表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/85

救われる者と救われぬ者

第15話〜救われる者と救われぬ者







〜古都の内側-宿〜


俺とリリィーは次の指示を待ちつつ、部屋で休息をとっていた。

部屋は以前よりも綺麗になっており、新築のような木の香りが鼻をくすぐる。

また、辺りを見渡すかぎり、俺たちの居ない間に、掃除をしてくれたようだ。


ここの宿主には、俺が貴族だと言ってはいないが、エルラさんや国の使用人が、よく訪れるのでバレている可能性が高い。

しかし、バレたからと言ってなにかされたわけでもないので、特には気にしなかった。


そんなことを考えていると、リリィーは俺の横にちょこんとすわり、尻尾をフリフリしている。


「そういえば、さっきは助かったよリリィー。まあ、その後の発言はちょっとびっくりしたけどね」


「ヨグ様に害をなす者は私が許しません。それにヨグ様はもう少し欲を出してもいいと思いますが...」


「そうかな? これでも大分欲を出してる方だと思うけどな。それに今はリリィーもニーズヘッグもいるから幸せだよ」


「えへへー、ヨグ様が幸せなら別にいいです!」


リリィーは少し照れを隠しているが、尻尾は正直者のようでブンブンとより早くなる。

そんな姿を見ていると、俺は無性に撫でたい衝動にかられ、頭をポンポンと撫でてやる。

すると、彼女の尻尾は今までにないくらいの速さで動いていた。

そんな風にイチャイチャしていると、突如ニーズヘッグの声が聞こえてきた。


「マスター! 何者かの生存反応を確認しました。あと数秒でドアがノックされます」


そう言われドアの方に目を移した瞬間、トントンとドアがノックされた。


「はい! どちら様でしょうか?」


「ぼ、僕だよ。アイラだよお兄さん! 助けてほしいんだ!」


急いでドアを開けると、そこには涙目になり、所々に怪我をしているアイラちゃんの姿がそこにはあった。


「アイラちゃん!? どうしたんだよその怪我! 」


「うぅ、お兄さん!」


アイラは思いっきり俺の胸へと飛び込んできて、泣き始める。

それに彼女は、先程から小刻みに震えていることから考えて、なにかまずい予感がしてきた。

そして、アイラが泣きやみ、もう一度何があったのかを聞いた。


「大丈夫だ。ここにはリリィーも、俺もいるから安心していいよ。だから、ゆっくりでいいから何があったんだ」


俺はそう言いながら、ニーズヘッグの回復魔法のようなもので、彼女の体の傷を癒していく。

すると、彼女は落ち着いたのか、すぐにことのあらすじを話し始めた。


「パーティーがお開きになったあと、僕と爺さんはお兄さんの所へ行こうって言ってたんだ。そして、廊下を歩いてたら急に変な黒ずくめの集団が現れて、僕と爺さんを襲ってきたんだ。でも爺さんは力も強いから、自力で逃げれたはずなのに、僕を逃がすって言ってあの場で残って...」


「アイラちゃん襲われた場所を教えてくれる?」


俺は立ち上がると同時に、ニーズヘッグにアイコンタクトを送り、武器へと変形させた。

その様子を見て、察したリリィーも盾を背負い、準備をしていた。

そして、アイラは俺たちを連れて、例の場所へと案内してくれた。


〜古都の内側-王城内〜


再び王城へと戻ってきた俺たちは、急いでグレイのいる場所へと向かった。

すると、所々に返り血や、捨てられた武器、そして黒ずくめの人間が転がってる。

しかし、そこにグレイの姿は見当たらない。


「お爺さん! お兄さんを連れてきたよ! どこにいるの!」


アイラがそう叫ぶが応答がない。

だんだんと嫌な予感が強くなっていった。

それは俺だけではなく、アイラも同様だった。


また地面には、血を引きずったような痕跡を見つけ、それを追っていく。

そして、一つの部屋の中へと続いており、そっとドアを開く。


「誰かいるのか...おい、嘘だろグレイ!?」


目の前には、体のいたるとことを切り刻まれ、血だらけで倒れている、グレイの姿がそこにはあった。

肌は赤い血の色とは対照的に、真っ青な色へと変色しており、息もしていなかった。

そんな中、アイラとリリィーの声が、こちらに向かって近づいてくる。


「ニーズヘッグ...グレイは回復させられるか?」


(マスターその要望には答えられません。もう彼の生存反応は...)


「くっ...わかってる。ああ、わかってるんだ!!」


そう、分かりきっていたことなのだ。

グレイは何者かによって殺された。

だが、この事実が受け止められない程、俺も子どもではない。

しかし...しかし、俺は初めてこの世界で、人の死を見たはずなのに、何度も見てきたように感じる。


目の前が真っ暗になっていく。

だんだんと自分が自分じゃなくなる、そんな感覚が容赦なく襲いかかる。

そして、俺の中の何かが溢れだし、ついには限界を迎えた。


「ああ...ああ......俺は、ワタシ(・・・)はぁ!?」


「ヨグ様!!」


孤独な闇の中にいたはずが熱い、真っ赤に燃え上がる炎に包まれたように感じられる。

そして、気がつくとそこには、俺を抱きしめるリリィーの姿があった。


「ああ、ああ、リリィー...」


「大丈夫...大丈夫ですから。だからヨグ様まで()()()にいかないでください! 私がどこまでもついていますから!!」


そう言ってリリィーは、俺をより一層強く抱きしめる。

すると、俺の荒れていた心が、落ち着きだした。

まるで産まれる前の胎児に、戻ったような安心感だった。


「ありがとうリリィー、俺はもう大丈夫だから」


「えへへ、ヨグ様が元気になって嬉しいです」


「おーいお兄さんたちそこの部屋にいるの?」


「はっ! 来ちゃだめだ!!」


俺はふと我に返り、アイラを制止したが、結局最も恐れていたことが現実になってしまった。


「えっ...うそ......嘘だよね。ねえお爺さん、お爺さん! なんで返事をしてくれないの? そうだ! 寝ているだけだよね。そうだよねお兄さん...」


「アイラちゃん...。グレイは死んだ。ごめん、助けられなかった」


「...何言ってるのお兄さん。だってまだ生きて...生きて......」


そう言って、アイラはその場に泣き崩れ、どうにもグレイの死を受け入れられずにいた。

そして、次の瞬間だった。


「嫌だ、嫌だよ...。なんでみんな僕を置いて先に行っちゃうんだよ。僕が何をしたって言うだよ。ねえ、誰か教えてよ! ねえ! ねえってば!!」


彼女の声が、部屋中に鳴り響いた。

その声は悲しみだけでなく、怒りや憎しみといったものが、混ざっているように感じる。

そして、彼女は立ち上がると、グレイの横まで歩き、そして次の瞬間だった。


「ごめん、ごめんなさいお兄さん、リリィーさん。もう僕はこんな世界じゃ息ができないよ」


「ま、待って待て待て待て!!!」


彼女は地面に落ちていた刃物を手に取ると、おもむろに自分の方へと向ける。

俺とリリィーは急いで止めに入ろうと動き出すが、もう遅かった。


「ごめん、ごめんな...さい......」


彼女はそう言って、持っていた刃物を思いっきり振り上げ、突き刺した。

しかし、その刃物は彼女の肌に届くことはなかった。

だが、刃先からは赤い鮮血が飛び散り、彼女の手にも付着した。

そして、自分の手を見て、アイラは自分が死んでいないことに気づき、また涙を流す。


「うっ...」


「な、なんで! なんで邪魔するのお兄さん!!」


彼女の刃物は、間一髪のところで俺の腕へと突き刺さり、刃は俺の骨を断ち切ることができずに、止まっていた。

腕から激痛が走り、今にも泣きそうだったが、そこは我慢した。

そして、彼女から刃物を取り上げると、俺は痛みに悶えながら抜き、後ろへと投げ捨てた。


「あはは、初めて刺されたけど痛えなぁ。でもアイラちゃんに怪我がなくて良かったよ。うん、本当に良かった」


「なんで...なんでいつもお兄さんは僕に優しくするんだよ。そんなことされたら僕は...僕は......甘えちゃうじゃんかぁー...うわあああああぁぁぁ」


そう言って、アイラちゃんは大きな声で泣き始め、地面に膝を着いた。

しかし、俺はいい言葉がかけられずにいた。

もちろん彼女の悲しみも、苦しみも痛いほどわかっている。

だが、彼女の大切な人たちはみな、戻ってくることは無い。

だからこそ、彼女には拠り所が必要なのだろう。

そんな重要な存在に果たして俺はなれるのだろうか。


いや...無理だ。俺にはできない。


その瞬間から、心がどんどん蝕まれ、本当は存在しない痛みが感じれる。

俺はそんな状況から、目を逸らすように、瞳を閉じ、引きこもる。

すると、彼女の泣き声が響き渡り、まるで拷問のように心が抉られる。


そして、目を閉じ続けていると、周囲の音が消え、感覚がふわりとし始める。


俺は目を開けると、そこはあの時のような真っ白な世界で、目の前には鏡が現れる。

しかし、その鏡に俺は()()ことは決してなかった。

そして再び目を閉じ、そして開ける。


すると、目の前には鏡ではなく、一人の少女が映し出されていた。


















どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!

毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。

さてさて今回の話はどうだったでしょうか?

少しグロい描写もありますが個人的にはやっとダークファンタジー系になってきて面白くなっております!(ワクワク)

そして来週ももちろん同じ時間で更新出来れば良いのですが不安で仕方ありません。

そんなことはさておき短い文章にはなりますが少しでもドラなりを面白いと思っていただけたら嬉しいです。

最後に感想と評価を忘れずによろしくお願いしますm(_ _)m

誤字脱字や指摘等がございましたらTwitterか感想ついでに送ってくれると嬉しいです!

改めて応援よろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ