138:激闘、『魔導王ヴォーティガン』!
五人で開けた大扉の向こう。
そこには、荘厳なる玉座の間が広がっていた。
部屋に踏み込む俺たちへと、ある者が声をかけてくる。
『――戦士の皆様、よくぞおいでくださいました。鬼畜外道なるヴォーティガン王の御前によおこそォ~』
そう言って丁寧にお辞儀をしてきたのは、部屋の中心に立つ道化姿の少女人形だった。
……ああ、たしか中世では、王様はピエロを側に仕えさせているとか聞いたことがあるな。
王を揶揄うことを許され、民衆たちからの悪評や他の臣下たちが言いづらい文句を冗談交じりに伝える役目だったとか。
少女人形のピエロはキシキシと関節を鳴らし、部屋の奥を指し示す。
『かの王こそはまさに害悪ッ! イイ年こいてイタズラ好きな上、魔導実験に平気で民衆らを使い、最後はこの島に追われたオロカモノでございます!
そんな男は、あちらに……って、指し示す必要すらありませんよねぇ?』
「あぁ、見ればわかるさ」
玉座のほうへと目を向ける。
そこには、様々なモンスターの部位を身体に縫い付けた異形の男が座っていた。
『クハハハハッ、よくぞここまでやって来たッ! 我が名はヴォーティガン、絶対なる魔導の探究者にして――』
「知ったことかよッ!」
口上を聞いてやる義理などない!
俺はスキル【武装結界】により刀剣の数々を呼び出し、ヴォーティガン目掛けて射出した。
さらには背後に立つアリスが「暗黒呪文『ダークネス・ブレイカー』、128連発動!」と唱え、黒閃の弾幕を浴びせかける。
無数の爆発が起こり、煙の中に消え去るヴォーティガン。
並のボスなら一瞬で消えてしまうような集中砲火のはずだが……、
『――我が究極の肉体の前には、まったく効かぬわァァァッ!』
「なにっ!?」
土煙を吹き飛ばしながら、ヴォーティガンがこちらに向かって駆けてきた。
その肉体には傷一つない。隠しボスだけあって一撃では倒れないだろうと思っていたが、まさかのノーダメージとは驚きだ……!
『我が肉体こそ魔導の粋。あらゆる攻撃を受け付けず、そしてェッ!』
魔導王は地面を強く踏み込む。
チーターのような右足のふくらはぎが何倍にも膨らみ、ゾウのような左足が地面を深く踏み砕く。
『――破壊性・敏捷性においても、貴様ら凡人どもを優に超えるのだァアアッ!』
次の瞬間、ヴォーティガンは一瞬にして俺たちの眼前に現れた。
ゴリラのごとき右腕でヤリーオを殴り飛ばし、無数の触手が生えた左腕でマーリンを薙ぎ払う。
「っ、まずい――っ!」
男二人が吹き飛んでいく刹那の時の中、俺は盾を呼び出さんとした。
自分だけならば食いしばりスキル【執念】で耐えられる。だが、背後には常時HP1状態で食いしばりスキルもないというアリスがいた。
究極的な攻撃特化の彼女は、一撃でも喰らえば完全にアウトだ。
『我以外の魔導師などいらぬッ! 魔導師の娘よッ、貴様は確実に殺す!』
盾を展開するがしかし、ヴォーティガンは俺の前から掻き消えた。
ヤツは再び一瞬で移動すると、なんとアリスの後ろに現れたのだ。俺がそれを察知した時には、すでに魔導王は魔獣の拳を振りかぶっていた。
「ひっ!?」
アリスの口から短い悲鳴が漏れる。たとえゲーム内だろうが、異形の巨漢に殴られんとする恐怖は幾ばくか。彼女の身体が硬直し、一秒後の死が確実になる。
『死ねェーーーッ!』
そして放たれるヴォーティガンの剛拳。もはや俺にはどうしようもなく、アリスはここで脱落かと思ったが――しかし。
「おうおうおうおうぅぅううッ!」
『ぬぅ!?』
奇怪な鳴き声と共に、アリスの姿が一瞬で掻き消えた。
声のするほうを見れば、隠密系のトップ・クルッテルオが、彼女を背負いながら壁に張り付いていた……!
「おぅ――ってしまった、ついついイタい頃の鳴き癖が出ちゃったわ……。アンタ大丈夫?」
「え、えぇっ、ありがとうねクルッテルオさん! 助かったわ、クルッテルオさんっ!」
「いやその名前連呼しないでよッ!? 実は変えたいと思ってるんだからっ!」
感謝するアリスとワーワー騒ぐクルッテルオ。俺も「ナイスクルッテルオ!」と褒めてやったら、「うるせぇー!」と返された。面白いヤツめ。
『ちぃ、変な女のせいで仕留め損ねたかッ! だが、次は確実に……っ』
再び踏み込まんとするヴォーティガン。
だがその時、
「オレらを忘れちゃ困るっすよ! 槍術系アーツ発動、『影貫き』!」
「そぉら痺れちゃいなさいッ! 『サンダー・エンチャント:スーサイドボルト』からの麻痺攻撃~☆」
吹き飛ばされた地味派手コンビ、ヤリーオとマーリンが差し迫る。二人とも全身ボロボロながらも、闘志はまったく折れていなかった。
ヴォーティガンの影を貫くヤリーオの槍。それによってヤツの動きが鈍り、さらには雷撃を纏ったマーリンの一撃により、魔導王の全身がビクンッと痺れる。
肉体には傷こそないものの、デバフや状態異常は通るらしい。
『ぐぉおッ、貴様らァッ!?』
「うおおっ、二人もめちゃくちゃナイスだぜぇッ!」
本当に頼れる仲間たちだ。どれだけ相手が強かろうが、こいつらがいれば負ける気がしないぜ。
「さぁお前ら、一気に行くぜッ!」
『おうッ!』
予備の槍を構えるヤリーオに、追撃せんとするマーリン。さらにクルッテルオが高速で迫り、俺とアリスは必殺の武装と魔法陣を展開する。
胸の戦意は最高潮だ。準備を終えた俺たちは、ヴォーティガンへと次々に攻撃を仕掛けていったのだった――!
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