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決闘、と言う名の蹂躙

第24話〜決闘、と言う名の蹂躙〜







パーティー会場が一瞬、凍りついたように思えるほど、静まりかえる。

すると、一人の騎士が野次馬をかき分けて現れた。

そして、王子とその取り巻きの前へと立ち塞がったのだった。


敗北を目の前にしていた彼女らにとっては希望であったに違いない。

表向きだが誰もが味方にならない状況であっても、その正義を曲げない者こそ本物の騎士なのだ。


しかし、前世ではそんな大層なことなど一度もしてこなかった。


そんな俺だが、今となっては一国を背負う王子が相手であろうと容赦をする気などない。

もちろん、スレイとウルトは戻ってこいと言って焦ったように言葉を並べ、俺を呼び戻そうと必死だった。


だが俺は、その歩みを止めなかった。


「俺はヨグ・ランスロット、彼女らの代理として立候補させていただきます」


そう言うと、王子とその取り巻きたちは驚いていた。

すると、王子は俺に向かって睨みながらこう言った。


「転校生...何故だ」


その後に続いて取り巻きの一人も俺に向かって脅すように言う。


「転校生、立候補する意味を貴様わかっているのか? 貴様はスレインの取り巻きではないはずだ。それなのに何故、立候補したのだ?」


俺は怒りとうざったさを心の内に抑え込み、無理矢理笑顔を作って言い返した。


「確かにスレイン嬢と顔を会わせるのは初めてです。しかし、シニエスタさんとは顔見知りでしてね。一介の騎士として、大切な人とその友人を守るのは当然でしょう」


そう言うと王子は変わらない表情のまま、シニエスタの方へと視線を移し、こう言った。


「そうか、異端者と知り合いだったのか。だとして賢い判断とは思えないな! 貴様は学園に来たばかりでなにも知らないだろうが、そこの異端者は金のためならなんでもすると聞くぞ。そんなやつを庇って得などないぞ!」


「チッ...そういうのはどうでもいいので、決闘の勝敗方法と条件が先でしょう? ねえ、殿下?」


「条件だと? これはセリスが決めるべきか...よし!セリス、言ってやれ」


そう言われたセリスは困った表情を浮かべながらも、条件を言い出した。


「え、えーっと、私は皆と一緒にいたいだけなんです!...ですから、そちらが負けた際はもう...私たちに近づかないでください!!」


そう彼女が言い切ると、王子や取り巻きたちが「そうだそうだ」と言って追い討ちをかけてきた。

すると、俺がぶち壊した場の空気が再び蘇った。

その空気は、落ち目の人をあざけ笑うような嫌味っぽい感じだった。


これ以上は俺の堪忍袋の緒が切れそうだった。

しかし、自分自身に向かってここは我慢だと言い聞かせた。


「そうですか。それじゃあ、次にスレインさん。貴方は決闘に勝ったら何を望みますか」


俺がそう問うと彼女は冷静に考え、こう言った。


「私はあの女が殿下に近寄らなければ充分だ。それ以上もそれ以下も望まない」


「王妃という地位のためにそこまでするとは...あきれれて言葉も出せないな!」


王子がそう言うと、取り巻きたちも続いて挑発していた。

周りにいた他の生徒たちも、皆口を揃えて「もう終わり」だの、「落ち目の公爵家」だのと嘲笑う。

そして、言いたいことを言い切って満足したのか、王子やその取り巻きたちは勝ち誇ったようにドヤっていた。


俺は地面に落ちていた手袋を拾い上げると、思い切っきり王子の顔面へと投げつけた。

しかし、あと少しのところで受け止められてしまう。


「貴様っ!! なんのつもりだ!」


「なんのつもり? ...ふふ、笑わせるなよ。これは決闘なんだろ? 俺は敵と判断すれば、決して...容赦はしない。それにその汚ねえ顔が目障りでね。さあ、存分に叩き潰してやるよ...王子様」


「ふん、負け犬の遠吠えなどいくらでも言ってろ。貴様もせいぜい、決闘当日まで指をくわえて待っているんだな! アハハハハ!!!」


そうして、パーティー会場での一件は終わりを迎えた。

また、この件の噂はすぐに学校中に広がった。



翌朝、俺はいつもどうり教室へと向かっていると、他の生徒たちの視線がいつもより強く感じた。

中には故意に肩をぶつけて来たりと地味な嫌がらせをする者もいた。

だが、ぶつかってきた大半が肩を押さえて痛そうに去って行くため、喧嘩などにはならずに済んでいた。


そして、教室へ入ると予想通りのことが起こっていた。

俺の席の所には落書きがされ、この間よりもボロくなっている気がした。

すると、後ろにいたスレイとウルトが雑巾を持ってきて、俺の机を綺麗にしてくれた。

俺としては嬉しかったし、何よりも、この二人との関係が悪くならなかったのが救いだろう。

その後も二人は励ましてきたり、いつも通り教科書を貸してくれたりと、いつも以上に気を使ってくれた。


しかし、二人には俺と一緒にいると迷惑がかかるかもしれない。

そう思い、二人に素直に伝えると、二人は笑いながらこう言った。


「迷惑なんて...ヨグ、僕らはもう友だちじゃないか? それに僕たちはあの場で何もできなかった。それを君は堂々とやったし、君にしかできなかった」


「そうだぜ! 俺たちもあの場で言ってやりたいと思っていたが、力不足だな! それをお前はやってくれたんだ! 微力でも支援くらいは友として当然だろ!」


二人はそう言って、決闘当日までの間、他の生徒が近寄らないように目を光らせてくれていた。


決闘一日前。


俺は決闘を前にしてスレイン嬢の部屋に呼ばれていた。

部屋に入るとそこには、スレイン嬢とシニエスタさんが待ち構えていた。


「やっと来たようだなヨグ」


「遅くなって申し訳ない、それで何故俺らをここに?」


「もちろん決闘の件についてだ。この決闘は私が短気で起こってしまった。しかし、何故貴方は立候補した? 貴方のその冷静さならもっと上を目指せたはずだ」


「スレイン嬢...」


「スレインで構わないよ。貴方は一応私の騎士だからな」


「それではスレイン。俺は正直貴族の地位とかどうでもいいんだよ」


「そ、そうなのか、確か貴方は平民育ちだったな。だが先帝様に認められ貴族になった。それなら余計に地位を気にすると思ったが、意外と謙虚なのだな」


「うーんと、俺は貴族よりもなりたいものがあるので興味がないといいますか...」


「ほう、それは何かな?」


「えっと、恥ずかしながらドラゴンです」


「はぁ?」


「ドラゴンです...」


「っふふ、アハハ!! なるほどな、どうりでシニエスタが貴方を気に入るわけだ。二人とも揃いに揃って、ドラゴン好きとはな。これが笑わずにいられるか。まあ、事情は分かった。それでは改めて私のために戦ってくれ、ヨグ・ランスロット」


そう言われ俺は一応、騎士の誓いのポーズをする。


「はい、騎士としてお守りいたします」


俺がそう言った途端、スレインの顔が一瞬赤く染まった。

その様子を見ていたリリィーとシニエスタさんは何故か分からないが、ムッとした表情をしていた。

その時俺は一番聞かなきゃいけないことを思い出し口にする。


「スレイン、最後に一つだけ質問をしてもいいかな?」


「ああ、構わないよ」


「貴方はまだ王子が好きですか?」


「フフ、そうだなー。昔の私ならすぐに『はい』と言っていただろうな。だが今は、素直に『はい』とは言えないな」


「そうですか...それじゃあ、遠慮なくスレインの分も含めて潰してきますよ」


「アハハ、貴方といると、どこか楽しい感じがするな。それに貴方なら本当に、あの五人に勝ってしまいそうだな」


「もちろんスレインの手に勝利を...」


俺がそう言うとスレインはゆっくりと頷いた。

そして、俺はリリィーを連れて部屋を出ていこうとすると、シニエスタさんに呼び止められた。


「ヨグさん...」


「ん? どうしましたかシニエスタさん」


「私のこともシニエスタで構いません。それから、貴方に竜の御加護があらんことを」


「はい、頑張ってきますよ聖女様」


俺がそう言うと、シニエスタは嬉しそうに笑った。

何故か分からないが、リリィーはずっと、ムッとした表情をしていた


そして、ついに決闘当日。


学園の内側〜ドーム型運動場〜


決闘は休みの日に行うようで、ドーム型の運動場が決闘の場として設けられた。

運動場には学園の生徒全員が入ってもなお、席に空きが出るほど広かった。




どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!

先週は更新できず、申し訳なかったです。

なので月曜ですが更新させていただきます。


さてさてこんかいはどうだったでしょうか?


少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!


そして毎度のこと私事になりますが、先週は初めて短期バイトをしたのですが、めちゃくちゃしごかれまして...正直きつかった。

その分、推しにかける額が跳ね上がりましたね。


そんな無駄なようで充実した二日間を過ごさせていただきました。


それでは最後に簡単な挨拶になりますが、評価とブックマークと感想を忘れずにしていただけると、泣いて喜びます!

また次の更新で会いましょう!

ばいはい( ´ ▽ ` )ノ

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