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142︰みんな大好き、ユーリちゃん!!!




 ――絶滅大戦まであと一日。ネットゲーム史上最大規模のバトルイベントが間近にまで迫っていた。

 そんな中。俺とザンソードとスキンヘッドの魔王側プレイヤートップスリーは、ヘルヘイムの街をブラブラと歩きながら「う~ん」と唸り合っていた。


「二人とも悪いなぁ、俺のスキル選びに付き合わせちゃってさぁ」


 両側を歩く二人に軽く詫びる。

 そう。イベント開始までの貴重な時間をどう使うか考えた結果、俺はひとまず『限定スキル』の三番目を選ぶことにした。

 限定スキルとは、以前参加した『バトルロイヤル大会』などによって手に入ったイベントポイントを消費して取得できる強力なスキルのことだ。

 俺の【武装結界】もそれだったりするな。ちなみにイベントで活躍できなかったプレイヤーと差が開きすぎないように、セットできるのは三つまでとされている。


「後から一つ消して選びなおすことも出来るけど、イベントポイントは手に入る機会が少ないからなぁ。だからこれまで選び渋ってたんだよ」


 早急に穴埋めしなきゃいけない欠点もなかったしなぁ。

 攻撃面は使い魔を進化させたり新しいアーツを取得することで強化したし、防御面は食いしばりスキルの【執念】さんが相変わらず強いし、盾を呼び出しまくることも出来るし。

 よく考えなくても俺、何にもなかった初期のころに比べたらめちゃくちゃ万能になったよなぁ。


「……けど、明日の絶滅大戦を勝利するには自分の全部を尽くさなきゃだろう? だからいい加減に限定スキル三つ目を取得しようと思ってさ」


 そこで考えついたのが、最強クラスのライバルであるこの二人に決めてもらおうって案だ。

 万能ってのはあくまでも俺の主観である。他人から見たらもっと強化すべきポイントはあるかもだからな。  

 それに今回のイベントでは仲間として戦うわけだし、せっかくだから頼ってみようと思ったわけだ。


「ククッ……よい選択をしたでござるなぁユーリよ。ネトゲーで強くなるには、他者に意見を伺うことも重要でござる。まぁしいて言うなら拙者一人に頼ってほしかったがなッ!」


「ハッ、馬鹿言えやトンチキニート侍。むしろユーリにはオレ様さえいりゃいいんだよ。オメェもう帰れや」


「なんだとこの蛮族ハゲッ!?」


 ……俺を挟みながら睨み合う二人。今さらだけど、こいつらって仲悪いよなー。なんでだ?


「それで二人とも、スキルを決めてほしいんだが……」


「剣術強化の【豪剣修羅】でいくがいい!」「拳法強化の【剛拳羅刹】でいきやがれ!」


 ――次の瞬間、男友達二人は「はぁぁぁぁああッ!?」と叫び、いよいよ街中で刀と拳を構え出した。

 っておぉいやめてくれぇ!? 俺を中心に殺意をバチバチとぶつけ合うなーッ!


「ど、どうしてこんなことにぃ……?」


 道行くプレイヤーたちが「恋のバトルだッ!」「男と男の取り合いだ……!」と意味不明なことを言う中、俺は訳も分からず立ち尽くす。

 絶滅大戦まであと一日。魔王サイドは、まさかのトップ勢二人の大喧嘩が巻き起こらんとしていた……!


「いい加減に決着をつけるッ! ユーリはこの拙者のォッ!」

「いいやッ、オレ様の宿敵モノだァアアアーーーッ!」


 ついに駆け出さんとする二人。そんな彼らをどうにか止めようとした時だった。

 突如として俺の背後より「やめたまえッ!」と鋭い一声が響き渡る。

 チープな表現だが、カリスマ性に溢れた心に突き刺さるような声だ。なんかどっかで聞いたことがあるかもだが、ともかくその声のおかげでザンソードとスキンヘッドはビタリッと止まってくれた。


「おぉ、誰だか知らないけどサンキューな!」


 そう言って振り返らんとした時だ。

 俺の肩がガッツリと掴まれ、力強く抱き寄せられて……、


「――ユーリくんはこの、ペンドラゴンだけの宿敵モノだァァァアアアーーーッ!」


「ってお前かよぉッ!?」


 喧嘩を止めてくれた謎の人物。

 それはなんと、敵軍の大将である『暁の女神ペンドラゴン』だった……!

 お前こんなところで何してんのぉっ!?

 



『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

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― 新着の感想 ―
[一言] 久々に骨のあるヤツだから、ペンドラゴンもはっちゃけてるねw
[良い点] 男の娘だしそりゃペンドラゴンがprprしたくなっても仕方ないと思います
感想一覧
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