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報われない復讐

第40話〜報われない復讐〜





次々に対戦相手になる代表選手たちが登場するが、その全てが劣っているように見えてしまう。

しかしヨグは選手としての人気はもちろんなく、応援の声など来るはずがない。


一部の生徒たちからは名指しで罵倒される始末だ。

あの決闘以来、生徒たちからのヘイトは高いままで、今回で挽回とまではいかないが、多少良くはしたい。


レイトの替わりとして出ているためか、今回の賭け事では、俺の名前が上位に入るくらいには、お金が賭けられていた。


俺も一応自分にお金を賭けたが、前回のような金額にはならないだろう。


そんなこんだで選手全員が揃い、競技のアナウンスがかかる。


「それでは一通り紹介し終えたところで! お知らせです。今回レイト・ランクルト氏が参加する予定でしたが、急遽きゅうきょ体調不良により、ヨグ・ランスロット氏が代行しております。......それでは皆様! 開始まであと少しとなりました! 上の残りの秒数で競技が開始されますので、大きな拍手と戦士たちへの健闘を祈りましょう!!!」


競技が開始されると言われ会場も再び賑わいを取り戻した。

魔法で映し出された大きめのスクリーンからはカウントダウンが行われた。


魔法防護と魔法障壁の外にいる人たちは楽しそうにしているが、選手たちの間には、より一層ピリピリとした空気が張りつめていた。


俺も緊張のせいでソワソワと心が落ち着かないが、ニーズヘッグがいるため安心している。


まもなく競技が開始される。


「五......四......三......二...一、 開始ッ!!!!」


会場全体で開始までの秒数を声に出し、始まると同時に大きなブザーのような音が流れた。


「競技空の枠...開始です!!!」


アナウンスがそう言うと選手たちは一斉に動き出しす。


俺は初めての参戦だったので、一旦傍観しようと辺りを見渡すと、気づけば全ての選手たちから銃口を向けられていた。


「マスター!! こちらニーズヘッグ、バリアを展開します」


ニーズヘッグがそう言うと同時に物凄い銃弾の雨が降り注いだ。


外から見れば一方的に攻めているように見えるが、中から見ている俺からすれば面白いくらいに弾が弾かれていく。


標的に銃を当てられることだけは褒めるべきだが、評価に値するのはそれだけだ。


辺りにいた選手たちは俺が墜ちたと思ったのだろう。


一旦、銃撃が止んだ。


「ニーズヘッグ......まだやれるか?」


「はは、ご冗談が過ぎますよ。一機も残さず撃墜してみせましょう」


「そうだよなニーズヘッグ!! こんだけ攻撃されたんだ! 俺も少し...頭にきちゃったなー。攻撃形態にしてニーズへック!!」


「攻撃形態へ移行、エンジンフル稼働...マスターは前方の的に集中、私はその他へと攻撃を仕掛けます」


激しい銃撃のせいで、爆煙が煙幕のようになり、視界を悪くしていた。

すると、選手たちは俺が完全に落ちたと思い込んでいたようで、モニター越しにニヤニヤと笑いあっていた。


しかし、そんなのはつかの間、突如前方から飛んできた物体により一機が胴体を貫かれ、水上へと落ちていく。


何が起こったのか理解することができずに、慌て出す一同。

そして、気づけば目の前には姿の違うニーズヘッグが、目にも止まらぬ速さで飛んでいた。


「な、何が起きたん...だ......」


言葉を発する間もなく、選手たちの機体が破壊され、次々に撃墜されていく。

目で追うことすらできず、ある者は強大な武器で切られ、ある者は爆発のする細長い物体により、飛行能力を奪われていく。

そしてようやく選手たちは気づいたのである。

自分たちは攻撃されていることに...。


「う、撃て! 撃てぇ!!」


「クソっ、どこに...うわああああああ」


「お家帰りたい...お家帰りたい...」


そんな頃、ヘリウ・キガスは、秘密裏に無線で繋がったなかまが悲痛な叫びとともに、機体が破壊され、水上へと沈むのを目の当たりにする。


対処のしきれない事態に選手たちは困惑し、少しのルール違反程度の作戦など無意味だったと教えられる。


ヨグ・ランスロットの乗る機体は光の速さに思えるほど速く、通った場所には青い線ような軌跡が残っている。

まさに彗星の如く飛び回る機体に完膚なきまでに敗北していくなかまたち。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、次は己の番だと思い知られる。


「ああ...綺麗で...美しい......」


撃墜される瞬間、彼の時間はゆっくりとなり、本物戦場のように思える。


死ぬことがないと思い込んでいた自分が恥ずかしい。

これが戦場であり、まさに恐怖である。


しかし何故だか負けるとわかっていて、無性に嬉しくもある。

今まではマナのためにも、負けることが死ぬことよりも嫌だった。


だが今はその負けが嬉しく、ついつい笑ってしまっていた。


気づけば機体は水上へと浮かんでおり、機体の上半身部分が切られている。


眩しい程の太陽光が目に入り、競技の終わりのアナウンスが流れた。


「ああ、負けた負けた!! ふふふっ、あははははははは... 」


そう言って大きく笑い、地面に倒れ込んだのはいつぶりだろうか...。


〜待機室〜


競技が終わりニーズヘッグに乗ったヨグは勝者として迎えられた。


しかし決闘とは違い、観客席からは盛大な拍手が送られる


彼らにも個人的に思うことはたくさんあるだろうが、文句を言ってくる者などはいなかった。


これが大人の貴族と子どもの差と言えばいいのだろうか。


大人の貴族の余裕というのを見れた気がした。


「ヨグ様ぁー!!!」


その声を聞いた俺は、即座に両手を広げて構える。

案の定、胸にリリィーが抱きついてくる。


「無事でよかったです! 競技が始まっていきなりヨグ様が狙われていて......心配で心配で......」


「あの程度なら大丈夫だよ。だからもう泣かないでリリィー! 俺はリリィーの笑顔の方が好きだよ」


「は、はいヨグ様!! えへへー!」


彼女リリィーの瞼についた涙を払い、ギュッと抱きしめる。

すると彼女は幸せそうに笑い、ギュッと抱き締め返してくる。

その様子を見ていたメリーヌは羨ましそうにし、近寄ってくると...。


「私も...心配したのに......」


「ん? め、メリーヌ!? なにやって......」


そう言った彼女メリーヌもこちらに飛び込んでくる。

全く目が不自由だというのに、無茶をするものだ。

もし俺が受け止め損ねて、怪我をしようものなら、即刻処刑ものだ。

いつまでも浮かれている訳にもいかず、その後は各枠で優勝者が決まり、壇上へと呼ばれる。

そして優勝賞金と勲章が与えられ、優勝者たちは誇るように胸を張っていた。


「こんな物、変に目立つだけじゃないか!」


「そうか? 良く似合っていると思うのだがな...」



そう言うのは運営終わりのスイレンであり、ちょうど彼女と一緒にレイトの部屋へと向かっていた。


彼女は手に大量の賞金の入ったケースを持っており、約束通りアイツらに渡すつもりだ。


これでアイツらも変に文句を言うこともないだろう。


部屋に到着し、ドアを開けると相変わらずの光景だった。


怪我をしたレイトに寄り添うセリス、そして横で仁王立ちをする王子。


先程から面子はかわっておらず、セリスはこちらの存在に気づくとすぐに「賞金は!」と言って偉そうにする。


「勝って来ましたよ。それから賞金はこちらにあります。これで文句はないですよね!」


「ええ、そこにあるモニターで見ていましたよ。それにしても貴方は本当にお強いですね...」


「俺をおだてても何も出ませんよ。それよりも約束、忘れていませんよね?」


「もちろん、わかっていますよ。彼女への謝罪...そして今後迷惑をかけないようにすればいいのですよね」


そう笑顔で言ったレイトは潔く謝罪をするようで、マナ嬢を部屋へと呼び出す。

彼女がその呼び出しに答えるかは不明だが、おそらく出てくるだろう。

なんて言ったってレイト自身が呼び出したのだ。

彼は性格上、自分の素性を誰にも話さない人間だ。

そんな人間から、話があると言われれば誰だって気になるだろう。


予定時間となるとドアがノックされる。

ドアが開くとそこにはマナ嬢の姿があった。

その後ろには取り巻きの連中も一緒だった。


「よく来てくれましたね...マナ」


「名前で呼ばないでくれるかな。 それで今更話ってなに?」


彼女がそう言うとレイトは立ち上がり頭を下げる。


「申し訳ございませんでした。私の勝手で貴方に大変な迷惑をかけてしまった」


「い、今更っ!! ...今更謝罪なんてしたって遅いんだよ!! あんな女に騙されて、私の何がいけないかったのさ!! 私は婚約者として愛していたのに...それなのに......」


「私は...セリスを愛してしまいました。でも貴方を傷つけたくないのも事実です。虫のいい話かもしれませんが、貴方にはこのことを知って傷つけたくなかった」


「そうやってまた逃げる気かい!! レイト、君は私に何一つ話してくれなかったのに! ふざけるのも大概にしてよ!!!」


そう言って、マナ嬢は大粒の涙を流し出す。

その表情からどれだけ彼女が我慢してきたかが、わかるほどに。

しかしその反面、レイトはどれだけのことを自分がしでかしたのかを、もっと悔いた方がいい。

何なら彼女に殴ってもいいと言ってやりたいくらいだった。


「私は貴方に傷ついてほしくかった。それだけが本心です」


「クソッ、お前!!!」


「あっ、ちょっ!!」


するとマナ嬢の取り巻きであるヘリウが、レイトに殴り掛かかろうとする。

正直殴られてもいいとは思うが、一応間に割り込み止めに入った。


「やめなさいッ!!」


「お、お嬢!! でも!!」


「もういい、こんな奴のために貴方立ちまで手を汚す必要はない。...うう、これからはもう他人よ!! 二度とその顔見せないで!!」


「わかりました。今までありがとうマナ...」


「グスッ...うう......」


そう言いきった彼女だが、未だ涙を流し続けているのだろう。

しかし、貴族としてそんな顔は見せまいと必死に隠していた。

そしてその場にはなんとも言えない空気が流れ、とてもじゃないがいたたまれない。


そんな彼女にヨグはハンカチを手渡す。


「へ?」


「いつまでも泣いていてはお綺麗な顔が台無しですよ。それにまだ学生ですから、出会いの場くらいいくらでもありますよ」


「フフ、そうね...グス...。貴方、口が上手いのね。あの堅物スイレンが貴方に夢中だと聞いたけど、これなら落とされても無理もないね」


「俺は事実を述べたまでですよ。皆さんが期待する程、俺は立派じゃないですし...」


「そう...でもそんなに甘い言葉を言われたら、勘違いくらいは......されるかもね。フフッ」























どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!

毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。

さてさてこんかいはどうだったでしょうか?

少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!


最後に感想とブックマーク、そして評価(☆☆☆☆→★★★★)をしてくれると、大変喜びます!

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