幻想竜 アルビオン
第54話〜幻想竜 アルビオン〜
鳴り止まぬ銃声とそれに混じる機械音。
二機の攻撃を一点に引き受け、一撃でも貰えばおそらく命はないだろう。
しかし、こちらの攻撃は火力不足が否めず、何度銃弾が当たろうともあちらは無傷だった。
足を止めた瞬間、私の命はない。
そう感じながらも、心のどこかで私は楽しんでいるのだった。
体はより熱く、心臓は鼓動を加速させ、アドレナリンがドバドバと出ているのだった。
「うーん、本当に鬱陶しいな! こいつら硬すぎだよ!!」
そう嘆くが相手はなんのそのと殺しにかかってきた。
幸いなことに、竜騎兵装と言えどスピードは遅く攻撃を避けるなど容易であった。
二機は連携して挟み撃ちをするように私を追い詰めるが、私はねずみの如く逃げ回っていた。
しかし、これも時間の問題だった。
二対一の勝負が始まってはやくも三十分程が経った今、こちらの体力は限界に近いが、それに対して相手側は一切の疲れが見えなかった。
私は狙いを定めて引き金を引くが、弾はでなかった。
そう、弾切れだった。
その一瞬の隙によって生まれた僅かな時間に、私はついに攻撃を受けてしまった。
片脚を吹き飛ばされ、血が吹き出し、痛みによって意識は朦朧とし始める。
「うがああああああああああああああああ!!!!」
私は叫ぶように悲鳴を上げ、痛みに悶える。
両手で無くなった脚を押さえつけるが、血は止まらない。
それに加え、竜騎兵装たちがとどめをさそうとこちらに近づいてくる。
私は痛みに耐えながらも、根性で這いつくばり逃げようと試みる。
ああ、もう無理だ。
心の底から出てしまった声。
その瞬間、私は涙を浮かべながらも、この場にいない最愛の妹に謝罪を述べた。
そして竜騎兵装が武器を振り上げ、私は目を瞑り、死を覚悟した。
その時だった。
グシャ.......グシャグシャ!!!
鉄が擦れたような音が耳に入ってきた。
私はそっと目を開ける。
そこにはいたのは、たった一人の少年だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少し前のこと。
森の中を走り戻っていると、前方から数人の甲冑を着た人間が現れた。
おそらく聖王国の別働隊のようなものだろう。
俺は一応警戒しながらも、回避は愚か対峙することになった。
すると相手も一瞬こちらに武器を構えたが、俺が人間だとわかるとすぐに武器を下ろした。
「人間がなぜこんな場所にいる!!」
そう一人の兵士が大きめの声で聞いてきた。
ここでどう答えるかによって、お互いの運命が大きく左右されるだろう。
なので俺は警戒心を解くために適当に嘘をつくことにした。
「ただの旅人だ。さっきから騒がしいと思おったがあんたらの仕業か?」
「旅人だと......怪しいヤツだな! それから我らは崇高な目的のためにここにいるのだ! 邪魔をするなら捕縛する!」
「おっと、それは困る! 別に俺はお前らの邪魔をする気はないんだ! どうだろう、ここはお互い見なかったことにしないか?」
そう俺が提案すると相手は顔を見合せて何やら話し合っていた。
しかし相手も何かしら任務があるだろうから、おそらくは見逃してくれるだろう。
そう考えているうちに、相手の答えも決まったようだった。
「わかった、今回は見なかったことにするとしよう。だがこの先に用があるなら一つ忠告だ。この先異教徒どもがばっこしているからな! 我々の仲間が間違って襲うかもしれない。注意するといい」
彼はどうやらまともな人間性は持っているようだった。
しかし、その判断が命取りだとは思わないだろう。
俺は騙し討ちをすることを悪いとは思いつつ、彼らの横を通り過ぎると同時に、魔力を収束させ場の空気をなくした。
「う! うがぁ!!」
「騙してすまないな。だが恨まないで欲しい。俺も時間がないし、お前らをこの先に行かせる気もないんだ。それじゃあ、天国にいけるといいな!」
より魔力を収束させると、兵士たちの鎧ごと体が潰れ、血が吹き出す。
俺はそこまでお人好しではないのだ。
ここで気絶させておいて、もし目覚めてリペたちが襲われたら元も子もない。
俺は兵士たちが死んだことを確認し再び走り出す。
しかしその後も、何度か聖王国の兵士たちに出会すが、その都度魔力を使い命を奪っていった。
常識なんてものは既に捨てたように、躊躇いもなく奪っていくその姿はまるで死神。
そして気づいていなかったがいつの間にか俺は森を抜け出していた。
「よし、森を抜けた!!」
俺は前方を確認すると村の高台には傷ついたテペウスの姿があり、またその前には、リアさんの戦う姿見えた。
しかし、リアさんの目の前には二機の竜騎兵装がいたので、少し驚いてしまう。
「はっ! 助けないと......」
俺は助けに入ろうと急いで向かうが、人間の足では到底足りなかった。
リアさんは一瞬銃を構えるが銃声は聞こえてこず、その隙に脚を吹き飛ばされてしまう。
それと同時に彼女の悲痛な叫び声が消えてきて、俺はいてもたっても要らなかった。
「ニーズヘッグがいればッ!!」
そういくら嘆いたところで、状況は変わらなかった。
しかし、俺はなにかできないか必死に考えた。
魔法なんて便利なモノは使えない。
俺に使えるのは魔力のみだった。
ああ、悔しい。
このままでは彼女は殺されてしまう。
目の前で助けたい人も助けられない恐怖を俺は繰り返したくなかった。
もう失いたくない。
そう強く思うと、俺の魔力はそれに答えるように形を変えた。
ニーズヘッグがいれば?
なら......ニーズヘッグになればいいじゃないか。
その瞬間、体に魔力が纏わり付いてきて翼や大きな爪、鋭い尻尾など......ニーズヘッグを模した形へと変わったのだった。
「これなら飛べる!」
そう言っていつものように翼を拡げ、大空へと飛び立つ。
ああ、この肌に風が当たるこの感覚!
地上では味わえない空気の味!
その全てがニーズヘッグと一緒に飛んでいた空と同じものだった。
「さあ、いくぞニーズヘッグ。狩りの時間だ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どこからともなく現れた少年に私は目を奪われてしまう。
そう言っても意識はもうろうとしているが、ここで気絶すれば命はない。
少年は、最初会った時の弱々しい人間ではなく、全身から感じるおびただしい量の魔力が恐ろしくも頼もしくも思えた。
それに私は少年を疑っていた。
なぜなら、最初の印象で本当に私たちの傷を治したのかと思ってしまったからだ。
しかし、今の自分がその場にいたらすぐにでもそんな考えなど捨てるだろう。
彼から溢れ出る魔力はまるでおとぎ話に出てくる伝説の竜そのものであった。
そしてその竜の名は......。
「幻想竜、アルビオン!」
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。
さてさてこんかいはどうだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!
また今回の更新で20万字突破しました。
最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!




