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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episodeー05 機械人形の国のアリス
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Scene:07 ロボット軍団襲来(2)

 その時、アリスの家の入口である亀裂きれつから、ロボット兵士が次々に出て来た。みんな、手に剣を携えていた。

「おやおや、向こうからおでなすったね」

 メルザとその副官達が腰を上げた。

 と同時にアルスヴィッドの兵士達の背後からも、多くのロボット兵士が歩いて来ているのが見えた。キャミル達はいつの間にかロボット兵士達に取り囲まれていた。

「こいつらは何だ?」

「さっき言ったアリスって奴の手下だよ!」

 キャミルの問いにカーラが答えた。

「まさか、シャミルが?」

 しかし、それを考えるひまもなく、取り囲んだロボット兵士達が一斉に襲って来た。

「マサムネ! ここを頼む! 私はあの中に入る!」

「分かりました! 全軍突撃!」

 シャミルのことが心配でたまらないキャミルの心情が分かっているマサムネは、後ろから迫って来ていたロボット兵士に部隊を向かわせた。まず、レーザーガンを放ったが、パーソナルシールドで跳ね返されたことから、剣を抜いて突撃をすると、アルスヴィッドの兵士とロボット兵士が激突し白兵戦が始まった。しかし、ロボット兵士のよろいのような装甲に、兵士達の剣は歯が立たなかった。

関節かんせつ部分をねらえ!」

 マサムネの指示で、アルスヴィッドの兵士達が、装甲が薄くなっている腕や足の関節かんせつ部分を攻撃すると、兵士達の剣でも腕や足を切り落とし、ロボット兵士を行動不能にすることができた。しかし、それだけ攻撃ポイントが限られてしまうこととなり、白兵戦はかなりの混戦模様になっていた。

 一方、キャミルは亀裂きれつの方に向かったが、そちらからも多くのロボット兵士が襲い掛かって来ており、なかなか亀裂きれつの中にたどり着けなかった。

 キャミルが相手をしていたロボット兵士の頭部がいきなり吹っ飛んでいった。

「キャミル! こいつらはアタイが相手をしているから、早く船長の元に!」

 太刀たちを構えたカーラが大声で言った。そのそばには頭をかかえたサーニャがくっついていた。

「すまない、カーラ! 先に行かせてもらう!」

 しかし、亀裂きれつに向かうキャミルにもなくロボット兵士が襲い掛かって来ていた。

 また、キャミルが相手をしていたロボット兵士の胴体が突然、横に切断された。

 そのロボット兵士の背後からメルザがいつもどおりの冷めた微笑みを浮かべて立っていた。

「キャミルさん。私も行くよ。ここはシャミルさんを助け出すためにも、とりあえず協力するしかないだろう?」

「……やむを得ないな」

「キャミルさんと一緒なら怖い物なしさ。アズミ! ファルア! 援護しな!」

 そう言うと、メルザは一足先に亀裂きれつに突進して行った。そのメルザに襲い掛かって来るロボット兵士達を、アズミが鎖鎌くさりがまのような武器を、ファルアはその身長からは不釣ふつり合いなほど大きな棍棒こんぼうを振り回し、なぎ倒していた。メルザの二人の副官達も相当な攻撃力を持っているようだ。

 そうして崩れたロボット兵士達の包囲網を突破して、キャミルもメルザのすぐ後を追いかけて行った。

 亀裂きれつの中に入ったキャミルとメルザに対して、亀裂きれつの奥からいてくるように止めどなくロボット兵士達が襲い掛かって来たが、剣の達人であるこの二人には、相手がロボットであることは関係なく、装甲ボディであっても見事に切断することができていた。しかし、早くシャミルの元に行くことが第一の目標であるキャミルとメルザは、敵の相手をすることは最小限にして、できる限りやり過ごしながら、トンネルのような亀裂きれつの奥に進んで行った。

 しばらく進むと、キャミルとメルザはロボット工場の所までやって来た。

「次から次に出てくる訳だ。ここでどんどんとお仲間を造っていたとはねえ」

 さすがのメルザもあきれたように言った。

 その長い廊下ろうかの奥からも、次々にロボット兵士が現れてきた。

 キャミルとメルザはその相手をせざるを得ず、なかなか前に進むことができなかったが、アズミとファルアが追いついて援護をしだすと、余裕が出てきて、少しずつではあるが、前に進むことができた。

 そんなことを繰り返しながら、二人は戦闘機工場を過ぎる所までやって来た。目の前には外の光が輝いており、そして左手には廊下ろうかが延びているT字路までやって来た。

「キャミルさん。向こうはどうやら外に向かって開けている宇宙船の発着場所のようだね」

「そのようだな。そうすると……」

「どっちに行く? 二手に分かれるかい?」

 キャミルは少し真っ直ぐと伸びた廊下の方に小走りで走ると、すぐに立ち止まりUターンして、元の場所まで戻って来た。

「こっちだ」

 キャミルは、左に向かっていた廊下ろうかを指差した。

「エペ・クレールが教えてくれたのかい?」

「何?」

 キャミルが不審ふしんげな顔をしてメルザを見つめたが、メルザは廊下ろうかの先に視線を移した。

「早く行ってあげようじゃないか、キャミルさん」

「そ、そうだな」

 二人はその廊下ろうかを走り出した。

 前からはまた大勢のロボット兵士が迎え撃って来た。


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