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老寿のエルダートレント 〈エルブ〉

ご覧いただきありがとうございます!

これからもミツキの物語をお楽しみください!



「はっはっは!」


ジアちゃんが高笑いを始めました。

あれはすごいハイテンションですね……

エルフで見た目はちょっと儚そうですが、それをぶち壊して歯を見せて笑っています。

傍から見たらちょっとヤバい人です。


「……リーフくん、あのジアちゃん大丈夫?」

「めっちゃ突っ込みたい所はたくさんあるんすけど、姉ちゃんはほっといて大丈夫っす」

「そ、そう……」


若干引いた様子のドラコーンがこちらへ戻ってきました。


「ありがとうございます、ドラコーン」

(星の娘に手を貸す。それが使命)

「とても助かりました」

「……会話通じるんすね」

「そう、秘密だよ?」

「……凄すぎて言えないっすよ」


リーフくんは若干ドラコーンを警戒しているみたいですね。


「……触っても、いいですか」

「ドラコーン?」

(…是)


リーフくんは少しだけそわっとします。

わたしはドラコーンを見上げます。

ドラコーンは眼を閉じていましたが、ゆっくりと眼を開けると頭をリーフくんへ近付けました。


「………」

(………)


お互いに無言で撫でる、撫でられるを繰り返しています。あ、肉球あります。

獣人の肉体的な仕組みは謎ですね!肉球あっても斧握れるんですねぇ……

肉球もありますが、見た目は前に兄がやってたゲームの……えっと……ウェアウルフ?ってモンスターに似てますねぇ。


『……こりゃあ面白い技じゃのう!武器を壊すとは!』

「武器を犠牲にして放つアーツがあるのよ」

『こりゃたまげた!ほっほっほ!持っていくが良いぞ!』

「ありがとうお爺様」


ジアちゃんは落ちた枝を拾いました。

……素材なのか特殊なアイテムなのか。落ちても消えないと言うことは特殊なアイテムなんですかね。

これも依頼でしたし!


『中々楽しめたぞい。…ワシは暇じゃから、少し話に付き合ってくれんかの〜』

「休憩させて貰えるのならいいわ。ミツキもリーフもいいかしら」

「おう」

「うん!」


エルブさんの根本の近くに三人で座ります。

ドラコーンはわたしの後ろでとぐろを巻きました。


『ほんに、諦めない人間は厄介じゃの〜!』

「………貶してるのかしら?」

『褒めておるぞ!効果あるか微妙なのに諦めずに同じことを繰り返し続けたお主は中々骨があるのう』

「……効率的では無いのは理解しているけれど、譲れないものがあるなら諦めないでしょう?私は諦めが悪いから」

『長所であり、短所じゃのう』


ジアちゃんの精神的な強さは、ジアちゃん自身のものか部活で培われたものかわかりませんが、諦めずに目標に向かって進むことができるというのは素晴らしい事です。


言う事は簡単ですが、達成出来るかは己次第ですからね。


「…エルブさんは、この森の主なんですか?」

『まあ管理者みたいなものかのう。守護者でもあるが』

「守護者?」

『ほっほっほ』


あ、これは詳しく聞けない奴ですね。

違う話題を持っていきましょう。


「ちなみに懐かしい気配と言ったのは、力ですか?杖ですか?」

『両方じゃの!其方等渡り人じゃろう?渡り人でその力とその杖を持つものはおらんかったからの〜。割と前にその力を持つ魔女と話したことはあるがのう』


割と前……エルブさんの言う割と前はどのくらい前なんでしょうね?

お師匠様は顔が広いですからねぇ……



「……加工で気をつけることとかあるのかしら」

『その枝を加工出来るなら良い腕を持つ作り手なんじゃろ。良い弓にしてもらうんじゃぞ』

「ええ、よく馴染む弓にしてもらうわ」

『………ふむ、この森に人が来たのも久しぶりじゃからのぉ。エルフの其方には魔法も授けてやろうかの」

「え?」


エルブさんが淡く光ったと思うと、隣のジアちゃんも淡く光りました。

なんでしょ??


「……【木魔法】を覚えたわ」

「わ、すごい!」

『エルフは森の民じゃからのぉ。相性はいいじゃろうて』

「あ、ありがとう」


【木魔法】!

モンスターが使っているのは見ましたが、プレイヤーが使うとどんな魔法なんでしょうか!

それに……


「……4大魔法以外にも使える魔法があるとは知っていましたが、授かるものでしたか」

『ほっほ。4大魔法は精霊達の加護じゃが、これらの魔法はワシらが作り出したものじゃからの〜』

「エルブさんがお作りに!?」

『ワシじゃよ〜』


とっても軽く言われました!

お、驚きました!

エルブさんが【木魔法】の生みの親、と言うことですよね!?


『ワシは本当はもっと強くて格好いいんじゃよ。名前ももう少しイケイケじゃ』

「そ、そうなんですね」

『氷を司る婆さんは人間嫌いじゃから会うのは大変じゃのう。雷を司る坊主は空を移動しておるから……こっちも会うのは大変じゃな』


お待ちください……!

情報が、情報が多いです!

4大魔法については図書館で読んだ覚えはありますが、4大魔法以外の情報についてはあの時は見つけられませんでした!

気になる情報ばかりです。

4大魔法以外の魔法は、作り手?に教えを請うと授かることが出来るのでしょうか……



『……星の娘には勝手に教えるとあの魔女が怒りそうじゃからのぉ。弟子じゃろ?』

「は、はい。そうです」

『苛烈な魔女じゃからの〜』


……お師匠様はエルブさんと何があったのでしょうか!

とても気になります。お師匠様に今度聞きましょう。


『狼の其方は相性良くなさそうじゃからすまんの』

「っす。魔法使わないんで」

『そうかの』


リーフくんは魔法使わないんですね。

……近接系なプレイヤーは魔法使わないんでしたか?

あまり使ってるの見たことないです。

覚えられないのか使えるけど使わないのか、わかりませんねぇ。


『ワシと話してくれて感謝するぞ〜ゆっくり休むんじゃよ〜』

「…こちらこそありがとう」

「ありがとうございます!」

「あざっす」


そう言うと目の前のエルブさんの魔力の気配が薄くなりました。

………え??


「魔力が薄くなった……?」

「よくあるヤツじゃないすか」

「よくあるやつ?」

「ミツキはゲームやらないからきっとわからないわよ」

「……その辺の木に意識を憑依させて、本体は別な所にいるってヤツっす」

「!?」


そ、そんな存在が……!?

え、本体じゃないんですかこれ!?

攻撃もしてきましたし、トレント達も生まれてましたが!?


ほあ……知らないことばかりです。


「そ、れ、よ、り、も!」

「ひょおっ!?」

「こちらのかっこいい方はどなたかしら?」


ガシッと肩を掴まれて、ジアちゃんとともにドラコーンを見上げます。


「……ジアちゃん、龍とか蛇とか好きだっけ」

「大変に好みよ」

「姉ちゃん日本語」

「この滑らかな鱗にスッキリとしたフォルム!キリッとした瞳で怜悧な雰囲気!」


ドラコーンが目を逸らしました。

おや、照れてますね?

真っ直ぐな賛辞は照れますよね。


「とっても好みよ。……触らせて頂いても宜しいかしら」

(……是)

「いいって」


ジアちゃんはそっと手を伸ばして、ドラコーンの鱗に触れます。

……凛とした表情が崩れて口が緩んでいます。

本当に好きなんですね……


「……姉ちゃんは、爬虫類が好きなんす」

「そうなんだ……」


普段の会話に爬虫類は出てこないので、初めて知りましたね。

わたしもジアちゃんが使ったアーツ気になるのです。


「ジアちゃん、【0か100か(フォーチュン)】使ったら成功するってわかってたの?あと武器壊して大丈夫?」

「……私、成功か失敗みたいに2択があるアーツは必ず成功するっていうレアリティの高いパッシブスキルを持っているのよ。初日にスキルをランダムにしたら手に入れたの、【幸運の女神の視線】と言うものよ」

「ほあ」

「当たるか当たらないかってのも、()()()()()()。でもこれはアーツだけよ。普通に狙う分には作用しないから、そこは私の腕の見せ所ね」


すご……そんなパッシブスキルがあるんですね!

【植物学者】といい、その【幸運の女神の視線】というパッシブスキルといい、ランダムで出てくるパッシブスキルはレアリティが高いものなんですね……


「武器もストックがあるから構わないわ。それでも今の私にはランクの高い武器なんだけれどね。【サングイス・アロー】ってアーツが、武器を破壊して威力を高める武器食いのアーツなのよ」

「ぶきぐいのアーツ」

「【0か100か(フォーチュン)】の効果も、次に放つアーツが必ず成功/命中、失敗/失中、なんて効果だったし」


あ、そうなんですね。

確認しそこねてました。


「失中なんてよくある事だから気にしないけれど、当たるに越したことはないしね」

「…さすがジアちゃん」

「ポジティブさが売りよ」


ドラコーンを撫でる手は止めませんが、そう言い切ったジアちゃんはとても格好いいですね。


わたしも色々挑戦しましょう。

ゲームですし、失敗も成功の元ですよね!


ゲームだからこそ、色々やってみても良いと思います。


ジアちゃんに倣って無言でドラコーンを撫でる手に加わったリーフくん、撫でられるドラコーンを眺めながら、わたしはそう思いました。



空を移動………ふーん??

まあミツキには【天体魔法】がありますからね!


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 空は本当に一部のプレイヤーしか無理そうだなぁ。テイマーとか 空に拠点持ってるとか? ゲーム的には中期か後期に大陸間移動が解禁されて空を飛ぶ船に乗ってると確率エンカウントとかだろうか?
[一言] 更新有り難う御座います。 トレント、魔物としても、森の賢人としても……。
[良い点] やっぱり 木魔法覚えたか まぁエルフだしね 雷はやっぱりリュウくんが取りそうだけどね [気になる点] あれじゃ闇魔法はやっぱり魔族とかそのあたりかな ソラさんが覚えそうだけど […
感想一覧
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