119:ジメジメして狭いよ、コリンちゃん!!!
――はいというわけでやってきました『死神の地下墳墓』ッッッ!!!!!!!!!!
初心者の草原のすげー近くにあるクセにタフなゾンビモンスターや空飛ぶリビング・ウェポンがたむろする悪辣ダンジョンです!!!
外観は朽ちた遺跡みたいでなんかイイ感じですが、地下へと続く階段を降りると暗いし狭いしジメジメしてるしマジ最悪ですね!!! 住んでるやつらの気が知れないッスワーーーーーッ!!!!
「そこのゾンビくん住み心地はどうですか!?」
『ウガーッ! ウガガガガーッ!』
「なるほどありがとうございます!!!」
何言ってんのかわかんねぇよ死ねぇッ!
つーわけで寄ってくるゾンビどもを【武装結界】の武器射出でぶっ殺しながら、奥へ奥へと進んでいくぜよ!!! フンフンッフーンッ!
――かくして無双しながらスキップで進む俺の姿に、後ろでビクビクしてる戦友が苦言を呈してきた。
「……ユーリさん、なんでそんなハイテンションなんですか? ここめっちゃ怖いのにおかしいですよぉ……!」
俺の背中に隠れながらちっちゃな猫耳を震わせるロリ忍者。
……そう。意気揚々と地下墳墓に向かっている途中で、俺はコリンに出会ったのだった!
「なんだよコリン、お前ホラー系が苦手なのか? じゃあなんでこんなダンジョンに向かってたんだよ?」
「あー……実は欲しい装飾品があるのですが、それがアンデッドモンスターからしか出ないレアドロップなんですよねぇ……」
すごく嫌そうな顔をするコリン。
なるほどなるほど、そういう事情でここに来たのか。
VRゲームってのは全てがリアルに感じられるのがすごいとこなんだけど、ホラー系のダンジョンなんかの恐怖感もマシマシになっちまうのがちとネックだよなぁ。
怖がりなプレイヤーにとっては上級ダンジョンよりもしんどいだろう。
「で、なんでさっきからユーリさんは元気なんです? ホラー好きなんですか?」
「いやいや、俺も不気味には感じるぜ? ただこのダンジョンには昔すっごくお世話になったからさぁ……」
このダンジョンでHPを1にする装飾品『呪いの指輪』を手にしなかったら、俺は最強にはなれなかっただろう。
あれこそまさにブレイクスルーだった。幸運値以外のステータスだけでなくHPも犠牲にしたことで、死にかけの時にしか使えないスキルをいくつも発動するスタイルに到達できたんだよなぁ。
敏捷値を補正してくれる憑依モンスター『リビング・アーマーナイト』とも出会えたし、マジで感謝しかねンだわ。
「例えるならここは、俺の故郷みたいなものなんだよなぁ……」
「いやいやいやいや、墓場が故郷ってイヤすぎでしょ……」
めっちゃ引き気味な顔をするコリン。そんな彼女を引き連れ、さらに奥へと向かっていく。
うーん。モンスターを仕留めまくってるけど、今んところ特別っぽいアイテムは出ないなぁ。
「それでユーリさん。元気な理由はわかりましたけど、どうしてまたこのダンジョンに? ここって適正レベル15くらいですよね?」
「あぁ、俺もアイテムを探してな。なんか特殊進化っていうのがあってさ、ポン太郎たちやアーマー・ナイトをさらに強くできないか温故知新してるわけだ」
「特殊進化……たしか特定のアイテムをモンスターに捧げたりすることで起きる進化でしたっけ。今のところ実例はないらしいですし、ガセネタっぽいですよそれ?」
「マジで!?」
う、うーん……たしかに教えてくれたマーリンのヤツも、『特別なアイテムを使うことで二段進化する子もいるって噂も』――って言ってたもんな。決して断言はしていなかった。
……だがしかし、だ。
「よし決めたッ、やっぱり探してみるぜ!」
「えっ、なんでです!? 最終決戦まで時間がないのに、なんで眉唾ネタの追っかけなんて……」
「――だからこそ、だよ。実際にある確証はないが、ガセだっていう根拠もないだろ? そんでマジで特殊進化があった場合、きっと条件が隠されてた分だけものすごい力が手に入るんじゃないか?」
「っ!?」
なかば賭けみたいなもんだが、勝算はそこそこあると推測している。
なにせ、天狗仙人っていう殺意を向けられることで最終奥義を教えてくれるようなキャラを用意した運営だ。
“全部のモンスターがレベルで進化なんてつまんなーい!”とか言って、隠れ進化設定を盛り込んでいる可能性は十分にあるだろうが。
「な、なるほど……思えばユーリさんって、不遇要素のグチャグチャミックスとか前人未到の道を切り開いてきたからこそ強くなれたんですもんね。相変わらず安定志向なわたしとは違うなー……」
なぜか遠い目で俺を見てくるコリン。そんな彼女のネコミミ頭をわしゃわしゃ撫でる。
「わひぃっ!? ユ、ユーリさん!?」
「はははっ、コリンだって魔力ゼロのくせに魔法使いのセカンドジョブを選択したって話じゃないか。お前も結構おかしいと思うぜー?」
「うぐっ!? そ、それについては事故で使えるようになったようなものでして……っ!」
「そうなのかー? まぁとにかく俺は探索を続けるから、お前も早いとこゾンビ狩れよー」
「ってわぁっ! おいてかないでくださーいっ!」
わたわたと慌てるネコミミ忍者を連れ、薄暗い道を突き進んでいく。
――こうして俺とコリンの、出会った時以来のダンジョン探索が始まったのだった。
※コリンちゃんのセカンドジョブ獲得エピソードは、ブレスキ2巻に収録です!!!(まさかのキャラとの百合もあり!?)
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