作戦会議②
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「その情報は確定ですか?」
「使用する時があったのか?」
「いえ、NPCから前に聞きました。わたし達は神の力で復活しますが、NPCには蘇生薬を使っても出来て延命処置だろう、と」
お師匠様から聞きました。へびつかい座さんをお喚びした時に、わたしを蘇生してくれる云々の流れで、お師匠様に尋ねたのでしたね。
「……ならば尚更考えなければならないな」
「そうですね……カメリアさんの強さとカリスマ性は理解してますが、陣頭指揮を取るには支持が足りませんね」
「そういう君もカリスマ性はあるが大多数を率いるのは困難だろう」
「私は残念ながら一定数の男性からは毛嫌いされていますからね」
笑みを浮かべてそう言い切ったアーサーさん。
物腰柔らかく、聖騎士でクランマスターで……それでも?
「……ミツキ氏、顔が良くて強くてカリスマ性がある人は大体ケッ気に入らねえ!ってなる人が多いんですわ」
「アーサーは性格悪いですが外面は良いですからねアイタッ……ご覧の通り手を出すのも速いですが」
「……嵐スロットの言葉は聞き流してくださいね。なので私は陣頭指揮を取らせるのは、バルムンクのジークさんが良いと思いますよ」
「えっと、レダンを中心に活動されている方でしたよね」
バルムンクというクランを率いている、というのは聞きました。
アルヒラル遺跡のダンジョンボスのドラゴンをほぼ単騎で討伐した人ですよね。
「はい。彼は……そうですね、男性がついて行きたくなる男性と言いますか、実直で熱く男らしい兄貴肌の男……というのがバルムンクのプレイヤーが言う謳い文句ですね」
「な、なるほど……」
「私から見ても彼は陣頭指揮には持ってこいだと思いますよ。ミツキさんたちステラアークさんの立ち位置はわかりやすく言うと……事務局的立ち位置でしょう」
「事務局」
「言い得て妙ですなー」
事務局……なんとなくニュアンスはわかりますね。
わたし達ステラアークは、クエストが進むようにサポートする、みたいな感じですよね?
指示を出すのは向いてませんし、苦手です。
プレイヤーを鼓舞したりするのは、カリスマ性のあるプレイヤーに任せたいです。
「レダンを拠点にしているので、レダンのためなら喜んで力を貸すでしょう」
「そういう男だからな。準備するなら早いほうが良いだろう?連絡を入れておく」
「ありがとうございます」
「後はそうですね、悪魔との戦闘なので聖女とその親衛隊……プリーストの集まりのクランがありますから、彼女達にも声をかけましょう。悪魔であれば断らないはずです」
「プレイヤーで聖女とは、すごいですね」
「モモカ氏はめっちゃ頑張ったらしいですよう。まあ聖女とかボクには絶対無理ですけどね」
「はは、私も他人の為にそこまで献身なんて出来ませんから」
「聖騎士の言葉とは思えねえですわ」
聖女……聖女にもなれるんですねユアストは。
それに悪魔との戦闘なのでプリースト達の助力はほしいですよね。光属性の力も使えそうですし、回復もお任せできます。
「ああ、ならばアイテムを扱うクランにも声をかけていいんじゃないか?錬金クランとかあるだろう?」
「《アルケミスト》の所ですなー。まあ喜んで参加するんじゃないですかね」
「ミカゲは彼らと交流があるんですか?」
「ないですな。ボク一人で黙々と作るほうが性に合っているので、彼らみたいに切磋琢磨して新しいアイテム作るとか鳥肌ですわ。それに……」
ミカゲさんがそこで言葉を切ったので様子を窺います。一瞬何か考える様子を見せましたが、ニヤリと笑みを浮かべました。
「ボクの爆発薬の方がすごいですし!爆発力も威力も桁違いですわ!」
「……まあ、確かにミカゲのアイテムは威力が高いですね。高値で売れていますし」
「君の爆発薬の噂はよく聞くよ。オークションではすぐに売り切れてしまうそうだね」
「ふふーん。ボク印の爆発薬なので!」
ミカゲさんのアイテム、有名ですね。
確かに威力がすごいですし、前に広い所で使えという運営からの遠回しなメッセージもありましたからね。
「……ツテを使って様々なクランに声をかけましょう。しかし限りがあるので、個性と癖と偏見でピックアップしますので、後ほどミツキさんにお知らせしますね」
「は、はい。ありがとうございます。一般プレイヤーを集めるのにはどうしましょう?」
「有効なのは掲示板だろうな」
「掲示板ならアデラ氏に頼むのが一番ですわ」
「アデラさん……連絡入れますね」
ミカゲさんの助言を受けてアデラさんへメッセージを入れます。
「掲示板の使い方をよくわかってますし、顔も広いですからね」
「アデラであれば特定のレベルでの閲覧制限をかけた掲示板も作れます。参加基準はアデラの掲示板に書き込める事も組み込みましょう」
「そ、そんな事もできるんですね!」
掲示板も知らないことばかりです。
そんな機能もあるんですね……レベル制限とは。
アデラさんは魔眼の検証班だけじゃないんですね。
「私はソロプレイヤーに声をかけよう。私よりもクセが強いレベルも高い奴らがたくさんいるからね」
「魔境だぜマジで。ソロプレイヤーとか本当に人間なのか疑うんよ」
「アレですな、ホンモノが混ざってるんですよな」
「運営に手合わせでいいからプレイヤー同士戦わせろとメールしているんだが、そろそろ機能を実装してほしいな」
「カメリアは戦うの好きだよなぁ。弟くんもそう?」
「……」
「あれ?無視?俺も駄目か?」
「……チッ。戦うのは嫌いじゃねェよ」
「そ、そうか」
ずっと壁の花と化していたレンさんへと話しかけたグランさん。……舌打ちされていましたが、レンさん答えてくれましたね。
ソロプレイヤー……どんなプレイヤーがいるんでしょう。きっと個性際立つ方々なのでしょうね。
「そうしたらまた近い内に、クランマスターを集めた円卓会議をしましょう。ご都合はいかがでしょう?」
「……え、えっとテスト期間で……会議だけなら参加できるかもですが、平日だと夜ですね」
「テストか……懐かしい響きだぜ……」
「なるほど、学生はテスト期間ですね…………テスト期間ですか……」
「そんな時期もありましたね……」
グランさん、アーサーさん、嵐スロットさんが遠い目になりました。カメリアさんは苦笑しています。
「まあ大人がフォローすればいいさ。私はカリキュラムによるが……まあ平日夜はログインできるし、急ぎであれば連絡してくれ」
「急ぎクランを集めます。またその時にはこちらを使わせていただきたく」
「マイヤー氏に言っておきますわー」
「ミツキさんには再度クエストの説明をしてもらわなければなりませんが……」
「恐らく、すごい突っ込まれるかもしれないな。また弟を連れて、ミツキの後ろから睨みを効かせた方がいいぞ」
「……」
「番犬なら働くといいさ」
「……チッ」
「ま、まあレン氏は次回もミツキ氏の護衛として、ボクも補足説明で一緒にいる予定ですので」
「た、助かりますが、そこまで拘束してしまって良いでしょうか?」
「…………構わねェよ」
「……ありがとうございます」
多分わたし一人だと説得力も足らないと思いますので!レンさんとミカゲさんがいると、本当に心強いのです。何度でも言いますが!
「では私は早速連絡しますので、ここで失礼しますね。物資の準備は平行して進めますし、クランメンバーのレベル上げもしましょう」
「装備、武器周りも強化できるものは強化しましょうか」
「そうだな。私達もレベル上げと装備の強化か」
「カメリアのペースに合わせるの大変だからな……」
それぞれ挨拶をして、部屋から出て行きました。
確かに準備をしないとです。
あ、装備周りで思い出しました。兄をスカーレットさんの所に連れて行きたかったのです。
ソウくんにも声をかけましょう。
「ありがとうございますレンさん、ミカゲさん。わたし達も準備しないとですね」
「やっぱりアーサー氏やカメリア氏の顔の広さは頼りになりますわー。ボクも知り合いに声をかけつつ、アイテム作りますかねぇ」
「レンさんはレベル上げをします?」
「……磨ける力は磨いた方が良いからな。力もまだ使いこなせてねェし」
「……わたしもお師匠様たちと作戦会議してきますね」
「ミツキ氏はそれもあるんでしたな。何かあればすぐに連絡してくださいね。あ、あとミツキ氏は聞ければで良いんですが、ヘルプAIとかで参加証みたいなやつ作っていいかどうか聞いてもらっても良いです?」
「わ、わかりました。ヘルプで見てみますね!」
「アイテム持ってるかどうかで参加プレイヤーを識別できるなら楽ですからね!」
ミカゲさんからの言葉に頷き、マイヤーさんにお礼を告げて店から出ました。
レンさんは姿を消して、ミカゲさんは手を振って歩いて行きました。
ヘルプ……今日の午後はヘルプを確認しましょう。その参加証とやらがあったら楽になるらしいので。
ひとまず兄とソウくんに装備の相談メッセージを入れました。お昼まで時間は少しありますし、黄金のダンジョンとか向かいますかね。お金はいくらあっても良いので!
黄金のダンジョンに移動しました。
おお、この鼻をくすぐる中華の匂い!
「ダンジョン挑む前に腹ごしらえしなヨー」
「中華食ってけヨー」
「今なら体に良い健康料理もあるヨー」
チャイニーの皆さんが店を開いていました。
本日のチャイニーは黄金のダンジョンでの出店なのですね!少しだけ見つめていたら、黄色い中華服の上からエプロンをつけたシャオさんと目が合いました。
「ワォミツキさん。中華食べてく?」
「シャオさんこんにちは。食べます!」
「アイヨー。ミツキさんご来店だぞー」
「らっしゃーい!」
「キャー!サービスするアル!」
……なんだか居酒屋みたいな雰囲気を感じました。行ったことありませんけどね!
「今日は何食べル?」
「今日は青椒肉絲をいただきたく!」
「おー!華林、青椒肉絲ー!」
「任せるアル!ちょっと待っててネ!」
華林さんの青椒肉絲を待っている間に兄から返信が来ていました。ソウくんと一緒にスカーレットさんの店に行きたいとのこと。
わたしは黄金のダンジョンで腹ごしらえしてリルを入手してから行きたい旨を打ち込むと、すぐに返信が返ってきました。
『俺リューさん。今貴方と同じ黄金のダンジョンへ向かうぞ』
……急に怪異みたいなことしますね。
すると視界の端に移動してきた兄の姿が入りました。ソウくんも一緒です。
ジト目で見つめていると、わたしに気付いた兄がこちらへと歩いてきました。
「話し合い終わったん?」
「うん。レベル上げは大丈夫?」
「んにゃ休憩だな。また午後行くわ」
「レベル70を超えると、本当にレベルが上がらないんですよね」
「そうだね……あ、シャオさん!小籠包もいただけますか?」
「おー、ヤローが増えてるナ……オッケー」
前回食べた小籠包が美味しかったですし、兄とソウくんにも分けましょう。
そうして待っていると、華林さんが大皿を片手に歩いてきました。
「テンション上がって作りすぎたアル!でも人増えてるからちょうどいいネ!」
「ありがとうございますー!」
「召し上がれ!」
「お、一緒に食っていいの?」
「たくさんあるから、腹ごしらえしよ」
小皿に取り分けつつ兄とソウくんに小皿を渡します。
んー、青椒肉絲のいい匂い!ご飯が欲しくなります。
匂いだけでご飯食べられますね。
……シャキシャキのたけのことピーマン、お肉……絶妙なバランスのタレで本当に美味しいです!
「……美味しい。噛めば噛むほど味が出てくる……」
「これは……白米が欲しくなりますね……」
「青椒肉絲丼にしてえな……昼飯中華にすっかな」
「小籠包も食えヨー」
そこにシャオさんが小籠包も持ってきてくれました。
食べやすく小さいサイズで、ちょうど三人で分けられる数です。思わず見上げるとシャオさんがウインクしました。
これは、気を使ってもらっちゃいました。ありがたくいただきます。
んむ!あつ!でも溢れる肉汁も美味しい!
このスープのような肉汁のような……本当に美味しい……
「おいし……」
「マジうま……」
「本格的ですね……」
三人で中華を堪能しました。
本格的な味が楽しめるのはすごいです。
チャイニーは中華ですが、他にもフランス料理とかを専門にする料理人パーティーとかいるかもです。
ちょっと気になってきました。
食べ終えて、支払いをします。
「ごちそうさまでした!」
「また食べにきてネ!」
華林さんに見送られて店から離れます。
ふぅ……大満足です。
「中華もすげえなあ。ユアストで本格的な中華料理作れるのは、本気の証だもんな」
「実際に料理人なんでしょうか」
「わからないけれど……皆さん得意料理が異なるし、中華料理好きの集まりなのかも。それにしても美味しい」
わたしの言葉に二人とも頷きました。
よし、ではリルを集めに行きましょう。パーティーを組んで、黄金のダンジョンに挑みます。
数を倒したいので、第六階層で良いでしょう。
順番を待ってダンジョン内に移動した時に保管庫から黄金の仮面を取り出します。
「お兄ちゃんこれ着けて」
「……俺が着けちゃうのこの黄金のファントムマスクは」
「報酬のリルが1.5倍になるから……試しに」
「……………背に腹は替えられぬ。あ、視界は邪魔しねえのな」
「悪趣味な仮面ですが……」
「本気でとあるモンスターを倒さないといけないから、頑張ろうね」
ゴールデン・メンは出現したら必ず討伐したいところです。
わたしはヘラクレスさんとラクリマを喚び出します。炎は相性悪いので……いやでもパワー……オリオンさんも喚びましょう。
ルーナ様の所では還ってしまいましたからね。
ラクリマにクッキーを渡します。
『……前回みたいなのが出たら倒すんだね?』
「そう。よろしくね」
『任せて!』
ラクリマと会話中に、わたしの背後に大柄な人影が召喚されたのを感じます。オリオンさんを見上げると、申し訳なさそうな顔をされました。
「……今回はちゃんとやるぜ」
「よろしくお願いしますね……」
「……ってお前さんたち皆祝福貰ってんのな。うっ、視線が」
「……視線など気にするな。敵に集中しろ」
ヘラクレスさんの言葉に場が引き締まりました。
視線の先では黄金を纏うモンスター達が次々と出現します。
よし、リルを稼ぐとしましょう!
ちゃんと準備しないとですね!
さて、侵攻まで残り12日……
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




