建国祭 8日目 武闘祭本戦④
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700万PV!たくさんご覧いただきありがとうございますー!これからもミツキの物語をお楽しみ下さい!
『なかなか佳境に入ってきたね!準決勝さ!』
『次は《ステラアーク》と《インフィニティ》の戦いだ!』
「うげ、ミツキ氏少しいいです?」
「?はい」
次の対戦相手の名前を聞いた瞬間に、ミカゲさんが顔を顰めました。
「うーーーーん初っ端からやってくるとしたら、ミツキ氏の力が必要ですわ……」
「や、やれるならやりますよ」
「ボクが名前呼んだら、全力で真空空間作って下さい…」
「わ、わかりました!」
「恐らくミツキ氏へのバフにもなると思うので、ソラ氏は宇宙空間よろしくですわ…」
「わかったわ〜」
ミカゲさんが渋い顔してます。
対戦相手、厄介なんですかね?
「…例の10秒パーティーか」
「そですそです。今までの戦いでは使わなかったみたいですけど、今回メンバーにシールダーいますし、ぶちかましてくるかもしれないんですよね」
「……チッ」
「ボクらには使ってきそうなんですよねーーー!」
と、とりあえず何かわかりませんが、全力で真空空間しますよ!
反対側のフィールドには、6人のプレイヤーが立ってます。
フィールドの端に立って、礼をします。
『スタートッ!』
「【ブースト】【ハイブースト】!」
「【ブースト】【ハイブースト】!」
(【身体強化(魔)】【ブースト】【ハイブースト】)
「【ブースト】【ハイブースト】【エリアプロテクト】ッ!おら、ぶちかませ!」
「「合点!」」
「!ミツキ氏!ソラ氏!」
ミカゲさんが目の色を変えて振り向きました。
わたしは頷きました。
おそらく何か大きな魔法使うんでしょうね!
「コスモス様、その力をお借りします。【宇宙空間】!」
「わたしに近寄って!【惑星加護】!【真空空間】!」
「嫌な予感がするね!【黒鎧換装】【黒ノ揺籃】!」
全力で真空空間を展開しました。
いつもより多くMP込めてあります!
「よっしゃあ!【大噴火】ッ!」
「いくわよ!【大洪水】ッ!」
その呪文が聞こえた瞬間、凄まじい轟音と衝撃が響き、何かが割れるような音も聞こえました。
『ちょっ最初からぶちかましたーーー!!!』
『フィールド!フィールドは無事か!?観客席に張った結界は!?』
『……結界は無事!結界師が咄嗟に結界強化したから!』
『ステラアークとインフィニティのパーティーは大丈夫か!?』
「ぐ、」
「サクヤ」
「…大丈夫さ」
目を開けると、フィールドがボロボロになっていました。
わたし達の前に父が鎧姿で立っていて、HPが半分まで減っています。
わたし達のHPも、2割くらい減ってしまいました。
…わたしの近くで、真っ青な氷の惑星がふよふよと浮かんでいました。
‐特殊アーツ【海王】が限定解除されました‐
こ、ここにきて海王星……!
表面温度−220度の、巨大な氷惑星です!
なんて説明してる場合じゃないですけど!
「……ゲッ!耐えてる!?」
「嘘ォ!?」
「なんで!?」
「俺らのがダメージ受けてね!?」
「チッ…ここまで来るパーティーだと無理か!」
その言葉に向こうのプレイヤーを見ると、HPが半分程度にまで減っていました。
自分が放った魔法でダメージ受けたんですね……
あの威力ならわかりますけども!
『……耐えてるーーー!!』
『うおおおお!すげえな!!』
『エレメンタル・フランマの大規模魔法【大噴火】とエレメンタル・ヒュドールの大規模魔法【大洪水】が反発しあって大爆発したよ!!』
『ハイシールダーの【エリアプロテクト】使ったって事は自分らにもダメージ来るってわかってたんだよな……よく耐えたなステラアークさん達!』
『恐らく炎や水は真空で防げたけど爆風と飛んでくる瓦礫はあの守護剣士の男性が防いだっぽいね!』
お互いの魔法で反発しあって大爆発とかあるんですね……!
勉強になりました。
最初からやられたら中々厄介ですね!
(【流星雨】!)
「ッ!【エリアプロテクト】ッ!」
流星雨を降らせて父の近くに寄ります。
「少しだけアーツを確認させて」
「わかったよ」
わたしはステータスを開いて、特殊アーツ【海王】に触れます。
【海王】
その力は世界に作用する
海を操り、眷属を喚び寄せ、フィールドを海中にする事も可能だ 我は海、海は我である故に
ん、んんんんん!!!
つ、使っていいんですかこれ!?ひとまず使うか使わないかは置いといて、発動だけしてみますけども!?
「フィールドを海中にもできる……!?」
「え、」
「これはさすがに使えないかもしれない…でも発動だけはしようかな……【海王】」
『なんだ、使わないのか』
「ッ!」
聞き覚えのある声が響いて、思わず周りを見渡してしまいました。
そんなわたしの様子を、父が不思議そうに見つめます。
(ま、ままマレ様!?)
『なんだ』
(こ、これはやはりマレ様のお力で!?)
『そうだ』
で、ですよね!
思わず頭を抱えました。
尚更使えないかもです。
で、でも……
(……何か一撃、わたしが使える技とかありますか?)
『……ふむ、あるにはある。貸してやろう』
マレ様からの提案に、それならやれるかもしれない、というものがありましたので、その準備をすることにしました。
‐ミカゲ視点‐
「【爆発】!」
「【水飛沫】!」
ハイシールダーの後ろから飛んでくる魔法を大鎌で切り裂く。
切り裂いた魔法は散りましたが、火の粉と水滴で少しダメージ受けました。
厄介……それもダメージになるんですな…
レン氏がハイシールダーの盾に思いっきり拳を振り抜いたのがみえました。
いや力技……でもそれで【エリア・プロテクト】は割れたっぽいです。
それにハイシールダーが魔法職から吹っ飛ばされて離れました。
「【ソウル・リッパー】!」
魂あるものへの攻撃。
これを防げるのは防御系のアーツではなく、状態異常を防ぐアーツです。
この【ソウル・リッパー】は状態異常攻撃に入るので!
なのでこの黒い刃は攻撃しても無効ですし、シールド系の防御アーツも無意味になります。
「んぐ、防げない!?」
「なんだこれ!?」
「あっHP減った!うう【快晴】!」
「あっちょっ!」
フィールドが明るく照らされます。
なるほど、これはエレメンタル・フランマのエリアバフですな。
炎系のアーツの威力が上がり、水系アーツの威力が下がるってやつですね確か。
ミツキ氏の使ってたソル様関係の日差しよりはランクダウンしてますけど、それでも厄介ですね。
「【爆発】【爆発】!」
「うおう危ない!」
どうにか飛んで避けたら、何故か周りが引火しました!
うえあ!?周りが火の海になりましたが!?
『あ、【快晴】による【爆発】の延焼だね。使うと周りが火の海になるよ!』
『火に触れてなくても少しずつHPが減るやつだな!』
『雨を降らせるか大規模な水魔法で消火するかだね!』
「ちょおい!あっちいが!?」
「耐えて!向こうも熱いでしょ!」
「HP的にこちらがジリ貧なんだが!?うおいてあぶねっ!?」
レン氏の一撃一撃を盾で弾いていた向こうのシールダーが叫びました。
レン氏は炎を気にせずシールダーをボコボコにしてます。
ソラ氏も遠くで剣士のプレイヤーと戦ってますね…
あとなんかじわじわHP減ってますねこれ。
うーん、どうしたものか……
こちらのHPが尽きる前に、相手を倒すしかないですな……
『ってアレもしかして【重力操作】!』
『浮いてんなぁ!』
『しかもその手に浮かぶ水の槍!まさか!』
「【海王の三叉槍】っ!」
大鎌を握りしめた時、背後から聞いたことのない呪文が聞こえた瞬間、目の前に衝撃と水が溢れました。
「【海王の三叉槍】っ!」
重力操作で空中に浮かび上がり、高度を上げます。
そして全てのMPを込めて、マレ様から許可された海水による三叉槍を、火の海に向けて投げました。
そして全てのMPを使い果たしたので、重力操作を維持出来ずにそのまま落下します。
や、やっぱり慣れません!
この内臓のふわっと感!
「よっと!」
「ふぐぅ!」
「大丈夫かい、ミツキ」
「あ、ありがとう…」
落下地点でわたしを受け止める為に待っていた父に、受け止めてもらいました。
マレ様に全てのMPを込めると聞いた時、父に頼んでおいたのです。
でもMPもうすっからかんなので、杖で殴ることしか出来ませんね。
「しょ、消火できた?」
「出来たね」
『消火〜〜〜!!!』
『広範囲燃えてた炎を見事に消火したな!』
『いや突っ込めないけどすごいねぇ!直撃で二人戦闘不能になった!』
『ステラアークさん達が気にせず攻撃し始めたぞ』
「お父さんも行ってきてもいいよ」
「いや、あの3人で十分かな。こちらに来たら相手するけど」
「……そういえばお父さんのHP半分切ってたね」
「ソラのダメージも貰ってるからね」
今もじわりとHPが減りました。
母の方を見ると、剣士の攻撃を避けながら蹴りを繰り出し、重力を纏った拳で身体のあらゆる場所を攻撃してます。
武器持った相手に武器無しで攻撃するの、本当にすごいです。
『ここで大鎌の一撃が綺麗に決まったー!』
『ウィザード系は、近寄られた時の対処法も必要になるよな』
『攻撃を避けるにも、避けるための技術が必要だからね。実際身体が動くかは別問題だもの』
『皆、鍛錬は怠らないようにな』
そうですよね…
わたしの真空空間は魔法攻撃は防ぐことが可能ですが、物理的な物は完全に防ぐ事は出来ません。
なので自分で避けられる様に、動けるようにならないとですね。
モンスターも容赦なくわたしを狙ってきますから。
『ここで足払いからの肘ーー!!』
『いい肘入ったな……』
『からのキャメルクラッチ!!』
あぁ……うつ伏せにさせた人の顎を持って引っ張るアレですね??
AIもプロレス技?知ってるんですね??
ていうか母の技レパートリー多いですね??
『K.O.!』
『剣士相手にプロレス技仕掛けるとか渡り人どうなってるんだ……?』
『あーっ拳が!ボディに!』
『地面に叩きつけられるのもダメージだよな…』
「普通に戦うって言ってなかったっけ」
「そうだね……」
「……体術得意なんだね、お母さん」
「ソラは、一度身体の動かし方を見れば何となく出来るタイプなんだよね…」
それは天才というか器用と言うか……?
要領が良すぎると言うか……?
『ここで【カウンター】だー!』
『でも後ろに飛んで上手く衝撃逃したみたいだな!』
『シールダーは決定力に欠ける時もあるけど、プレスとか突進とか覚えたりしてるよねー』
『防御換算のアーツがある筈だ。それらを上手く使えると、戦況も優位に運べるだろうな』
『なるほどねー!………うぇ!?』
『………相手が圧倒的なパワーを持っていたらそうなる事もある。盾は試合終われば修復出来るが、完全破壊されてると難しいが……原型残ってる?』
『……耐久ギリギリ!』
レンさんがバフにバフを重ねてアーツをぶちかました結果、シールダーの盾がバキャッ!と罅が入ったみたいです。
むしろレンさんのパンチ耐えられるのすごいですよね。
わたしだと全身の骨が粉々になると思います。
『鳩尾に掌底入った!』
『綺麗に吹っ飛んだな……戦闘不能!』
『《ステラアーク》の勝利!』
ふぅ……思ったよりダメージ受けました。
フィールドの端に立って礼をして、係員さんの手招きで魔法陣の上に皆で乗ります。
何人かが魔法陣に手をついて魔力を流すと、淡く光りました。
…5人分纏めて装備の耐久値の修復出来るんですね。
ありがたい事です。
控室に戻って作戦会議です。
恐らく、次の対戦相手はカメリアさん達になると思います。
「次はカメリア氏の《エクリクシ》との戦いになると思いますわ」
ミカゲさんがモニターでカメリアさん達と対戦相手のパーティーの戦いを見つめます。
「ソードマスターのカメリア氏、ハイシールダーのグラン氏、ハイプリーストのおこめ氏、エレメンタル・フランマのチェリー氏、付与術師のカイト氏が《エクリクシ》のメンバーですが、おこめ氏は出場してないようです」
「…結構レベルが高いんだったね」
「攻略組のくくりに入れて良いのであれば、各地のモンスター討伐を担ってる戦闘特化パーティーに近いかもですね。魔剣持ちのカメリア氏、文字通り圧倒的な火力を持つチェリー氏は攻撃力高めで要注意です。さらに付与術師のカイト氏によるバフも厄介なんですよね……ハイシールダーのグラン氏も防御高くて、向こうへの攻撃が効きにくい可能性もあります。ミツキ氏の魔法でどれくらいダメージ受けるか見てみたい所ですな」
「……わかりました、初撃で魔法使いますね」
「よろしくですわ。恐らくカメリア氏の相手が出来るのはレン氏か、剣士としてサクヤ氏かと」
「僕?僕はそこまで剣が得意な訳では無いからね……」
「…俺が相手をする」
「チェリー氏の魔法はどうにかミツキ氏に相殺してもらいたいんですよね……ボクもどうにか頑張りますけど」
「…どうにか頑張りますね」
「ボクはカイト氏を真っ先に落としにかかりますので、ソラ氏はグラン氏の注意を引いてほしいのです」
「任せて」
「レン氏もそんな感じで良いです?」
「…ああ」
レンさんはモニターの中のカメリアさんをジッと見つめます。
カメリアさんの剣さばきは、隙がなく的確にプレイヤーの急所を狙っていました。
「……そのカイトさんのバフに対して、【太陽嵐】します?」
「ボクの調べで、付与術師の奥の手ってのがあるみたいなんですよ。……その時に、使いましょう」
「わかりました」
ミカゲさんの情報収集能力の高さはすごいと思います。
……次は決勝ですし、わたしはわたしのやれる事をやりましょう。
「…私も使徒として、最初から飛ばして行くわ。サクヤ、その間護って頂戴」
「仰せのままに」
「そのシールダーのプレイヤーの事は任せて」
母がウィンクしました。
何か策があるようですね?
その後は皆、無言でモニターを眺めていました。
魔法は無限大……!
これからもこの作品をよろしくお願いします!
《インフィニティ》
例のエリアボスを僅か10秒で倒した噂のパーティー
エレメンタル・ヒュドールとエレメンタル・フランマによる魔法、シールダーに転職した元槍使いのリーダー、剣闘士、ハイプリーストからなるバランス?の取れたパーティー
ディーン(男)
シールダー、リーダー
ベニ(女)
エレメンタル・フランマ
スイ(女)
エレメンタル・ヒュドール
ハルカ(女)(不参加)
ハイプリースト
ケイト(男)
剣闘士




