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死神に送るモノ

第53話〜死神に送るモノ〜




静かな野原には聖王国の兵士たちと体の燃える人種、そして竜騎兵装が待ち構えていた。


その数の差からくるプレッシャーは並のものではなかった。


そのためか終始怯えが止まらない者などが現れ始め、場の空気も重く感じる。


しかし、ここで退く訳にもいかないのだ。


皆、大切なものを守ろうと、その意志だけで戦えるのだ。


そしてついに聖王国側が動き出し、進軍を始めた。



「来るぞ!! 総員構え!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜森の中〜





突如として銃声のような音が後ろから聞こえてきた。


俺は振り返るが、何もなかったかのように前に向き直した。


おそらく、戦闘が始まったのだろう。


そう思いつつも、目的地である森の最奥へと目指す。


そんな時、リペがいきなりその場に止まってしまう。



「ん? どうしたの、リペ」


「......」



彼女は何も言わず、俯いたまま考え込んでいる様子だった。


そして何を思い立ったのか、彼女は戻りたいと言い出したのだ。


もちろん、俺はそれを拒否した。



「ダメだよ、リペ。今帰ったら、おそらく戦闘に巻き込まれる。それにもう......」



「でもッ!!」



リペの必死の訴えに内心、困惑してしまう。


もちろん助けたいという気持ちもあるが、まずは彼女たちを安全な場所に連れていくことの方が優先だ。


そう、この森の奥へと行けばおそらく......。


その時、俺はふと気づいてしまった。


もし森の奥へと行けたとして、その後はどうするのだろうと。


目的地が決まってる訳でもなく、森の安全も怪しい。


それに聖王国の奴らは、防衛ラインからここまで攻めてきている時点で、本気で潰す気なのだろう。


そんな状況下で、なに呑気に安全な場所などと、求めていたのが急に馬鹿らしくなる。


すると、俺は笑いが込み上げてきて、その場で大きく笑ってしまう。



「そっか......あはは、アハハハハハハハハ!!」


「じ、ジーク? 急にどうしたの?」



突然笑いだした俺に向かって、彼女は震えた声だった。


今の彼女に俺がどう映っているかは分からないが、狂人とでも思われていそうだ。



「ああ、なんで......なんで今まで気づかなかったんだろう。なんで俺は逃げていた? 俺はこの世界で何になろうとしていた? そうだ、俺は竜になるためにここに来たんだろ!」


「ジーク、何を言って......」


「リペ、ここから先に皆を連れて行ってくれるかな?」


「じ、ジークはどうするの! まさか一人で......」


「そうだよ。俺は一人で戻るつもりだよ。でも安心してほしい。俺が聖王国を潰してくるから! 」


「そんな無茶な!! だったら私も......」


「君はお姉さんとの約束があるからね。それに俺一人ならどうとでもできるから......」


「あっ! ジーク!!」



俺はそう言い残し、元来た道を順々に戻って行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、戦場では......。



お互いが一歩も譲らない攻防を繰り広げている最中、リアは一人抜け出し、敵の指揮をしている者を狙っていた。


聖王国の兵士たちは、新兵器以外は以前として弱く、そして脆かった。


そのためか、数の少ないこちらでもかなりの時間足止めできていた。


作戦と言うほどではないが、一部の者たちが竜騎兵装を引き付け本部分から切り離し、その間にこちらの本隊が相手の兵力を削いでいくというものだった。


そうして戦い続けて既に数時間、さすがに聖王国側にも疲れが見え始めていた。


そんな様子をスコープ腰に見ていると、やっとターゲットを見つけられる。



「見つけた......あの聖職者のハゲが指揮をしているのか」



そう呟くと同時に、綺麗なハゲ頭に向かって照準を合わせる。


そして息を大きく吸って、止めた。



バン!!!



火薬の匂いとともに放たれた弾薬により、聖職者は倒れ、血を流していた。


すると、銃声を聞いて兵士たちが集まってくるが、もう遅い。


相手の指揮官は倒れ、これで聖王国の進行はかなり遅れるだろう。


私は急いでその場から離れ、木々の並ぶ場所へと入っていった。


しかし後ろからはガチャガチャと、金属が擦れ合う音がしてくる。


もう追ってきたのかと振り返ると、案の定十数名の兵士たちがこちらを殺そうと迫ってきていた。



「チッ! そう、上手くはいかないよね!!」



私は地面に向かって白い煙幕を発生させる魔石を投げつけた。


するとあっという間にあたりは白い煙に覆われ、視界が使いものにならなくなる。


敵からしたら面倒だが、生憎私は獣人なので視界ひとつ潰されようと痛くはなかった。


研ぎ澄まされた嗅覚により、自分の位置と相手の位置を嗅ぎ分け、冷静に逃げていった。




ーーーーーーー



そして数十分逃げたところで、敵は私を見失ったのか追ってこなくなった。



「はあー、はあー......」



先程から走りっぱなしで、さすがに疲れが出てきたようだった。


目線の先にある木陰に座り込み、疲労全開の体を少しでも休めたかった。


しかし、あまりのんびりはしていられないだろう。


幾ら敵を撒いたとはいえ、追ってくる可能性は十分にある。


それに加え、まだ仲間たちが戦っているのに、私一人だけ泣き言を言ってなどいられないのだ。



「リペ、大丈夫かな......。まあ、少年がいるから大丈夫かな! よし、行こう!」



私は根性で立ち上がると、再び仲間の元へと急いだ。




ーーーーーーー



私が戦場へと戻ってきたのは、あれから一時間ほど後のことだった。


私はまだ森の中にいるため、戦況は確認できていない。


しかしここから戦場までは、そこまで離れている訳でもないのに、銃声や悲鳴が一切聞こえてこないのも不思議だ。


嫌なことを考えてしまうが、私は足を止めることはない。


そして木々を抜けた先に太陽の光があるのを確認でき、私はついに森を抜け出した。




〜獣人の村の外側〜



森を抜けた先にで目にしたのは、敵に囲まれて今にも殺されそうな仲間たちの姿だった。



「そんなことは......させない!!」



そう呟くと同時に引き金を引いた。


銃声とともに敵は倒れ込み、頭からは血が吹き出ていた。


私は少し坂となった地面から下りながらも敵を排除していく。


そして村の門前までやって来ると、そこには聖王国の兵士たちが門を破壊しようと大きな丸太を運んできていた。


彼らが橋へと足をかけた瞬間に、私は橋を支える縄を撃ち落とした。


すると、丸太の重みもあって多くの兵士たちが地の底へと落ちていった。



「ふぅー、危なかったねテペウス!」



私は少し大きな声でそう言い放った。


すると、高台にいたテペウスはこちらの存在に気くと同時に、私の帰還を大いに喜んでいた。



「リア! 無事だったか! その様子じゃ、上手くいったようだが、こちらは戦線の維持はできているもののこのザマだ。面目ない!」



そう言う彼だったが、右腕は既になくなっており、包帯が巻かれている。


しかしその包帯は赤色に染まっており、血が止まっていないのだろう。



「私の方は大丈夫だよ! それから、竜騎兵装の姿が見えないけどどうなっているの?」


「それが私にも分からないのだ。作戦通り囮を使ったんだが、そいつらを追ってどこかへ消えたんだ。だが囮役からの連絡が途絶えてしまった。おそらく近くにはいるはずだ!」


「わかった! 私は警戒をしながら少し休んで......いや、休んでいる暇はないかな」



そう言う私の目線の先には、ニ機の竜騎兵装が見えた。


どちらも白いボディが赤色に変わっているため、多くの仲間たちが犠牲になっているだろう。



私は持っていた武器を強く握ると、死神のことが頭をよぎった。




「今度は私が守るよ......死神さん」




そう小さな声で呟き、深呼吸をした。



深く吸って、軽く吐くといつも気持ちが落ち着くのだ。


もはやルーティンのようになってしまっているようだ。



「よし! それじゃあ、行ってくるね、テペウス!!」


「ま、待てッ、リア!! ぐああ、傷が......」


「あはは、テペウスは休んでて! 竜騎兵装くらい、ちょちょいのちょいだよ」



そう言う私はテペウスに向かって手を振った。


おそらくこれが最後の会話になるだろうと思って......。






















どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!


毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました!


さてさてこんかいはどうだったでしょうか?


少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!



最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!


Twitterでも一応投稿しましたが、第三話部分に変更部分があるので、そちらも読んでもらえると嬉しいです(*^^*)

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