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新しい人生のはじめ方~無特典で異世界転移させられました~  作者: HAL
第3部 幸せは自分次第

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魔術都市アレ・テタル 小鬼討伐



 べちゃ。

 発酵してべとべとになった物が皮膚を流れて落ちた。


「……よくもやってくれたわねっ」


 顔面にぶつけられた腐った果実を手で拭き落としたコズエは、木の上からキシキシと嫌な笑い声で挑発する小鬼を睨みつけた。

 山村を苦しめる小鬼は武器の届かない木の上から物を投げ、自分達を討伐しに来た冒険者たちをあざ笑っている。剣も槍も届かない、身軽な小鬼は矢もひょいひょいと避けてしまう。


「射るのやめとけ、矢がもったいねぇ」

「ムカつくな、あれは」

「鬼って言うより、猿ですよね」


 槍を手放したコズエが地面に座り込んだ。


「コズエちゃん?」

「矢はもったいないけど、石だったらもったいなくないでしょ」


 コズエは足元の腐葉土をぎゅっと両手で固めて握った。硬くなれと念じて握った腐葉土が、粘土を固め乾かしたような土団子へと変わっていた。


「どんどん作りますから、バンバン投げちゃってください」


 そう言って手渡された土団子は、岩石でできているかのように硬く、投げるのにも丁度いい重さだ。ヒロは次々と出来上がる土団子を小鬼めがけて投げつけた。コウメイとアキラもヒロに続いて土団子を投げはじめる。

 地上からの反撃に驚いた一匹が、足を滑らせて木から落ちかかった。一番下の枝を捕まえて落下を防いだが、コズエに代わって槍を持ったサツキの一突きであっけなく絶命した。


「ギギギィィー」


 地上から反撃を食らったのが余程腹立たしかったのか、小鬼の群れは逃走せず、木の実を千切りとっては投げ始めた。

 木上対地上の投擲合戦だ。

 まばらに襲ってくる矢は避けられたが、隙間なく続けざまに投げられる土団子は避けにくい。枝から枝へと逃げようとして仲間にぶつかったり、細枝が重みに耐えられず軋んだり。混乱状態の小鬼の群れに容赦なく土団子をぶつけてゆく。コズエの魔力で固められた土団子は岩石ほどに硬く当たればダメージ必至だ。

 射程距離に入った小鬼を切り、落ちた小鬼を刺し、と少しずつ小鬼の数が減ってきた。


「あ、そろそろ魔力切れっぽい」


 腐葉土を握り固めても硬くならなくなってきたとコズエがヘルプを出した。


「続きは私がやります」


 そう言ってコズエに槍を返したサツキは、群れの中で最も大きな小鬼に向かって水を投げつけて呼吸を阻害する。

 ぽとり、ぼとりと小鬼が落ちてきたところに、腐った果実をぶつけられた恨みを晴らすべくコズエの槍が突き刺さる。


「よくもっ、やって、くれたわねっ」


 ぶす、ぐさっ、ぶすり。


「お風呂に入れないのに、どうしてくれるのよっ」

「村長さん家で洗い場借りれるといいなぁ」

「果物の汁って染みになりやすいんじゃねぇの?」

「着替え持ってきてて良かったですね」


 不利を悟った小鬼の群れが逃げ去った。

 地面に転がる小鬼を回収して村に運び、村長に討伐の確認してもらう。


「群れのボスを退治してくれたのか、助かるよ」


 身体の大きな一体が小鬼の群れのボスだったらしい。初日に屠った数は十五体。討伐証明部位の右親指を切り落とし魔石を取り出してから、村長の指示で村はずれに掘られた穴に小鬼の死体を捨ててゆく。


「この村を襲う小鬼の群れは三つだ。全滅は無理でも、残る群れのボスの退治は必ずお願いしたい」


 村に滞在中の寝床は、村長宅の納屋の二階だ。藁の寝床はずいぶんと久しぶりで懐かしくなる。藁のベッドに寝転がった五人は、明日からの作戦を練り直していた。


「木の上から引きずりおろせば、小鬼はそんなに難しい相手じゃない。明日はサツキちゃんとアキが魔法で小鬼を落として、俺たちがとどめを刺すのでいいだろ」

「群れのボスなんてどうやって見分けたらいいのかな」

「身体の大きな小鬼を片っ端から屠ればいいんじゃないか? ボスかどうかは村長に判断してもらえばいい」

「ボス小鬼を全部しとめたら依頼達成になりそうだな」

「全滅させろって言われなくて助かりましたね」


 ふわぁ、と誰からともなくあくびが出た。


「明日は村から遠い縄張りの小鬼のところだろう……死体を持ち帰るの、面倒だな」

「見せなきゃ討伐したと認めねぇって言うんだ、仕方ねぇ」

「重いし、折角運んできても見せ終わったらまた運び出しですからね、何とかなりませんかね」


 屠った場所で埋めてしまえば楽なのに。


「村長を説得できる材料が欲しいな」


 乾いた藁の香りに、疲れが癒される気がした。ご馳走になった夕食のヤギ乳を使ったシチューも美味かった。安い依頼仕事だが悪くは無い。そんな風に思いながらゆっくりと目を閉じた。


   +++


 翌朝、朝食をとっていると、残党狩りのため待機している里からギルド職員が訪ねてきた。

 これまでも盗賊団の隠れ里に待機している人員が、交代で村の様子を見に来ていたらしい。小鬼の被害は知っていたが、監視の仕事を抜けるわけにもゆかず、歯がゆい思いをしていたところにやっと冒険者がやってきたと嬉しそうなギルド職員から、小鬼の群れの情報をもらった。


「君達がしとめたボスの群れは、村に近い場所を縄張りにしていた。そのボスが死んだとなると、他の群れが縄張りを広げてくるだろう。村の被害をなくすためにも、それぞれのボスと次のボス候補を屠って小鬼全体の勢いを削ぐ必要がある」

「私達にはどれがボスなのか見分けがつかないんですけど、なにか特長とかありますか?」

「たいていは身体の大きな個体がボスだが、俺たちが待機しているあたりを縄張りにしている群れは、他の小鬼よりも手の長いのがボスのようだ。身体が大きいとか、頭がでかいとか、手が長いとか、他の小鬼と違う身体つきの小鬼を全部屠っておけば間違いはないと思うぞ」


 ギルド職員を仲介にして村長と交渉し、討伐の確認方法も変えてもらった。一定の数を屠ったら村に報告に行き、村長か村長の代理人に討伐の確認をしてもらう。それが終わればその場で穴を掘り後処理が終わる。

 五人はギルド職員に教わった群れを探しに山に入った。木々のまばらな山肌、野生の果樹が実をつけた林で小鬼の群れと遭遇した。


「全部手が長くてボスの見分けつきません」

「とりあえず、デカイのから片付けていこうか」


 果樹を投げつけられる前に、こちらからの先制攻撃開始だ。

 アキラがボス狙いで身体の大きな小鬼の呼吸を阻害してゆく。サツキは逃げようとする小鬼を優先して溺れさせた。ぼとり、ぼとりと地面に落ちて苦しむ小鬼に抵抗されることなくとどめを刺してゆく。


「長い手は間合いがとりにくいと警戒してたんだが」

「鋭い爪の切れ味がいいって図鑑に書いてたから対策練ってたんだけどな」

「サツキたちのおかげで無傷でいられますね」


 狂鳥や羽蜥蜴、小鬼のような地上に降りてこない魔物と戦うのは難しいと一般的には言われているのだが。


「そっちに転がってるヤツにさっさととどめ刺してくれ。次に移れない」

「コズエちゃん、次はあの木の小鬼を狙うから」


 サツキが溺れさせられるのは同時に二体が限度だが、アキラは五体同時にそれぞれを呼吸困難にできた。コウメイとヒロの二人ではとどめを刺すのも追いつかない。


「もっとゆっくり頼むぜ」

「ボスに逃げられたらどうする」

「大粒の雨みたいに降ってこられても、追いつけません」


 確実に絶命したと確かめてから次の小鬼に移るのだが、その前に新しい小鬼が木から落ちてくるのだ。


「サツキちゃん、アキの脇差借りてこっちに加勢してくれないか?」

「コズエ、手伝ってくれ」


 小鬼を木から落とす役割はアキラに任せ、四人でひたすらとどめを刺していった。


   +


 ヒロとコズエが村人を呼びに行っている間に、三人は小鬼の死体を一箇所に集めて討伐部位を切り落としにかかった。


「こいつか、こっちのがボスっぽいな」


 集められた小鬼の死体から、身体が大きな個体と、細身だが他の小鬼に比べて手が長い個体を見つけ出して避けておいた。

 証明部位はスライム布で作った巾着袋にずっしりと重く貯まっている。


「全部で三十二?」

「指の数は三十三ありますよ」

「じゃあどれか魔石を採り忘れてるな……」


 積み重なった小鬼の死体を見てうんざりした様子のコウメイは、早々に取りこぼしを探すことを諦めた。親指よりも魔石の値段の方が高いが、もう一度死体の山をひっくり返すほどの値段ではない。

 コウメイは転がっている果実を拾って服の裾で汚れを拭いた。小鬼が木の上から投げつけた果実だ。緑色で表面は硬いが、匂いを嗅ぐとほのかに甘さを感じた。ナイフで割ってみれば、厚い皮に守られた果肉は果汁たっぷりでみずみずしい。思わずかじりついていた。


「美味いぞ!」

「何を食っている」

「小鬼の投げてきた果実だよ」

「あの固いやつか」

「熟してないんじゃないですか?」


 半信半疑な兄妹にコウメイはナイフで切り分けた果実を渡した。


「……甘い」

「美味しいですね。皮がすごく硬いから食べごろには早いと思ってました」

「これを捨てておくのはもったいねぇぜ」


 あちこちに落ちている果実を拾い集め汚れを落とした。小鬼に投げつけられ地面に落ちた果実は堅い皮に守られ、ほとんど傷らしいものは見当たらない。少しばかり凹みのあるものもあったが、食べるのに支障はなさそうだ。


「木に成ってるヤツも採りたいけど、村の人たちに許可もらってからのほうがいいよな?」

「村が管理する果樹だったら色々問題になる」


 下手をしたら盗人だ。拾った分はまあ良かろうと判断して荷袋に入れた。


「……血の匂いをかぎつけて、獲物がきたぞ」


 山を縄張りにしている銀狼の群れが近づいているとアキラが剣を抜いた。コウメイは素早く辺りを見回し、戦いやすい足場を探す。サツキは自動弓に矢をセットし、いつでも打てるようにと身構える。


「五頭だ」


 林から飛び出してきたのは痩せた銀狼だった。身体の大きな三頭がコウメイたちを威嚇し、痩せ細った二頭は小鬼の死体に向かって走った。


「コレだけ大量の飯が目の前にありゃ、俺らを襲うこともねぇか」

「だが村長に確認させる前に食わせるわけにはゆかないだろう」

「サツキちゃん、あっちの二頭を頼む」

「はいっ」


 サツキは小鬼の死体にかぶりつこうとする銀狼に向けて矢を放った。

 三頭の銀狼の攻撃を躱し、コウメイは一番大きな銀狼を薙ぎ払う。

 アキラは銀狼の顔面に腐葉土を投げつけ、振り払う隙に斬りつける。

 五対三の戦いだったが、コズエたちが戻ってくる前に決着がついた。

 手早く銀狼を解体しながら、コウメイはコズエたちが向かった村の方角を何度も振り返る。


「早く来てくれねぇと、どんどん集まってくるぞ」


 これ以上の銀狼の群れがやってくれば、立地的にも人数的にも不利だ。小鬼の死体を放棄して逃げるしかなくなるが、その場合は討伐の証明はしてもらえるのだろうか。


「戻ってきたぞ」


 周囲を警戒していたアキラの緊張がほぐれた。

 コズエとヒロに案内されてやってきた三人の村人は、小鬼の死体の山と、銀狼の死体を見て顔色を変えた。


「ここはまだ村に近い。魔獣を誘き寄せては困る、はやく穴を掘って埋めよう」


 村人の持ってきた穴掘りの農具を借りて深く穴を掘り、小鬼の死体を放り込んでいく。ついでに銀狼の死体も埋めた。


「あんたら三人でこの銀狼もやったのか?」

「運が良かったんだよ。二頭は痩せ細ってたし、食う方に意識が向いてて攻撃が疎かになってたからな」

「十分に凄腕だろう。この分ならもう一つの群れも明日で終わりそうじゃ」


 山の村は切り開いた段々畑で穀物や野菜を育て、ウサギを狩り、鳥を育て、山羊の乳からチーズを作って自給自足に近い生活をしていた。村の収入源は薪と炭で、山から伐採した木を焼いて炭を作り、それを街で売っている。炭は燃料としても使われているが、アレ・テタルでは建築材としても使われているらしかった。


「アレ・テタルは地下室のある家が多い。地下はどうしても湿気がたまるだろう。炭をまぜた塗り土で壁を直すと、湿気がおさえられるんじゃ」

「最近は魔術師がスライムを使った壁土を売り出したみてぇだが、あっちは値段が高いからの、あまり売れておらんようだ」


 スライム素材は建築素材の分野にまで手を伸ばしているらしい。炭焼き職人がライバル視しているということは、除湿効果のある壁土なのだろうか。


「……どのスライムを使ったんだろう?」

「さあ?」


 捕獲以来スライムとは布切れ以外で係わったことはない。


「卵を頂いてもいいんですか?」

「あんたたちのおかげで小鬼がいなくなるんだ、これくらいはお礼をしないとね」

「ウチのチーズも食べておくれ。ちょっと癖はあるが、それがたまらなく美味しいんだよ」


 夕食のために野ウサギを狩って戻ったコウメイたちに、村のおかみさんたちは少しずつ自分達の食料を分けてくれた。おかげで野ウサギ肉の串焼きと山羊のチーズを乗せた黒パン、とき卵を加えた野菜スープという、充実した夕食になった。


   +++


 三日目は残る小鬼の群れを探して山を登った。村から最も遠い場所を縄張りにしている小鬼の群れは、一番小規模な群れだ。ボスもあまり強気ではなく、攻撃的でなかったため屠るのは難しくなかった。


「証明部位だけで確認してくれるのは助かるよね」

「村から人を呼ぶのも遠いし、死体を持って帰られても困るだろうしな」


 昨夜、村人から村長に進言があったらしく、小鬼の討伐確認はボス小鬼も含めて証明部位だけを持ち帰るので構わないとの言質を得た。おかげで後始末の面倒さに悩まなくてもすむ。

 地面に転がった十二体の小鬼から親指と魔石を回収し、コズエの土魔法で穴を掘って小鬼の死体を埋めてゆく。


「これで討伐対象は大体片付けたんだが、どうする?」

「時間があるなら昨日の果物を採りにいきませんか」


 サツキが真剣な表情で訴えた。


「あの果物でフルーツタルトを作りたいんです。パイにしてもいいですし、コンポートにしておけば長期の保存もできますし、色々なお菓子に応用できるんですっ」


 サツキは昨日果実を食べてからずっとレシピを考えていたらしかった。


「フルーツタルト食べたいですっ」

「……美味そうだ」

「お菓子はサツキちゃんのほうが上手いからなぁ」

「次のボスになりそうな小鬼がいないか確認しながら、果物を採取に行こうか」


 全員の意見が揃うのは早かった。


   +


 山を散策しながら角ウサギを狩り、いくつかの次期ボス候補の小鬼を屠る。昼食休憩後に昨日の討伐現場に向かい、木の上に成っている果実を風魔法で落として拾い集めた。

 日がくれる前に村に戻って証明部位を村長に確認してもらい、無事に依頼達成の署名を受け取った。街に戻るには遅い時間なのでもう一晩納屋を借りてゆっくりと休み、翌朝早くにコウメイたちは村を立った。


   +


「討伐部位が六十五個だったっけ?」

「魔石は一個少ない六十四個です。換金は討伐部位だけですよね?」

「ああ、魔石は魔法使いギルドに持ち込む。依頼報酬と討伐部位で二千ちょっとか」


 屠った数の割りに少ない成果だ。


「物足りないですね。帰りに魔猪でも狩って帰りますか?」

「荷物が多いんだ、止めておこう」


 全員の背負い袋には予定外の果物がたんまりと入っている。それ以外にも銀狼の皮と牙に、小鬼の魔石と討伐部位だ。箱台車の無い状態でこれ以上の荷物は身動きが取れなくなるとアキラが止めた。


「銀狼の分を入れればそれなりの額になるんだ。欲張って怪我をしたくない」

「そうですね、荷物背負ってて動きも鈍くなってるし、身体をキレイにしたいので早く帰りたいです」

「ベッドでゆっくり寝たい」


 乾草のベッドも悪くはなかったが、慣れない山道で疲れきっている。五人は真っ直ぐに北門を目指した。森を抜け、畑の間を通り過ぎ、四日ぶりの北門が見えてくる。


「行方不明事件、どうなってるでしょうね」

「解決してるといいんだがな」


 北門では予定通りに帰ってきたことを確認され、以前と同じように不審者や行方不明者の発見は無いかと確認された。


「今のところ一般民に行方不明者は増えていない」


 それだけに手がかりも見つけられず、警備隊による捜査と捜索は難航しているらしかった。

 五人は先にアパートに戻って荷物を解いた。サツキは早速果実の加工に手をつけるようだし、コズエとアキラは小鬼討伐での汚れ物の洗濯にかかった。コウメイとヒロが代表して報告と換金を引き受け、討伐部位を持ってギルドへと向かう。


「お疲れさまでした。確かに依頼達成を確認しました」


 マシューが笑顔でコウメイたちを労った。


「こんなに短期間で達成するとは思っていませんでした。ひと段落したら次の依頼もお願いできませんか。東の村からの討伐依頼なんですが」

「ちょっとまて、俺らはギルドの依頼はあんまり請けるつもりはねぇんだ」

「それは困ります。街にいる腕利きの冒険者達が警備隊に召集されてしまって、魔物討伐をする冒険者が足りないんですよ。切羽詰ってる依頼も多くて、なんとか助けてもらえませんか?」

「依頼は請けねぇが、俺らが魔物を狩るのはいいんだろ?」

「はい、討伐報酬は通常通りですから」


 依頼報酬を流してしまうのはもったいないのになぁというマシューの呟きを適当に流して、二人は掲示板に移動した。


「魔物の単価は上がってねぇな」

「素材の買い取り価格を上げてるみたいですね。暴牛の皮と羽蜥蜴の皮の単価が上がってます」

「警備隊の張り出しの方に新しい情報は無いな」


 新たな犠牲者が出てないのは良いが、解決にはまだまだ時間がかかりそうだ。

 掲示板の端の方にある新しい板紙を読んで、ヒロが首を傾げた。


「あれ、何でしょうか?」

「何か面白そうなネタでもあったか?」

「探し人のところなんですが……」


 ヒロが指差した板紙には、短く謎の記号が記されていた。


『探し人 当方は三C八番・体育委員』


やっと新しい転移者が出てきました。

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