147:邪龍咆哮
※ダメージエリアのルールは112話の掲示板で発表されているとあったので、145話のコリンが押し潰された後の文章を修正です。(4/9 15時ごろ)(二行くらいなので読み返さなくてもオッケーです!)(半年連載を空けたらこれだよ!)
『冥途の土産に教えてあげるわ。女神の霊樹が「始まりの街」に移っているのは、ペンドラゴンの策よ』
死の雨が降り注ぐ中、アリスは語る。
『ダメージエリアが徐々に迫ってくるルール。アレ自体は、公式サイトにも記載していたわよね?』
「ああ。どこに向かって迫っていくかは、『魔王アザトース』の発表で初めて知ったけどな」
そこは仕方がない。バトルロイヤル系のゲームにありがちなエリア縮小システムは、ゲーム開始までどこが中心になるかわからないのが基本だ。
それさえ把握できていたなら、俺だって最初からソコに拠点に移していたさ。
「……まさかペンドラゴンは、『始まりの街』が中心部になるとわかっていたとでも?」
『いいえ。流石の彼女もそこまで万能じゃないわ。ただあの人は単純に、“相手がどこに進軍しようが、最速で兵を出せる場所に付こう”って、そう考えただけよ。それでたまたま世界の中心に陣取ったの』
たまたま、か。それはつまり……。
『彼女がとても幸運で――逆にアナタは不幸だったということね』
言葉と共に、魔法使いたちの攻撃がさらに苛烈さを増した。力なきプレイヤーたちが次々に倒れていく。
「ははっ……不幸か」
この世で一番嫌いな言葉だな。
俺はソイツが嫌になり、この電子の世界に逃げ込んできたほどだ。まさかここまで追ってくるとは。
『どうか気を落とさず、元気に死んでねユーリさん』
無慈悲な女王は言い放つ。“『始まりの街』が女神側に押さえられているのを知らなかったこと。それ自体は仕方がないわ”と。
『大戦開始の11分前……すでにログイン済みのプレイヤーたちは、1分間の猶予を置いてそれぞれの本拠地に転移することになったのだけど、そこで急にペンドラゴンが実行した策だからね』
「なるほどな」
開始直前に『魔王』と『女神』のイベント演出を見せるためか、ブレスキのサイトにも“イベント時刻の10分前には、それぞれの本拠地にプレイヤーを召集。以降の本拠地変更は認められない”と記載されていた。
ペンドラゴンはそのわずかな間に策を捻じ込んできたわけだ。本当に徹底したライバルだよ。
『以上、ネタバレはおしまいよ。……それにしてもユーリさん、ずいぶんと落ち着いているのね?』
不意にアリスが眉根をひそめた。大打撃を与え続けている状況なのに、冷静に話を聞く俺に違和感を覚えたらしい。
『まさかアナタに限って、あっさりと敗北を認めるわけが……』
「――そろそろか」
と、そこで。アリスが不審がるのを尻目に、俺は魔法爆撃の勢いがわずかに陰ったのを察知した。
そうなるのも当然だ。一般的な魔法の射程は、10メートル程度とされている。もっと遠くの相手を攻撃するには、特大のMP消費や再発動まで時間を要するような上級魔法を使うしかない。
まぁそれでも届く距離は限られているだろう。射程距離を伸ばすために、補助呪文使いたちも働きまくっているはずだ。
『あら……まさかユーリさん、いつかは攻撃が止まると思っているの? 私たちも馬鹿じゃないわ! 何グループかで順番に撃ったり、別の遠距離攻撃魔法に変えて絶え間なくっ』
「それでも、勢いはばらつくだろう?」
『っ……』
俺の言葉にアリスが詰まった。
攻撃自体は続けられても、最大火力をずっと保てるわけがない。
プレイヤーにはレベル差というものが存在し、魔法の威力も種類によって変わってくる。
――彼女たちは間違いなく、もっともダメージを与えられる初撃で、最高レベルのプレイヤーたちに最高威力の魔法を撃たせたはずだ。
ゆえに必ず存在するのだ。攻撃の波というものが。
「お前が俺に『不幸だ』と言った瞬間、攻撃が苛烈になるのを感じた。おそらくあそこで初撃の部隊を使ったんだろう。そこからはわずかに勢いが減ったからな」
最高威力の攻撃部隊はただいまお休み中ってわけだ。
そう指摘する俺に、アリスは『……それがどうしたというの』と呟く。
『たしかにアナタの指摘通りよ。でも、個々の威力が多少減ろうが、千人規模の魔法攻撃であることには変わりないわ。
まさかそれらを浴びながら、街に向かって突っ切るつもり!?』
「いやいや無理だろ」
流石の俺でも塵になるわ。
まぁ必殺アーツ『滅びの暴走召喚』でモンスターたちを盾にしたり、魔法攻撃を吸収するアーツ『暴食の盾』を使いながら行けばわからないがな。
しかし前者は一時間に一度しか使えず、後者もずっと展開できるわけではない。ゆえにどちらも使い時は考えなければいけないし――そもそも今はいらないだろう。
「無理せず突っ込む必要はないさ。なぜならば、手はすでに打ってあるからなぁ……ッ!」
『えっ――?』
その瞬間、狂気の叫びが巻き起こる。轟音を立てて地面が揺らぐ。
『はっ、えっえッ!?』
アリスが堪らずたじろいだ。他の敵軍も混乱に陥り、叫び声のしたほうを――自分たちの背後を振り返る。
そう。異変の個所は、世界の中心。彼らが押さえた『始まりの街』に他ならない。
さぁ、今こそ――!
「存ッ分に獲物を喰らいやがれぇッ! 『禁断邪竜クトゥルフ・レプリカ』ー-----ッ!」
『ギギャァアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!!!』
天に轟く魔性の咆哮。女神の霊樹を背景に、異形の龍が触手を伸ばして地より出ずる。
地脈憑依型ボスモンスター『禁断邪竜クトゥルフ・レプリカ』。
俺の最狂の使い魔が、敵軍の前に降臨を果たしたのだった。
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