願いは叶う
第19話〜願いは叶う〜
学園の内側〜生徒寮〜
あらかた学園の案内が終わったあと、俺とリリィーは生徒寮へと案内された。
生徒寮は学園内に存在しているマンションのような建物で、学園に通う生徒全員が寝泊まりしているそうだ。
そして案内された部屋は最上階から一つ下の部屋だった。
「こちらがヨグ様のお部屋になります」
センさんがそう言いながらドアを開き、部屋の中の様子が見えてきた。
しかし、俺は部屋の中を見て驚いてしまう。
なぜなら部屋は既に誰かが暮らしているのか、女の子らしく可愛らしい家具が多く設置されていた。
またベッドや至る所に可愛らしい人形が飾られている。
どこからどう見ても部屋を間違えているとしか思えなかった。
「この部屋で本当にあってますか? どうみても女の子の部屋にしか見えないのですが」
「この部屋がヨグ様の部屋になります。もちろん同居人はいますがお相手の許可も得ていますのでご安心ください。それではリリィー様もお部屋に案内いたします」
「えっ、俺とリリィーは違う部屋なんですか!」
「はい、リリィー様は使用人コースの生徒ですので階層が違います。ご心配するでしょうが使用人と同じ階で暮らすのは無理だと言われる貴族の生徒もおりますのでご了承ください」
「でも...!」
「私は大丈夫ですヨグ様。ヨグ様と同じ部屋で過ごせないのは悲しいですし残念です。ですが一生会えないわけじゃないので私も我慢します」
「わかったよリリィー。でも寂しくなったり、困ったらいつでもおいで」
「はい! ヨグ様に会いたくなったらすぐに向かいます!」
「貴族の方にしては大変珍しい、お二人は仲の良いのですね。他の生徒も見習って欲しいくらいです。それではリリィー様こちらへ」
そう言ってリリィーを連れてセンさんは部屋を出ていった。
そうして唐突訪れる静けさに対して、俺は落ち着いてはいられなかった。
それは同居人がどんな人であるかという期待と不安からくるものだった。
ガチャ...。
奥の方でドアを開ける音が聞こえてきた。
どうやら同居人が帰って来たのだろう。
俺は焦りつつも姿勢を整え、満を持して待っていた。
そして姿を現したのは驚きの人物だった。
「し、シニエスタさん!?」
そう現れたのは俺たちを学園までの案内をしてくれたシニエスターさんだった。
その黒くて長い美しい髪の毛は、窓からの風でサラサラとなびいている。
また彼女はこちらを見るやいなや動揺はせず、凛としたたたずまいをしていた。
すると彼女は少しムッとした表情をしながらこう言った。
「学園長から話は伺っておりましたが、同居人といのはヨグさんの方でしたか...」
「や、やっぱり俺部屋変えてもらってきます。いくらなんでも男女が一つ屋根の下っていうのは、世間体的にまずいですから」
「いえ、別に追い出そうっていうわけじゃないんです! 他の生徒の中にも男女で同居していることもありますので。それよりも男性を...その部屋にあげたこともなかったもので...。ちょっと恥ずかしくって...」
そう言いながら照れるシニエスタさんの表情にはえげつない破壊力があったが、俺は何とか耐えきって見せた。
しかし、これからこれが毎日だと思うと先が思いやられる。
俺が俺じゃなくなる前にどうにかして対策をせねばならない。
「あっ、ごめんなさい。私ったらお茶も出さずに...ちょっと待っててくださいね」
そう言うと彼女は慌てて台所へ向かい、色々と準備をしていた。
そして数分ほど時間が過ぎると、部屋中に紅茶のような
いい匂いが充満し始める。
「お待たせしましたヨグさん。一応お茶をお入れしましたが飲めますか? もしお嫌いなら別のものもありますよ」
「いえ、俺はこれで大丈夫ですよ」
「お口に合うといいのですが...」
俺は彼女の持ってきた真っ白なマグカップを手に取り、一口お茶を飲んだ。
すると口の中ではフルーツの香りとお茶の香りがいっぱいに広がった。
「とても美味しいです!」
「本当ですか! お口に合ったなら良かったです...」
そう言いって彼女は一口お茶を啜った。
その姿も絵に描いてもおかしくないレベルの美しさだった。
特に黒い髪の毛はこの世界に来て俺以外では初めて出会ったかもしれない。
やはり異世界において黒髪ロングは貴重なのかもしれない。
そんなくだらないことを考えていると不意に彼女が話しかけてきた。
「それでヨグさん、同居するにあたって今後についてなのですが」
「シニエスタさんの生活に合わせますので、いつも通りで構いませんよ。あと寝る場所も床で大丈夫ですのでご心配なく!」
「だ、ダメですよ! 床でなんて寝させられません! 一応、私のベッドはダブルベッドなので問題なく寝れますよ」
「それは俺が俺じゃなくなる可能性があるので...それにシニエスタさんは聖女候補なのでしょう? それなら尚更男女関係のゴタゴタは最悪の事態を招きかねませんし」
「聖女候補...ですか。 いえ、その心配はありません。 私は聖女にはなれませんから」
そう言うと彼女は初めてあった時同様に暗い表情になってしまった。
シニエスタさんが抱えていた問題は聖女についてなのか。
「何故です? 学園長もセンさんも皆、貴方が聖女になるに違いないと言っておりましたが」
俺がそう言うと彼女は胸を抑えるような仕草をした。
「ヨグさんは聖女になる条件を知っておりますか?」
唐突に質問をされ困ってしまう。
しかし知らないものは知らないので首を横に振った。
「聖女になる条件というのは主に三つあります。まず一つ目が医学を学び回復魔術を行使できること。 二つ目、信者となる者が一人以上いること。 三つ目に多額のお金を協会に寄付することです。私は一つ目は難なくいけますが残り二つはどうにもできません。なので私が聖女になることはありま...せん」
そう言いきった彼女の顔には清々しさと諦めが伝わってきた。
そんな彼女を見ているとどうも無性に助けたくなってしまった。
そして俺は決意を固め彼女にこう言った。
「そうですか。ならすぐに解決できますね!」
そう言われた彼女はキョトンとした表情に変わった。
「えっ...あの、さっきの話を聞いてました? 」
「はい、聞いた上で大丈夫だと言いました」
「何を言って...」
「俺が貴方の信者になり、そして資金面でもサポートすれば問題ないでしょう? こう見えて俺は貴族の端くれですから。それに貴方を哀れんだのではなく、純粋に俺は貴方に聖女へとなって欲しい。だって貴方の心の底から優しさが感じられた。そんな貴方が否定されるなら、俺はいつだって肯定して見せますよ」
あああ、ちょっと格好つけて言ったけどバカ恥ずかしい!!
俺は恥ずかしさですぐにでもその場から逃げ出したかったが必死に耐える。
そしてシニエスタさんの方に目線を向けると彼女は涙を流して泣いていた。
「う...ゔう...グス...」
俺はそっと彼女の頭を撫で、背中をさすってあげた。
すると大粒の涙がポタポタと彼女の足元に零れ落ちていく。
その後彼女は泣きやみ、冷静さを取り戻していた。
すると彼女は俺に向かって一つ質問をしてきた。
「あのヨグさん、貴方は何故私にそこまでしてくれるのですか? 私たちって今日会ったばかりでしたよね? そんな私に資金面で協力してくれたり、一般的ではない宗教を信じる私をそこまで信用してくださったのにも理由があるのですか?」
「あー、なんででしょうね。でもなんでかシニスターさんを見ていたらリリィーのように思えてしまって...すみません失礼ですよね」
「フフっ、やっぱり貴方は面白い方ですね! 最初見た時から思っていましたがリリィーさんのこと大好きなのですね!」
「もちろんです! 彼女は俺にとって...俺にとって...」
それは突然の出来事だった。
俺の頭が突然として痛みを感じ始め、俺はその場に崩れるように手を着いた。
「助け、タスケテ...アツイ、アツイ...イタイ!!!」
「ヨグさん! 大丈夫ですか!! ヨグさん!!!!」
シニエスタさんの声がかすかに遠くなっていく感じがした。
そしてそのまま俺は意識をなくした。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。
さてさてこんかいはどうだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!
ここで報告しておきます!
来週、再来週は学面の関係でお休み致しますので気ままに待っていて欲しいです!
また8月は長期休暇に入るので投稿出来たらすると言う感じします。
それでは皆様ブックマークと評価と感想を押していただけると主は喜びます!
最後今後とも応援よろしくお願いします!




