64:皆殺しの豪雨!
※ちなみにスキンヘッドが一目惚れした相手ですが、もしかしたら第32話にその相手がいたりいなかったり……!?
「強化系アーツ発動、『ハイパーマジックバースト』! さぁ、ブチ抜けーッ!」
『グガガガガァァァアアアーーー!』
敵のギルドへと射出されるギガ太郎の極大レーザー。
それは街からもっとも近かった小型の屋敷を消し飛ばし、さらに砦や古城すらも焼き滅ぼして塵に変えていく。当然ながら中にいたプレイヤーたちも道連れにな……!
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ギルド『ヨコチチ過激派集団』を倒しました! 『サクラ姫を見守る会』を倒しました! 『推しアイドルにマッチョ彼氏がいるらしくって病んでしまった被害者の会』を倒しました!
1428人のプレイヤーを倒しました!
ギルド『ギルド・オブ・ユーリ』にイベントポイント+3000!
プレイヤー:ユーリにイベントポイント+1428!
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響き渡るメッセージボイスを聞きながら、さらに他のギルドにも狙いを付けていく。
ギガ太郎が消えるまであと数秒。このまま十軒以上のギルド拠点はぶっ壊してやろうと思っていたのだが、
「――来たぞッ! 壁戦士部隊、構えーーーーーッ!」
『オォオオオオオオオオオオオオオーーーーー!』
ひときわ立派な豪邸を滅ぼしてやろうとした時だった。迫るレーザーを前に、男たちの野太い声が響き渡る!
かくして次の瞬間、ギガ太郎の必殺攻撃は、盾を構えた何十人ものプレイヤーたちによって阻まれてしまうのだった。
咄嗟に首を振るわせて他の拠点を狙うも、周囲のギルドもプレイヤーたちが大慌てで肉壁を形成しており、何人かを蒸発させたところでレーザー照射は終わってしまう。
なるほど、当然ながら対策はしてきたか。結局ぶっ壊せたギルドは四つほどで終わってしまった。
それと同時にプレイヤー生存数が二千人ほど減るが、まだまだ敵は五万八千人はいる。数の利では向こうが圧倒的に有利だ。
『グガゥ~……!』
「よしよし、しょげるなよギガ太郎。あとは俺に任せておけって」
項垂れながら消えていくギガ太郎。
次に召喚可能となるのは一時間後だ。短期決戦を狙うなら、もうレーザーぶっぱは狙えないだろう。
さぁ、ここからが本番だ。百メートル上空から落ちていく俺の視界に、全方位にあるギルド拠点より一斉にプレイヤーたちが押し寄せてくる光景が映った。
「巨大召喚獣の攻撃は終わったッ! さぁプレイヤーたちよ、攻め込めーーーーッ!」
『ウォオオオオオオオオオーーーーッ!』
ドドドドドドドッ! という地響きのような足音を立てながら、ヘルヘイムへと突撃してくる数万人規模のプレイヤー集団。
しかも闇雲に向かって来ているわけではない。ギルドごとに数百人単位のグループに分かれ、さらにプレイヤーとプレイヤーの間にも少しばかりの間隔を開けているのが見えた。まるで蜘蛛の巣のようだ。
なるほど……俺がシルのチャンネルを乗っ取った時に見せた【武装結界】対策か。
三歩ほどの距離を保って隊列を組めば、剣や槍の掃射で一度に何人も串刺しになるのは避けられるからな。
提案者は間違いなくスキンヘッドだろう。俺を倒すためだけにこれほどまでの大軍団を揃えてくれた男なのだ、対策は完璧にしてきたと見ていい。
「ははっ、ありがとうなスキンヘッド! だったらお礼に、真正面からその対策をブチ破ってやる!
さぁ出番だ、チュン太郎ーーー!」
『ピヨォオオオオオオーーーーーーッ!』
俺の叫びに甲高く応え、紅き巨大鳥・チュン太郎が姿を現した。
その背に乗ってプレイヤーたちの頭上へと飛んで行く。
「よぉお前ら! もちろん飛行モンスターへの対策もしてきたんだろうなぁ!?」
「当たり前だ、魔王ユーリめッ! さぁ遠距離攻撃部隊よッ! 憧れの対象を今こそ超えてやれーーーーー!」
『ウォオオオオオオオッ!』
司令塔の叫びに応えて咆哮を上げるプレイヤーたち。
これは驚いた……! なんと人気職の魔法使いではなく、大量の弓使いたちが俺を墜とさんと矢を構えてきたのだ。
誰もが瞳に憧れと挑戦の闘志を燃やし、真っ直ぐに俺を見上げていた。
「弓使いとしてアンタにチャレンジだーー!」
「知ってるかぁユーリ先輩よぉ!? 十メートルそこらで完全に攻撃の威力がなくなっちまう魔法使いたちと違って、矢は何十メートル先の相手にもぶっ刺さるんだぜぇ!」
「命中率は数でカバーだ! 食らいやがれーーーっ!」
そして始まる一斉掃射。パァァァンッという力強い弦の音と共に、地上より矢の大群が俺に向かって飛んできた!
その光景を前に、俺は思わず嬉しくなってしまう……!
不遇武器として扱われてきた弓矢の使い手たちが、こうして居場所を与えられて、やる気いっぱいで俺に挑んできてくれたのだ……! こんなに嬉しいことはあるかっ!
「墜ちろッ、魔王ユーリーーー!」
闘志を矢に乗せ、アーチャーたちが吼え叫ぶ。
ああ、だったらこっちも応えてやろう! 俺が手に入れた新しい弓使いのスタイルでなぁッ!
「スキル発動! 【武装結界】――フルオープンッ!」
その瞬間、合計百もの召喚陣が俺の周囲へと現れる。
さぁ、反撃開始だ! 思う存分食らいやがれ、俺の爆撃の豪雨をなーーーー!
「消し飛べぇぇえええ!」
そして放たれた爆殺武装の一斉掃射は、矢の雨を一瞬にして蹴散らした。
わずか一発分の爆発で数百本の矢を燃やし尽くすと、そのまま剣や槍や斧や鎌がプレイヤーたちへと着弾して大爆発――!
ドゴォオオオオオオオオオオオオンッ! という鼓膜を破壊するような音を立て、何百人ものプレイヤーを瞬く間に消し炭に変えていくのだった……!
「うぎゃあああああああああッ!? なっ、なんだこりゃぁああああッ!?」
「ばっ、爆発した!? なんだよどういうことだよこれっ、なんで剣が爆発するんだよぉ!?」
「こっ、こんなのもう弓使いの攻撃じゃねえよーーーーーーー!」
バラバラになって消し飛んでいくプレイヤーたち。仲間と少し距離を開けて串刺しになるのを避けようとしていたようだが、そんな対策は完全に無意味だ。
俺の生み出した爆破武器たちは、着弾した瞬間にクレーターを作り上げるほどの大爆発を起こすんだからなぁ!
焼けた血肉が戦場を満たしていく中、黒焦げになった司令塔が混乱の叫びを上げる。
「なっ、なんだこれは……どうなっているんだ、魔王ユーリーーー!? そもそもプレイヤーの持てるアイテム数は50個までじゃないのか!? だというのにっ、こんなバカげた数の爆撃など……!」
「そんなの決まっているだろう。大量にアイテムを持ち運べる、クラフトメイカーのジョブを取ればいいだけだろうが」
「んなッ!? ぁ、あんな戦えないジョブの力だとぉおおおッ!?」
敵の司令塔が驚く中、爆撃を終えた剣や槍が粒子となってアイテムボックスに還ってきた。
スキル【武装結界】で放った武装は三秒後に戻ってくる仕様だからな。おかげで『大爆発』を発動させたことで壊れる寸前となった武器たちを即座に回収できる。
さぁて、どれもこれも耐久値1になってしまったが何も問題はない。なにせ俺は生産職だからな。
「アーツ発動、全部に対して『武器修復』っと。――さぁ、第二撃の開始だ……! お前たちが死ぬまで何度だって直すぞ」
俺の周囲に再び現れる超大量の召喚陣。直ったばかりの武器たちが、次元の向こうより切っ先を敵に向けていく。
その光景を前に、傷だらけの生き残りたちは一斉に武器を落としていったのだった。
・(死体)生産職、ユーリちゃん――……!
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