表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
322/369

アルヒラル遺跡 ⑯ 第二十八階層

ご覧いただきありがとうございます!


「こんにちは、お師匠様!」


少しばかり早足で、お師匠様の家へ駆け込みます。

ソファで宝石を磨いていたお師匠様が、顔を上げました。


「おや、随分と忙しないね」

「アルヒラル遺跡へと挑んでまして……そろそろ最下層のボスに挑むので手札を増やしたいのです!アストラルアークウィザードがレベル10になりました!」

「ほう、アルヒラル遺跡か。なら……」


お師匠様が立ち上がって、わたしの額に手を当てました。


− 【天体魔法】の一部の魔法のロックが外れました‐

連星(バイナリースター)】を取得しました。

【ブラックホール】を取得しました。

【ガンマ線バースト】を取得しました。



「ほあ」

「今回教えるのはそれらだね」

「ぶ、物騒なものがあります!」


あの、あのあのあの!

ガンマ線バーストはとんでもないやつです……!


「【連星】は、その名の通り自分と誰かを結び付けるものさ。お互いの最大ステータスを共有するが、【連星】状態の時にどちらかが死ぬとお互いに死ぬらしい」

「え」

「まあ言い伝えだが……【ブラックホール】は前に見せた戦闘の際にアタシが使っていたものだ。全属性魔法や、飛び道具系を吸い込む穴さ。最大容量まで吸い込むと、【超新星(スーパーノヴァ・)爆発(エクスプロージョン)】が使えるようになる」

「……」

「【ガンマ線バースト】については……見てみるといい」


開いた口が、塞がりません。

お師匠様に言われた通りに、ウィンドウを操作します。



【ガンマ線バースト】

自身のHP(9割)とMP(10割)を消費して、自身を中心に放つ大規模魔法爆発

発動後大量の電磁波が放たれ、敵味方の強化効果を解除し、一定時間強化無効となる

リキャストタイム:24時間 強化無効時間:10分



こ、れは……!!文字通り奥の手に相応しいアーツ!!

……夜間であれば【星光(ルミナ)】で回復して、放つことができますね。

普通にフルポーションやフルMPポーションで回復するのも可能ですし!


あばばばば……使ってみたい気もしますが、威力を考えると……恐ろしい……強化効果を無効にするのがさらに恐ろしい……


……ダンジョンで試すのが、良いのでは??

ダンジョンは、頑丈ですしね!


「……ダンジョンで試してみますね!」

「そうさね。ダンジョンはそう簡単に壊れないだろうよ」

「……お師匠様の威力だと、草原が焼け野原になりますね」

「ははは」


……否定されませんでしたね。

やはり天体魔法は、扱いに注意が必要です。

環境破壊にだけは気を付けねば……!


「どれもMP消費が多いものだが、天体魔法は一発の威力が大きいのが強みだ。ここだと言うときに使うといい」

「はい、わかりました」

「次の魔法はアストラルアークウィザードのレベルが20になった時に教えよう」

「っ!はい!よろしくお願いします!」

「そら、いっといで」

「ありがとうございました!遺跡を踏破したら、報告に来ますね!」


お師匠様に挨拶して、家を出ました。

そしてそのままアルヒラル遺跡へと戻ります。


えっと……行ったことのある階層のセーフティエリアを選んで……


ワープポイントに乗ると、次の瞬間にはセーフティエリアにいました。うおお、便利ですね!


そして辺りを見回して、壁際で会話をする四人を見つけます。駆け寄ると、迎え入れてくれました。


「お待たせしました!」

「んにゃそこまで待ってねえよ。パワーアップした?」

「新しい魔法を覚えた!お兄ちゃん達は何かしてたの?」

「ソウくんのジョブの事を聞いていたんよ」

「!」


わたしも知りたいですね!?そういう思いを込めてソウくんを見つめます。

わたしの視線を受けて、ソウくんは苦笑しました。


「あまり、名乗り慣れていないので……名乗るのに少しばかり抵抗があると言いますか」

「大丈夫大丈夫。俺は紫雷月狼槍騎士(マーナガルムランサー)だから」

「お兄ちゃん開き直ったね?」

「……強そうですね。僕は、」


ソウくんは一瞬躊躇うように視線を逸らしましたが、ウィンドウを開きました。


「僕のメインジョブは、罪刑執行人と書いてエクスキューショナーと呼ぶ、バフを付与してアーツの威力を上げるサポーター兼、アタッカーです」


罪刑執行人と書いて、エクスキューショナーと呼ぶ。


「……響きが強そうで、かっこいいね!?」

「せやろ。俺も聞いたときかっけえな!?って叫んだぞ」

「運営、そういう名前考えるの好きなのかもね……」

「……あまり名乗り慣れてないので、少々気恥ずかしいですね」

「そう??でも、かっこいいジョブだね!」

「おう。俺に負けず劣らずかっこいいぞ」


わたしと兄の言葉に、ソウくんは小さく笑いました。

後で兄がこっそりと教えてくれた事ですが、一部のプレイヤーが、ジョブ名やアーツ名を言うと、馬鹿にしてくるのだとか。


確かに、唱えるのに勇気がいるアーツなどありますが、馬鹿にするのは少し違いますよね!



「よし、新しい魔法を見せてもらおうか」

「ふっふっふ……」

「何その虚無な笑みは……」


使うのが怖い魔法だったのです。

再度パーティーを組んで、次の階層へ下りました。



◆アルヒラル遺跡 第二十八階層



警戒しながら、通路を進みます。

ひんやりとした空気を肌で感じつつ、通路などの装飾を眺めます。

今までの階層より、壁や柱の装飾が、結構細かいんですよね。遺跡感マシマシです。


まあなんの意匠かはわかりませんが……

葉が巻き付いている柱とか、さすがに種類までは……


っと、モンスターの気配です。

動いているモンスターの気配がするので、その方向を見つめます。



ドラゴンフライ Lv.68

アクティブ

【超音波】【複眼】【高速移動】

【風魔法】【飛翔】【空撃】



ドラゴンフライ Lv.68

アクティブ

【超音波】【複眼】【高速移動】

【風魔法】【飛翔】【空撃】



ドラゴンフライ Lv.68

アクティブ

【超音波】【複眼】【高速移動】

【風魔法】【飛翔】【空撃】



「……トンボじゃねえか!【ブースト】【ハイブースト】!」

「【ブースト】【ハイブースト】!」

「【電磁弾】!」

「【ブラックホール】!」


トンボですね!!名前の響きはかっこいいんですけどね!!

トンボ……ドラゴンフライの頭?の部分には、謎の角が生えています。

ドラゴンフライから飛ぶ風の刃や、空気の塊は全てブラックホールへと吸い込まれました。


「僕らに飛んでくるものも、吸い込まれますね」

「わたしが動けばブラックホールも動くから、わたしがフィールドを動けば……的になれますかね?」

「……ミツキさんに危険のない範囲で」


ソウくんに見送られて、フィールドを移動します。

放たれる魔法がブラックホールに吸い込まれるのをみたドラゴンフライは、その場で羽を振動させると甲高く鳴きました。


ッ!視界が、揺れます!


『させない!【宇宙の加護】!』


ラクリマが飛び出すと、文字通りラクリマから宇宙が広がりました。

これは、母の使う宇宙空間(ジオ・スペース)に似ていますね!?


『相手の状態異常攻撃は使えないはず!ラクリマ動けないから、攻撃して!』

「わかった!【宇宙線(コズミック・レイズ)】!」

「【ペネトレイト】【ライトニング・ドライブ】!」

「【装填】【マルチタイプ・ショット】!」


各々が攻撃を繰り出し、ドラゴンフライを攻撃します。


(【重力操作】!)


空中を飛ぶドラゴンフライの動きを阻害する目的で重力操作をすると、いつもより与える重力が重いような気がしました。


動けなくなったドラゴンフライから魔法が飛んできますが、それらはブラックホールが吸収しますので、避ける必要もありません。


べ、便利すぎる……発動するのにMPが三割持って行かれましたが……!

相手が魔法使いであれば、有利に戦闘を進められますね。



−ブラックホールが許容量を超えました−

−【超新星(スーパーノヴァ・)爆発(エクスプロージョン)】を発動できます−



兄とソウくんがドラゴンフライのHPを徐々に削る間に、アナウンスが響きました。


「!」


こ、これは!試さねば!どのくらい威力があるのか!

ブラックホールが収束して、小さな黒い塊になりました。


「大爆発いくよー!」

「ゲッ退避退避ー!」

「よし、【超新星(スーパーノヴァ・)爆発(エクスプロージョン)】!」


黒い塊を杖で操作して、ドラゴンフライの真上へと移動させた後にアーツ名を叫びました。


そして次の瞬間、眩い光と爆発と、轟音が響きました。


「わっ!」


爆風に耐えきれずに、後ろへと転がりました。

転がった所を、アストラエアさんに受け止められます。


爆発を起こした場所に目を向けると、モンスターの影も形もありませんでした。



−ドラゴンフライを倒しました−

ドラゴンフライの羽、複眼を入手しました。



「…………」


た、倒しました……!

いやそれよりも、あの爆発!むしろ壊れない遺跡が、すごいですね!?



「ミツキ!もう一回、アーツ名言ってみ??」

「………………す、スーパーノヴァ・エクスプロージョンです」

「日本語で言ってみ??」

「超新星爆発、です!」


兄が膝から崩れ落ちました。

顔を覆いながら、何か呟いています。


「妹が……妹が破壊神に……さすがに超新星爆発はアウトじゃろ……」

「超新星爆発……すごいですね……」


アウターの汚れを払いながら、ソウくんも近付いてきました。

これ、兄にガンマ線バーストもあるよって言ったら倒れそうなので、秘密にしておきましょうかね……?


「いやまあ、アストラルウィザードだしな。あるよな、超新星爆発……」

「そういえば、お兄ちゃんいなかったからお師匠様の超新星爆発見たことなかったね」

「恐ろしい事を……ミツキより威力高いだろそれ」

「……ミツキさんも、誰かに教わっているのですか?」

「わたしも、ってことは、ソウくんも?」

「はい。NPCの、師がいます。その導きで、今のジョブになりました」


なるほど、ソウくんもNPCの師匠が。

……ってことは、特殊なジョブは、やはりNPCの導きで転職できるということですかね。


兄はトニトルスの導きですもんね。

ふむ……転職して出てくるジョブを選ぶだけではなく、他の道を得たいのなら、NPCを師と仰ぐ事が手段としてある、ということですね!


「はー、びっくりした」

「この遺跡、頑丈ですね」

「遺跡が壊れない方が驚きだよね」


ドラゴンフライの群れを倒したので、通路を進みます。

途中宝箱から、ルビーを回収しました。

……宝石が手に入るの、冷静に考えて恐ろしいですよね。


売るもよし、アクセサリーにするもよし、です。

アイテムボックスへしまいましょう。


途中パラライズバッドやポイズンバッド、キラーラットという大きなネズミと戦いましたが、どうにか倒しました。


ふう、レベルが上がると相手の攻撃も痛いですし、こちらの攻撃も通りにくいですが……わたし達もレベルアップしています。


セーフティエリアで少し休憩して、次の階層へと向かいました。


新しい天体魔法でした!威力、おかしいんですよね……MPすごい使いますけど……しかもまだ教えていない天体魔法もあります……恐ろしい……


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
相対的にコスト面が軽く見えてくる初期魔法
[良い点] 超新星……トンデモナイ威力でした。コレで壊れない遺跡の凄さ。次の目標は遺跡にひびを入れる事ですか(笑) [気になる点] 特殊な職業が多彩です。後どんだけあるのか楽しみです。
[一言] 最後はビッグバンが出て来そうですねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ