ファラーラ様はこれから殿下とたくさんお会いできるのですもの。それが私は嬉しいです」

「へ?」

「確かに! 殿下が無事にお戻りになって、これほど喜ばしいことはありませんわ! それで、婚約式はいつになさるのですか?」

「こ、婚約式……?」



 って何だったかしら?

 えっと、私の記憶が確かなら、大勢の立会人の前で結婚の誓約をするというもので、それってほとんど結婚式と同じ。

 だから、悪夢の中の私はそんなもの必要ないわ! って強がっていたような?

 本当は殿下に必要ないと拒否されたんだけど。



「昨日、ファラーラ様が殿下をご訪問なさったのは、その打ち合わせではないのですか? ご結婚が適うご年齢になるまであと二年近くありますもの。ですから、婚約式をなさるのではないかと、噂になっておりますわ」

「そ、そうなの?」

「婚約式なんてすごいね! やっぱり王太子殿下の婚約者なんだねえ。さすがファラ!」

「そ、そんなの当然よ!」



 噂の中心はいつも私!

 流行の先端もいつも私!

 だって私はみんなの憧れ、ファラーラ・ファッジンだもの!

 おほほほほ!





皆様、いつもありがとうございます。

3月15日(月)に上原誠先生のコミックス1巻がモンスターコミックスfより発売されます!

オリジナル要素満載でとっても面白いのです(≧∀≦)

詳細は活動報告にて。

また色々落ち着いたら、定期更新に戻ります。

よろしくお願いします(*´∀`*)ノ

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― 新着の感想 ―
[一言] お、戻ったか
[良い点] 好きっていわれたことにきゅーんときてぎゅーんwww これはかわいい! きっと先生もファラが恋しくて仕方がないはず! 禁断症状が出る前に会いに行ってあげてほしいですね。 殿下との婚約を避…
[良い点] 安定のファラちゃん♪ 戻って良かった!
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