111:絶滅大戦ラグナロク――!
「――はぁいユーリちゃん。アナタって本当に強いわねぇ……」
「おうよ。お前も全身ピンクのくせになかなかやるやつだったぜ」
「今は全身ブラックよぉー……」
呪法を解き、黒焦げになったマーリンに近づく。
すでにその身体は消え去ろうとしていた。まぁ状態異常武器の連続射出に邪炎に術の暴発を受ければHPも消し飛ぶわな。
「じゃあ消える前に聞かせろよ。俺を裏切ってきた『タイミング』についてな」
「あら、理由はいいの……?」
「んなもん、お前がペンドラゴンの知り合いだからってことで十分だろうが。どうせヤツの差し金だろ。
じゃあ気になるのは――なんで俺に新エリアを開かせた上で裏切って来たかってことだ」
そう。ただ俺を殺したければ、フィールドなりで襲えばよかったんだ。
わざわざこんな強化要素のありそうな新エリア、俺に教える必要さえなかっただろうに。
「『クトゥルフ』の肉片を持つ俺に扉を開かせて、その時点でポイ捨てする……ってのも違うよな? ペンドラゴンやお前の実力があれば、自分たちでクトゥルフからアイテムを取ってくることも出来ただろうし」
「あはは……たしかにね。そんなゲス行為、間違ってもするアタシたちじゃないわ」
「ならなんでだ。どうして俺に扉を開かせた上で、殺しに――」
その時だった。マーリンがフッと笑ったかと思うと、ヤツの身体が光の粒子となって消える。
それを見て「答えを聞き逃したか……」と舌打ちしたが――次の瞬間。
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・隠し条件:『魔王墳墓ユゴス』内における魂魄の生贄(※プレイヤーキル)達成!
全魔鋼機械、正式稼働します――!
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「なっ、なんだ!?」
メッセージと同時に、工房にあった機械たちが音を立てて動き始める。
刻まれた魔法陣を強く禍々しく輝かせながら、あちこちから蒸気を吹き出し始めた。
「何が……ん、これは……?」
突然の事態に戸惑っていたところでふと気づく。
いつのまにやら俺の足元には、ピンク色の可愛らしい手紙が落ちていたのだ。
それを拾い上げて読んでみると……。
『ペンドラゴンちゃんの狙い――それはずばり、アナタとの全プレイヤーを巻き込んだ大戦争よ。
あの人は天才すぎて頭おかしいわ。リアルのコネとリアルマネーで何千人ものプレイヤーを雇うと、ブレスキ内に存在する数万冊の書物を掻き集めさせたのよ。
そして、たった数時間でそれら全てを読み解き……そこから最大規模のワールドクエストの存在と発生条件を導き出したわ』
「っ、全プレイヤーを巻き込んだ大戦争に……最大規模のワールドクエストだと……!?」
狙いも手法も出てくる単語も色々派手でめちゃくちゃすぎだろ……。
アイツ本当に頭おかしいなぁと思いつつ、手紙を最後まで読み進める。
『ワールドクエストの発生条件は二つ。一つは、プレイヤーの一人が魔王の死体と彼の遺した技術の隠された「魔王墳墓ユゴス」を見つけ、完全起動に成功すること。アタシはアナタの先導役に選ばれたってわけネ。
そしてもう一つは、それと対となる「女神の霊樹ユグドラシル」を誰かが芽吹かせること。その二つが達成された時――ラグナロクは巻き起こるわ……!』
――そこまで読み進めた瞬間だった。
まるで大地から何かが突き出したような大地震と共に、目の前に巨大なウィンドが表示された。
そこには――
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・ワールドニュース! ワールドニュース! ワールドニュース!
以後30秒間、あらゆる戦闘システムを停止し、全プレイヤーへと強制告知!
プレイヤー:ユーリ様によって『魔王墳墓ユゴス』が覚醒!
プレイヤー:ペンドラゴン様によって『女神の霊樹ユグドラシル』が覚醒!
双方の完全覚醒により、条件は達成されました!
これより――ワールドクエスト『第一次・絶滅大戦ラグナロク』を開始します!
全プレイヤーは『魔王』側に付くか『女神』側に付くか、メニューウィンドウより決定を――!
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「は、ははは……ッ! ペンドラゴンの野郎ッ、マジでハチャメチャな戦場を用意してきやがった……ッ!」
もうドン引きだよ。アイツ気合入りすぎだろうと笑ってしまう。
――だが、面白れぇ……ッ! こんなエンドコンテンツじみたクエストを引っ張り出して、今や十万人すら超えようとしている全プレイヤーを巻き込んだ上で暴れさせてくれるだとぉ!?
「いいぜ……受けてやるよッ! こんな体験が出来るやつが他にいるかよッ!」
かくして俺とペンドラゴンの最終決戦が、ここに幕を開けようとしていたのだった――!
運営「隠し条件いっぱい仕込んだし、ラグナロクが起こるのはゲーム開始から半年後くらいやろなぁ……」
――完!
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