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友達2

 

 ああ、ポレッティ先輩に――ポレッティ派にケンカを売ってしまったわ。

 どうしよう。

 もちろん決意したとおり、三人に後悔させたりなんてしないわ。

 だけど私が後悔でいっぱい。

 うふふふ。


 今回のことをお母様になんて説明しようかしら。

 ファッジン公爵家は盤石だけど、もしポレッティ侯爵家が王妃様についたら?

 お父様やお母様の立場が悪くなるかもしれないわ。



「――あら、そんなことをあなたが心配する必要はないのよ。ポレッティ侯爵家くらいどうとでもなるわ。それよりもファラーラ、あなた本当に大丈夫なの?」



 私の心配を笑い飛ばしたお母様はとても頼もしかった。

 さすがファッジン公爵夫人。

 だけど私の学園での立場を心配してくださるなんて、かえって申し訳ないことをしたわ。



「大丈夫です、お母様。私には素晴らしいお友達が三人もできましたし、生徒会の皆様もおられますもの」

「あなたが学園で大丈夫なことはわかっているわ。そうではなくて、私やお父様の立場――王宮内のあれこれにあなたが気を回すなんて……。チェーリオが栽培を指示したとかいうイチゴに何か変な薬品でも使っていたのではないかしら」

「お母様……イチゴは美味しかったです」



 この十二年間を思えば、お母様にそう思われても仕方ないですよね。そうですよね。

 しかもお兄様にまであらぬ疑いをかけてしまったわ。

 だけど上手くフォローすることもできないでいると、お母様はいきなり笑いだした。



「いやだ、ファラーラ。今のは冗談よ、本気にしないで」

「……お母様?」



 からかうなんて酷いと怒るべきなのかもしれないけれど、お母様がとても嬉しそうに笑っているから何も言えなくなってしまったわ。

 お母様、目じりに涙が浮かんでいますよ。

 そんなに面白かったですか?



「ごめんなさいね、ファラーラ。私、嬉しくて……。あなたにお友達ができただけでなく、そのお友達のために先輩に逆らったのでしょう? お祝いの花火を上げたいくらいだわ」

「お母様……」



 そうですね。

 今までの私は本当にお友達なんて一人もいなかったから。

 そのことをずっと心配してくださっていたのね。



「……ありがとう、お母様。だけど、花火は国の許可がいりますから、おやめくださいね」

「そんな、今上げたい気分なのに、許可なんて取っていたら明日になってしまうわ」

「ダメです、お母様」



 そうだわ。きちんと止めておかないと、お母様ならやりかねないのよ。

 お父様は私に甘いけれど、お母様にも甘いのよね。

 そもそも結婚式でもないのに花火を上げる許可を得ようとすること自体あり得ないから。


 そういえば今さらだけれど、あの婚約発表の誕生日パーティに花火は上がらなかったわね。

 王太子殿下の婚約発表なら、それくらいあってもおかしくなかったでしょうに。

 私は浮かれすぎて花火をねだることを忘れていただけだけれど、やっぱり地味だったわね……。



「ねえ、ファラーラ。花火がダメならパーティーを開きましょうよ」

「はい?」

「ファラーラのお友達を招いて、もちろん三人だけでなく他にもあなたがお呼びしたい方を招きましょう! そうね、ポレッティ侯爵家のお嬢さんのお茶会は今度の休日の初日だったのでしょう? それなら一日空けて三日目の休日にどうかしら?」

「いいのですか!?」

「もちろんよ」



 エルダが一般の子だってお母様もご存じなのに。

 そうよね。お母様もお父様も、そんなことは気になさらない方だったわ。

 それなのに、以前の私はすごく差別主義者だったのよ。

 エルダみたいな素敵な子もいっぱいいて、貴族の中には嫌な子もいっぱいいるのにね。



「それにほら、チェーリオがあなたのために栽培させたというイチゴ。あれを腐らせる前に消費しないとね……ふふふ」

「そ、そうですね」



 お母様、本当の目的はそちらだったとかではないですよね?

 フェスタ先生の別邸の温室――いえ、冷室は広大で、一面にイチゴ畑が広がっていて、それもおそらく完熟時期は全部同じらしくて、収穫に向かった庭師が困っていたものね。

 今年はイチゴジャムも十分作っていて、冷凍保存もしているはずだからって。


 いくら私がイチゴが好きだからって、あれだけの量を腐ってしまう前に食べるのは無理だもの。

 私のために栽培してくださったのは嬉しいけれど、収穫時期をずらしてくださればもっとよかったのに。

 これも要課題ね。


 とにかく、これは私が初めて自主的に開催するパーティーよ。

 そうだわ。いっそのこと学園の女生徒全員を招いてはどうかしら。

 あ、だけどドレスに困る子もいるわよね。


 うーん。

 学園の子が全員出席できるようなドレスコード……って、そうよ!

 それなら制服限定!

 エルダのお友達のナミさんや寮の子たちも出席できるように馬車を何台か用意して送迎させればいいわよね。

 もちろんポレッティ先輩たちやサラ・トルヴィーニだって招待するわ。

 出席するしないは個人の自由だものね。


 何だかわくわくしてきたわ。

 制服限定! 女子限定!

 ファラーラ・ファッジン主催のイチゴパーティーよ!




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― 新着の感想 ―
[一言] ファラーラ春のイチゴ祭り♪ お土産は白いお皿でお願いします!! これでキラキラうちわは不動の一位確定ですね!
[一言] イチゴパーティー!? 庶民達の株がうなぎ登りでしょうね! 他の貴族達の反応が気になる! どんどん王妃様になるフラグが立っていく………
[一言] おお! これで生徒会でのファラ株もさらに上がるでしょうね。特待生の間でのファラ人気はもちろん天井知らずに (^^)。 噂を聞きつけた殿下が当日「顔見せ」と称してサプライズ乱入してきたりしな…
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