９９：オラッ！オラッ！オラッッ！ユーリちゃん！！！！！！

「ログインオラァァあああああ！！！」

　襲撃イベントが始まってから三日目ぇ！　『初心者の街』に俺参上だぜ！

　平和主義者なユーリくんはみんなの平和を守るために刺客プレイヤーどもを皆殺しするため、今日もアーツ修行に励もうと思います！！！（人間の鑑！）

「くっくっく……他のプレイヤーと違って、俺は弓以外にも刀剣と大剣と槍と盾が使えるからな。つまりまだまだまだまだ強くなれるってことだ！」

　というわけで、各種オリジナルアーツを教えてくれる師匠系ＮＰＣたちのところを渡り歩きまくるってばよ！！！！！！！！！

　よしいくぜッ！

「――フンッ、グラズヘイム王国が戦士長であるこのレオに弟子入りしたいだと？　貴様のようなカルマ値マイナス１２５万と少しの大悪党がふざけたことを、」

「よし決闘だオラッ食らえッ必殺奥義『滅びの暴走召喚』モンスター百匹オラッ！」

「ひえっ！？」

「はい勝利ッ！　レアアイテム山ほどやるから教えろオラァ！！！」

「ひえっひえっ！？」

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　・修行完了！

　師匠ＮＰＣ『戦士長レオ』より『獅子王流大剣術』を上級まで教わりました！

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　いやーいいバトルしたぜッ！　ライオンの仮面被ったオッサンが剣を巨大化させながら襲いかかってきた時はちょっと焦ったな！

　はい次ぃ！

「――むッ、グラズヘイム王国が食客であるこのガロに弟子入りしたいだと？　貴様のようなカルマ値マイナス１２５万と半分くらいの大悪党がふざけたことを、」

「よし決闘だオラッ食らえッ巨獣召喚『ギガンティック・ドラゴンプラント』オラッ！」

「ひえっ！？」

「はい勝利ッ！　レアアイテム山ほどやるから教えろオラァ！！！」

「ひえっひえっ！？」

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　・修行完了！

　師匠ＮＰＣ『流浪人ガロ』より『狼王流刀剣術』を上級まで教わりました！

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　いやーいいバトルしたぜッ！　オオカミの仮面被ったオッサンが音速で襲いかかってきた時はちょっと焦ったな！

　はい次ぃ！

「――ぬッ、グラズヘイム王国が騎士であるこのライノスに弟子入りしたいだと？　貴様のようなカルマ値マイナス１２６万近くの大悪党がふざけたことを、」

「よし決闘だオラッ食らえッ【武装結界】爆殺武器オラオラオラッッッ！」

「ひえっ！？」

「はい勝利ッ！　レアアイテム山ほどやるから教えろオラァ！！！」

「ひえっひえっ！？」

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　・修行完了！

　師匠ＮＰＣ『騎士ライノス』より『犀《さい》王流槍術』を上級まで教わりました！

　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　いやーいいバトルしたぜッ！　サイの仮面被ったオッサンが何十メートルも槍を伸ばして襲いかかってきた時はちょっと焦ったな！

　でも勝ったぜガハハ！　これで三つの武器分のオリジナルアーツをゲットじゃいっ！

「攻略サイトにあった通り、『獅子王流』は破壊力に優れ、『狼王流』は斬撃速度に優れ、『犀王流』は突きをメインとして槍のリーチを最大限に活かした感じの流派らしいな。その三つが全部使えるようになったことで、色んな状況に対応できるようになったわけだ」

　しかもさっきの師範たち、どいつもこいつも『初心者の街』にいるってのがいいんだよなー。移動時間が無駄にならなくて済むからさ。

　おそらく運営的には『初心者たちが各種師範に弟子入りする→貢ぎ物のアイテムを取ってこないといけない→各地に自然と旅立つことになる』って流れを作りたかったんだろう。

　悪いがそのへんは完全に無視させてもらった。

　最初の頃は武術系アーツなんて使えなかったし、逆に今はアイテムに溢れ放題でちまちま取ってくる必要もないからなー。

「よーし次のところに向かうとするか！　といっても、そいつも街の中に住んでるらしいんだがな」

　露店で肉まんを買い食いしつつ、人混みに揉まれながら『初心者の街』を歩く。

　……にしてもあれだ。この街もさらにごった返したもんだよなぁ。

　ちょっと見渡しただけで、シンプルな衣服に木製の初心者武器を身に付けたプレイヤーたちが何百人と目に映ってきた。

「ま、今の俺も初期装備の黒ワンピに初心者の弓を背にくくってる状態なんだけどなぁ」

　もしかしたら俺も初心者の一人だと思われているのかもな。

　まぁともかく、今や『ブレイドスキル・オンライン』は大ヒット作になっていて、新規プレイヤーたちが日々恐ろしい勢いで増えまくっているってわけだ。

　そいつらが新たなライバルになる日を思えば……しばらく退屈はしなさそうだな！

　――そうして人混みの中を歩くこと数分。

　俺はようやく、目的の師匠ＮＰＣがいるという古びた道場に辿り着いた。

「「よしついたっと……って、んん！？」」

　隣にいた誰かと声がハモった……！

　俺が咄嗟にそちらを見ると、相手のほうもこちらを見てきて――って。

「あれ、キリカじゃん！」

「んげっ！？　なんでこんなところにおるねんっ、ユーリ！」

　花魁姿の人斬り女、『修羅道のキリカ』と思わぬところで再会したのだった――！