学園の闇①
第20話〜学園の闇〜
翌朝
死んだように寝ていた俺は、小鳥の囀りで目が覚めた。
辺りは既に明るくなっており、一日寝込んでしまったに違いない。
それにしても昨日のアレはなんだったのだろうか。
今では痛みこそ消えているが体が重く怠さを感じた。
「喉...乾いたな」
そう思い立ち上がろうとすると、右腕に重りが着いているような重さを感じた。
恐る恐る布団をめくると、そこにはシニエスタさんの姿があった。
すると今までなかった感覚が帰ってきたようで、彼女体は柔らかく、そして甘い香りがし始める。
それに加えて彼女はスケスケの下着姿だ。
俺の理性も崩壊寸前であったため急いで彼女を起こそうとしていた時だった。
トントン...。
廊下側のドアがノックされる。
その瞬間、俺はデジャブを感じ、嫌な予感が背筋を凍らせる。
「おはようございますヨグ様ぁ! もう起きてますか?」
もしここで返事をしてしまえば前回同様、いやそれ以上にこの状況はまずい。
俺は一旦返事をしないまま、シニエスタを起こすことに集中する。
しかし、リリィーの野生の勘は恐ろしいものだった。
「起きてますよねヨグ様...。なんで返事してくれないのですか?」
俺は観念して返事をした。
「おはようリリィー、ちょっと今手が離せない状況なんだよ! だから...」
「嘘...ですよねヨグ様」
「ん!? う、嘘なんてリリィーに言うわけ...ないじゃないか」
リリィーの勘は恐ろしく鋭いようで俺はどんどん追い込まれていく。
もしこの状況を彼女に見られれば、俺の明日はないだろう。
「シニエスタさん...シニエスタさん! 起きてください!」
「ほえぇ? お、おはようございます。いい朝ですね〜」
「はい、って違う! とりあえず、俺はリリィーの相手をしてくるのでじっとしててください!」
そう言って俺は急いで廊下側のドアを開け、顔を出す。
すると、ドアの縁にリリィーが体育座りで待っていた。
その様子を見て俺は罪悪感で胸がいっぱいになった。
「ごめんリリィー、遅くなったよ」
「スンスン...スンスン。なんか甘い香りがしますね」
「うっ...いや〜。 そうだリリィー、朝ごはん食べに行こうよ。昨日案内された食堂で朝食にさ!」
「そうですねヨグ様!」
なんとかリリィーは機嫌を直してくれたようで俺はほっとした。
その後、俺は服を着替えリリィーと一緒に食堂へと向かった。
シニエスタさんも一応誘ってはみたが、朝は聖堂でやることがあると言っていたので、またの機会にでも誘うおと思う。
学園の内側〜生徒食堂〜
食堂に着くとそこにはすでに人だかりができていた。
中へはいるとまず看板が目に入ってきて、今日の朝食のメニューが書いてあった。
「今日はプレーンオムレツとワイルドダックのスープ、海藻サラダ。どれも美味しそうだねリリィー」
「はい、いい匂いがしてきて余計にお腹が空いてきました。...ん? あそこだけ人だかりがすごいですけどなにかあるのでしょうか?」
リリィーの目線の先には、一際目立っている所があった。
そして、一人の女子生徒が声を上げた。
「みんな、第一王子一向が来たわよ!!」
「キャー! レイル様かっこいい ー!!」
「こっち向いて王子様ー!!」
黄色い声援の中心には五人の男子生徒の姿があった。
しかも、五人とも美男でほかの男子生徒とは格が違った。
すると、五人の中でも一際目立っていた男子生徒が女子生徒へ向かって手を振りながらこう言った。
「やあ、みんなおはよう。今日もみんなの顔が見れて嬉しいな」
「「キャアアアーーー!!! 王子様ぁ!!」」
耳が少し痛むほどの声援が聞こえてくる。
学園の食堂へは初めて来るが、もしこれが日常であるなら慣れるには時間がかかりそうだ。
俺とリリィーはその様子を横目に、朝食の一セットを受け取る。
見た目はどれもシンプルなもので、特に見たことがない食材などは見当たらなかった。
「リリィー、あそこのふちにちょうど二人用の席があるからあそこにしよう」
俺とリリィーは王子一行の座る席から最も遠くの縁に座る。
「それじゃあ、いただきます!」
「いただきます」
リリィーも自然と手を合わせて、いただきますを言っていた。
食べ始めて少しすると王子一行から聞こえていた話し声がしなくなった。
なにかと思い、顔をあげると真横にはあの王子がこちらをじっと見つめていた。
「う、うわっ! びっくりした!」
「あはは、食事中にすまないな。初めて見る顔だったから見に来てしまった! おっと、挨拶が遅れたな! 俺は第一王子のレイル・アナスタシアだ。よろしくな転校生」
「えっあ、お、俺は...ヨグ・ランスロットです! それでこっちが従者のリリィーです」
「初めまして第一王子様」
「ほう、サラマンダー族か...珍しいな」
「ここらではサラマンダー族ってそんなに見ないんですか?」
「いや、父上から聞いていたが、転校生は古都出身であろう。確かあそこはサラマンダー族の偏見が根強かったはず。でも俺はそういうのはないから安心してくれ。そうだ! 良かったらこっちで食べないか? もっと君のことを聞かせて欲しい」
「ああいや、それは...」
俺はどう断ろうかと悩んでいると背後から何者かの声が聞こえてきた。
「あのー、レイル様!」
「ん? おお、セリスじゃないか! 相変わらず美しいな」
「い、いえ、そんな...私は綺麗なんかじゃないですよ!」
セリスと呼ばれる女子生徒は顔を赤らめながらも、第一王子の腕を掴むと、そのまま元の席へと戻っていった。
どうやら難は去ったようだった。
俺は再び席に着いて食事を再開する。
「ヨグ様、あの第一王子と言う人はなんだか豪快な人でしたね」
「ああ、人に好かれやすいのは確かだが俺はあまり好かないな。あのタイプの人間はだいたい面倒だからな」
「私も同感ですヨグ様」
その後、朝食を食べ終わった俺とリリィーは食べ終わった食器を片付け、各自の指定された教室へと向かった。
リリィーは校舎の一階の教室で、俺は三階の教室であったため、ここでリリィーとは一旦別れることになった。
学園の内側〜Sクラス〜
教室へとついたが中には誰もおらず静かな教室だった。
中の様子は変わったものはなく、黒板の前には教卓があり、その前には沢山の椅子と長机が並んでいる。
俺はどこに座ればいいのかわからなかった。
なので一番後ろの席の角へと座った。
「静かだな〜」
俺の呟やいた言葉がはっきりと聞こえるくらいには静かだった。
そして一人の時間にも飽きてきた時だった。
突如、教室のドアが空いたと思うと二人の男子生徒が入ってきた。
一人はメガネをかけ、ショートヘアくらいある茶色の髪がサラサラとなびいている。
もう一人はガタイが良くがっちりしていて、いかにもスポーツが得意そうなやつだった。
そして今気づいたことはこの世界の人はみんな顔がいい。
王子一行とは比べ物にならないが、あの二人の男子生徒も普通にイケメンだ。
そんな風に考えていると二人はこちらの方を見て駆け寄ってきた。
「なあなあ! さっき殿下と話してた人だろ?」
「えっ、ああ。そうだけどなにか?」
「ああ、ごめん。自己紹介が先だな。俺はSクラスで男爵家のスレイ・バズマンだ! 趣味は体を動かすことだ!よろしくな」
「お先に失礼して、僕も同じくSクラスで男爵家のウルト・ラバカだ。趣味は映画鑑賞と読書だ。よろしく転校生」
「えーっと、俺は男爵一位のヨグ・ランスロット...です。よ、よろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくていいよヨグ! これからは同じ学生だ! そうだ、色々聞きたいことがあったんだけど聞いていいか?」
「バカ! ヨグが困ってるだろ!! すまないヨグ、こいつグイグイ来るけど良い奴なんだ。許してくれよ」
「フッ...面白いな、あんたら」
「おっ! それが素だな」
「だからお前は少し自重しろ!」
どうやらこの学園生活も楽しくなる予感が俺にはしていてた。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
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