建国際14日目 ⑥ 報告と相談と
ご覧いただきありがとうございます!
ど、どうにか入口まで戻ってきました。
帰り道、ハードでした。
おかげさまで更にレベルは63まで上がりましたけどね…殆ど王様達やお師匠様が倒しましたが。
倒しきれなくても、その時同行中のNPCが倒したとしても、攻撃が当たっていれば戦闘貢献として経験値が貰えることがわかりました。
ぐぬ……倒せるように頑張りましょう。
「エトワール」
「はいはい。閉じるよ」
王様の言葉を受け、入った時と同じようにお師匠様が石碑に触れました。
!モンスターの気配が、薄くなりました。
「気配が…」
「すっごいですな…この山結界でも張ってるんですかね…」
「中々働いたわ〜少し疲れたわね」
「モンスターに攻撃し続けたからね」
朝9時に出発して、13時過ぎです。およそ4時間程度の滞在でした。
濃密な4時間でした…
一旦ログアウトしたい所ではありますが、この後の予定を聞いておかないとです。
「皆、ご苦労。この後はヴァルフォーレンで食事休憩をして、王都へ戻る。冒険者達はそこで解散とする」
「はっ!」
ちらほら冒険者達が集まるのが見えます。
ジアちゃんとリーフくんは……遠くから走ってくるのは2人ですかね?
ジアちゃん達の戦いの話も気になります。
ふむむ、ヴァルフォーレンの屋敷に着いたら、一旦ログアウトさせて貰いましょう。
「ミツキ」
「お疲れ様っす」
「お疲れ様、二人とも」
「うお、レンさんレベルめっちゃ上がりましたね」
「ン」
……二人もレベル上がりましたね!
レベルが60になってます。
そしてヴァルフォーレン侯爵家に戻ってきました。
おお、食事の用意がされてます。準備早いですね…手伝う間もありませんでした。
「……では、各自食事と休息を取るが良い。ご苦労」
「はっ!」
王様の言葉に、騎士や冒険者達が武装を解いてゆるりと過ごし始めました。
わたし達も、一旦ログアウトさせてもらいましょう。
お師匠様と会話する王様の元へ近寄ります。
「お前達か」
「ご苦労だったね」
「ありがとうございます。…一旦戻っても大丈夫でしょうか?」
「ああ」
「この後は報告だからね、お前さん達の分の食事は分けておくように言っておくよ」
その言葉に甘えて、わたし達は隅に寄って一旦ログアウトさせてもらいました。
そして食事を済ませて、再びログインです。
15分程度ですね…冒険者達はそれぞれ和やかに会話していたり、騎士と話し合ったりしています。
わたしに気づいたジル様が、離れた場所から手招きします。
「ミツキさん、どうぞこちらへ」
「ジル様、ありがとうございます」
テーブルの周囲では、レンさんとミカゲさんが食事していました
そしてわたしを見て片手を上げます。
「先に貰ってました!めっちゃ美味しいです」
「…ン」
ピザのようなものを口に運びながら、二人が頷きました。
おお、美味しそうです!
そして両親やジアちゃん、リーフくんも合流し、皆で食事に舌鼓を打ちました。
ジアちゃんとリーフくんの戦闘の話に耳を傾けます。
「…やっぱりレベル差はどうしようもなかったわね。どうにか冒険者の二人と戦っていたけど、2時間くらい戦っていた後は、そりゃもうボコボコにされたわ」
「疲労の隙を突かれてボコボコだったっす。ラルフさんとグラムさんが助けてくれなかったら死に戻ってましたし。…長時間戦闘を行うにはまだまだっすね」
ため息を溢しながらそう戦闘を振り返るジアちゃんとリーフくんです。
2時間も戦闘するの、大変です。
「そうしたら戦場を駆けるヴェロニカ様を見かけたのよ。彼女の戦闘を見学させて貰ったわ」
「ちょっと…いや大分よくわからない能力持っているみたいで」
「よくわからない能力…?」
「ふふ、ヴァルフォーレンで戦うのに必要な能力なのよ」
その言葉に首を傾げて、続きを促そうとしたところ、扇子で口元を隠しながらヴェロニカ様が話しかけてきました。
「ふふ、話に混ざってもいいかしら?」
「ぜ、ぜひお聞きしたく」
「ええ。知られても構わないものだから、聞いて頂戴。といっても単純なものよ」
ヴェロニカ様は扇子を閉じて、ギルベルト様とジル様のいる方向へと視線を送りました。
「ヴァルフォーレンの人間にはね、ヴァルフォーレン領に踏み入れたモンスターを逃さない秘術があるの」
「…ひ、秘術、ですか?」
「ええ。決して逃さず、されど全て倒さねばならない。そのような秘術よ」
逃さないけれど、その代わりに全て倒さなければならない、秘術…!
それは、すごいです!
「霊峰から降りて来たモンスターは必ずヴァルフォーレン領を通るわ。そして出られない」
「故に逃すことなく戦闘できる、という訳なのね」
「ええ」
母の言葉にヴェロニカ様が頷きました。
霊峰から降りて来たモンスターが王都の方向へなんて、冒険者をすり抜けて行ってしまったらそれこそ大惨事です。
な、なるほど…ヴァルフォーレンすごいですね…
「…故にヴァルフォーレンは霊峰の麓に位置しているのだ」
「それが我らヴァルフォーレンのすべき事だ」
ひょっ!
お師匠様と王族御一行、ギルベルト様とジル様が集まって来ました。
か、顔がいい…そして強いです…
「周期的にモンスターのレベルも変動するからな…故にランクの高い冒険者達が街に所属している」
「ええ。冒険者は別にヴァルフォーレンに忠誠を誓うとかそう言うのじゃないわ。あくまで私達はただの雇い主ね」
「だが雇い主が弱くては話にならないからな。日々精進だ」
ギルベルト様の言葉にヴェロニカ様とジル様が頷きました。
ひえ…侯爵家すごいです…貴族としても何か違いますね…?
なんだか、冒険者よりな感じです。
「あの、レンさん」
大人達が戦闘の話で盛り上がっているので、傍らで食事を摘んでいるレンさんに小さく話しかけます。
レンさんは視線で問いかけの続きを促しました。
「ジョブは、どのようなものになったのか聞いても大丈夫ですか?」
「…ああ」
「おっと、それはボクも聞きたいですわ」
「…ああ、ワタシもそれは聞きたいね」
歓談していたみんながこちらへ顔を向けました。
レンさんは向けられた視線に眉を顰めましたが、諦めたように自身の目の前にステータス画面を表示させました。
「…ジョブは〈破壊の執行者〉だな」
「なんて??」
「一気に路線が変わったな…」
破壊の、執行者??
響きがすごく強そうです。
「使徒ではないのですね」
「違うらしいな。より概念的な力を使うのに秀でているように感じる」
「…使徒や執行者にはまだ未知なのさ。それが宇宙や、破壊の力であれば、ワタシは今まで会ったことがないね」
「俺も聞いていない。恐らく他にいないだろう」
お師匠様と王様が肯定しました。お二人が言うと説得力ありすぎますね!
「…そこでニヤけるミカゲもこうなるかもしれねェからな」
「うぐ、流れ弾でも否定できないっすわ」
ミカゲさんが胸を押さえました。
確かにミカゲさんも転職にアイテムが必要な仲間として、少し怪しいところありますね。
「ジアちゃんとリーフくんはそういえば今はどんなジョブなの?」
「そういえば言ってなかったわね。私が木魔法を主に使う弓使い、〈ウッド・シューター〉よ」
「俺は〈ベルセルク・アックス〉っすね。斧使うバーサーカーっす。なんか分岐すると武器名が入るんすよね…まあ今後も斧使うんで構わないすけど」
リーフくんがぐぬぬ…という顔をしました。
ふ、不思議ですね…?
剣士だったら〈ベルセルク・セイバー〉、弓使いだったら〈ベルセルク・アーチャー〉となるのだとか。
斧は斧なんですね……想像もつきませんが!
「…実に興味深いな。今度手合わせでもするか」
「…是非」
王様がニヤリと笑うと、レンさんも挑発的な笑みを浮かべました。
そ、それは見てみたい気がしますが!
「陛下」
「む」
イオさんが水晶を片手に近寄って来ました。
結構話し込んでしまいましたね。
「…まだまだ話を聞きたい所だが、冒険者を拘束する訳にもいくまい。ギルドカードを」
王様の視線を受けて、わたし達はギルドカードを水晶へと翳します。
-指名依頼 <慰霊の祈り> をクリアしました-
クランへの報酬として白金コインを2枚入手しました。
個人報酬として、金コイン5枚を入手しました。
無事に指名依頼をクリアできましたね。
しかも白金コインが2枚も!これはみんなと交換できるアイテムのラインナップを眺めて使用します!
「星詠みの事で色々あるだろうが、師と兄弟子と共に力を合わせ謎を解いてくれ」
「ミツキさまなら、きっと困難にも立ち向かうことが出来るでしょう。頼りになるご友人方もいらっしゃいますし」
「何かあれば是非お声掛けください。王子として力になります」
「ソラさん、サクヤさん、レンさん、ミカゲさん、ハイドレンジアさん、リーフさん。貴方たちも、期待していますよ」
王族御一行からの言葉に、背を伸ばします。
大変恐縮です…!
その期待に応えられるように、精進します!
「…そういえばミツキ」
「はい、お師匠様」
「ヴァイスにラクリマの事は伝えたのかい」
「……お伝えできてません!」
連絡手段がなく!図書館にも行ってませんので…!
頭を抱えました。伝えなければ!
「…これを使いな」
お師匠様は一枚の紙をわたしに手渡します。
あ、これは謎の仕組みの、相手に届く手紙です!
「それなら届くだろうさ」
「ありがとうございます!」
もうすぐに!この後手紙飛ばします!
「ではここで、お前達は解散だ」
「良い建国祭を」
「良い建国祭を!」
「はい!良い建国祭を!」
皆さんに挨拶をして、ホームへと転移しました。
ジアちゃんとリーフくんは、お世話になった冒険者に挨拶する、と言っていたので後から来るでしょう。
わたしは急いでヴァイスさんに手紙を飛ばします。
羽化が近くなったら、再度連絡を入れます。なんならその時に島に招待です!
「…称号を、貰った」
「称号ですか?」
わたしの言葉に、合流したジアちゃんとリーフくんも含めてみんなが頷きました。
わたしはもう王族関連の称号は貰っていますからね。それ関連でしょうか?
「〈王家の期待〉って称号ですな。クリスティアのNPCからの信用を得やすくなる、らしいです」
「わあ…範囲広いですね」
「ミツキも王家からの称号を貰っているのかしら?」
貰ってますね…しかもちょっと毛色が違います。
ステータス画面を眺めて、再度確認します。
称号
翠玉薬師の弟子
星の視線
星詠みの魔女の弟子
太陽の祝福
特別な名付け人
クリスティア王家の友
特殊な浮島の主人
富豪
先抜け跳躍者
海の祝福
天空竜の祝福
黒鴉の興味
こう見ると称号、多いですね…
以前王家であった事を掻い摘んで簡単に説明します。
前にレンさんとミカゲさんには伝えましたね。
「…なるほど、ミツキはすでに信用を得ているのね」
「ふっふっふっふ…あの時のミツキ氏は押せ押せしてましたぞ…ミツキ氏に手を出したらクリスティア王家が動くって言った時のミツキ氏、とてもカッコよかったのです」
「み、ミカゲさん!」
あの時は強気をセットしてましたので!
なるべく迷惑をかけないようにします…
「…こほん。では、今日はお付き合いいただきありがとうございました。解散で!」
「お疲れ様でしたわ!ボクはあっちの崖で扉の組み立てしてますんで」
「ゴーレム倒してくる」
「あ、僕もゴーレム倒そうかな。ソラ、どうする?」
「神殿に必要だから行くわ」
「なんだかんだで明日で建国祭も終わりだものね。私は依頼熟してくるわ」
「俺も依頼するっす。ゴーレムも倒してきます」
それぞれ予定を立てて、目の前から消えました。
そうですね、明日で建国祭は終わりです。
結構、2週間は長かったですね。
わたしは、リゼットさんの所へ報告しに行きましょう。
「リゼットさん、こんにちは」
「あらミツキさん。こんにちは」
お店に入ると、リゼットさんが棚卸し作業の手を止めてこちらへ微笑みました。
お客さんがいないので、簡単に星の霊薬の事を伝えさせて貰いました。
「…まあ、ツェアシュテーレンの花を素材として使うのね」
「はい。実物はありませんが、今度作った時に持って来ますね」
「レンくんにお使い頼んだから花の在庫はあるけれど、ミツキさんは自分で採取してこそだものね」
リゼットさんの言葉に頷きます。
余程入手しにくいものでなければ、自分で採取したい所です。
ただツェアシュテーレンの花は…島で栽培できませんかね?
「そろそろミツキさんの器具を新調しないとって思っていた所なのよ。時間がある時にここへ行ってみてほしいわ」
そういったリゼットさんは、一枚の地図と手紙をこちらへ差し出しました。
受け取って眺めると、王都の地図と紹介状でした。
うっ…紹介状…!いい所には必要なものです。
「以前話はしてあるから、大丈夫だとは思うけれど相談してみて頂戴」
「何から何まで、ありがとうございます!」
「師としてできることをしているだけよ」
「早速行ってみたいと思います!」
今日はまだ時間ありますし、行きましょう!
新しい器具を探しに!
「ええ。良いものと出会えると良いわね」
「はい!ありがとうございます、失礼します!」
会釈をして、店を出ました。
今は15時過ぎです。
…建国祭期間中ですし、やっていると良いのですが!
強そうでかっこいい響きの言葉を探していたら執行者に落ち着きました( ˘ω˘)
あともう少しだけ建国祭続きます!
ミツキの物語をよろしくお願いします!




