救いをもたらす者
第85話〜救いをもたらす者〜
「ゲホッ、ゲホッ!! 口の中がしょっぱい!!」
「さっきまで海水に浸かっていたいたからね。それよりもヨグ、体の方は大丈夫かい?」
そう言ってメリーヌはその冷たい手でぺたぺたと俺の体を触って確かめた。
俺もそう言われて体を見渡すがなんともなく、竜の鱗のようなものも消えていた。
服はボロボロになってしまっているし、海水でびちゃびちゃだった。
しかし俺は心配そうに見つめるメリーヌを安心させようと微笑みかけたのだった。
「大丈夫だよ。ありがとうメリーヌ」
「そうか、良かったよ。おっと、まだ終わってなかったね......。それで君はどうする気なのかな? アルビオンの亡霊」
メリーヌがそう声色を変えて睨みつけた先にはニーズヘッグが飛んでいた。
「否定。マスターが器として不十分であったことは私の計算ミスでしょう。ですが私は終焉を生き残りし者。諦める訳ないでしょう」
「そうか、まだ私のヨグを利用しようとするんだね。じゃあ遠慮なく潰してあげる」
メリーヌは絶対零度のようなオーラを纏い、壊れかけの竜騎兵装を動かそうとするが、俺はそれを止めた。
「待ってメリーヌ!」
「どうしたんだヨグ?」
「もう帰ろう......ニーズヘッグ」
そう俺が言うとメリーヌは驚いた表情をし、ニーズヘッグは分からないと首を傾けていた。
「疑問、私はマスターの敵のはずですが?」
「あはは、そんな冗談なんて、普段言わないじゃないか。てかそっちが素なのかな? まあいい、でもニーズヘッグが計算ミスなんてするわけないってわかってるから」
「否定。私はマスターを器として.....」
「いいかニーズヘッグ!! 本当に信用してない人間を誰もマスターなんて呼ばないんだよ! それに俺が死にそうなった聖王国の時だって、君が最初に駆けつけてくれたじゃないか。それに俺やリリィー、メリーヌといた時間がつまらなかった、全部は嘘だったなんて俺は言わせないぞ!」
「マスター......」
「確信じゃないけど俺はニーズヘッグが悲しんでいるようで嬉しそうに感じるんだ。確かに俺は器として不十分で不完成かもしれない。だけど俺は何者にだって成って見せる。だから!!!」
「ッ......」
「帰ろうニーズヘッグ。俺は君の王にだってなってみせる」
そう言って俺はニーズヘッグに手を差し伸べた。
それは機械に支配された愚かな竜に向けられた初めての救いであった。
ーーー
〜聖王国〜
目が覚めるとそこは小鳥の囀りだけが聞こえてくる裏庭近くの部屋の中のベッドの上でした。
起き上がろうとしますが体が言うことを聞かず、重りのようでした。
「ううっ......」
声をあげようとしますが、声が出ませんでした。
すると姿は見えていませんが隣で何かが動くような気配を感じ、ゆっくり首を動かすとそこには桃色の髪の獣人が椅子に腰掛けているのでした。
「目が覚めたんだね! 今、聖女様を呼んでくるからもう少し寝ていてよ」
「えっ、あっ......ばって!!」
そう言う私でしたが獣人の少女はスタスタと歩いて行ってしまいました。
すると数十分程した時、部屋のドアが開けられそこには神聖王国の現国王であり、聖女の第一人者であるエクシアの姿があった。
「元気であるか? あの時は本当に世話になったのである! 正義の騎士リリィーよ」
そう言った彼女は相変わらず自信に満ち溢れており、その笑顔は太陽のように眩しいものでありました。
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