105:なんもわかんねえ!!!!!!!!ユーリちゃん!!!!!
「――どこじゃぁあああぁぁあああッ! 刺客プレイヤーどもはどこじゃぁああぁあああッッッ!」
刺客狩りを始めてから三日目ェッ!
俺は使い魔の『ウルフキング』に乗り、獲物を求めてブレスキ世界を爆走していた!
名前のわからん渓谷を駆け抜け、名前のわからん黒い森を突っ走っていく――!
「なぁウル太郎ッ、俺たちは一体どこを走っているんだ!? ここは一体どこなんだ!?」
『ワォオンッ! ワオガルルワンッ!』
「そうかありがとう!!!」
何言ってんのかわかんねぇ! もう何もわかんねーや!!!
でもいいさ。とりあえず刺客プレイヤーが目に入ったらぶっ殺すだけだからなッッッ!
それさえわかればオッケーなンだわッッッ!!!
「みんなも今ごろ頑張ってるだろうしなー。ちょっと様子を見てみますか!」
メニューウィンドウを開き、隅っこに設けられた『公開決闘をウォッチする』という項目を見る。
すると新たにいくつもの画面が現れ、どっかわからんところで戦っているプレイヤーたちの様子がテレビみたいに映り込んだ。
便利な機能っすねー。
「お~やってるやってる~……って、んんっ? なんか黒い森の中でバトルしてるプレイヤーがいるじゃねえか!」
それってここじゃね!? この近くでやってるんじゃね!?
「よっしゃッ、混ざるぜウル太郎! なんかバトルの気配がしてそうな方向に走ってくれ!」
『ワオワオーーーンッ!』
命令するや、どっかに向かって走っていくウル太郎。
どうやらバトルが行われている場所を正確に捉えたらしい。走るごとに鋼と鋼がぶつかり合う戦闘音が聞こえるようになってきた(何も考えずに命令したのにお前そんな能力あったんだな!)。
「よーし飛び入り参加じゃー! わっはっはっはっは!」
こうして俺は、戦場に向かって爆進していったのだった――!
◆ ◇ ◆
それから十秒後。
「オラッ死ねッ刺客野郎がァアアアアアアッ!」
「キャーッ待って待ってぇッ!? アタシ、ブレスキのプレイヤーだから! 刺客ならソコで死んでるヤツのほうだからーーーーっ!」
「え、マジで?」
なんかイケメンなのにピンクのロン毛でマダムみたいな眼鏡をかけたヤバいヤツがいたので飛び蹴りをかましたところ、そんなことを叫び始めた。
あっ、そういえば刺客プレイヤーと外で会った時の『○○と遭遇しました!』みたいなメッセージが出てこないな。こりゃあ悪いことをしちまったぜ。
「すまんすまんっ! 敵を殺すことで頭がいっぱいになってて、よく確認もせず襲っちまったぜ」
「やだ何この子、少年兵みたいな病み方してるんですけど……」
少し引き気味なピンクイケメンさん。
その細くて長い手を引いて起こし、埃を払ってやる。ホントごめんねー。
「マジで悪かったな。あ、俺の名前は……」
「知ってるわよ。チンピラ魔王ことユーリちゃんでしょう? 身長は165cmほどで先ほどの飛び蹴りの感覚から体重は50キロ前後。つい数日前に『バトルメイカー』のジョブを取得し、新たに剣と槍と盾と鎌と呪符の使用が可能となり、現在大暴れ中――ってこともねっ?」
「なっ……全部正解なんだが……!?」
な、なんだこの謎ピンクは。
公開決闘でバトルスタイルはおっぴろげにしているとはいえ、鎌や呪符が使えるようになったのはつい先日のことだぞ。
それをまぁーつらつらと語り倒してきて……。
「え……なにお前、ストーカー?」
「って違うわよぉっ!」
謎ピンクはプリプリと怒ると、纏っているスーツの胸ポケットから一枚の名刺を差し出してきた。
そこには、『英知の蛇』と書かれていて――。
「申し遅れちゃったわねぇ。アタシの名前はピンコ。このブレスキの面白いニュースから世界観に秘められた謎まで何でも掻き集める情報ギルド『英知の蛇』のギルドマスター様よんっ!」
そう言ってキャピッとウィンクを飛ばしてくるピンコ。
……なんだか濃い奴と会っちまったなーと、俺は今更ながらに思うのだった。
・なんもわかんねえヤツと情報通、ここに遭遇――ッ!
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