海の大怪物
第72話〜海の大怪物〜
眩しい日光が砂浜を照らし、波はゆっくりと動いて砂浜へと乗り上げている。
俺とリリィーは戦闘服に着替えて、海の調査という形で遊んでいた。
「リリィー、ほれほれ!!」
「きゃあ!! もうっ! ヨグ様冷たいですよ!」
人生で一度はやってみたかったやり取りだが、実際やってみると、リア充の気分はとてもいいものだった。
それにリリィーも負けずと水をかけてくる。
そんな二人だけの空間が作られようとしていた時だった。
「リリィー? 海の調査は終わったのかな?」
そう言ったのはお店で買った水着に着替えたメリーヌで、目にはサングラスのようなものがかけられていた。
「なっ! そう言ってメリーヌ様はヨグ様とイチャイチャする気じゃないですか!!」
「ダメだよ。この後他の生徒も来るんだ。はやく終わらせればいい話だ。それじゃあ頑張りたまえ!」
「くー!! ヨグ様、少しお別れです。ですが!!! 帰ってきたらまた遊んでくださいね? 」
そう上目遣いで会心の一撃を叩き込んできた。
「ぐはっ! わ、わかったよリリィー。約束するよ」
「はいっ!!」
元気よく返事をするとリリィーはミラージュへと乗り込み、周辺の海へと出かけて行った。
そうしてメリーヌと二人きりになると何も起きないはずがなく。
「さあ、彼女も行ったことだし、ヨグ少し手伝って欲しいことがあるんだ」
そう言われメリーヌの方に向かうと、彼女は持参した大きな傘の下に椅子を置いて、そこに寝転んでいた。
「さっきお母様の使いが来てね。それでこれをもらったんだ」
カバンをゴソゴソと漁ると、出てきたのはシャンプーのような入れ物だった。
またそこにはサンオイルと書かれており、日焼け止めだろうかと俺は首を傾げた。
「えーっと.......日焼け止め?」
「そう......みたいだね。それで頼みがあるんだけど背中の方だけ塗ってくれないかな? どうしても手が届かないんだ」
「なんだ、そんなことか。別に構わないよ」
「えっ!? いいの!? 」
「なんでそうなに驚くんだ? 別に日焼け止めを塗るだけだろ?」
「はぁー、君はそういえばそうだったね。それじゃあ頼むよ」
そう言ってメリーヌは椅子に仰向けになり、その綺麗な青い鱗がキラキラと輝いていた。
俺は日焼け止めの入った容器から粘つく青白い液体を取りだし、手に触れさせる。
完食としてはスライムを触っているようで、次第に冷たくなってくる。
俺はその手をそっとメリーヌの背中へと触れた。
「ひゃう!!」
「びっくりした! 急に変な声出さないでよメリーヌ!」
「仕方ないよ! だって急にヨグが触れるから......」
「もう少しだから我慢して」
「ああ、これヤバっい。また変な声出そうだよヨグ。あ、ああ! どこ触って......」
そう言ってメリーヌはニマニマとし、煽るようにしていたため、おそらくからかっているのだろう。
そんな時だった。
「何をしているんだ?」
「え?」
背後から声がしてきて振り返るとそこには、鬼のような表情を浮かべるスイレンがいた。
「えーっと、これはですねスイレンさん。メリーヌに日焼け止めを塗ってまして......」
「ほう......ではなぜおもむろにお尻に手を触れているんだ? ん? 死ぬ準備はできているかヨグ?」
「えっ、いやっ、落ち着いて......」
「ふふ、問答無用!!!」
スイレンは魔術を使い大きな風を起こした。
「どうしてこうなるんだああああああああああああ!!!」
ーーー
生徒たちは各々水着に着替えて、浅瀬の海辺でキャッキャッと遊んでいる。
そんな中俺は、スイレンにメリーヌの件を問い詰められていた。
「つまり日焼け止めを塗っていただけで、決して破廉恥なことじゃないと」
「はい」
「相手は一国の王女様だぞ、ヨグ! お前は少し浮かれすぎだ。だいたいお前がいない間に、何があったのか知らないのか?」
「俺がいない間?」
「聞いてないのだな。実は......」
そうスイレンが何かを言いかけた時、メリーヌが咳払いをしてみせる。
「スイレン、その話はまた今度にしよう。今は楽しい時間だ。君も早く行った方がいいんじゃないかな? ほら、あの馬鹿お兄様が何をするかわからないからね」
そう言われスイレンは少し驚いた表情をするが、静かに頭を下げて、その場から出ていった。
俺が不思議そうにしていると突然メリーヌに手を引っ張られる。
「うぁ! 」
「あはは、ほら行くよヨグ。私達も海で泳ごうか!」
「えっ、あっ、はっはい!!」
俺はそのままメリーヌに振り回されるように海へと向かった。
海に着くと、既に先生方が目を光らせており、生徒たちもはしゃぐにはしゃげないだろう。
するとメリーヌの姿を見るや否や、先生方は膝を着いて頭を下げていた。
「ああいや、構わないよ。そのまま続けてくれ。私は彼と......ヨグと泳ぎに来ただけだからね」
そう言うと先生方もホッとした表情をする。
やはりあれが普通の反応なのかと思うと、スイレンの言う通り俺は近すぎるのかもしれない。
そう思いつつ、遠くから声が聞こえてきた。
「......てくだい!!」
「ん? あっ、あれってリリィーだよね! おおーい、こっちだよ! リリィー!!」
「......なれてくださーーーい!!!」
「えっ?」
「下ぁあ! 見て! 下!!」
リリィーの焦った表情と共に、その下には大きな黒い影がこちらに向かって来ていた。
「っヨグ! 生徒たちの安全を!」
「うん、わかった」
そうは言ったものの黒い影はすぐそこまで来ており、メリーヌが先生方に伝えに行っているが正直間に合わない。
俺はニーズヘッグを呼び出し、迎え撃つ準備をしていた。
「おーい! 皆、海から上がって! 急いで! 」
教員の一人がそう叫ぶと、生徒たちは一斉に陸地へと上がっていく。
そんな時、黒い影はやっと正体を表したのだった。
大きな海をものとものしないそれは、体長が20メートルはありそうな大きなイカのような魔物だった。
「でっか!! なんだあれ!?」
(マスター、おそらくクラーケンの幼体です。しかし本来クラーケンは深海の生物......。陸地に近い浅瀬にいるモンスターではありませんね)
「あれで幼体って生体はどうるんだ!?」
(確認されている最大のものは300メートルほどのようです)
「あはは、もう想像もつかないや。それよりも今はアイツをどうにかしないとね。ニーズヘッグ、攻撃形態になってくれ」
(了解マスター! これより戦闘を始めます!!)
そうして俺は、二本の槍を持って空中へと飛び出したのだった。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
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