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アルヒラル遺跡 ⑧ 第十四〜第十五階層

ご覧いただきありがとうございます!


◆アルヒラル遺跡 第十四階層


階段を下りると、見慣れた森です。

またモンスターの気配を探りつつ、宝箱がないか探しながら森を歩いていた時、通知がなりました。


おや?クランメッセージですね。

確認すると、ジアちゃんとリーフくんです。


ふむふむ……昨日謎のモンスターと夜に戦闘!?

あ、ジアちゃんがスクショを……


「な、何このモンスター」

「見た事ねえし……何か悍ましいな」


星のキュアポーションが効果あり!?

呪いの塊のモンスターなんでしょうか!?

あと光魔法が有効……


ひとまず夜間は気を付けて、とのことです。

ふむむ…夜間は注意することとしましょう。そして一旦夜集まって、情報共有の予定となりました。


「お兄ちゃんにも星のキュアポーション少しだけ渡しておくね」

「ありがとうよ。これ素材なに?集めとくわ」

「魔力草と妖精の雫とヨモギ」

「ヨモギ!?」


ふむふむ……星のキュアポーション、割と需要があるかもです。ダンジョン攻略が終わったら増産しましょう。星のキュアポーションは数あった方が良さそうです。



「ひとまず森を抜けるか」

「うん。何か嫌な予感がする。何か群れで動いている気配する」


アストラエアさんに罠を見つけてもらいつつ、森を小走りで駆け抜ける事にしました。




そして嫌な予感が、当たりました。


(【宇宙線(コズミック・レイズ)】)


なるべく見ないように、瞬殺目的に一体視界に入れた瞬間に天体魔法を使います。

フォレストモスの群れが、森を飛んでいました!

そこに森トンボと、フォレスト・バタフライ、フォレストモスキートまで加わりました!

なんか、虫が多いですね!?大きく深呼吸して、冷静に………一発で、仕留めます!


(ウォーターウォール!フレイムピラー!)

「ギッ!?」

(ストームピラー!)

「ギィッ!?」

(ウォーターウォール!フレイムピラー!)

「シャァッ!?」

(ストーンピラー!)


視界に入るモンスターへと、次々と杖を向けます。

炎魔法を使うときには水魔法でカバーするのも忘れずに、です!


「……ミツキさーん?」

「今すごい集中してるから」

「あ、うっす」

(ウォーターウォール!フレイムピラー!ウォーターボム!)



-水魔法が一定の熟練度に達しました-

ハイドロピラーを取得しました



(ハイドロピラー!)


次の瞬間、宙を舞うフォレスト・バタフライに地面から勢い良く吹き出した水の柱が直撃しました。

やっと取得しましたね!これでもっとダメージを与えられます。


そう、攻撃の隙も与えないように、魔法を放つのです。


(【二重詠唱(ダブル)】ウィンドアロー!ストームピラー!)


モンスターから飛んでくる風の刃を風の矢で相殺して、ストームピラーでダメージを与えてバランスを崩させます。

地面へと落下した森トンボが、枯れ木に貫かれました。


恐らくラクリマですね。

同じように地面に落としたフォレストモスキートには斬撃が衝突しました。

兄も援護してくれています。そしてアストラエアさんも、わたしの背後で攻撃を弾きながら一撃を加えています。


申し訳ないですが、一旦殲滅させてもらいます!





-フォレスト・インセクトマーチを討伐しました-

森トンボの羽根×3、複眼、魔石(中)×5

フォレストモスキートの吸血器官×3、魔石(中)×2

フォレスト・バタフライの毒鱗粉×2を入手しました




ふぅ!無心に魔法を使いました!

虫の群れ、心臓に悪いです。正直人より大きいトンボとか、こわいです。


「いやぁ、無表情に無言でモンスターを一瞥しては魔法を放ってくミツキおもしろかった」

「トラウマもあるから……」

「それに魔法の発動とかまじまじ見る機会ないから、マジで面白かったな」


??

軽く首を傾げると、兄が目を丸くしました。


「魔法使う時、小さい魔法陣から出るじゃん?」

「あ、そうなんだ」

「おいぃ、知らないんかい」

「あまり戦闘中にそこまで見る余裕無くて…」

「まあアレだな、アロー系のはお前の背後に出現する魔法陣から、ボムはモンスターの近くに出現する魔法陣、ピラー系は足元の魔法陣から、ってとこだな」

「そうなんだ……」

「まあ一瞬で消えるからそう見れないけどな」


そ、そうなんですね……

あまり考えた事はありませんが、どこから魔法が放たれていたのかは気になっていました。

ハッお師匠様も四つの魔法使う時、背後に魔法陣ありましたね!


「やっぱり魔法は魔法陣だよなー」

「……ひとまず、進もう。もう虫はやだな……」


なんとなく疲れましたね。

索敵はラクリマとアストラエアさんに任せます。


そうしてたまにモンスターを倒しながら進んでいると、木の蔓が巻きついた宝箱が草むらにポツンと置いてありました。


「……RPGみたいになってきたな」

「これ宝箱は燃えないのかな?」

「宝箱は燃えないはずだな。だってゲームだし」

「そう…」


キリッとした顔で兄が言うので、ファイヤーボールを近付けて蔓を燃やします。……本当に宝箱は燃えませんでしたね。


宝箱の中からはフルポーションが五本入っていました。兄に三つ渡して、二つをアイテムボックスにしまいます。


「ラクリマ、例の宝箱の気配はあるか?」

『んー……無いみたい』

「じゃあ下りるか」


兄の目線の先には、階段がありました。

ふう、次はボス階層ですね。


……虫の可能性が出て来ましたね。

足取りがほんのり重くなりますが……

色々なモンスターがいますし、頑張らないとです。


少し森を見渡して、階段を下りました。




◆アルヒラル遺跡 第十五階層



下りた先には、複数のパーティーがいました。

よし、ひとまずMPを回復しておきましょう。

兄もハイMPポーションを使って回復しました。


「そこそこのペースで進んで来たな」

「もう十五階層だもんね」


時刻は十四時半くらいです。

もう少し進めそうな気はします。


「ひとまず今日は二十階層のセーフティエリアまでを目指してみるか?」

「そうだね」

「モンスターのレベルも上がるしな」

「夜は情報共有あるからね!」


キリが良さそうな所まで進むとしましょう。

第十五階層のボスはどんなモンスターでしょうかね。


「うし、じゃあ行くか」


兄の言葉に頷きつつ扉に触れます。

少し視線を感じましたが、まあ他のパーティーとかつい見ちゃう気持ちもわかりますからね。


扉を開けて進むと、森でした。


「……ボスフィールドも森かよ。嫌な予感がする」

「う、虫かな」

「可能性は高いな。この森伐採してえな……」


兄も物騒な事を言っていますが……

森ですが、真ん中がぽっかりと空いています。

うへえ……フラワープラントと戦った時みたいな、空間の空き方です。


そこに、一体のモンスターが待ち構えています。


「待ち構えてるよお兄ちゃん……」

「あーーーー」


八つの黒い瞳でこちらを見つめる、大きな、苔生した蜘蛛が、フィールドの真ん中で微動だにせず……


ずっと、こちらを見ています。



フォレストビッグスパイダー Lv.57

アクティブ

【糸】【酸液】【産卵】

【捕食】【風魔法】【魔力糸】

【木魔法】【魔法耐性(小)】




「うし、やるか。【ブースト】【ハイブースト】」

「わかった。ラクリマ、アストラエアさんも気を付けてね」

『うん!』

「任せな」

「ッシャア!【チャージ】【ライトニング・シュート】ッ!」


そうして強化した兄が走りながら、体を捻って勢い良く槍を投げました。

その瞬間にわたしの横からアストラエアさんが消えました。見えませんでしたね……わたしも強化しながらフォレストビッグスパイダーの元へ近付きます。


(【ブースト】【ハイブースト】!)


槍を真上に飛んで避けたフォレストビッグスパイダーの更に上に、跳び上がっていたアストラエアさんの姿がありました。


空中で一回転し、その勢いでフォレストビッグスパイダーの背にアストラエアさんの踵が打ち付けられ、フォレストビッグスパイダーが勢い良く地面へと叩き付けられました。


「ストームピラー!ウォーターウォール!フレイムピラー!」


上がるから土煙を晴らすのも兼ねて風を起こし、フォレストビッグスパイダーと木の間に水の壁を用意してフォレストビッグスパイダーを燃やします。


『ギィィィッ!?』

「【ペネトレイト】【ライトニング・スピア】!」


そこに兄が突撃しました。

炎と雷がバチバチと爆ぜます。

あっ火の粉!


「ウォーターウォール!」


火の粉が木に飛ぶのはどうにか防げました。

こう、ウォーターウォールが全方位に展開出来たら楽なんですけどね……!森を見回しながら、そう考えて…


…………ん?



「ミツキッ!」


アストラエアさんに腕を引かれてその場から離れると、わたしが居た場所に酸液が飛んできました。


そして蜘蛛の糸と、魔力糸がフォレストビッグスパイダーから放たれます。


『させない!』


ラクリマもそれに反応するように魔力糸を伸ばして、お互いに糸を伸ばせないように絡め取ります。


「すみませんでした、アストラエアさん!」

「考えるのは良いが、モンスターから目は離すんじゃないよ!」

「気を付けます!」


フォレストビッグスパイダーはラクリマと糸を引き合いながら、兄に向かって風の刃を放ちます。

兄はそれを雷を纏った槍先で裂きながらフォレストビッグスパイダーの脚を斬り飛ばしました。


魔法はイメージ……どうにか考えればウォーターウォールで周りを囲めそうだと考えましたが、わたしには頼れる仲間がいるではありませんか!


「〈エリダヌス座(アケルナル)〉!」


魔法陣から出てきたアケルナルは、わたしの周囲で渦を巻きます。


「わたしのMPを使ったら、このフィールドと森の間に水の壁みたいに川を伸ばせる?」


アケルナルに触れながらそう伝えると、アケルナルは一瞬動きを止めると、徐々に体積を増やしながら伸ばして、フィールドに川で壁を作りました。

うおおおMPが減りますううう!回復!


「あ、ありがとうアケルナル!」


でもアケルナルという川の壁ができたので!

遠慮なく炎魔法も使えます!


「なんだこれえええええ」

「アケルナルー!森林火災防止ー!」

「察したあああ!!あざーーっす!」

「フレイムピラー!」


遠くで叫ぶ兄に叫び返して、フォレストビッグスパイダーを燃やします。

兄の手元の槍からも、バチバチと雷が迸っています!

兄の攻撃と炎魔法によって、フォレストビッグスパイダーのHPはどんどん減ります。


すると突如としてフォレストビッグスパイダーの体を木と根が覆いました。


「ラクリマ?」

『ラクリマじゃない!あれは自分を守ってる!』

「!」

「【ウェポン・コンバート】!【バラク・インパクト】ォ!」


その瞬間兄がハンマーに持ち替えて、横薙ぎにハンマーをフォレストビッグスパイダーと木に打ち付けました。


メキメキと音を立てて、半ばから木が折れました。

フォレストビッグスパイダーのHPも無くなり、その身から木が消えました。


倒した!そう思った瞬間に、小さな蜘蛛達が体を食い破って出て来ました。



フォレストスパイダー Lv.55

アクティブ

【糸】【酸液】【産卵】

【捕食】【風魔法】【木魔法】



フォレストスパイダー Lv.55

アクティブ

【糸】【酸液】【産卵】

【捕食】【風魔法】【木魔法】



フォレストスパイダー Lv.55

アクティブ

【糸】【酸液】【産卵】

【捕食】【風魔法】【木魔法】




「ひっファイヤーウォール!フレイムピラー!」

「【サンダーボルト・スタンプ】!」

『逃さない!』

「チッ!体の中で生まれたね!」


んぐ、嫌な事を聞きました!

【産卵】というやつでしょうか!

木で体を守っている間に、体の中で孵化させたと!?


「恐るべし生存本能……アケルナル!逃さないで!【流星雨(レイン)】!」


頭上の魔法陣から、流星雨がフィールドへ無差別に落下します。

それは地面へと衝突すると爆発を起こし、フォレストスパイダー達を巻き込みました。


「ハァッ!」

「ファイヤーボム!」


アストラエアさんが次々と同じ方向へとフォレストスパイダーを弾くので、それを纏めて燃やします。


それを幾度と繰り返して、地面が炎と雷で黒焦げになった頃。



-第十五階層 ボスモンスター フォレスト・ビッグスパイダー を 討伐しました-

フォレスト・ビッグスパイダーの魔力糸、魔石(大)を入手しました



「ふぅ……ありがとう、アケルナル……」


アケルナルが川幅を狭め、小さくなりました。

それをどうにか撫でながら、呼吸を整えます。


「いやー、マジでビビったわ」

「前にフォレストスパイダーと戦った時、オリオンさんが産卵する前に倒せって言ってたんだよね……」

「大英雄が言うならそうしなきゃならんかったんやな……アケルナルもありがとうな」


兄がそっとアケルナルに手を伸ばして、アケルナルの感触に驚いたのかすぐに手を引っ込めました。


「……マジで水だ」

「アケルナルは川だからね」

『ミツキ、リュー、お疲れ様』

「宝箱も出てきたみたいだよ」

「二人ともありがとう!」


お互いにお互いを労いながら、宝箱に近付いて開けます。



森大蜘蛛の迷彩マント

森大蜘蛛の糸で作られたマント

伸縮性が良く、ほつれにくい

【魔法耐性(小)】【隠蔽】【気配遮断】



おお、マントです!

宝箱から本当に色々出て来ますね!

わたしにはポンチョがありますからね……


「お兄ちゃん使う?」

「迷彩柄か……森の中でなら、紛れ込めそうだが……普段使いには向いてねえけど、一応持っててもいいか?」

「いいよ」


宝箱から持ち上げたマントを兄に渡します。

今の兄は冒険者!というようなシンプルな格好してますからね。シャツに肩当て、篭手……その上にマントは少し合わないですね。


「ダンジョンから出たら、スカーレットさんの所行こうね」

「すまんがよろしく頼む」

「ラクリマ、ここはもう大丈夫そう?」

『……うん、何もないね!』


ひとまずセーフティエリアへと向かいましょう。

そこで一息つきましょうか……



頼りになるアケルナル……あまりにも無法。

これからもミツキの物語をよろしくお願いします!


そして活動報告でも報告させていただきましたが、ついに書籍化いたします。

詳しくは活動報告をご覧いただきたいですが、ミツキ達のカバーイラストだけでも一目見ていただければと思います。めっちゃ可愛いです(小並感)

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― 新着の感想 ―
リーフはスクショし忘れてたけどジアはしっかりスクショしてたという事ですか?
[良い点] 書籍が楽しみでちょくちょく読み返しています! [気になる点] 星のキュアポーションだけ複製して増やすのは148話ミカゲさんに相談 ②でやっています
[良い点] 書籍化おめでとう! イラストのミツキ超きれいですね あとサダルスード 君はこれは性癖に刺さる人絶対いるだろ [一言] 蜘蛛は燃やすベシ 蜘蛛は燃やすベシ コミック版も待ってます 漫画の…
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