表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/73

第31話:あなたはなんて事を~サミュエル視点~

 その後、キャリーヌと兄上が正式に婚約を結んだ。もう二度と、僕とキャリーヌが結ばれることはない。


 でも…


 あの日、貴族たちの圧に耐えながら、最後まで抵抗を続けてくれたキャリーヌ。僕はそれが嬉しかった。だからこそ、キャリーヌの幸せの為に、僕は身を引く決意が出来た。


 キャリーヌ自身も、僕に申し訳ないと思っているのか、あまり話しかけてこなくなったのだ。正直寂しいが、仕方がない事。


 それでも僕は、キャリーヌが心配で、陰ながらキャリーヌを見守り続けた。次期王妃になる事が決まったキャリーヌは、王妃教育も必死にこなし、慈善活動にも精力的に参加していた。


 兄上との仲も良好の様だ。


 ただ、キャリーヌが兄上に見せる優しい微笑を見ると、なんだか胸が張り裂けそうになる。でも僕は、キャリーヌを見守ると決めたのだ。どんなに辛くても、キャリーヌが幸せならそれでいい。そう思っていた。


 そんな日々が7年ほど続いたある日、ディステル王国から王女が視察に来たのだ。ディステル王国は最近我が国が貿易を始めた国。国力もあり、我が国の2倍以上の領土を持っている事も有り、出来る限り良好な関係を築いておきたいと考えている国の1つだ。


 ただ、視察にやって来た王女が、とんでもない女だったのだ。あろう事か、兄上を誘惑し始めたのだ。キャリーヌに自分と婚約してくれなければ、王太子を辞めるとまで言った兄上だ。さすがに王女の誘惑には乗らないだろう。


 そう思っていた。ちなみにあの王女、何を思ったのか、僕にも誘惑を掛けて来たのだ。もちろん、断ったが…なんて尻軽な女なんだろう。


 ただ、あんなにキャリーヌを愛していると豪語していた兄上だったが、美しいラミア殿下に惹かれている様だ。兄上の目は節穴なのか?ラミア殿下はかなり我が儘で、使用人たちが苦労している。さらに貴族令嬢たちにも悪態をついている様で、貴族たちからも苦情が来ているというのに…


 出来るだけ穏便に、なおかつうまくラミア殿下を帰国させようと、父上も母上もあの手この手を使っていたが、中々うまくいかない。その上、兄上がラミア殿下の帰国を、猛烈に反対しだしたのだ。


 そんな中、両親がどうしても外せない公務の為、国をしばらく開ける事になったのだ。一応王太子でもある兄上に、決定権が与えられることになった。


 ただ…


「サミュエル、ジェイデンは少し抜けているところがある。それに、ラミア殿下の事も気がかりだ。もしジェイデンが間違った方向に進んだら、すぐに教えてくれ。それから、これをお前に預けておく。この書状には“全ての権限をサミュエルに与える”という文面が書かれている。ただ、この書状を使う前に、必ず私に相談して欲しい」


 父上も何か思う事があったのだろう。僕に書状を渡してきたのだ。さらに、通信機も一緒に預けられた。


「わかりました、兄上が何かしでかさない様に、僕が監視します。それから、ラミア殿下の件、なんとか帰国させられないのでしょうか?」


「ラミア殿下にはそれとなく話をしているのだが“まだやる事が終わっていないから帰れない。ディステル王国の国王でもある兄からも、もう少しお世話になれと言われている”の、一点張りで…とにかく、ディステル王国ともめ事を起こしたくはないから…」


 そう言って父上が頭を抱えてしまったのだ。そしてそのまま、両親は視察に出かけてしまった。


 両親が視察に出掛けた翌日。


「サミュエル殿下、大変です。王太子殿下が…」


 血相を変えて僕の元にやって来たのは、専属執事だ。一体何があったというのだ?


「実は先ほど、王太子殿下とキャリーヌ嬢の婚約が白紙に戻り、さらにキャリーヌ嬢が投獄されました」


「キャリーヌが投獄されただって?一体何があったんだい?」


 意味が分からない。一体キャリーヌが何をしたというのだ。


 執事の話だと、ラミア殿下と結婚したい兄上は、キャリーヌとの婚約を白紙に戻したい旨を、キャリーヌとマディスン公爵に迫り、婚約解消に至った事。さらに兄上がキャリーヌも傍に置きたいという我が儘な理由で、側妃になれと迫り、拒否したキャリーヌが投獄されてしまったとの事だ。


「そんなふざけた理由で、キャリーヌを!今すぐキャリーヌを牢から出せ…いいや、まずはマディスン公爵と話をしないと。それから、大至急父上に通信を入れてくれ」


 何の罪もないキャリーヌを、あんな薄暗い地下牢に閉じ込めるだなんて!いくら実の兄でも、絶対に許せない。


 怒りに震える中、さらに驚くべき情報が入って来たのだ。


「大変です、王太子殿下に抗議をしたマディスン公爵まで投獄されました。さらにマディスン公爵家を家宅捜索するそうで、今準備を進めているとの事です」


「一体どういう事だ。マディスン公爵まで投獄だって?そもそも何を家宅捜索するというのだ?何の罪もない公爵たちを、自分の思い通りにならないからと言って投獄なんてすれば、大問題だぞ。とにかく、すぐにマディスン公爵の居る場所に向かう。案内してくれ」


 兄上は本当に何を考えているのだろうか?王家を潰すつもりなのか?とにかく、マディスン公爵に会わないと。そんな思いで、急いで公爵の元へと向かったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ