-Your Only Story Online- 〘ハイドレンジア&リーフ〙
ご覧いただきありがとうございます!
閑話として、ハイドレンジアとリーフの物語を挟みます。
◆ハイドレンジア
ログインして、世界樹と祭壇に手を合わせてからルクレシアへと向かう。
そこでいくつか依頼を見たけど、特に良さそうな依頼が無かったから、リーフと共に門の外へと転移する。
コスモス様のためにレベル60以上のモンスターを、なおかつボスッぽいモンスターを討伐しないといけないんだものね。
森を東に抜けて、アイレ村と湖近辺で夜にしか出現しないモンスターでも探そうかしら。
弓を左手に持ちつつ、ルクレシアを南下する。
今宵は雲が無くて、星空が更に明るく感じるわね。
こうして星空の事を考えられるのは、ミツキのおかげかしら。ミツキから話を聞いてなかったら、普通に星空ねという感想で終わっていたもの。
……空から急降下するモンスターも、よく見えるわ。
MPを消費して作り上げた矢を番えて、狙いを定める。
呼吸を止めて見据えて、静かに離した矢は急降下していたブラックバードをしっかりと貫いた。
響いたアナウンスを聞き流しながら、周囲に目を向ける。
……特に強そうなモンスター、いないわね。
「……本当によく動いてる敵を射抜けるな、姉ちゃん」
「慣れよ、慣れ」
「慣れですむか……?」
こればかりは弓に長く触れて、どこまで引けば何処まで飛ぶのかを考えれば、まあ……
身の丈ほどの斧を担いで見つめてくる弟の言葉に軽く返しつつ、自分のステータスを開く。
ハイドレンジア Lv.62
エルフ
メインジョブ:ウッドシューター Lv.33/サブジョブ:彫金師 Lv.15
ステータス
攻撃 128 (+30)
防御 100 (+62)
魔攻 153 (+30)
魔防 135 (+62)
敏捷 88 (+40)
幸運 30
ジョブスキル
【矢生成】【属性矢生成】【チャージ】【身体強化(力)】【身体強化(魔)】【連射】【照準】【ブースト】【ハイブースト】【魔弓展開】【木魔法】【彫金】【研磨】【品質向上】【修復】【装飾】
アクティブスキル
【瞬間移動】【転移】【簡易結界】【ウェポン・コンバート】【バースト】【空間把握】
パッシブスキル
【弓術】【鑑定】【暗視】【幸運の女神の視線】【遠視】【夜目】【気配察知】【隠蔽】【直感】【清潔】【精密操作】【MP自動回復】【狙撃】【HP自動回復】【頑健】【看破】【受け身】【回避】【魔力察知】【気配遮断】【五感強化】【聴覚強化】【魔力遮断】【俊足】【強肩】
装備
[頭]銀のサークレット
[上半身]森狩人の弓衣
[下半身]森狩人の弓衣
[靴]風鷹のブーツ
[武器]セイクリッド・アルクス
[アクセサリー]トパーズ・イヤリング
[アクセサリー]プレアデス・バングル
[アクセサリー]速さの腕輪
[アクセサリー]なし
[アクセサリー]なし
アーツによって、攻撃を反映するものと、魔攻を反映するものがある。
私の場合は、【矢生成】で放つアーツは攻撃を、【属性矢】と【木魔法】の【木矢】は、魔攻を反映したダメージとなっている……のだと思うわ。
「姉ちゃん?」
「……ステータスの伸ばし方、迷うわよねぇ」
「姉ちゃんの弓は、攻撃と魔攻どっちを反映してるんだ?」
「アーツと、生成する矢によって異なるけど……両方ね。次にレベルアップしたら攻撃に振るのと、攻撃が上がるアクセサリーを作るしかないわね」
アクセサリーで補正すれば、どうにか補えるでしょう。幸運も、私には【幸運の女神の視線】があるから、そこまで重要じゃないし。
というか……
「何覗いてるのよ。リーフのも少し見せなさい」
「えっ……まあ、いいけど」
そうしてステータスを開いた弟の背を屈ませて、ステータスを覗き込む。
ステータスは、ステータス画面に他人に見せる見せないのボタンがあるから普段は見せないようにしているわ。
リーフ Lv.63
獣人
メインジョブ:ベルセルク・アックス Lv.34/サブジョブ:鍛冶師 Lv.18
ステータス
攻撃 203 (+45)
防御 96 (+63)
魔攻 26
魔防 95 (+63)
敏捷 140 (+35)
幸運 35
ジョブスキル
【獣化】【身体強化(力)】【挑発】【薙ぎ払い】【スラッシュ】【チャージ】【ブースト】【ハイブースト】【ベルセルク・オーバーロード】【鋳造】【鍛造】【研磨】【品質向上】
アクティブスキル
【瞬間移動】【転移】【簡易結界】【狂化】【ウェポン・コンバート】【バースト】【空間把握】
パッシブスキル
【鑑定】【斧術】【暗視】【動物言語】【夜目】【気配察知】【隠蔽】【魔力察知】【俊足】【斬撃】【直感】【清潔】【強肩】【受け身】【回避】【見切り】【跳躍】【投擲】【MP自動回復】【HP自動回復】【頑健】【看破】【五感強化】【気配遮断】【逆境】【腕力強化】【二刀流】
装備
[頭]なし
[上半身]灰狼の戦衣
[下半身]灰狼の戦衣
[靴]暴戦馬のブーツ
[武器]大鬼の戦斧
[アクセサリー]力の腕輪
[アクセサリー]プレアデス・バングル
[アクセサリー]黒狼のバックル
[アクセサリー]なし
[アクセサリー]なし
………清々しい程にスピードアタッカーね。
恐らくレンさんの方が、ステータス的に勝っていそうだけど。
「【ベルセルク・オーバーロード】って何?」
「………超・狂戦士モード?解けたら戦闘不能になる」
「諸刃の剣じゃない……」
すごい暴れまわって最終的に戦闘不能になるってことかしら?とんでもない暴れん坊じゃない。名前も仰々しいわね。
「……クラメンがいる所で使いなさいよね」
「試すに試せないんだよな……」
まあ確かに試しにくいわね。
オーバーロード、なんて言うんだから……むしろ本人に記憶残るのかしら?
強敵を探しつつ、素材でも集めるかと森を進む。
ミツキが魔力草とか、魔力キノコ使うわよねきっと。
むしろミカゲさんも使うのかしら……
爆発草や氷結草も集めつつ歩いていると、離れた後方から人の気配を感じて、リーフと反対側に飛び退いて木を背に隠れる。
気配を抑えて、片手に木矢を握りしめる。
「………ひぃ、ふう、うおおおおお!!」
……道を必死に駆け抜けるのは、ウルフの群れに追われたNPCの男性だった。
「ッ、リーフ!」
「わかってる!」
「【デッドリー・シュート】!」
跳躍しながら斧を振りかぶる弟を視界に入れながら、男性に飛びかかろうと跳び上がったウルフの心臓目掛けて矢を放つ。
心臓を貫かれたウルフは悲鳴も上げずに、地面へと落ちる前に消えた。
残りのウルフはリーフが斧を振るうだけで討伐したようね。……まあ、レベル低いものね。
「ひぃ…、はあ、ふう、あ、ありがとう、冒険者達」
どうにか呼吸を整えようとするNPCの男性を見ると、その格好は…普通の男性ね。
戦えそうにないわ。荷物も背負っているし。
「急ぐ理由があるにしろ、夜の森は危ないですよ」
「そうっす。夜はモンスターが活性化しますから」
「そうなんだけどね…急いでアイレ村に、向かわないといけないんだ!この恩は必ず!名前を教えてくれ!」
「……ハイドレンジアと、リーフよ」
「ハイドレンジアさんと、リーフさんだね!ありがとう!本当にありがとう!」
そう言って頭を下げてまた森を走る男性の背を眺める。
………危ないって言ってるでしょうに。
「姉ちゃん」
「わかってるわよ。アイレ村ならそう遠くないし、追うわよ」
さすがに放ってはおけないでしょう!
そうして走ると、すぐに男性に追い付いた。
男性に並走すると、男性が驚いたように目を見開く。
「えっ、何か、あったかな!?」
「夜は危ないから、アイレ村まで護衛します。それに貴方の名前も聞いていませんし」
「あ、ありがとう!僕は、ルクレシアの医者で、オリバーと言うもの、だよ!」
「………尚更医者が怪我して現れたりしたら村の人が驚かれるでしょう!移動手段は!」
「普段は馬車、だけど、夜だから、ね!」
まさかの医者!
急がないといけない理由は、患者がいるんでしょうね!
弟に目配せすると、弟は小さく頷いた。
「うおおおおう!?」
「舌噛まないように気を付けて!」
男性を俵担ぎしてスピードを上げる弟を追いかける。速いったらもう!
森を抜けると草原で、遠くにアイレ村が見える。
……こちらからも見つけやすいし、敵にも見つかりやすい、と。
……しょうがないわね。
私は弓を握る手に力を込めた。
◆リーフ
「そのまま走りなさい!」
後方から聞こえる姉の言葉を聞きつつ、草原を走る。
これ以上スピードを上げたり、戦闘をしたりするとこの男が気を失うかもしれないしな………
「【ヴァイン・ショット】!【アローレイン】!」
右斜め前方から迫るブラックウルフの体に矢が刺さると、その矢が木の蔓となってブラックウルフの体を這う。
次の瞬間には矢の雨が降り注いだ。
「うおおおお!?」
「うおお!?大きい声は遠慮してくださいっす!」
「あっ、獣人、だもんね!ごめんね!」
キーンとした耳をぺしょりと抑えつつ、近付いてきたスライムを蹴り飛ばす。
両手で男を掴んでいると、脚しか使えねえ!
この男を村へさっさと送り届けるしか……!
……というか、このレベル差で近寄ってくるのもおかしくねえか!?
普通はレベル差があれば、近寄ってこないはず……
そんな事を考えながら村へと向かっていた時、それはいた。
村の入り口の手前で兵士と戦う、手足の長い、ボロボロの布を纏った何か。
人……いや、人にしては……何か、怖い話に出てくる化物のような……モンスターなのか!?
「えっと、オリバーさん!アイツを俺が引きつけるから、村まで走れるか!?」
「ど、どうにか、頑張るよ!」
オリバーさんを地面に下ろして、兵士を襲う化物を視界に捉える。
「…ッ、こっちを【見ろ】ッ!」
【挑発】を込めて叫ぶと、動きを止めた化物がこちらをぐるりと振り返った。
人造人間 ■■■■ Lv.62
アクティブ ■■の創造物
【???】【???】【???】
なんだコイツは!?
手足がやたら長くて、髪も黒くて長い。
顔の部分は、真っ黒で目や鼻はわからない。
……口は、あるな。
「ア゛ァ゛ァ゛……」
「【ブースト】【ハイブースト】【アーク・スラッシュ】!」
勢い良く跳躍し振り下ろした斬撃は飛ぶ斬撃となって化物を襲う。
……オリバーさんが離れた場所から駆けていくのを確認して、接敵する。
斬撃を避けずに受けた化物の体にできた傷は、一瞬で消えた。
はァ!?
「ア゛ァ゛ァ゛!!」
「チッ!」
その長い手を振り回し回る化物の攻撃をのけ反りながら避けて後方へと跳躍する。
……HPは減ってるけど、傷は治る。
なんなんだコイツ……HPバーがあるから、敵性モンスターではありそうだ。
「リーフ!」
「姉ちゃん」
「……何アレ、モンスターなの?」
「全然わからんけど、多分」
目を逸らさずに、応答する間に武器を手斧に持ち替える。それを思い切り振り被って投げた後、すぐに斧を手に走る。
「【狂化】ァ!【バスターアックス】!」
「【ヴァイン・ショット】!【ハンギングツリー!】」
手足を斬り飛ばす勢いで攻撃するが、斬られた瞬間に傷はすぐに回復する。
すぐに姉の攻撃で吊り上げられた化物は、ハンギングツリーの枝を握り締める。
枝から、バキバキと音が響く。
ゲッ、力技で出ようとしてる!
その胴体に攻撃するが、あまり効いている気もしない。
本当になんなんだコイツは!?
なんか、幽霊とか怪異とかそっちの類か!?
……幽霊と言えば、ふと、ミツキさんから預かってた星のキュアポーションを思い出した。
破邪の力が込められているって、言ってたな……
ミツキさん、一本使う!
アイテムボックスから取り出した星のキュアポーションを化物に投げつける。
「ア゛……?ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!」
化物の体から黒い煙が立ち昇り、苦しむように星のキュアポーションを浴びた部分を引っ掻くように藻掻く。
えっこわ……効いてる、んだよな!?
「何したのリーフ!?」
「ミツキさんのポーション投げた!破邪の力が効いてるかもしれねえ!?」
「……弱点は光魔法か、星関連って事かしら」
近寄ってきた姉に叫び返す。
えっ俺も姉も無理では?
「なら、あれが効くかもしれないわね……」
「姉ちゃん?」
「前から、試したかったのよね!」
急に笑顔になった姉……こわ。
近寄らんとこ……姉から少し距離を取る。
「【魔弓展開】!」
叫んだ姉の手の弓が、姉の背よりも巨大化した。
は???
「【其は聖なるもの、其は光あるもの】」
姉の言葉に、光を増していく弓。
え、初めて見たその技。
「【其は貫くもの、其は輝くもの】」
「【セイクリッド・アルクス】!」
姉が弓を引く動作をすると、その手には一本の光の矢が現れて、放たれた矢は化物に迫り、次の瞬間には目も開けられない程の光が弾けた。
まぶしっっっ!
腕で顔を覆って、光が収まってそっと腕をどけると、化物の姿は何処にも無かった。
……アナウンスは、流れない。
逃げた?消えた?慎重に気配を探ったけど、近寄ってこないモンスターの気配しか捉えられなかった。
マジで何だったんだ……?
それに……!
「……姉ちゃん何あのアーツ!?」
「秘密兵器よ。……とりあえずアイレ村に行くわよ」
うぐぐ……気になるけど、オリバーさんの事も気になるし、アイレ村に向かう。
村に向かうと、オリバーさんがあの化物と戦っていた兵士達を治療していた。
「!ハイドレンジアさん、リーフさん!無事だね!?」
「っす。なんか、何処か行ったみたいで」
「騎士団に報告したから、動いてくれると思うけど……」
「……それよりも、オリバーさんを呼び寄せた患者の診察は終わったのかしら?」
「勿論だとも!君達が戦ってくれている間に、診察と治療をおこなったよ!」
姉の言葉に、オリバーさんが力強く頷いた。
何やら、オリバーさんを呼び寄せた理由はさっきの化物だったようだ。
急に現れて、襲われ怪我人が増えて、村の医者では力が足りなかったらしい。
……普通のモンスターじゃなかった。
人造人間ってことは、誰かに改造されたってことだろ。
「あ、あの……」
「ん?」
振り返ると、数人のプレイヤーがいた。
………プレイヤーがいたけど、襲われていたのは兵士だったな。こいつら、見てただけか?
「アイツ、こっちの攻撃が効かなかったんだ」
「レベル低いけど、NPCを怪我させるよりマシかと思って、盾になろうと思ったんだよ」
「でも、こっちに見向きもしなかったんだ」
「何だったんだ、アレ……」
………それはマジで、わからない。疑って悪かった。
でもこの話をきいて、更にわからなくなった。
「……わからないっす。姉の光属性攻撃?は効いたっぽいけど、俺が傷付けてもすぐに傷が消えたりしたっす」
「そ、そうか。戦えなくてすまない」
「掲示板に注意喚起はしても良いか?」
「うっす。お願いするっす」
そう言うと彼らは村の中へと消えていった。いい人達っぽかった。
突発的な限定イベントだったって事か?
アナウンスは無かった……
…………わからん。俺にはもうわからないや。
ミツキさんとか、レンさんとかミカゲさんなら何か思い付くものがあるかもしれないけど、俺には無理だ。
なんか疲れたな……
あ、スクショ撮り忘れた……!
くそ、スクショすれば良かった。
「リーフ」
「リーフさんも、本当にありがとう」
「うっす。……こちらこそ」
姉の言葉に振り向くと、オリバーさんがもう一度頭を下げた。
……まあ、オリバーさんに会わなかったらこれも無かった訳だしな。
「これはお礼だよ、受け取って欲しいな」
オリバーさんが俺の手に押し付けてきたのは、銀……薄い青?色をしたインゴットだった。
ミスリルのインゴット
俗に言うミスリル鉱石から、不純物が除かれて凝縮されたインゴット。
価値が非常に高い
「なっ!?はっ!?あ!?え!?」
「はっはっは。昔戦場で拾ったものさ。リーフさんは鍛冶師だってハイドレンジアさんから聞いてね」
「いや、あの、え?」
「落ち着きなさいリーフ」
スパァンと頭を叩かれたけど、手の金属から目が離せない。いやだってミスリルだぞ!?インゴット!すぐにアイテムボックスへとしまう。
「普段はルクレシアの医院にいるから、何かあったら来てくれ!」
はっはっはと笑いながら手を振るオリバーさんを見送る。はー、びっくりした。
「……そろそろ戻りましょ。明日も部活だし」
「姉ちゃんにはあのアーツも聞きたいし、皆に報告もしないと」
「そうね……でももう遅いし、明日、出来事を纏めて報告しましょう。部活が終わったらログインするわ」
そう言って恐らく島へと転移した姉。
マイペースだな……
でもまあ確かにもう遅いし、なんか疲れたから、報告は明日にさせてもらおう。
俺も島に戻って、ログアウトしよう。
◆◆◆
『……忌々しい、聖樹の力だねぇ』
誰もいなくなった草原で、黒衣の魔女が呟いた。
憎々しげに呟くと、足元の影に飲み込まれるように、静かに姿を消した。
リューの前にハイドレンジアとリーフですね!
二人のステータスはこんな感じです。ミツキよりもパッシブスキルが多いのは、ミツキは【無詠唱】でSP50使ったからなので……
姉と弟の冒険の一頁でした。
時系列はミツキがダンジョンに挑む前日ですね( ˘ω˘)
イベントの発生条件
・夜間
・NPCからの一定以上の好感度
・星に関連するものを持っている(星の手の者と認識)
・聖樹に関連するものを持っている(聖樹の手の者と認識)




