表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/85

騎士として死ぬ

第44話〜騎士として死ぬ〜





先程までお客様の挨拶をしていたはずが、いつの間にか、のどかなお茶会へと変わっていた。


メリーヌの入れてくれたお茶は、信じられないほど美味しい。


しかし、本人は普通だと言いって、尻尾を左右に振りながら喜んでいた。


その後は誰も話さないまま、時間だけが過ぎていく。


長閑のどかな感じが漂っていたが、中ではピリピリとした緊張感もあった。


すると、メリーヌは持っていたカップをテーブルに置いて、言葉を漏らすように話し出した。



「最近、王城で良くない噂を耳にしてね......」



突然そんなことを言われても、こちらとしては困惑してしまう。


しかし、彼女の表情はいつも以上に真面目な表情だった。



「ここから話す事は僕の独り言だから、二人は気にしないでいい」


「独り言......ね。わかったよメリーヌ」


「それじゃあ、ヨグはヴァレンタイン家を知ってるかい?」


「知ってるも何も、俺を貴族に推薦してくれた方だよ。 忘れるわけもない...」


「やっぱりか......実は結構前から行方不明になってるんだ」



俺は驚いた表情をしてしまう。


確かに学園で会おうと約束したが一度も会ったことがない。


彼女も忙しい身だからと気にしてはいなかったが、まさか行方不明になっていたとは。


メリーヌは無視をするように話を続ける。



「でもね、進展はあったんだ。捜索隊が森への調査を行った際、ヴァレンタイン家の護衛をしていた騎士団長が発見されたんだ」


「エルラさんが!?」


「ヨグ声が大きい!! これはメリーヌ様の独り言だと言っただろ!!」



スイレンの叱りを受ける。

しかし、声をあげられずにはいられないほど驚いているのだ。



「そしてここからが重要なんだけど...」



突然メリーヌは声を曇らせる。


何かを隠しているのか、それとも言いたくないといった表情をしていた。


そして彼女は大きく息を吸った。



「ヨグ......君が犯人ではないかって、噂されてるんだ」


「え?」


「僕はもちろん疑ってないし、おそらく別の誰かがやったんだと思う。でも騎士団長は目を覚まさないし、誰も事実確認ができない状況だから...」



彼女はそう言ってとても辛そうだった。


しかし、当の本人であるヨグは笑ってしまう。



「あはははははは!! 」


「何を笑ってるんだいヨグ! 君は疑いをかけられる意味を知っているかい?」


「疑いの意味?」



すると横で聞いていたスイレンが小さい声でこう言った。



「この国の暗黙の一つだヨグ。貴族として少しでも疑いをかけられれば肩身も狭いし、最悪の場合...」


「殺されるのか?」


「......なぜわかった?」


「いや、適当に言ってみたけど本当なんだ。でも俺はやってないしなー...どうしようかね〜」


「すまないヨグ、こればかりは...」



どうやらスイレンもお手上げのようで俯いてしまう。


守るべき者に下を向かせてしまうのは、騎士としては失格だ。


ここは自力でなんとかするしかないだろう。



「そっか...それじゃあ、この事はニーズヘッグとゆっくり考え...」


「待って! 僕にいい考えがあるんだ...。それは僕の管理してる商人の護衛をすることだよ」


「商人の護衛?」


「今疑いをかけられているのは、ヨグの信頼が少ないからなんだ! でも貴族になったばかりだから、信頼がないなんて当たり前だよ。なら手っ取り早く、国の王女である僕の命令に従ったっていう事実があれば、次第に事は収まると思うよ。......どうだいヨグ?」


「俺はメリーヌがそう言うなら従うまでだよ」


「それじゃあ、この話は終わり! あっ、でも詳しいことはあとで書いて送るから目を通してね!」


「了解!」



その後、お茶会も終わりこのことをニーズヘッグに話した。


ニーズヘッグはすぐに対策を考えると言っていたので頼もしい限りだ。


またこのことはリリィーには内緒にしておいた。

彼女は今、訓練で忙しいらしいから、こんなことで迷惑はかけられない。


ヨグはぐっすり眠るリリィーの頭を撫でる。


このまま何事もなければいいんだけどね...。


不穏な気持ちになる自分。


こんなんじゃダメだとわかっているが、自分じゃどうしようもない。


しかし、心の奥底ではもう会えないかもしれないと、感じてしまうのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ついに護衛任務当日。


積荷を詰め込んだ大きな飛行船に乗ったヨグ。


念の為、いつでも出撃できるようにニーズヘッグは飛行船の中に待機してもらっていた。


リリィーには任務で遠出になると言って置いてきたが、少し悲しそうな表情をしていた。


帰ったら盛大に撫でてやろうと思う。


すると飛行船の責任者であるビッパが話しかけてきた。



「旦那、話はメリーヌ様から聞いていまっせ! 色々と大変でございますなー!」


「こちらこそ付き合わせてしまってすまない! 改めて俺はヨグ・ランスロットだ。よろしく頼みます」


「この船の責任者のビッパでっせ! よろしくなー! それで...わいらはいつも通りで構いませんで?」


「それはもちろん! モンスターが現れた際、俺に言ってください。ニーズヘッグとともに対処します!」


「それは頼もしいかぎりでっせ! それで今後の予定は...」



その後は多少のトラブルはあったが、特にニーズヘッグと俺が出撃することはなかった。


昼食の時間。



「旦那! 昼食を持って来やしたで!!」



そう言われて気づけばお昼の時間になっていた。


ちょうどお腹も空いていたし、俺は「はーい」と返事をして食堂へと向かう。


食堂へと着くと、既に食事が用意されており、食べている人もちらほら見かけられる。


昼食には大きい腸の肉詰めと蒸した馬鈴薯、そして黒パンだった。



「いただきます!」



味付け自体は塩などシンプルなもので、個人的に好みであった。



「このパン...硬いし変な味がするな」




黒パンは初めて食べるが、だいぶ硬い。


それに変に薬品のような味がしているようにも感じる。


そんな俺に、同じく食事をしていた船員が、水などに浸して食べるとちょうどいいと教えてくれた。


試しに食べてみると、確かに多少柔らかくはなったが普通に比べればまだ硬い。


なんだかんだで黒パンに苦戦しつつ食べ終え、急いで外へと戻った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


空の上で過ごして約半日過ぎ、ビッパ率いる飛行船は一面海の上を飛んでいた。



「おぇぇえええええええええええ!!」



その頃、かつてないほどの吐き気に襲われていたヨグは、海に向かって胃液混じりの吐瀉物を出していた。



「大丈夫ですかい、旦那?」


「すみません、いつもなら平気なんですが......」


「まあ、かなり長い時間空へいますんで、休憩でもして待っててくだせえ! 目的地まであと数時間かかりやすで」


「それじゃあ、お言葉に甘えて...」



吐き気と戦いながらも、気づけば夜になってしまった。


夕食もろくに喉を通らなかったが、さすがに吐き気は落ち着いた。


そして真夜中、ほとんどの船員が眠っていたが俺は夜風にあたりながら一息つく。



「はあ、昼のやつはなんだったんだ...」



昼食を食べた辺りから急に吐き気を覚えた。


それにニーズヘッグとよく空へは出ていたため、酔うなんて事は初めてだった。


不穏に感じながらもヨグは夜の海に目線を移す。


海の底は見えないほど深く、そして暗い。


肌寒く感じてきた頃だったので部屋へと帰ろうと、振り返った時だった。



グサッ...。



振り返った直後、誰かがぶつかってきてお腹辺りに熱を感じた。


そして次の瞬間、激痛が走った。



「あがっ...」



目の前には黒ずくめでフードを深々被った何者かがナイフを片手に持っていた。


ナイフには赤い付着物がついており、同時に俺のはらわたからも大量の液体が流れ出す。



「なん...で、ニーズヘッグ! 返事を...ニーズヘッグ!」



敵対者を感知すると知らせてくれる、ニーズヘッグ製ネックレスがなくなっていることに気づく。


あれ、どこで...落とした? いや、昼まではあった...じゃあいつ?


しかし考えても分からず、意識も段々薄れていき、足も覚束なくなってしまう。


すると黒ずくめの者は囁くような声でこう言った。



「これも姫様のためなんでね...。恨まんでくさいよ、旦那」


「お...まえ......!」



そう言いかけた時、思いっきり体を押され、そのまま海へと落ちていく。



ああ、死にぬな...これ.....。



そのまま水上へと激突し、暗い海の底へと落ちていく。


泳ぐ気力なんてものは当然なく、傷口から出た血だけが上へ上へと置いていかれた。



ごめん、ごめんね...リリィー。





どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!

毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。

さてさてこんかいはどうだったでしょうか?

少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!


お知らせ!!

来週と再来週は学業が忙しいためおやすみさせていただくかもしれません! ごめんねー!

詳しいことはTwitterで報告しますのでまたの更新をお楽しみに!!


最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ