英雄たちの凱旋
第48話〜英雄たちの凱旋〜
〜解体屋〜
「おう! あんちゃんたち! ちょうど解体し終わったところだ! 」
そう言われ、周りを見渡して見ると、部位ごとに分けられていた。
肉は山盛りに盛られ、その見た目からわかるように、とれたて新鮮だ。
横に目を移すとリペはヨダレを垂らして、待っていた。
俺は礼を言って肉を貰い、解体屋を後にする。
〜リペの住処〜
家に一度戻り、肉の下処理と火起こしをする。
リペの家には火が出る魔法具などないので、薪に火打石で火をつけなければならなかった。
彼女が火を起こしている間に、俺は肉の下処理をする。
肉は臭みがあるので一度塩を振り、出てきた水を拭き取る。
そして今日食べる分だけ切り分ける。
「ジーク! 火ができましたよー!!」
「うん、ありがとうリペ」
串へと肉をつけていき、火のある外へと持っていく。
そして焼くまでの間、物珍しいそうな目で肉を眺めているリペ。
そんな様子をどこかで見たことがあったが、至って記憶は戻ってこない。
でも何故だろうか...。
「ん? ジーク、泣いてるの?」
「ああ、いや...なんでもないよ」
そう返事をする俺だったが、ずっと涙が止まらなかった。
様子を見ていたリペは困った表情をしていた。
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肉が焼けてきた頃合で、塩を振りかけて、リペに手渡す。
何故塩だけはあるのかと聞いてみたが、塩は配達式で毎月配られているらしい。
やはりどんな場所でも塩は貴重なのだろう。
そのため、争いを避けるために配っているらしい。
リペは渡された肉をじっと見つめて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「いただきます...」
俺がそう言って一口肉を頬張る。
それを見た彼女も続いて肉へとかぶりついていた。
「うっっまーーーーーー!!!」
彼女はそう言って、パクパクと肉を食べていた。
やはり彼女は獣人なので気にはしないだろうが、この肉はとても硬い。
肉の味自体はとても美味しいが、人間の歯では限度があった。
しかし不思議にも、焼いた表面より中の方は柔らかく、とても美味しい。
「ジーク美味しいですよ!!」
「うん、いっぱい食べてね...」
俺が一本食べ終わる頃に、彼女は三本ほど食べていた。
そして肉を食べ終わった、ちょうどその時だった。
村の中心部分の方から、ラッパのような音が聞こえてくる。
あと片付けをしていた俺は不思議に思い、リペに聞いてみる。
「いつもはお昼頃に三回、音がするんだー...でも今日は五回も聞こえたねー」
「もしかしてだけど、非常事態だったりする?」
「うーん...わかんないけど、後で行ってみよう!」
そう言って、急いであと片付けをし、彼女と様子を見に行くことにした。
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〜獣人の村の内側-中心部〜
道中、幾度か獣人や亜人とすれ違ったが、皆不安そうにしていた。
ある者は事件だと言い、またある者は何かの間違えだと呟く。
そんな噂に等しい事などは無視して、中心部へと向かってみるが特に変わった様子はなかった。
「リペ! こんなところにいたのかい!?」
そう言われ後ろへと振り向くと、そこにはオババの姿があった。
「何かあったのオババ?」
「急いで大神殿に行きな! 戦線の面々が帰ってきたらしくてね。おそらくだが、お前さんのお姉さんもいるだろう」
「えっ!? お姉ちゃんが帰ってきたの! ど、どうしよう! はやく行かなきゃ!!」
リペはそう言って今までにない速度で走っていく。
「待ちな!!」
追いかけようとする俺をオババが止めた。
「あんた、あの子をよう気に入ってるみたいだね」
「助けてもらいましたから...」
「はん、義理堅いことだ...」
そう言うオババだったが、どこか暗い表情をしている。
「実はね...今回の凱旋は負け戦、その負傷者の帰還さ。まあ、ここまで言えばわかるだろう? おそらくだがまともな体で戻ってくる者の方が少ない。下手すりゃ死人さ...」
「何故リペには言ってあげなかったんです?」
「そりゃあ、お前さんあの子を思って...」
「その優しさが苦しみを増やすんですよ。どんなに辛い事実だったとしても話さなきゃ分からない。部外者の俺が口出しすることではないですが、もっと言いようはあったんじゃないですか...」
そう言い残し、少年は少女の後を追っていった。
「ふっ、生意気だねぇ〜」
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〜獣人の村の内側-巨大樹〜
彼女の後を追っていくと、村の中でも最も大きい木の根元へと着く。
ここは不思議な空気が流れており、神秘的な美しさが感じられる。
しかし、奥の方からは何やらスプラッター的な叫び声や泣き声が聞こえてくる。
葉っぱで作られたカーテンのようなものをめくると、その声はより生々しさを増した。
「ああ、痛い! 痛い!!!」
「も、もう...殺してくれ...楽にしてくれ...」
「ああああああああぁぁぁ!!!」
悲痛な声が脳内を駆け巡る。
辺りには、様々な怪我をした連中が騒いでいるが、怪我人のほとんどが火傷のような後がみられる。
そんな中をかき分け、奥にある葉っぱのカーテンをめくる。
すると、そこにはリペの姿があった。
「やっとみつけたよ......リペ? えっと、大丈夫?」
「...」
目の前には原型をとどめてない肉の塊。
臭いも酷く、腐敗臭すらしてくる。
かろうじて残っている髪は桃色で、リペの姉と言われればそうだろう。
そんな姿を見てリペは絶望の表情を浮かべる。
やめてくれ...そんな表情をしないでくれ。
あれ? どうして、そんなことを思うんだ?
でも...どこかで、見た気がするんだ。あの絶望の表情を...。
「何もできないのか...」
そうボソッと呟くとリペの耳はピクっとする。
すると、今度は諦めた様な表情をして、俺にこう言う。
「ごめんなさい、ジークは悪くないよ。戦争なんだから、いつかは...こうなると思ってたし...」
「だめだ!!」
大きな声を出したため、リペは驚いていた。
心の奥底に眠る何かが己を縛り付けるように囁くのだった。
守らなければ...。
その一心が今の自分と言っても過言ではない。
彼女のために何もできない自分が、死ぬほど嫌いなのもわかっていた。
するとどこからか、「手を触れて」と聞こえてくる。
俺は恐る恐るリペの姉の腹部へと手をあてる。
「ジ、ジーク?」
そして次の瞬間。
触れた指先から、緑色のオーラが放たれ、先程まで負傷していた箇所が次々に治っていく。
腐食した肉塊が、綺麗な肌色へと戻り、火傷の後もなかったかのように消えていた。
「ジーク、何をしてるの!?」
その声によって俺は我へと帰ってくる。
そして気づけばその場に倒れ込んでいた。
「おい! リペ、お前が何故ここに!!」
その声はテペウスの声だった。
「ん? ...んん!? 何故リアの傷がなくなっている!!」
「分からない! でもジークが急に緑色の変なのを出して...治しちゃったんだ!!」
「緑色の変なの? もしかして回復魔法か!!」
「テペウス! 喋ってないでこっち手伝って!! 怪我人が次々に来てるの!」
俺はその声と共に立ち上がり、怪我人のいる部屋へと向かう。
「貴方何を...」
「少年! 」
「俺は...守らなきゃいけないんだ」
赤い瞳を使用。
名も無き竜の鼓動:赤い瞳は全てを飲み込む(スキルを広範囲に拡大)
次の瞬間、少年のな周りには白い花弁を持つ花々が生えてきて、怪我人たちにその根が回っていく。
「青き瞳...」
そう少年が呟くと同時に花々は一気に花弁を咲き誇る。
「名も無き竜の解放を!!!」
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
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