学園祭本番
第35話〜学園祭本番〜
学園の内側〜204号個室〜
学園祭の前日となった今日、学園内では大忙しで準備をしていた。
各自の出し物の準備はもちろん、個室の装飾や学園自体の装飾で多くの生徒が飛び交う中、特に実行委員会に選ばれた生徒たちはもう休む暇もなかった。
その証拠に実行委員に選ばれたスイレンは、こちらに戻ってきてはすぐに呼ばれてどこかへ行ってしまう。
彼女が頑張っている分、こちらの出し物の準備はスレイ、ウルト、ヨグ、リリィーの四人でせっせと終わらしていた。
ここで出し物の紹介をしておこうと思う。
何の店かと言えば、やはり学園祭王道の「メイド喫茶」ならぬ「和風メイド喫茶」をやる予定だ。
イメージとしてはリリィーやスイレンが、和風のメイド服を着てお客様をおもてなしをするのだ。
また和風メイド喫茶なので食べ物も団子やおにぎり、緑茶などがメインになってくる。
価格もおにぎりか団子のどちらかと、グリーンティーがついて百五十ドラ(百五十円)なので貴族はもちろん、一般のお客さんも無理なく払えるはずだ。
しかし、調理にあたって一つ問題があった。
それは事前に作る量である。
前例があればそれを参考にできるが、和風メイド喫茶など初めて聞いたと言う人の方が多い。
そのため前例がなく人気になるかも分からないので、多く作っても食材をダメしてしまうし、かと言って作らずにお客さんだけ来てもらっても困ってしまう。
スレイやウルトもそこまで商売に詳しいわけでもないため、俺たち四人は頭を抱えてしまう。
悩みながらも既に五十人分程のおにぎりと団子、飲み物を用意していた。
飲み物は足りないといけないためもう少し作る予定ではあるが、おにぎりや団子はとりあえず制作を中止する。
そして作り終えたおにぎりと団子をスレイとウルトが氷魔法で冷やした箱の中に入れる。
次におにぎりの付け合せとして、野菜の漬物と卵焼きを作っていく。
野菜は塩ずけにし、卵焼きには甘い砂糖のような味の茶色の粉をふりかけて焼いていく。
こちらもおにぎりと同じ量を用意し、これも同様に氷魔法で冷やした箱の中に入れた。
そうこうしているうちにもうお昼すぎになっていた。
スレイとウルトは魔法の使いすぎでまるで二日酔いのように気持ちが悪くなっていた。
俺は魔力こそあるが肝心な魔法が一切使うことができなかった。
初めて魔法が使えないことに気づいたとはいえ、宝の持ち腐れ過ぎる気もする。
そう落ち込む俺にスレイとウルトは仕方ないと言って、励ましてくれているが、正直申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。
その後、休憩を兼ねて昼食を取り、小一時間程休憩したら再び準備を再開する。
朝の時間よりは慌ただしさがなくなり、実行委員のスイレンもこちらに戻ってきた。
彼女は戻ってきたものの、その表情は悪くとても疲れている様子だった。
「はあー...」
ため息をつく彼女にリリィーが気を利かせて飲み物を持っていく。
すると彼女は飲み物を受けとり、そしてリリィーをぎゅっと抱きしめる。
「どどど、どうしたのですか!?」
リリィーは驚いて尻尾がピーンっとなってしまっている。
もちろんその様子を見ていた俺たちも驚いていた。
「はあー、すまないな...ヨグ。リリィーを少し借りるぞ! 私には癒しが必要なんだ」
そう言ってリリィーの胸元に顔をうずくめる彼女は幸せそうだった。
それを見てスレイやウルトもほっこりした表情をしていた。
おそらく学園内でこのやり取りを見れるのもここだけだろう。
〜一時間後〜
部屋の掃除、装飾が終わり後は本番を待つだけであった。
「よし! これで準備は終わりかな。みんなお疲れ様!」
「ああああああ! おわったーーーー!」
「ふう、さすがに僕も疲れたよ」
そう彼らは本当によくやってくれたと思っている。
朝早くから肉体労働と魔法を魔力が切れるまで使い、そしてお昼すぎにまた肉体労働だ。
そんな彼らには感謝してもしきれない。
だからこそ最初におもてなしをするのは彼らと決めていたのだ。
「リリィー!」
「はい!ヨグ様!」
俺はリリィーを部屋の裏へと呼んである服を渡す。
それはもちろん明日着てもらう制服であり、商人に頼んで特注で作ってもらったものだ。
リリィーは急いで着替え、その姿を見せてくる。
俺はその姿を見た瞬間、あまりの可愛さに叫びたくなったがグッとこらえる。
「ど、どうですか? ヨグ様...」
「良い、すごく良いよ!! やっぱりリリィーの服は赤色にして正解だったな」
そう言う俺の目の前には、和風のメイド服を着たリリィーが恥ずかしそうにしていた。
また袖の部分は和服のように長いものとなっており、ヒラヒラと揺れ動いている。
それに加えスカートにはストライプ状に赤と黒の色が交互に入っており、綺麗な模様のようになっている。
「リリィー! 明日はそれを着てお客さんの対応してもらうけど大丈夫そうかな?」
「え! これを着てやるんですか? ヨグ様に見られる分はいいですが...他の人に見られるのはちょっと恥ずかしいです。でもヨグ様のお願いなら頑張ります!」
「それじゃあ、練習がてらにあっちにいる三人に飲み物とこの団子を持っていこっか」
そう言って彼女にお盆を渡し、その上に団子と飲み物を一つずつ乗っけた。
「落とすと危ないからゆっくり運んで行こうか」
「はい、ヨグ様! それでは行ってきます!」
そう言って彼女は皆の前に姿を現すと、先程までぐでっていたスレイとウルトがすぐに元気になり、スイレンも少しばかりか笑顔になっていた。
やはりリリィーを看板娘にしておいて正解だったと改めて感じた。
なんて言っても彼女はその場にいるだけで場を和ませる力がある。
その力こそ「メイド」と言うある意味異世界ファンタジーには必須と言っても過言ではないだろう。
そう思いながらも俺はリリィーの勇姿を陰ながら見守っていた。
〜学園祭当日〜
朝早くから部屋へと集まっていた五人はいつお客さんが来てもいいように最終チェックをしていた。
男子組は料理、内装、外装のチェックをし、また机にメニューを置いていく。
女子組には昨日リリィーの着ていた服をスイレンにも渡し、着替えてもらっている。
そしてたった今着替えが終わったようだ。
「ヨグ様ぁ! 着替え終わりましたぁ!!」
「昨日は気にならなかったが意外とスカートが短いのだな。それに少し派手過ぎないか?」
「うちの看板ですからね。それくらいインパクトのある方がうけると思いまして...」
「確かに私はともかくリリィーは私から見ても可愛らしいからな」
「ええ、本当に...天使です」
「はぁ〜、相変わらず君は親バカだな...」
「でも可愛いでしょ?」
「ああ、それは否定しない。でも...」
そう言う彼女は「少しは私も...」と言ってその後は上手く聞き取れなかった。
「もうそろそろですね...」
俺はそう言って時計と入口のドアを見比べる。
そしてチャイムがなると同時にスレイとウルトがドアを開けると、そこには既に数十人のお客さんが見えていた。
「ようこそ! 和風メイド喫茶...『天使の羽衣へ』!!」
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