アルヒラル遺跡 ⑰ 第二十九階層
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◆アルヒラル遺跡 第二十九階層
ついに二十九階層です。
あらゆるモンスターと戦ったので、モンスターとの戦いの経験値をたくさん得た気がしますね。
普通にプレイすると、わたしの場合はこんなに戦闘をしませんからね!
ふと左手の甲をみると、コスモス様の御神体集めのための目安の印が、もう少しで一周します。
わ、あと少しです!
これはダンジョンで結構稼げましたね!
コスモス様をおもてなしするのに、色々と準備をしないとです!お待たせしてしまいましたからね……!
通路を進むと、壁に根を張り、花を咲かせるモンスターがいました。
フラワープラントみたいなモンスターですね?
デザートフラワープラント Lv.68
アクティブ 乾燥状態
【移動不能】【草蔓】【土魔法】
【炎属性脆弱】【再生】【寄生】
あ、フラワープラントの仲間でした。
乾燥していて、炎が弱点のようですね。
……この乾燥状態のモンスターは、デザートカクタスの時みたいに、水魔法での攻撃することによってドロップが増える、とかあるんでしょうか。その辺りが気になりますね!
何体かいるので、試してみましょう。
「【ブラックホール】!フレイムピラー!」
「オラァ!」
「【魔弾装填】【火炎弾】!」
フラワープラントもそうでしたが、やはり花の部分は薔薇の花なんですよね。
今回はデザートフラワープラントなので、色合いは砂っぽいですが……
「ハイドロピラー!ストームピラー!」
移動不能で、壁に張り付くデザートフラワープラントから土の塊と蔓が飛んできました。
土の塊はブラックホールで吸い取り、蔓は杖で弾きます。アストラエアさんが爪で蔓を細切れにしてくれるので、助かります!
「ハイドロピラー!」
水の柱はダメージを与えますが、特にデザートフラワープラントに変化は無いので普通に倒すことにしましょう。
動けないのであれば、攻撃しやすいですからね。
ラクリマが一部のデザートフラワープラントを糸で引っ張って、壁から剥がしているのが見えました。
ラクリマ、容赦ないですね!
兄が槍で蔓を切り飛ばし、ソウくんも炎の銃弾でデザートフラワープラントを燃やします。
「【二重詠唱】、フレイムピラー!」
植物型のモンスターはよく燃えます!
一体は仕留めました。
よし、全て倒して進みましょう!
−デザートフラワープラントを倒しました−
デザートフラワープラントの球根、花弁を入手しました。
ワルドゥの雫×2を追加で入手しました。
倒しまし……ワルドゥの雫!?
ワルドゥの雫は、リゼットさんからのおつかいにあったアイテムです!
ワルドゥの雫
砂漠に生息する植物、植物型モンスターから採れる雫。
その雫には高い保湿力と保水力があるため、化粧品に含まれることが多い。
なんと!?こ、これは……!
「もっと倒さないと……!」
「急にデストロイヤーな発言するじゃん」
「デザートフラワープラントから、ワルドゥの雫ってアイテムがドロップしたの!リゼットさんからのおつかいで必要だから、あと三つは集めないとなの!」
「僕が入手したものを渡しますか?」
「それは、ソウくんが入手したものだから……何かに使うことがあるかもしれないから持っていて!」
自分で集めてこそ!自分で入手するのが大切なのです!
それにブラックホールもまだ吸い込めるみたいなので……!
なので、通路を進みながら積極的にデザートフラワープラントを倒しました。途中群生地のように集まっていたデザートフラワープラントを纏めて超新星爆発で倒せました事をここに記しておきます。
おかげさまでおつかい分は集まったので、後でリゼットさんの所へ届けに行きます!
そのままモンスターと戦いながら、罠に注意して進んでいると、開けた空間に出ました。そこには、宝箱とそれを守るように仁王立ちするモンスターが見えました。
「んー、恐らくあの曲がり角の先はセーフティエリアだろうから、無視してセーフティエリアに飛び込む事も出来るが」
「次はボスでしょ?経験値にしておくのも、アリだよね」
「そだなー。経験値にすっか」
「HPもMPも余裕はあります」
「……あのモンスター、首がないね」
「デュラハンだな。首なし騎士ってやつ」
獰猛そうな黒馬に乗った、黒い鎧を纏ったモンスターが、静かに、微動だにせず宝箱の前に佇んでいます。
よく見れば、兜を抱えていますね。
「……これは明らかに闇属性……?ラクリマ、光魔法での援護をお願いね」
『わかった!』
「ひとまず手数を……〈ケンタウルス座〉」
馬と騎士には人馬を……なんて考えつつ、ケンタウルスさんは騎馬との戦いに対応できそうだなと思って喚び出しました。
「お、強そうなモンスターじゃねえか」
「おおおおおかっけええええ!!」
「よせよせ、照れるだろ」
槍を担いだケンタウルスさんの姿を見た兄のテンションが上がりました。ソウくんも心なしか目が輝いています。
「よし、行こう!」
気を取り直して、自身に強化をかけながら首のない騎士へ向かって駆け出しました。
デュラハン Lv.68
アクティブ アルヒラルの番人
【???】【???】【???】
【???】【???】【???】
あ、強敵です。何も見えません!
しかもアルヒラルの番人……!
黒いオーラを纏いながら、剣を片手にフィールドを縦横無尽に駆けるデュラハンを、ケンタウルスさんがその槍で追いかけ、攻撃します。
「【宇宙線】!」
『光よ!弾けろ!』
「【二重詠唱】、フレイムピラー!」
「ハァッ!」
デュラハンの剣撃を槍で全て弾くケンタウルスさん。
そのおかげで、わたしは魔法を当てられます。
削れるうちは削らなければ!
「【変光星】【流星】!」
ステータスを確認して強化されている事を確認し……あれっ!?継続時間が五分増えてますね!?レベルが上がったからですか!?
ま、まあ良いことです!
戦闘が長引く際に、自身の強化で有用ですから!
そうして攻撃を繰り返しデュラハンのHPが七割まで減った時、デュラハンが影に溶けるように消えました。
っ!気配が、読めなくなりました!
集中して、気配を探ります。一体どこへ……!
「っ!」
「チィッ!」
「きゃっ!」
背後に気配を感じた瞬間に、アストラエアさんが割り込んで来ました。そして次の瞬間に、アストラエアさんと共に弾き飛ばされました。
受け身を取って転がり、すぐに立ち上がります。
またデュラハンの姿は見えなくなりました。
「影!影から出てきました!」
「自分の影を視界に入れろ!……ッ!」
ソウくんと、叫んだ兄へ視線を向けると、影から出てきた剣を槍で飛び退きながら弾いたのが見えました。
そしてまた影へと消えます。
影から……!
どうにか影から引きずり出したい所……!
『むむむ!面倒!【破邪結界】!』
ラクリマが叫ぶと、発光しました。
わっ、眩しい!
光が収まると、フィールドの真ん中で苦しむように藻掻くデュラハンが出現しました。
HPは五割まで減り、そして黒いオーラを発して、暴れ始めました。
「うお、怒った!怒ってるぞラクリマさん!」
『ラクリマも怒った!鬱陶しい!』
「うおおおお!?」
「はっはっは!!」
兄の言葉に返答したラクリマが、光の矢を次々とデュラハンへ向けて撃ち、ケンタウルスさんが笑いながら駆けていきました。
「【流星雨】!」
フィールドに流星の雨を降らし、デュラハンの動きを牽制します。
暴れモードになってから、なんか固くなったような!
飛んでくる黒い斬撃を避けながら距離を取ります。
あいてっ!?掠りました!でもHPはそんなに減らなかったので回復は不要です!
四方八方に黒い斬撃を放つデュラハンが……あれ!?両手に剣持ってません!?首は!?
斬撃の隙間からよく見つめると、デュラハンの近くに浮いている黒い物体が見えました。
う、浮いている!?兜が!?
そしてその兜と、目が合った気がしました。
斬撃と共にデュラハンがこちらへと向かってきます。
「っ!【流星】!フレイムピラー!」
「ミツキ!手を貸しな!」
「はい!【宇宙線】!」
アストラエアさんに手を引かれてデュラハンから距離を取ります。次の瞬間には担がれました。
「【流星群】!」
『……!』
「ぎにゃっ!?」
両手の剣に魔力が集まり、頭上へ直撃する寸前に、流星を両手の剣で受け止め、弾いたデュラハン。
ダメージは与えましたが、弾かれました……!
「なんでねらわれてるのおおおお」
「【ライトニング・ドライブ】ッ!」
「わっ!」
なおも迫るデュラハンに涙目になりかけた所、デュラハンの左半身に紫雷が突っ込みました。
「ウチの妹が怖がってるやろがい!」
「そうそう、ミツキを怖がらせたら、ラクリマも怒るぞーっと!」
『そう、ラクリマもね!光の柱よ!』
デュラハンの右半身に燃え上がる槍を片手にケンタウルスさんが突撃しデュラハンの動きを止めて、ラクリマが魔力糸で騎士を縛り上げると、真上から光の柱が落ちてきました。
「【解析】、【解析】!っし、【可視化】!」
「【魔弾装填】、【浄罪火ノ魔弾】!」
「あ゛っ!ソウくんオッケー!」
「フレイムピラー!」
何か視えた兄が叫びましたが、お焚き上げ目的に燃やしました。
やはりラクリマの光魔法のダメージが一番です。
先程の結界のダメージもありますが、通りがいいのは光魔法ですね。
−デュラハンを倒しました−
デュラハンの魔布鞍、黒布、魔石(大)を入手しました。
ほあ、鞍??黒布??
アストラエアさんがおろしてくれたので、一息つきます。
「ラクリマ、世界樹の葉の数は大丈夫?」
『んー、あと二枚はここにあるけど』
ラクリマが首元に巻いたブローチを固定するリボンの隙間を見せてくれました。
な、なるほどそこに収納?していたんですね……!
「使い切ったら声かけてね。葉ならあるはず」
『わかった!』
「…………」
「あー、ソウくんまだ心に秘めておいてその言葉」
「…………はい」
「その情報を知ったらもう逃がせねえから」
「……悪の組織ですか?」
「悪の組織ではないな……。おーいミツキ、宝箱開けるぞー」
「はっはっは!また喚んでくれよな」
ケンタウルスさんが片手を上げて消えました。
同じように片手を上げて、兄とソウくんの元へ駆け寄ります。
そして宝箱に触れた瞬間に、三つに分裂しました。
「!?」
「!?」
「!?」
思わず飛び退きました。
ぶ、分裂!?
「分裂した……」
「……一人一つどうぞってか?」
「初めてのパターンですね……」
『あ、スイッチだ』
三人で慄いていたところ、ラクリマが宝箱の後ろの壁のスイッチを押しました。
……もう一つ宝箱が転がり出ました。
これは欠片でしょうね……
「どれでもいいよ……」
「おう、なんでもこいよって感じだな」
「お二人が選んでください。僕はどれでもいいので」
「わたしもなんでも……目の前のこれでいいかな?」
「そだなー」
決めきれないので、目の前の宝箱をそれぞれ選びました。
さて、何が入ってるのでしょう?
デュラハンの全身鎧
身に纏うとデュラハンと認識される。
装備中はアンデッドに襲われなくなる。
防御+40 魔攻+40 敏捷+20
【霊体化】【御首】【騎馬召喚】
【闇属性耐性】【光属性脆弱】
「よろいだ……」
鎧ですね!?しかもデュラハンと認識!?
鎧……鎧ですか……あまり装備しませんが……
な、何か使うときが来るかもです。
取っておくだけ取っておきましょうかね……?
ちなみに転がり出た宝箱は石版の欠片でした。
「んーーー使えっかなぁ」
「使い道は……ありますね」
「わたしは全身鎧だったよ」
「俺は双剣だったな」
「僕はマントでしたね」
「……合わせればデュラハンになれるね?」
全身鎧を身に着け、マントと双剣を装備すればデュラハンですね??
むしろ宝箱から貰えるんだなと……
「……まあ、一旦アイテムボックスへ入れておくか」
「うん。使うなら渡すよ……」
「……プレイヤーの気配です。移動しながら話しませんか」
ソウくんの言う通り、通路の方向から気配を感じます。ふむ、移動しましょう。
広い空間から通路に入った瞬間に、デュラハンが復活しました。
「はっや」
「うわぁ……」
「これは想定外ですね……」
小走りで通路を進みました。
ある程度まで進むと、ゆっくり歩きます。
「そういえばお兄ちゃん、何が視えたの?」
「あー、デュラハンを解析したんだが典型的な防御、魔攻特化だったな。んで、首が弱点。その首も一緒にフィニッシュ決めねえと復活するパターン」
「……面倒ですね」
「このダンジョン復活するモンスター多いよな……」
げっ!首も!
それはなんというか手間ですね!?
「だからラクリマとミツキのお焚き上げの時にソウくんがデュラハンの兜に攻撃してくれて良かったんよ」
「特に意図した攻撃ではありませんでしたが……良かったです」
「ありがとうソウくん!」
「この情報、掲示板でもいっかなって思ったけど出処聞かれると面倒だからモルド赤くんに教えておこうかねぇ……」
ああ、アヴァロンの、確か攻略サイトを運営されている赤い軍服のプレイヤーの方ですね。
ふむふむ、アポイントメントをとったら喜んで飛びつきそうですね?新しい情報に飢えてそうでした。
「いい感じに売りつけるか、等価交換の種にするか……まあそこは追々」
「セーフティエリアだね」
セーフティエリアに辿り着きました。
複数のパーティーが点在しているので、端に寄って三人で小声で会話します。
次は最下層です。さすがに、ダンジョンボスとの戦闘なので事前情報を集めて、戦闘の準備をしておかないとです。
「わたしは短時間にポーションを飲みすぎると副作用が怖いので、回復担当でへびつかい座さんを喚ぼうかなと」
「そうだな……ミツキはMPポーションが命綱だしな」
「あとはお兄ちゃんと一緒に戦う近接担当、ソウくんのような遠距離担当も必要?」
「一人にヘイトを集めるよりかは、手は多いほうが助かりますね」
「ふむふむ……」
遠距離担当はサジタリウスさんでしょうか?
もしくはオリオンさんも、弓は得意と言っていました。
今回はオリオンさんのパワーを借りましょうかね?
遠近両方いけちゃいますからね。
「で、ボスモンスターって?」
ダンジョンボスですし……すごいモンスターなんでしょうけど。
結局どんなモンスターなのか……
「ファンタジーのド定番だな」
「物語に出てくるような、大きなドラゴンのようです」
よーしあともう少しですわー!!
はたしてミツキ達はドラゴンをボッコボコにできるのか!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




