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竜人の住まう街

第66話〜竜人の住まう街〜



修学旅行当日、学園の広場へと集められていた生徒たちに加え、先生方も幾人か見られる。

もちろん俺とリリィーも少し早く起きて準備をし、広場へと着いていた。

芝生の青い匂いとともに、真横で俺の腕を掴んでいるリリィーの甘い香りが鼻腔をくすぐる。

すると俺の視線に気づいたリリィーがニコッと笑ってこう言った。


「ヨグ様、おそらくもうそろそろ騎士団の竜騎兵装部隊が到着します。合流次第、私とヨグ様も竜騎兵装で護衛を行う予定ですよ!」


「スレイとウルトと一緒の飛行船で行けないのは残念だけど、王様に頼まれちゃったから仕方ないよねー」


メリーヌの許可をもらいに行った後、俺とリリィーは王様から呼び出しをくらい、あることを頼まれてしまった。

それはメリーヌの護衛に加え、学園の生徒たちの護衛だった。

なんでも聖王国の復興のために多くの人と物資を割いているため、これ以上の護衛はつけられないとの話だった。


ーーー


そうして現在、生徒という身分ではありながらも俺とリリィーは護衛を任されていた。

飛行船二機に、竜騎兵装で武装した護衛隊が三機が大空を舞っていた。

飛行船の護衛は初めてだが、リリィーやほかの竜騎兵もいるためあまり心配はしていなかった。

そんな時ふと前方を飛行する竜騎兵から通信が入った。


「こちらワイバーン級竜騎兵、ワイバーンアルファ。前方の五十メートル先に小型モンスターのトビウオの群れを確認。回避は不可能と判断しました」


続いてリリィーの声が通信から聞こえてくる。


「了解しました。こちらも対処に向かいますが、その間油断はしないようお願いします」


「了解。こちらワイバーンアルファ、戦闘を開始します」


通信が切れたと思うと、前方の方から爆発するような音が聞こえてくる。

おそらく戦闘が始まったのだろう。

すると再び通信が届き、リリィーの声が流れてきた。


「ヨグ様、リリィーです。モンスターの群れの対処をしますので、一応前方に移動します」


「うん、わかった。俺も向かうよ」


そう言うのを最後にリリィーからの通信は途絶える。


「ニーズヘッグ、前方に向かう。速度をあげるよ」


(了解、マスター!)


前方の飛行船を飛び越え、戦闘の行っている場所へと向かうと、既にリリィーと他の竜騎兵が戦っていた。

トビウオと言うモンスターは初めて見るが、空を舞う大きな魚のようなモンスターだった。

大きく翼のように成長したヒレや、銀色に光るボディ、そして鋭い目付きに一角獣のような大きな角が額から生えている。

正直空を飛ぶ魚など考えつかないが、ここが異世界ということを忘れてはいけない。

そうして見ているうちにトビウオは数を減らし、俺はいらないようにも感じた。

しかしそんな時だった。


「ッ! こちらワイバーンアルファ、ここから先二十メートル先に多くの生命反応を検知! おそらくトビウオの竜巻です!」


そう言われ奥を見てみると、先程のトビウオが竜巻のように渦を巻いて移動しており、その数は百を超えるだろう。

綺麗で幻想的にも見えるがどうやら緊急事態のようだった。


「こちらリリィーです。今から私が対処を......」


「あーあー、俺が行くよリリィー。まだそっちの対処も終わってないでしょ? それにこのままだと俺無職だし」


「へっ、ヨグ様? わ、わかりました。でも無理はしないでくださいね」


「うん、ありがとう。それじゃあ行ってくる」


そう言ってリリィーの戦っている場所を飛び越え、大きな渦を巻くトビウオの対処に向かった。

近くまで行ってみると、その大きさはかなりのもので、集合体恐怖症の人にとっては気持ち悪く見えるくらいだ。


「ニーズヘッグ......久々の戦闘だね! 俺、少し楽しくなってるよ!」


そう呟くと同時にニーズヘッグの声が頭の中に響き渡った。


(私もです、マスター。ニーズヘッグ戦闘モードへ変更)


そう頭の中で聞こえて来ると同時に、ニーズヘッグへと繋がっていた意識が自分の体へと戻り、目の前の装甲が開き風が肌を掠めていった。


「うん、やっぱり生の風は気持ちいね! んじゃあ、そろそろ片付けましょうかね。魔力よ......」


俺は手のひらに魔力を収束させ、槍の形を形成していく。

青く光る魔力で作られた槍を握り、久しぶりの戦闘でのこの高揚感により自然と笑ってしまう。


「ニーズヘッグ、一撃で仕留めるよ!」


(マスターの魔力を確認。......問題ありません。マスターの魔力を強化し調整してあります。残すは投げて終わりです!)


「それじゃあ遠慮なく......幻槍投擲ドラゴンブレス!」


握られた魔力の槍は音速を超える速度で前方に放たれ、トビウオたちの竜巻にあたると同時に物凄い爆発が巻き起こった。

そして気づけばトビウオは灰へと帰り、また前方にあった大きな雲たちも散ってしまっていた。


その頃、リリィーたちはというと.....。


「爆発? ってうあああ!! ななななんですか! 今の爆風は!」


リリィーは驚き前を確認するが先程の大きなモンスターの群れは消え去り、雲ひとつない蒼天に驚いてしまう。

しかしそこには主人の姿があり、その背中は空よりも遥かに大きく見えた。


「アハハ、相変わらずヨグ様はすごいですね!!」


そう言ってリリィーは嬉しそうに主人の元へと向かった。


ーーー


あの後、空の旅はまるまる二日程が経ち、幾度かモンスターの襲撃はあったがどれも容易く遊撃することができた。

そうして今日も大空を飛行し、のんびりとしていると、通信が届く。


「こちらワイバーンアルファ、周辺に異常なし。予定通り目的地へ向かう」


そう通信が入ると今度はリリィーからも通信が入った。


「ヨグ様、見えて来ましたよ! あれが竜人の島です!!」


そう言われ下を見てみると、青い海の真ん中には大きな島が存在していた。

潮風が吹いており、荒々しかった波は静まり返って、まさしく観光にはもってこいのビーチ感溢れる場所である。


「あれが.......竜人の住まう街。なかなか綺麗なところなんだな」


そう呟く俺は少し楽しみに感じた。

しかし島と言っても、大陸よりも小さいが、島と言うには少し大きく、奥の方は雲などで見えなかった。

また島の中央には、綺麗な桜のような木々に囲まれた街が見えており、どことなく日本っぽさを感じてしみじみとしてしまう。


ーーーーーーーーー


〜竜人の島〜


そうして俺たちが、地面に足をつけたのは、あれから数十分ほど後のことだった。

メリーヌの乗る飛行船が無事に着陸し、また生徒の乗っている飛行船も無事に着陸していた。

少し海に面した着陸なため、足元には少しばかりか水が滴っている。


「ヨグ、リリィー! そろそろ私たちも行こうか」


そう言ったのはメリーヌで、彼女はオーロラ色の透き通るような綺麗なドレスを身にまとっていた。

俺とリリィーは竜騎兵装を解除し、メリーヌの乗っている飛行船の中へと入っている。

すると気品溢れる彼女が手をスっと差し出してきて、連れて行ってと俺の右耳元で囁いてきた。

俺は彼女の声と甘い香水の香りで、少しドキドキとしてしまうが、リリィーが冷たい表情をしていたので、急いでメリーヌに手を取り案内していく。

そして出入り口の奥には竜王の使い方たちが大勢おり、案内から荷物運びなど手伝ってくれていた。


「ん? ちょ、ちょっと待ってメリーヌ! 」


「どうしたのヨグ? ってうあ! ちょっ、どどどうして持ち上げて.........」


最初は驚いていた彼女だが、地面に水があることに気づくと、暴れるどころか身を委ねるようにして大人しくなった。

そうしてお姫様抱っこをしたまま砂浜の方に着いたので、そっと彼女を下ろした。


「あはは、ありがとうヨグ。でも海水くらいなら大丈夫なのに!」


「ドレスが濡れたら台無しですから。それになんかこの海水、変な臭いが......」


そんな話をしていると、一人の竜人が近寄ってきて、律儀にも頭を下げてきた。

よく見てみると本当に竜人なんだと思わせるように、彼の体は硬そうな鱗で覆われているが、それに似合わないスーツを着こんでいた。


「メリーヌ様、そして護衛のヨグ様、リリィー様ですね。私は竜王の側近、ヨイチです。話は我が王より伺っておりますので、どうぞこちらへ」


生徒たちは先生方とこれからお世話になる旅館の方々に任せて、俺とリリィーとメリーヌの三人は、人力車に乗って街の中央にある城のような建物に案内されていた。


城に到着すると、大きな一本橋があり横には桜の花弁がパラパラと落ちて来ていた。

そして大きな門の目の前に来ると、何やら門番と先程のヨイチと名乗った竜人族が話しており、すぐに門が開かれる。

ギギギ......と木製の大扉が開かれる音は壮大で、時代劇のような迫力があった。

そして開かれた門の奥には、城の入口がありまた小石がこれでもかとひかれている。

また小池のような場所には少量の水が流れており、タイムスリップでもしたのかと思うくらいには、繊細な作りをしていた。


〜竜王の城-内側〜


「王国の皆様、この奥の間に現竜王、『テンゲン』様がおりますので、どうぞお進みください」


ヨイチはそう言い放ち、そそくさとその場から離れていった。

俺は少し緊張のせいか、いつもよりも呼吸の数が多くなっている気がする。

するとメリーヌは俺の手を取り、ニコッと笑った。


「さあ、行こうヨグ。大丈夫、君は僕の騎士なんだからもっと胸を張って! うん、そうそう!」


メリーヌの一人称が変わったということは、ここからは王女として振る舞うということだ。

そんな彼女に恥をかかせるような真似はできるはずがない。

俺は深呼吸をし、少し胸を張って歩き始めた。

木製の廊下からはひしめく音が聞こえてくるが、壊れている様子はない。

メリーヌは相変わらず俺の手を握り、少し嬉しそうにしていた。

そうして奥にあった襖を開け、中に入るとそこには、座敷がひかれており地面には座布団が用意されていた。


「はるばる遠くから来ていただいて誠に感謝する。そして久しぶりに会ったが、大きくなられましたなメリーヌ殿」


「アハハ、君も相変わらずの魔力だね、現竜王。それから急遽僕のわがままを聞いてもらってわるいね」


「なに、我ら竜人族と王国は今や親密な関係。王女様を預けられるなど光栄至極でありますぞ! ガハハ!」


現竜王と言われ俺は少し期待をしていたが、その期待は大いに裏切られるのであった。

現竜王としてその場にいた彼は、どう見たって人間の姿をしていた。

比べるとヨイチの方が、竜人と言えばそう思える姿をしていたが、竜王とは違うものなのだろうか。

少し残念そうにしている俺に竜王は目をつけにやりと笑った。


「ほうほう、もしやこの者がメリーヌ殿の伴侶と噂されていた御仁ですかな? 」


そう言われ俺は驚いた表情をしてしまう。

するとメリーヌもこちらをチラッと見ると照れながらこう言った。


「そうだよ、彼が僕のお気に入りさ。でも彼天然の浮気性だから困ったものだよ」


「ガハハ、それは罪なものですなー。おっと、いけないいけない。挨拶がまだであったな。我輩は現竜王、テンゲンである。そちらの御仁、名はなんと?」


「はっ、ヨグ・ランスロットです。メリーヌ様の護衛をしております」


「ハハハッ、護衛とはまた肩苦しい。メリーヌ殿もガッカリしてしまいますぞ! ガハハ!!」


「まあ、ヨグにも立場があるからね。今日から数日お世話になるよ。それでテンゲン、僕たちを呼んだ理由は何かな。目が見えない僕でも君が何やら考えているのはバレバレだね」


「ハハハ、これは失敬。やはりメリーヌ殿にはバレておりましたか。なら話はお早い。実はメリーヌ殿の母君についてでございます」


そう言ったテンゲン顔は先程とは一変して真面目な顔になっていた。







どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!

長い間、更新もなく待っていただいたのは申し訳ないです。

さてさてこんかいはどうだったでしょうか?

少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。


最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!

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