落ちた右腕と王子の決意
第27話〜落ちた右腕と王子の決意〜
「第四回戦は...レイト・ランクルト対する、現在三連勝中のヨグ・ランスロットォ!!」
ナレーションの声に合わせて、観客席はどんどん盛り上がっていった。
また歓声は、出場者にとって集中力を高めてくれるものであり、同時に緊張感も高めてくる。
しかし、目の前にいる相手からは、殺意しか感じられい。
相手の機体は、今まで戦った機体とそう大差ないが、銃のようなものを所持していた。
今までは剣や槍などの近距離で戦うものばかりだったので、少し嫌な予感がしてきた。
「それでは! 四回戦...開始だァ!!」
ナレーションの開始の合図とともに、相手の出方を警戒しつつ、魔力を溜めていく。
「ヨグ・ランスロット...貴方は確かに強い。しかし、その強すぎるが故に傲慢であったな!! 貴様がこの決闘に勝とうと、殿下に牙を向いた時点で、貴方は終わっていたのです!!」
そう言い放つと同時に、レイトは煙幕を展開し、空中へと飛び上がる。
「貴方が終わっていることは今更変わらない。ならばせめて私の手で終わらせてあげましょう。この対重装甲貫通弾でね!!」
大きく飛び上がった機体が、その場で制止し、持っていた銃を構え、そして大きな銃声と共に弾が発射された。
弾はニーズヘッグへと直撃し、赤い火花が飛び散りながら、爆発した。
「貴方は有望でしたよ...ただ、賢くなければ生き残れない」
段々と爆発した際に出た煙が、風により晴れていく。
そして、レイトの目に映ったのは、傷一つなく、先程と全く変わらないニーズヘッグの姿だった。
「そ、そんな!? なぜ、なぜ倒れない! ヨグ・ランスロットォ!」
彼は己の考えが浅はかだったと思い知らされるだろう。
なぜなら、そこに佇むは、ただの人が操る道具でないからだ。
そう、一匹の「竜」なのである。
「確かにこれはニーズヘッグじゃなきゃ、俺は死んでたかもな...」
「バカな!! 重装甲の竜騎兵装を簡単に貫通させる魔弾だぞ!! それを受けて無傷だと...ありえぬ、断じてありえぬ!!」
「ハハ! いやー、さすが貴族様ですね! 」
「な、何が言いたい、ヨグ・ランスロット!!」
「今ニーズヘッグで解析したところ、この威力は確実に殺そうとして、使用したみたいですね」
「そうか...わかっているなら、さっさと死んでいろヨグ・ランスロットォ!! だがこれしきのことで、万策尽きたとは思わぬ事だな! お前が死なぬのなら...」
レイトが次の一言を言う前に、俺は彼への忠告も兼ねて、釘を刺してやった。
「そんなに俺を殺したいなら勝手にしてろ。でもな、もしその殺意を俺の大切な人たちに向けてみろ...お前も潰すぞ」
「う、うがァ! き、貴様ァ...何を...」
空気が張り詰め、相手であるレイト以外に、会場にいた全員が息苦しさを感じ始める。
(マスターの脈数が増加、また魔力の収束を検知...怒りと判明...鎮静剤を投与。落ち着いてください、マスター)
ニーズヘッグの声により、怒りから解放され、自我が戻ってくる、
また投与された鎮静剤により、先程までの高まりは、嘘のように治まっていく。
「まあ、冗談だけどな。それに、この決闘に首を突っ込んだのは俺ですので、恨まれても仕方がないとは思いますけどね」
「はあ...はあ...な、なんなんだ。今の...!」
「答える義理はありませんので...それでは良い決闘でしたよ」
「なっ!?」
俺も空中へと飛び出し、一瞬でレイトの機体の真後ろへと着く。
そして...。
「さようなら、竜の少咆哮!!!」
レイトは状況が読み込めておらず、完全に油断していたため、真後ろから衝撃波をくらい、地面に叩きつけられる。
機体は地面へとめり込み、そして一撃で戦闘不能となる。
「しょ、勝者!! ヨグ・ランスロットォ!! 両者に拍手を!!」
四回戦目にしてやっとだが、リリィー以外からの拍手が増えていた。
どうやら、少しは俺のことを認めてもらえたのだろう。
なんと言っても、この一戦で王子の取り巻きを全員を倒したことになる。
観客の貴族たちは、おそらく俺の事を知らない貴族がほとんどだったので、一回戦目で負けると考えていただろう。
それがとんだ大番狂わせだっただろうな...色々とな...。
「よーっし! 最後も頑張るぞ!」
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その頃、王子は観客席にて...。
「さすがは転校生...俺の兄弟たちを意図も簡単に倒すとは恐れ入った。だが次はこの俺が相手だ...決して負けぬぞ。それじゃあ、行ってくるよセリス」
「は、はい! 頑張ってくださいレイル様...」
そう言って王子を見送った私、セリスです。
そして、このやり取りもついに五回目になりましたが、全員負けています。
しかし、負けてもらっては、こちらとしても困るのです。
なぜなら私は、子爵の一人娘として産まれたのですが、両親が毎日のように酒に溺れ、借金は膨らむばかり...そんな生活から抜け出すべく、私は王子に近づいたのですから。
「だから貴方には、絶対...絶対に...王になってもらわなきゃ困るのですよ」
しかしーーもちろん、王子たちに婚約者がいるのは知っていました。
なので最初は愛人にでもなれればいいと思っていました。
しかし、予想以上にあの王子は私を愛してしまった。
周りの婚約者たちには、恨まれても仕方がないと、思っています。
ですが、もう実家のような生活は送りたくないのです。
本当に...本当...に...。
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「第五回戦は王子! レイル・アナスタシア対する絶対的強者...ヨグ・ランスロットォ!!」
「さっきよりも俺の名前を呼ぶ前の一言が、どんどん物騒になってないか!? 」
(そんなことありませんよ、マスター。私としてはマスターには世界最強になってほしいですね)
「かいかぶりすぎだよ、ニーズヘッグ...俺は、そんな大層な人間にはなれない。今も昔もいつも現実から目を逸らして、逃げてたようなやつだぞ? そんなやつが世界最強なんておこがましいと思うよ」
(それは...前世のマスターのことですか?)
「前世...か」
その瞬間、思い出したくない、いや思い出してはいけない記憶が、脳裏を駆け巡る。
「真っ赤な部屋...倒れた人...泣き叫ぶ声...」
ピーピーピー!!!
「はっ! なんだ!? なんだ!?」
(マスター、決闘が始まりましたよ!)
「あ、ああ...すまない!」
俺は決闘へ集中し、目の前の敵をよく観察する。
王子の機体は、真っ白な装甲と真っ赤なマントを身につけており、また剣と盾を構えているその姿は、堂々たる王のようであった。
「特に動きを見せないがどうした転校生! よもや俺の鎧に怖気着いたのか? 先程までの威勢がまるで嘘みたいだな」
「ええ...正直なところ、あまり竜騎兵装同士で戦ったことがないんですよ、俺。まあ、まだ一度も負けてませんけど」
「ほう? ならこの俺がお前の初めてを奪ってやろう。それではゆくぞ!!!」
「殿下、言い方って...ありますよね...」
次の瞬間、王子は無謀にも盾を前に突進し、そのまま剣を振り下ろす。
しかし、剣はニーズヘッグの装甲により弾かれてしまう。
それでもなお、諦めない王子は何度も同じ箇所を狙って、剣を振ってくる。
同じ箇所を叩けば、いつかは装甲が剥がれるとでも思っているのだろうか。
「うおおおおおおおおおお!!!」
何度も何度も剣戟をくらうが、ニーズヘッグには傷一つついていなかった。
そんなことも知らずに、彼は無心で剣を振るう。
戦いの興奮によりでる、アドレナリンのせいで、その唯一の取り柄である冷静さもなくなっていた。
「うおおおおおおおおおお!!!」
「はぁー...殿下、貴方のその決意は賞賛に値しますが、これは決闘であり、勝ち負けが全てなのですよ」
「そう言うなら少しでも反撃の意思を見せてみるんだな、転校生!!」
「...反撃? フッ、笑わせないでくださいよ、殿下」
「ッ!? なっ、なんだっ!」
彼は自分の身に何が起こったのか、理解できなかっただろう。
なぜなら、気づけば左腕が吹き飛び、持っていた盾が粉々に粉砕したのだから。
「どこからの攻撃だ! 全く見えなかった...」
「攻撃が見えない? ただの尻尾ですよ、殿下」
「尻尾...だと?」
「ええ、私の機体は全て攻撃の手段となりうる。今の今までは魔力波でしか、わざと攻撃しなかっただけですよ。いざとなれば、勝負など一瞬で終わっていたんですよ」
「クッ、たかが左腕一本奪われたくらいで、俺が諦めるとでも思ったか!」
「諦めてくれるなら、俺も楽なんですけどね。まあ、予想どうり諦めてもらえないのであれば...もう少し、痛めつけるだけですかね」
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。
さてさてこんかいはどうだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!
続いて本当に私事でありますが話します。
この間カードショップに行った際、500円の遊戯王カードガチャがありまして、一度引いてみたところ、何とアーゼウスのシクが出てきてびっくりしました。
正直、分からない人もいると思いますので例えとして、2000円のものが500円で買えたと思っていただけると助かります。
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