新しい天体魔法と思わぬ出会い
ご覧いただきありがとうございます!
森を抜けて開けた崖に出ました。
いつぞやかお師匠様に魔法見せてもらった崖ですね。
「さて、防御に特化した魔法と広範囲魔法だったか」
「……【天体魔法】ってどのくらいの種類があるんですか?」
「ふむ……10以上はあるね」
そ、そんなに!?
えっと、わたしが教えていただいたのは攻撃として【流星】【流星群】【宇宙線】、回復として【星光】を教わりました。
アストラルウィザード専用アーツとして【魔力強化(星)】【魔力強化(太陽)】【魔力強化(月)】【惑星加護】もありますけどね。
十分多いと思いますが、まだまだあるようです……!
「さて、防御ね………よし、ミツキ、適当に炎魔法をワタシに撃ってみろ」
「はぇ!?」
「問題ないからね」
お師匠様の周りに高密度の魔力が生み出されたように見えます。
なんだか少し景色が歪んでいるような……?
と、とりあえず撃ちましょう。
撃たなかったら怒られそうです。
「ファイアーアロー!」
あえて口に出しました。
お師匠様に向かって真っ直ぐ飛んだ炎の矢は、お師匠様の手前で音もなく消えました。
「!?」
「さ、次は風と水と土だ」
「わ、わかりました」
「ウィンドアロー!ウォーターアロー!サンドアロー!」
次々と唱えた魔法は、水の矢は水の塊となり、一瞬で泡立ち凍りました。風の矢も、何も無く消えました。
砂の矢も砂となりお師匠様の手前で地面へ落ちました。
「これが何か思い当たるかい」
…炎と風は消え、水は凍り砂は落ちる。
【天体魔法】は宇宙・天体に関する魔法ですから、それに当てはまる近しいものは……
「……真空?」
「正解だ」
お師匠様はニヤリと笑いました。
しししし真空!?本当に!?
「【真空空間】という防御魔法さ。主に魔法防御に特化している」
「ヴォート…」
「真空空間についての知識はあるかい?」
わたしは皆に説明出来るほど、詳しく知っている訳ではありません。
ちらりと母をみます。
「そうね……真空空間は、大気圧よりも低い圧力の気体で満たされた空間の事ね。よく宇宙空間の事を真空だと思っている人も多いけど、厳密には宇宙空間には大気があるから、完全な真空では無いのよ」
「そうさ、さすがだね」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄です」
「まあ使えるのであれば何でも使う精神さ。ワタシも何故使えるかわからないが、【天体魔法】に組み込まれているから、詳しいことは気にしない事だね」
「わ、わかりました……」
「これは発動すれば継続的にMPを消費するから、状況に応じて使うことだね」
「はい」
「ちなみにこの空間の中で術者は動けるが、他者は動きが阻害される。剣で斬りかかってくる奴はとてもゆっくりになるし、殴りかかるやつもとてもゆっくりになる、くらいの把握でいい」
わ、それはすごい助かります。
ウィザードの弱点である近接系に対して、避ける時間が作れるのはとっっっても助かります!
「後は広範囲に攻撃出来る魔法か……ふむ」
お師匠様は指折り数えながら何か考えてます。
指折り数えるほど教えてもらってない天体魔法あるんですもんね!?
「……ふむ、流星雨と彗星も教えよう。やるなら徹底的にだ、太陽嵐も授けようか」
「???」
お師匠様がいい事思いついた、とでも言うように指を鳴らしました。な、なんか3つくらいお師匠様言いました。
こう響き的に全てやばいと思います。
「【太陽嵐】は強力な電磁波を放出する魔法でね。その効果は敵味方の強化解除だ。仲間の強化も解除するから、お前さんが使った後に強化する事を勧めるよ」
「えげつねえですわ……!」
「対人戦ならこれくらいしないとね」
ミカゲさんの言葉にお師匠様はからからと笑いました。
いや本当にえげつないですね!?
強化にかかるMPもそれなりに消費しますしね…!
「次に【流星雨】は流星群の強化版だね。より広範囲に、無差別にフィールドに落ちてくる。流星雨、聞いたことあるだろう?」
わたしは何度も頷きます。
視界の端で両親も頷いているのがわかります。
「よく見ておきな。【流星雨】」
日が傾いてほんのりオレンジがかった空に、いくつもの流星が流れました。それは眼下の雲に、次々と消えていきます。
それはとても、美しく………
『いってええええ!?』
「おや」
突如響いた悲鳴に、肩をビクつかせました。
な、なな何事!?
『このっ!この魔法!エトワールだな!?』
「この時間に空を飛んでいるお前さんの運が悪かった、すまんね」
『〜〜〜!』
突如崖下から現れた、空を反射したような水色のドラゴンが、空中に浮かびながらお師匠様へにじり寄りました。
「っ」
皆がそれぞれ武器を構えました。
わたしも杖を握りしめます。
「あ、丁度いいね。もう一つ魔法の的になっておくれ」
『はァ!?』
「【彗星】」
お師匠様は何を気にした様子も無く次の魔法を放ちました。
空から青白い軌跡を描き、大きな青白い光が目の前のドラゴンに直撃したのち、当たった場所と思われる場所が凍り付きました。
『うおおおお冷てえええ!』
「これが【流星雨】と【彗星】さ」
よくわかったかい?と振り向いてわたしに言うお師匠様に、わたしはかろうじて頷きました。
‐【天体魔法】の一部の魔法のロックが外れました‐
【太陽嵐】を習得しました。
【真空空間】を習得しました。
【流星雨】を習得しました。
【彗星】を習得しました。
そして響くアナウンスに、わたしは力を抜いて杖を支えにその場にどうにか立っていました。
『うっぐすっ』
「………」
『うおおお俺が何したってんだよおおお』
お師匠様の後ろで地面に降り立っておいおい泣いているドラゴンの様子が気になります。
ジアちゃんとリーフくんの目がキラキラし、ミカゲさんは顔を引き攣らせ、レンさんは眉間にシワを寄せます。
両親は、顎に手を当てながら興味深そうに見つめてますね。
うーん三者三様……
「悪かったって言ったじゃないか」
『空飛んでたら上から攻撃されるとか思わねえじゃねえかよおおおおうおおおおん』
「お前さんはどうしてそんなに戦闘以外だと打たれ弱いんだい」
『予想外のことが起こると虚勢が剥がれんだよおお』
……なんだか親しみやそうなドラゴンですね。
まあ恐らくそんなに優しい存在では無さそうですが。
「……はいはい詫びに料理でも作るよ。弟子が」
「………うぇ!?」
「適当な肉料理でも出してやってくれ」
『……肉、料理?』
涙を湛えた瞳でこちらを見るドラゴン。
ここでわたし達と目が合いました。
『人間……だけじゃないな。ヴァンパイアも鬼人もエルフも獣人もいる』
「弟子とその仲間達さ」
『……俺、周りからは天空竜って呼ばれてる。俺を、もてなしてくれるのか?』
-特殊イベント《天空竜へのおもてなし》が発生しました-
いいえを選択すると二度と発生しない可能性があります。
特殊イベントを続行しますか?
はい
いいえ
涙で濡れたキラキラした瞳をこちらに向けるドラゴン……天空竜と、響いたアナウンスにわたしは顔を覆いました。
そして皆を振り返ります。
「……聞こえました?」
「しっかりと聞こえましたな。そういえばまだユニオン組んでましたしね」
「…受けていいですか?」
「…ミツキに任せるよ。僕らも手伝うからね」
「腕が鳴るわね」
皆各々もてなす準備を始めました。
ミカゲさんは親指立ててなにやら場所のセッティングを始めました。ジアちゃんもリーフくんも手伝っています。
逃すと二度と発生しないかもしれませんし、ここはおもてなしさせていただきましょう……!
お師匠様が魔法当てましたしね……
わたしははいを押しました。
-特殊イベント《天空竜へのおもてなし》を開始します-
響いたアナウンスを確認して、天空竜に向き直ります。
「天空竜様、少々お時間いただきますので、ゆっくり休んでいて下さい」
『……オマエがエトワールの弟子か?』
「はい。渡り人で冒険者のミツキと申します」
『……めっちゃ大人しいな』
お師匠様そんなにやんちゃでした???
わたしはお師匠様を振り返ると、目を逸らされました。
「…調理場は出してやろう。天空竜の相手をして待ってるよ」
「え、?」
お師匠様が指を鳴らすと、簡易的ではありますがしっかりしたキッチンが出現しました。ご丁寧に床と壁がくっついてます!
昔人形遊びした時の玩具を大きくしたみたいです。
なんですかこのキッチン!?蛇口捻れば水も出ますし、コンロに炎もつきます!
「さ、頼んだよ」
「お、お任せ下さい」
キッチンに恐れおののきながら、わたし達は集まって作戦会議を行うのでした。
あくまで作者の想像も入ってますので、この作品ではこのような魔法なんだな、でよろしくお願いします!フィクション!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




