契約召喚
ご覧いただきありがとうございます!
感想もとても嬉しいです!作者のやる気ゲージの種火となっております( ˘ω˘)
ルクレシアに着きました。
腕の中のラクリマは、街の様子に目を輝かせています。
……そういえばラクリマは普通に話していますが、これ周りから見たら中々特殊なモンスター、と言うことですよね!?
変に注目を集めてラクリマに対して不躾な視線を送られても困りますので、なるべく人の多いところでは話さないようにしましょうか……
ラクリマの意思を尊重したいのですけれどね……
「ラクリマ、話せるあなたはきっと不躾な視線を送られてしまうかもしれない。だからひとまず今は声を出さないでいてくれる……?気になるものがあったら腕を叩いたりしてくれれば見に行こう?」
わたしの言葉にラクリマは瞬きして小さく頷きました。
ごめんなさいラクリマ!なんかこうコッソリ話せるスキルがあるか調べますね……!
スカーレットさんのお店に向かうまでの間、ラクリマは目を輝かせながら両脇に立ち並ぶ店を見つめるのでした。
「こんにちは…」
「いらっしゃい…!ミツキさん!」
ブティックの扉を開けると、カウンターにいたスカーレットさんと目が合いました。
そして花が咲いたように満面の笑みを浮かべて、カウンターから出てきました。
「この間は俺のいない間にお店に来たんだってね?」
「タイミング悪く…お邪魔させていただきました。あ、この子も一緒に入ってもいいですか?」
「あ、いやいいんだよ。いつでも来てくれていいからね。……構わないよ、紹介してくれる?」
ぱちんとウィンクしながらそう言うと、腕の中のラクリマへと目を向けました。
店内を見回して、クレハさんが対応中のお客様しかいない事を確認したので、小さくラクリマへと話しかけます。
「ラクリマ、小さく挨拶できる?」
『…ラクリマ!よロしく!』
「!俺はスカーレット、よろしくね」
ラクリマが小さな声で挨拶すると、スカーレットさんは驚いたように瞬いて、微笑みました。
「ミツキさんは召喚師ではないから、契約かな?」
「はい。あまり契約については詳しくないのですが……」
「おや、そうなんだ。……じゃあ先輩として教えてあげようか」
スカーレットさんがニヤリと微笑うと、片手にモンスターが描かれたクリスタルのようなものを出現させました。
「おいで、フィム」
スカーレットさんの言葉とともにクリスタルが輝き、光が収まるとスカーレットさんの右手の上に灰色の蜘蛛がちょこんと納まっていました。
「彼女はフィム。マナ・スパイダーというモンスターでね、俺と契約しているのさ。彼女の糸を使って服を縫っているんだよ」
フィムと呼ばれた蜘蛛は、一本の脚を上に上げてこちらを見上げます。
まるで挨拶してくれているみたいです。
「はじめまして、ミツキです。こちらはラクリマ」
『ラクリマ!』
ラクリマも小さな手?脚?のような突起を動かします。
フィムと呼ばれた蜘蛛は、嬉しそうにスカーレットさんの手の上で飛び跳ねました。
「契約と言うのは、召喚師でない者がモンスターをテイムする手段の一つさ。テイムとは言うけど、これはお互いの信頼の上に成り立つものだと思っているよ。俺とフィムは主従じゃなくて同等の立場ってこと」
「…それはわたしもわかりますね。ラクリマはなんだかお姉さんみたいな存在ですし」
「ふふ、そうか。ステータスを見ると、契約と書かれる欄があるはずさ。そこに契約中のモンスターの種族と名前が書かれる」
見てみて、とスカーレットさんの促されたので、ステータスを眺めます。
ミツキ Lv.47
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.18/サブ:薬師 Lv.9
ステータス
攻撃 53
防御 74 (+47)
魔攻 154 (+40)
魔防 70 (+47)
敏捷 48 (+15)
幸運 65
SP 44
ジョブスキル
【炎魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】
【天体魔法】【星魔法】【神秘】【身体強化(魔)】【魔力強化(星)】【調合】【調薬】【精製】【短縮再現】【複製】【ブースト】【魔力強化(太陽)】【魔力強化(月)】
アクティブスキル
【瞬間移動】【二重詠唱】【簡易結界】
パッシブスキル
【鑑定】【遠視】【気配察知】【隠密】【植物学者】【節約】【料理】【暗視】【夜目】【MP自動回復】【HP自動回復】【俊足】【品質向上】【精密操作】【看破】【波動】【清潔】【感覚共有】【打撃】【受け身】【回避】【魔力察知】
装備
[頭]パステルグレーのリボン
[上半身]コズミック・ローズ
[下半身]コズミック・ローズ
[靴]ウォーホースのブーツ
[武器]アストラル・ワンド
[アクセサリー]コズミック・ポンチョ
[アクセサリー]太陽のブレスレット
[アクセサリー]黒玉のイヤリング
契約召喚:宇宙蝶 《ラクリマ》
わ、ありました!
一番下にひっそりと契約召喚と書かれています。
もしも契約が増えたら、ひっそりと増えていくのですね。
「休む時にはさっきみたいにクリスタルの形になるよ。呼び出すと大気中のマナを収集して自分の魔力燃料にするから、呼び出せばほぼ自力で活動していられる。でも一定以上のダメージを負うとクリスタルで休眠状態となり、再度喚び出せるまで時間がかかるからね」
「なるほど……」
「それにお互いが同意の上で契約しているはずだから、もしも契約相手と不仲になってしまったら、契約解除もあるからね。悪事に手を染めようとした契約相手を契約解除してボコボコにした子もいるって聞いたことがあるよ」
それはとても頼もしいですね……
わたしはラクリマといろいろな場所を冒険したいので、お互いに遠慮せず話し合えるように努力します!
「…話せる、という点でランクの高いモンスターだと言うことはわかるから、あまり人前だと話さない方がいいね。契約中のモンスターを狙う集団もいるから」
「…契約中でも、奪おうとするのですか?」
「契約を奪う特殊な力を持つ武器を持つ集団がいる。……確か《黄昏》と名乗る集団だったね。身体の何処かにオレンジ色のアイテムを身に着けているらしいから、ラクリマを見る相手を注意して見て」
「……わかりました」
わたしはラクリマを軽く力を込めて抱きしめました。
……はやくレベルを上げましょう。
何かあったら目くらましして逃げるのです。
牡羊もいますが、手を出したらやばい……と思わせるようなオーラが欲しいですね。
「契約相手と同じレベルになるから、ミツキさんが強くなればこの子も強くなれる。でも契約相手以上のレベルにはなれないから気を付けて」
「はい、わかりました。…ちょっとした疑問なんですが、自分よりレベルの高い相手と契約する時もあるのですか?」
「……あるね。知性を持つモンスターの場合が多いけれど、契約することは可能だよ。でもまあ言うことは聞いてくれないかもしれないね。彼らにもプライドがあるし……ほんの気まぐれに契約してやろうっていう高位のモンスターもいる。……ミツキさんは聖獣って聞いたことあるかい?」
「聖獣、ですか?」
聖獣……聞いたことないです。
なんだかとても強そうな響きですが……
「神に力を分け与えられて、高い知性を持つモンスターの事を聖獣と言うんだ。他に、長い年月を経て知性を発現し、大きな力を持つモンスターを幻獣と呼ぶんだ」
「…幻獣は聞いたことありますね」
「おや、そうなんだね。…国の守護獣として契約している聖獣もいる。ここクリスティアにも、契約している聖獣がいるのさ。彼らは俺達よりもうんとレベルが高いし長命だ」
「クリスティアの聖獣は、どのような方なのですか?」
「……とても美しい白竜だと言われている。クリスティアの有事の際に、空より降り立つ巨大な竜……ここ何十年もクリスティアは戦火に巻き込まれていないから、その姿を見たことはないけどね」
クリスティアを守護する巨大な白竜……
どのような方なのか、いつかお会いしてみたいですね。
ドラゴンはお師匠様の魔法の試し相手として相対した事ありますが、比べるなんて烏滸がましい程、位の違うドラゴンなのでしょう。
「自分よりレベルの高い相手と契約するのは、今の所俺は聖獣しか知らないね」
「…なるほど、勉強になりました!ありがとうございます!」
「ふふ、ミツキさんならお会いしてしまうかもしれないからね。……そういえば今日は装備でも見に来たのかい?」
「…は!それはですね……」
首を傾げるスカーレットさんに、今日来た目的を思い出したので、慌てて目的を伝えました。
仲間の装備の相談をすると、今度連れてきて欲しいなと言われたので、レンさんとミカゲさんを連れてブティックに伺う事となりました。
クレハさんにもよろしくお伝え下さいとお願いをして、挨拶をしてブティックを後にしました。
……ひとまず魔花の花園にでも向かいましょうか。
わたしは懐中時計を握りしめて、花園へと向かいました。
作者も年取ったら虫は苦手になりましたね……
なんででしょうね………
これからもこの作品をよろしくお願いします!




