闇に飲まれし聖王国
第55話〜闇に飲まれし聖王国〜
体から湧き出る魔力は青く輝いており、留まるところを知らない。
そんなものを目の当たりにした敵の竜騎兵装は動きを止め、警戒を強めていた。
しかし、その内一機は既に動けず、その場で停止している。
実質一対一の状況であったが、リアさんの傷の心配もあるため長居はできなかった。
「これ以上戦うと言うなら容赦なく潰す! 退くなら今の内だぞ!」
俺はそう宣告し、ここから立ち去るよう促す。
それを聞いてもなお退こうとはしなかった。
立派な精神であったが仕方がない。
俺は魔力を使い、二機の竜騎兵装を宙へと打ち上げ、そして魔力の収束により機体はただの鉄塊へと姿を変えた。
魔力の流れを止め、鉄塊は地面に激突するが血などは流れてこなかったため、おそらく無人機なのだろう。
そして俺は振り返り、リアさんの無くなった脚に向かって手をあてた。
「失礼しますよ、リアさん」
「少年、何をして......」
そんなリアさんの質問に答える間もなく、彼女を脚は生え変わっていた。
「うそ!? なんで脚が生えて......どういうことかな、少年! それに君は森の奥に逃げたんじゃないのかい?」
「あはは、えーっとですね......」
そう言って少し怒った表情を見せる彼女に俺は少し圧倒されてしまう。
「とりあえず村に戻りましょう。話はそれからです!」
それから村へと戻ると、俺は負傷者を回復させた。
間に合わなかった者も多くおり、仕方のないことだとリアさんやテペウスが優しく声をかけてくれた。
そんな中、森の奥からリペが俺を追って帰ってきたと報告が入る。
それを聞いたリアさんは飛んでいって、思いっきり抱きしめていた。
またリペは俺のことを見ると、顔を膨らませてお説教をされた。
その時に俺は今までのことを隠さずに話した。
いつから記憶が戻っていたかとか、俺は何者なのかも全部。
それを聞いて三人とも最初は驚いていたが、すんなりと受けれてくれたので内心ホッとしていた。
「ということは少年は王国の騎士様なんだね」
「はい、まあでも今はおそらく死んだと思われているので正確には元騎士ですが......」
「それにしてもあの強さには私もびっくりだよ。竜騎兵装を簡単に倒しちゃうなんて! 本当にありがとう」
「いえ、俺も必死でしたから......」
「謙虚だねー、少年は! それじゃあこの後の戦いも任せていいかな?」
「それはもちろん......ですが少し気になったのですが、あの竜騎兵装はおそらく無人機です。ですが俺の魔力を見て警戒心を強めているようにも見えました。一体どうやって動いてるのやら......」
「ああ、それならうちの技術班に残骸を渡して置いたからもう少ししたら何かわかると思うよ」
「まるで生きているようにも感じて、少し気持ち悪い感覚でしたから......」
「そっか、一応皆にも伝えてくるよ。君がそこまで言うんだ。おそらく何かあるだろうしね。それじゃあまた何かあったら連絡するよ」
「あっ、はい! よろしくお願いします!」
そうしてリアさんとテペウスは仕事へと戻り、その場は俺とリペの二人きりとなった。
気まずい雰囲気になってしまうが、リペは俺の隣ちょこんと座り、腕をギュッと掴まれる。
すると彼女は小刻みに体が震えているのが伝わってきた。
「ごめん、リペ。騙すようなことして......」
「むー......」
俺は謝ったが、依然としてリペは頬を膨らませて目に涙を浮かべていた。
どうもその姿がリリィーと重なってしまい、申し訳なさに襲われる。
そして少ししてリペは機嫌を取り戻してくれたようだった。
「ジーク......もう二度と私を一人にしないで! 置いていかないって約束してッ!」
子どもが駄々をこねるようにそう言うリペは小指をこちらに向けてくる。
こちらの世界でも約束をすると言うのはこれなのかと俺は思ってしまう。
そしてリペの小指と自分の小指を絡ませ、指切りの約束を誓った。
「もちろん、この約束は絶対に守るから......」
「うん! 約束だからね!!」
そう笑う彼女の笑顔は最高に綺麗だった。
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翌日の朝。
まるで昨日まで戦場であったとは思えないほど、清々しい朝だった。
布団をめくると隣にはまだ眠っているリペの姿があった。
俺は布団をそっと戻し、顔を洗い、服を着替え、そして湯を沸かしていた。
リペが起きてきたのはちょうど湯が沸くと同時だった。
「あっ、おはようリペ」
「おひゃよう、ジーク。にゃにしてるのぉ?」
「昨日森に入った時に木の実とかお茶の葉が生えてたから、王国でよく飲んでたものでも作ろうと思ってね」
「すんすん......甘い! いい香りだね!」
「リペは顔を洗ってきなよ。朝食は作っとくから」
「うん! ありがとうジーク!!」
そう嬉しそうなリペは洗面所の方へと行ってしまう。
その間に軽い朝食をと思い、支給された肉をパンに挟んでサンドイッチのようなものを作った。
それに加え、お手製のフルーツティーと使った木の実の果肉をお皿に盛り合わせ、二人分の朝食は完成だ。
「おまたせー! 準備できたよ、ジーク!! 」
洗面所帰りのリペは服も寝巻きから普段着に着替えており、朝食の並ぶテーブルの椅子へと腰掛けた。
そして朝食を見るや否や、目を輝かせ待犬のような状態で焦れったくしていた。
「それじゃあ食べようか! いただきます!!」
「うん! えっと......こうかな? いただきます!!」
異世界に来ても自然とやってしまう手を合わせるという行為をリペは見よう見まねでやっていた。
そしてお互い肉を挟んだパンを一口齧った。
するとリペは頬に手を当てながら美味しそうに食べていた。
「美味しいよ、ジーク!! この水も甘くて色んな味がするの!!」
「あはは、喜んでもらえたのなら嬉しい限りだよ」
そうして二人は朝食を楽しく済ませるのだった。
数時間後......。
朝食を終え、少しゆっくりとした気分が漂う中、部屋のドアが開けられリペの姉、リアさんの姿が現れた。
「おはよう、二人とも。疲れは取れたかい? 」
「はい、いつでも動けますよ」
「はーい! 私もよく眠れたよー!!」
それを聞いたリアはクスッと笑い、どことなく幸せそうだった。
そう見えたのも束の間、突如表情を変えるリアさんは俺に視線を移し、見てほしいものがると言って連れていかれた。
彼女について行き、到着した場所は鍛冶屋のような場所で、沢山の鉄が置かれており、また鉄の臭いが鼻を刺激した。
「武器でも作られたんですか?」
「いや、この間言っていた竜騎兵装のことなんだけど、少年の言う通りだったよ! 」
そう言って彼女が指さした方向には、目を疑うものがあった。
「うえっ! 心臓!?」
それは人の心臓のようなものが機械へと取り付けられていたのだった。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。
さてさてこんかいはどうだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!
今日で10代も終わり、20歳になりました。
春の清々しさを感じつつ、良い20代のスタートを切れたと思います。
これからも更新と新作はどんどん出す予定ですので、お楽しみに!
目指せ書籍化!!!
最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!




