決闘、と言う名の蹂躙③
第26話〜決闘、と言う名の蹂躙③〜
ハンスの機体に魔力の塊が直撃し、物凄い衝撃波が発生した。
それは、まるで地震でも起きたのかと思うほどの揺れを感じた。
すると目の前にいたはずの機体が吹き飛んでおり、魔法防壁に激突していた。
その様子を見ていた観客からは悲鳴のような声が聞こえてくる。
やはり王子の取り巻きと言うこともあり、少なからずファンのような生徒もいるのだろう。
そうして、吹き飛ばされたその後も身動きすることはなく。
どうやら中でパイロットが気絶しているようだった。
しかし、もし気絶しなかったとしても機体はボロボロで、中心部分には亀裂のようなものが無数に入っていた。
そのまま時間が経過すると、ついに審判が俺の勝ちを知らせた。
「勝者は...ヨグ・ランスロット!! ヨグ・ランスロットです!! 皆様、両者に拍手を!!」
「拍手を」とナレーションが言うが、観客席を見渡すが誰も拍手をする様子はなかった。
それは、なぜなら俺が勝つなど誰も予想していないからで、それに加え、もしここで拍手をすれば王子の敵対者と見なされることになる。
そうなれば、どんな貴族であっても世間的に苦しくなるのは目に見えていた。
パチパチパチ...。
しかし、観客席の中で一人だけ俺に声援を送ってくれている人物がいた。
その拍手は小さい音のはずなのに俺の耳にはよく聞こえた。
「ヨグ様ぁー!! おめでとうございまーす!!!」
そう言われ、俺は不意にも笑みがこぼれてしまう。
それに、その声で誰かはわかっていたが、一応その方向に目をやると、案の定そこにはリリィーの姿があった。
少し照れくさくも感じたが、何よりも嬉しく感じた。
俺は一度大きく息を吸って吐いた。
すると意外なくらい気が楽になり、気持ちを入れ替えられた。
「よーし! このまま二回戦も頑張るぞ、ニーズヘッグ!」
(はい、マスター!)
俺が心を入れ替え、再び決闘に集中する。
すると、ナレーションも次の対戦相手の説明を開始する。
「続いて第二回戦はー!! アルラ・ユーレタイリア対する、期待の新生、ヨグ・ランスロットだあ!! 」
そうナレーションが言うと同時に、対戦相手はその姿が顕になる。
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ここで彼の説明をしておこう。
彼はユーレタイリア家の長男で王子とは異母兄弟にあたる。
中でも彼は他の兄弟と違ってその才能は凡人と変わらない。
しかし、それをはるかに超えて顔の形は整っているため、モテ度なら彼に勝てる兄弟はいないだろう。
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そうして姿を表したアルラは、竜騎兵装に乗ってはいるものの、上半身の真ん中の操縦席だけが透明になっており丸見えだった。
最初は何故かと思ったがその理由もすぐにわかった。
「やぁ、可愛い子猫ちゃんたち!! 今日も君たちは美しい!! だけど僕も美しい!!」
そう言うと、観客席からは物凄い黄色い声援が飛んでいた。
「きゃああああああああああ!!! アルラさまーーー!! 」
「やばい! まじでかっこいい!! え、え、ヴェ!? 今こっち向いた!? 向いたよね!! やばい、まじ最高かもしれん!!」
声援と言っても普通のものから特殊なものまでと色々あった。
中にはガチ恋勢のような者もいるが、大半がかっこいい一択だった。
しかし、観客席にいた男性陣からは、見事なまでにブーイングの嵐だった。
どうやら、女性には好かれるが男性には好かれないらしい。
その証拠に男性陣からは「あいつだけは負けていい」、「顔だけのやつ」など酷い言われようだった。
そんな彼に少しだけ同情するが、決闘では手加減する気はない。
先程同様に叩き潰すのみである。
そうして、お互い竜騎兵装に身を包むとピリピリとした空気が流れ始める。
「それでは! 第二回戦を開始致します!!」
その合図とともに決闘が開始する。
しかし、相手は先程の俺の技を見ていたためか、どこか落ち着いていた。
そんな間にも俺は魔力を再び集中させていく。
(マスター! 充填完了です!)
「了解、ニーズヘッグ。それじゃあ、相手に何かされる前にこっちから行こうか!!」
突如動き出した俺に、反応しきれなかったアルラはおもむろに盾を前に構える。
「すまない、そんな盾ごときじゃこの技は塞ぎ切れないよ...ほら、竜の小咆哮」
そして盾に向かって思いっきり魔力をぶつけた。
案の定、盾は粉々に粉砕し、衝撃波で機体は壁へと激突していた。
砂煙が舞い上がり、その威力は一回戦目と変わらないものであった。
砂煙が晴れると壁にもたれかかり戦闘不能となっている機体の姿があった。
「なんと!? 第二回戦の勝者はヨグ・ランスロットだ!! それでは両者に健闘の拍手を...」
もちろん、拍手など一人を除いて聞こえてくるはずがなかった。
相変わらずリリィーだけはキャーキャーと応援してくれていた。
そんな中、スイレンとシニエスタの二人が観客席とは離れた場所で見ていることに気づいた。
シニエスタはいつも通り修道服に身を包んでいる。
またスイレンはいつもきている制服ではなく、式典とかで使いそうなしっかりめの服装だった。
一応は決闘の当事者として着ているのだろう。
そして第三回戦の相手が会場に出てきた。
三回戦目の相手はジャン・ジャンズだった。
彼はジャンズ家の長男で王子とは異母兄弟にあたる。
また彼は自信過剰で他の五人の中でも、戦闘においては負けず嫌いらしい。
そんな彼だが出てきて早々に挑発をしてきた。
「クリスとアルラに勝ったくらいで調子こいてんじゃねえぞ転校生。俺様が相手になるからには一筋縄じゃいかねえぞ!」
そう言う彼の負けず嫌いは相当なもののようで、試合開始と同時に無鉄砲にも攻撃をしてきたが、どれも単調で回避が容易であった。
「クソっ! 避けてばっかりで恥ずかしくねえのか! それとも俺様の攻撃が早すぎて避けるので精一杯なのか? だとしたらその機体もそこまで恐ろしくねえなあ!」
そうニーズヘッグを馬鹿にされ、俺は微かだが怒りを感じた。
「ニーズヘッグを馬鹿にするんじゃねえよ」
(マスターの脈が上昇、少量の鎮静剤を投与します。ご安心ください、マスター。私は何を言われようと大丈夫ですので)
そう言うニーズヘッグだったが、相手に馬鹿にされたままなのは癪なので...。
俺は魔力量を考えずに相手へとぶつけてやった。
すると、機体は弾け飛んで粉砕してしまう。
ニーズヘッグの調べによると、どうやら使い込まれた機体で耐久値が限界だったらしいことと、俺が魔力量を考えずに使ったことが原因らしい。
(マスター、今度から私がいいと言うまでは使って行けませんよ。今のように機体がバラバラになってしまいますので。今回はパイロットが無事でしたが、もしマスターが本気で魔力を込めたら無傷じゃすみません)
「ごめん、ニーズヘッグ。でも俺は大切なものを馬鹿にされるのは嫌いなんだよ」
(はい、わかっておりますよ...マスター)
そんな会話をしていた俺たちだったが、壊れた機体の中から出てきたジャンはそのままこちらに向かってくる。
彼は機体を失ってもなお、生身のまま決闘を続行しようとしていた。
だが、さすがに審判が見かねて止めに入った。
俺も最初は驚いたがこれはあくまでも決闘であり、決して殺し合いなどではない。
まあ、決闘で死んだ場合は事故死となるため咎められることもないらしい。
そんなことはさておき、続いての対戦相手が登場する。
「第四回戦は...」
もちろん誰が相手なのかもわかっていた。
それは王子の取り巻きの最後の一人であり、スイレンからは一番気をつけた方がいいと言われた相手だった。
それは...。
「...王子の右腕、レイト・ランクルト」
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