第十三話 大金貨で十枚だよ
本日はリアルの都合上、通常の時間帯に更新出来ない可能性がありますので、今のうちに更新しておきます。
実は障害対応で日曜出勤、しかも明日の月曜日は代休取れません。
障害対応で別の障害引いたら帰宅出来るかも不明です。
この後一カ月以上更新がなかったら、別の理由で更新出来なくなったと思って下さい。
いや、別に自殺するつもりはありません。
あるとすれば過労死でしょうか。
まあ、そんなこと言ってるうちは大丈夫だと思いますけどσ(^_^;
ちなみにリアルの仕事は生保・損保系のシステム管理ですw
「昨夜はよく眠れたか?」
「あ、はい。それはそれとしてこの格好は……」
俺は昨日の約束通り、ミノリ姫とサナエ、それにユキたんとウイちゃんを伴って城下に出ていた。ここで彼女が困惑しているのは自分たちに用意された衣装についてである。
まず姫には赤基調のチェック柄のシャツに黒のフレアミニスカート、七分丈の白いカーディガンを着せた。そしてサナエには薄い緑色の、落ち着いた雰囲気のあるロングワンピースである。前結びのリボンが付いており、女性としての可愛らしさも出ているはずだ。
「忍びと言ったであろう」
「で、ですがこのように短いスカート、私には似合いません」
「いや、よく似合っているぞ」
彼女は肌が白いので赤系のシャツはどうかと思ったが、反射光が射して返って健康的に見えるから当たりだった。
「お城でもこんなの履いたことがないのに……」
「案ずることはない。ここは城下だ」
俺の返しに姫以外の三人はクスクスと笑っている。久しぶりの徘徊だ。俺は何か面白いことが待ち受けていないかと、ワクワクする気持ちに胸を高鳴らせていた。
「ところで先に言っておくがミノリ殿、余は忍びの際には国王ではなく貧乏貴族の次男坊、コムロ・ヒコザと名乗ることにしている」
「び、貧乏貴族……でございますか?」
「そうだ。それとかしこまった敬語は使わんでよい。無論ユキとウイはこのヒコザの妻だ」
「はあ……」
「其方もシナノの姫という身分は隠しておけよ。そうだな、余の従姉妹ということにしておこうか。サナエは其方の姉だ」
「へ、陛下の従姉妹!」
「こら、その敬称は使うな。ヒコザさんと呼べばよい。余もこれより言葉遣いを変える。サナエもいいな?」
「御意……分かりました」
「うむ、それでいい」
それから俺はエンザンの事情を簡単に説明した。先のシバタ軍挙兵の際、この地の多くの男たちが戦に駆り出され、老人や子供を除く男性の数が極端に少なくなっていること。それと全ての貴族は爵位を没収され、皆身分は平民か奴隷であるということなどである。
「貴族がいない土地でござ……ですか」
「領主のトリイとその部下のマシタを除けばな」
「離せ! 離せよ!」
そんなことを話しながら歩いている時だった。路地の向こうから男に腕を掴まれ、無理矢理引っ張ってこられる少年の声が聞こえたのである。少年は成人したかしていないかと思われる十二歳前後で、三人の男たちが彼を取り囲んでいた。
「うるせえ! 金を返さねえてめぇが悪いんだ! 警備隊に突き出してやるから大人しく付いてきやがれ!」
一人の男がそう言いながら少年の背中を蹴り飛ばした。たまらず彼は地面に転がる。
「なんて乱暴な。陛……ヒコザさん、放っておかれるのですか?」
まだ体の小さい少年に手加減なく暴力を振るう男たちに、シナノから来たばかりの姫が怒りの眼差しを向けて言った。しかしその声が殊の外大きく、男たちの耳に届いてしまったようだ。
「おうおう! 姉さんよ、威勢のいいこと言ってくれてんじゃねえか!」
男が一人、肩を怒らせながらこちらに歩いてきた。
「あのような年端のいかない子供に大の大人が寄ってたかってというのは、あまりにも酷いのではありませんか?」
「黙りやがれ! ん? アンタら貴族様かい? おっかしいな、このエンザンには領主様とお付きの方以外の貴族様はいねえはずだぜ」
「あら、よくご存じですのね」
ウイちゃんが言いながらミノリ姫を庇うように前に出ると、得体の知れない威圧感に男は思わず一歩後退る。しかし何とかそこで留まると、彼女に対して憎々しげな目を向けた。
「まあそう怒らずに。少年はお前たちに金を借りたそうだが、何故子供に金を貸したのか、訳を聞かせてくれないか?」
「ああん? 何でてめぇらなんぞにそんなこと教えなきゃなんねえんだよ! ってえ!」
俺は理由を聞こうとしただけなのに蹴ろうとするからだよ。彼が足を振り上げようとしたところを、ユキたんが刀の鞘で脛を殴りつけたのである。彼女の魔法刀の刀身が出てなくてよかったね。もし出ていたらその足は確実に折れていたと思うぞ。
「て、てめぇ、何しやがる!」
「よさねえか! 本物の貴族様ならこの場で無礼討ちにされるぞ」
三人の中でも一際体の大きな男がゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。どうやら彼が親分のようだ。
「だが我々の知る限りこの地に貴族様が住んでるなんて話は聞いてない。旅のお人か?」
「まあ、そんなところだ」
「なら余計な口出しはやめてもらおうか。旅人は旅人らしく観光でもしてろ!」
「その観光でこのような光景を見せられてしまっては、放っておくわけにはいきませんでしょう?」
男の怒声に少しも怯むことなく、ウイちゃんが少年の首根っこを押さえている男を指差しながら言う。
「ふん! あのガキの借金は親父の残したもんさ。その親父は戦に駆り出されたまま帰ってこねえ。死んじまったのなら気の毒だが借金は借金だ。返してもらえねえから警備隊に引き渡すために連れていくのさ。これで満足したか?」
「本当に警備隊に引き渡すのか?」
「どういう意味だ?」
この少年の年齢なら奴隷商に売ればかなりの金額になるだろう。しかし警備隊に引き渡したところで男たちが得することは何もないのである。
「一つ聞くが借金というのはいくらだ?」
「そんなこと聞いてどうする? まさか貴族様が払ってくれるとでも言うのか?」
「いいから言ってみろ」
「大金貨で十枚だよ」
「嘘だ! 父ちゃんの借金がそんなに多いわけないだろ!」
「小僧、借金には利子というのが付くんだよ」
そう言って不敵に笑う男に、俺は言いようのない怒りを覚えるのだった。




