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A2

※アーシャの一人称ではなく、三人称視点での話になります。

 時系列的にはエピローグの頃に纏められたような内容になっております。

 魔王シュツラウムによる大陸征服後の統治は、驚く程スムーズかつ穏当に行われた。

 これに関して後世の歴史家は皆、首を揃えて言う。


 「せやろな」と。


 そもそも当事者である魔王シュツラウムが現在も存命であるため、その政治手腕や人格を見れば納得せざるを得ない。

 また当時のこともよく記憶しているため、打った政策などについての検証も容易。

 彼女の忠実な臣下であり様々な分野での管理を担っているドロテアや、シュツラウムに対して時に辛辣な意見を述べるドミナスからの証言もあるため、信憑性も高い。

 それらを元に当時の人間側支配者と比べれば、シュツラウムの構築した支配体制は雲泥の差があったし、当時を生きた人々からすれば、むしろ魔王こそ救世主ですらあったことだろう。


 だが、それは一つの側面でしかない。

 政治が優れているからというだけでは、人々を安心させることなど出来はしないのだ。


 例えば、ある村でのこと。


 厳しい支配によって食べる物にも事欠く寒村を、流行病が襲った。

 栄養状態が悪く、体力の落ちている村人達では病に対抗することなど出来はしない。

 この村もここまでか、と誰もが絶望していた時だった。


 一人の女性がこの村を訪れ、こう言ったのだという。


「確かにこれまでは、流行病に襲われてもただ耐えるしかありませんでした。

 ですが、今は違います! 適切な消毒を行うことで場を清潔にし、流行病が広がることを抑えることが出来るのです!」


 ギュッ、と胸元で祈るように両手を組みながら言う彼女の瞳に、村人達は心打たれたという。

 その後、その女性と魔王軍の部隊によって村は清潔な環境を与えられ、流行病による被害は最小限に抑えられたという。


 また別の街では。


「赤痢が発生すれば、水を飲むことすらためらわれ、多くの人々が脱水症状により亡くなってきました。

 ですが、今は違います! 水を消毒することでこれ以上の蔓延を、かかった人はこの経口補水液を飲むことで脱水症状を抑えることが出来るのです!」


 ギュッ、と力強く拳を握って力説する彼女の頼もしさに、街の人々は心動かされたという。

 今では間違った対処法として知られているが、当時は赤痢にかかった場合、下痢を止めるために食べ物も水も口にしないという民間療法を行っている地域があった。

 だがそれは逆効果で、脱水症状を起こして最悪の場合死に至らしめる結果となっていた。

 だが、この女性や魔王軍によって水質が改善され、適切な食事と水分が与えられた結果、赤痢によって亡くなる人はいなくなったという。


 こうして、魔王軍による占領が進む程に人々の衛生状態は改善していった。

 また、占領が済んだ土地では、更なる保健政策が打たれ。


「確かに天然痘は、発症してしまえば死を覚悟する病でした。

 ですが、今は違います! この種痘を事前に受けることによって、天然痘にかかることを防ぐことが出来るのです!」


 ギュッと自身の胸元を掴み、未知の知識を伝授するというプレッシャーに耐えながら説明する女性の姿は健気であり、胸を打つものがあったという。

 こうした尽力により種痘は広まり、今日では根絶することが出来た感染症として歴史書に残るばかりとなった。


 そして、ただ病を防ぐばかりではない。


「今までは出産時の出血や感染症によって多くの母子が亡くなっていました。

 ですが、今は違います! 清潔な環境、何よりも取り上げる人間が手指を清潔に消毒することによって、感染症の多くは防ぐことが出来るのです!

 そして、輸血という技術によって、出血を補うことも出来るのです!」


 ギュッと妊婦の手を握り、丁寧に説明をしていく女性。

 よくはわからないけれど安心したという女性は、その後無事に出産し、母子ともに健康だったという。


 恐ろしいことに、当時は出産時の死亡率は一割から二割ほどもあった。

 だが、手指や分娩室の消毒を徹底することによって死亡率は1%以下に抑えられるようになり、その後の人口増加に大きく貢献。

 何よりも、不幸になる妊婦と新生児を、大きく減らすことが出来たのだ。

 これは、後のシュツラムガルド帝国繁栄の礎の一つになったであろうことは言うまでもない。


 これらの素晴らしい功績を残した女性達は、こうした知識を伝えた後、あるいは人々を救った後に、必ずこう言ったのだという。


「全ては女神アーシャ様がお教えくださった知識によるもの。どうか感謝は私ではなく、女神アーシャ様に」


 と。


 彼女達は全員がその手に『浄化』の魔術付与がされた輝く手袋をつけており、後に『輝く癒やし手』と呼ばれるようになり、後の女神アーシャ信仰へと繋がっていくことなる。





 なお、当の女神本人は「そんなつもりはなかったんです!」などとおっしゃっているようだが、その謙虚さと無自覚なやらかし具合が一層の信仰を集めていることを、本人だけがわかっていない。

 知恵の女神であっても全知ではない、きっとそれもまた、彼女の魅力なのだろう。

※ええと、すみません。SNSでよく見かけたネタに刺激されました、ごめんなさい。

 

 某医療漫画は5月31日まで無料公開しているそうですよ!(おい)

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― 新着の感想 ―
[一言] スーパーなドクターが大発生している……!
[一言] 可哀想ww
[一言] 突然の更新にすわと思いましたが…まさかのネタ(笑)
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