熱導型遊撃特化型竜騎兵装 ミラージュ
第43話〜熱導型遊撃特化型竜騎兵装 ミラージュ〜
「機体の制作中...素材の確認......完了。私の機体をベースに構築中......完了。人工知能の搭載...私のデータをベースにコピー致します。完了...完了完了...」
疲れて寝てしまったリリィーの横で、ニーズヘッグは着実に作業を進めていた。
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〜???〜
「なかなか貴様も耐えるものだな...ヴァレンタイン」
「ウルサイ...ワネ、ワタシ...は、コンナコトで...」
「だがもう時期お前は化け物に成り変わる。そうすれば我々は本格的に動けるのだ」
冷たい鉄格子に囲まれ、身体は徐々に限界に近づいていた。
ヴァレンタイン家の跡取りでありながらこの醜態。
いくらなんでも祖先の英雄たちに顔向けできるものではない。
すると、黒ずくめの男が注射を取りだし身体へと打ち込む。
「ア゛ア゛ア゛......あああああぁぁぁ!!!!」
何度味わったかは分からないが、毎度頭がおかしくなりそうになる。
この液体のせいで身体の至るところが痺れており、感覚がない。
まるで自分の身体が、なにかに乗っ取られていく感覚。
ああ、お父様お母様...ヨグ......ごめんなさい。
もう......ダメかもしれない。
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小鳥の囀りが心地よく感じられる。
もう昼頃だろうか。
少しお腹が空いてきて、空腹を知らせる腹の音が大きく鳴り響く。
「リリィー様、おはようございます。よくお眠りになられておりましたよ」
「ふぁあ〜、おはようございますニーズヘッグさん。そう言えば、私はなんでここで寝ていたんでしたっけ?」
「先程リリィー様は、私の仮想世界にて、ご自信の限界の火力を放ち、身体が一度クールダウンのため眠っておりました。またその間、リリィー様に合わせた機体ご用意させていただきました」
そう得意げに言う、ニーズヘッグの後ろには、既にその機体の姿が見えていた。
「こ、これが!! 私の...竜騎兵装!!!」
それは真っ赤な装甲が全身を覆っており、岩の塊のようにも見えるが、その形はドラゴンそのものだった。
体長はニーズヘッグより少し小さく、平均的といえば平均的だ。
するとニーズヘッグは改めて機体も説明をしていく。
「こちらの機体は熱導型遊撃特化型竜騎兵装、『ミラージュ』と名づけました。この機体はリリィー様の熱量に耐えられるよう、獄溶岩石と言われる素材を使用しております。こちらの素材は熱を吸収し、より固くなる性質を思っております。なので本来この素材は武器などには適しておりませんが、リリィー様の守りならば、他に類をなさない素材でありましょう」
「熱を吸収して固く...確かにすごいですけど、この素材はどこから手に入れたのですか?」
「土から精製致しました...」
「そ、そんなことできるんですか!? 私初めて知りました」
「おそらく地上でこれをできるのは私くらいです。それではリリィー様、さっそく乗っていただけますか?」
「は、はい!!」
そうして私はミラージュへと乗り込む。
中には操縦席があり、身体をしっかりと固定された。
「こちらミラージュ、操縦席にパイロットを確認。シンクロを開始」
そう聞こえてくると出入口が閉まっていき、真っ暗になってしまう。
「だ、大丈夫ですかね!? ななな、なんか真っ暗なんですが!!」
「ご安心ください、リリィー様。ただいま機体とリリィー様の身体をリンクさせておりますので、しばらくお待ちください」
「わ、わかりました」
ニーズヘッグの説明の通り、しばらく待つと今度は操縦席へと縛り付けられる。
そして次の瞬間、不思議な空間へと意識が飛ばされる。
「こ、ここは......?」
自身の身体から解放されたように軽く、また消えてしまいそうなほど意識がはっきりとしなかった。
そして気がつけば私は先程、ミラージュの立っていた場所に立っていた。
「へ?」
「リンク完了。心拍数安定。対象『リリィー』、パイロットとして登録。これからよろしくお願いします、リリィー様」
「え! こ、こちらこそよろしくお願いします! って! どういうことですか? 私がミラージュさんになちゃったんですか!?」
「落ち着いてください、リリィー様。これが竜騎兵装なのです。身体はちゃんと中にございますよ」
最初は驚いてしまう私。
でもニーズヘッグさんが大丈夫と言っているので多分成功しているはずです。
それよりも不思議な感覚です。
自分の身体じゃないのに感覚としては変わらず、視界も前より断然高くなっていました。
「リリィー様、これから飛行テストを行いますのでミラージュの指示に従ってください」
「はい!」
「こちらミラージュです! リリィー様、これから飛行テストを行います。翼の感覚は掴めていますか?」
そう言われて改めて背中側に意識を集中する。
すると背中にはしっかりと重い感覚があった。
「うーん......この背中に感じるずっしりとした重みなら...」
「はい、それが翼です。まずはそちらを広げてみましょう」
「広げる、広げる.......。うーん、よいしょ!」
「翼の拡張を確認。さすが筋がいいですね、リリィー様!! それではエンジンを始動させますので、いつものように熱を発していただけますか?」
「え!? 熱って火のことですか? でも意識がないのでどうやってやれば...」
「少しアドバイスするなら、心を燃やす...そんな感じが表現的に正しいかと...」
真剣な表情で考えたがまったく答えが見つからない。
「心を燃やす......全く分かりません!」
「そこは主人公みたくかっこよく覚醒するところだと思いましたが、さすがに上手くいきませんか」
「うーん...いつもの自分の身体ならなんとかできますが、今の身体だと少し...」
「それなら認識の違いですね。まずリリィー様は私とリンク状態のため意識だけが抜け出した状態です。しかし、リリィー様の身体がなくなったわけでもありませんので、いつものように熱く! なっていただければ大丈夫です!」
「わ、わかりました。やってみます!」
そうしてリリィーとミラージュによる特訓はかなりの時間を費やしていた。
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その頃、ヨグたちはというと......。
「はあ、はあ......や、やっと、終わったなヨグ!」
「確かに......ちょっと疲れた、かな...」
今回来ていただいた、貴族の方たちへの挨拶をしていた。
ある人は俺の竜騎兵装に興味を持ち、またある人は取り巻きへと誘ってくるような人もいた。
その度にスイレンから助けてもらい、なんとか挨拶をしきったが、数が数なので終わった頃にはもう二人ともヘロヘロだった。
また挨拶に来た中にはマナ嬢の親御さんもおり、挨拶早々に平謝りだった。
もちろん怒りがないわけではないが、どちらかというと同情の方が強かったため、気にしていないと言っておいた。
その受けが良かったのか分からないが、子爵の地位への推薦状と謝礼金を用意すると言って笑っていた。
さすがに冗談だと思っていたが、後々スイレンに聞いたら本気らしい。
俺はあまり地位にはこだわっていないのだがな......。
そんな時、客室のドアがノックされ返事をする。
「失礼するよ! 疲れてると思ってね、お茶を用意したんだ!」
「メリーヌ!?」
入ってきたのはメリーヌ(一応王族)なのだが、片手に三つのティーカップと、もう一方には茶葉などのセットが握られていた。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
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