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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第53章 メニュー完成

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第524話

 10時を過ぎた頃になって、裏田君が出勤してきた。

 いつものように次々と注文していた商品が納品されてくる。

 それから10分ほど遅れて田中君が出勤。パートの二人も始業10分前ほどに着替えを済ませてやってきた。


 納品作業も落ち着いてくると、全員を集めて今日の予定の確認を行う。


「おはようございます」


 俺が皆を前に挨拶をすると、当然だが挨拶が返ってくる。それが終るのを待って俺は話を続けた。


「店の開店が明後日に迫りました。今日は私と裏田君、田中君はレセプションと店のメニューの最終確認。2人はそのままレセプションと開店したあとの料理の仕込みに入ってもらう。いいかな?」

「「はい」」


 2日、3日かけてつくる菓子類は無いと思われるかも知れないが、ティラミスに使うサヴォイアルディ、ボネに使うアマレッティは日持ちする菓子なので今日くらいからまとめて作るはずだ。

 俺や裏田君もソース類や煮込み系の料理で寝かした方が味が良くなるもの、寝かすという工程が入るものを作ることになる。例えば、トマトソースやボロネーゼソース、レバーパテ、ロースハム、サルシッチャなどが該当する。


「吉田さん、中村さんは11時半まではラテの練習。11時半から13時半までのランチタイムは店の前でチラシを配って欲しい。開店日を伝えることを忘れずにね」

「店の前でええの? 市場の方まで行って配ったら人通りも多いと思うけど」

「道路でチラシを配るときは許可が必要なんだ。だから、両端に立って配ってくれればいい。私有地なら文句は言われないから」

「はい、わかりました」

「ということで、俺たちは事務室だ」


 吉田、中村の両名にチラシ配りと1階の留守番を任せ、事務室へ向かった。


 事務室に到着すると、予定しているランチと夜のメニューを印刷して配った。


「最終的なメニュー案だけど、これでどうかな?」

「そうですね、問題ないですよ」

「うちも問題ないです」

「まあ、いまから変更しようなんて気は全くないんだけどさ。とりあえず、レセプションで出す料理はこのメニューのうち、このあたりを考えてる」


 俺は印刷したメニューに蛍光マーカーで印をつけた。


  トマトとモッツァレラチーズ、バジルのサラダ

  生ハム盛り合わせとニョコフリット

  鰯のベッカフィーコ

  3種のブルスケッタ

  タコのガリシア風

  カポナータ

  ラザニア・アッラ・ボロネーゼ

  鶏のディアボラ


 他の店で出しているものを並べると、人伝(ひとづて)で情報は流れていく。決して真似をしているわけではないので別に構わないのだが、真似されたと思われるのは不本意だし、余計な対抗心を持たれても面倒くさいので被らないように料理を選んだつもりだ。

 それに、被らないということはそれだけ珍しい料理が多く並ぶということ。レセプションに来てくれる人たちも喜んでくれると思う。


「ピッツァとパスタはどないしますん?」


 裏田君から質問が出た。わざと印をつけなかったので、質問がくるとは思っていた。


「生地は用意しておくから、要望があれば作る感じで考えてる」

「オーナーが来賓の相手しなあかんのとちゃいますん?」

「パスタは裏田君に任せる。ピッツアは最初にマルゲリータとクワトロフォルマッジの2枚を焼いておけばいいかなと思ってる。それに裏田君にもピッツァの焼き方を覚えてもらわないといけないし」

「え、ほんまですか?」

「俺も休みたいときはあるから、そのときに任せられる程度には覚えてもらおうと思ってるよ。今日の賄いでもやってみるか?」

「よ、よろしくお願いします」


 本音で言うと、あまりに呆気ない感じでダンジョンの第21層の攻略をしてしまったので、まだ頭の中を整理できてはいない。

 ただ、言えるのはミミルは今後もダンジョンに入り、ダンジョンの種を手に入れるための活動を続けるということ。

 第21層を攻略したとはいえ、第4層やそれ以外の階層のことが中途半端になってしまうことが俺には気になっている。

 そんなことも含め、俺が一日休むことだって今後は発生するわけだ。


「うちもピッツア、焼けるやろか?」

「まずは裏田君、そのあとに教えるよ」

「ほな、うちもきばらなあきまへんね」


 田中君が両拳を握り、気合を込めて言った。

 そんなにピッツァが作れるようになりたいのかな、と思いはするのだが、本人がやる気をだしてくれるならいいことだ。


「まあ、頑張りすぎないように。健康第一だ」


 ダンジョンに最適化された俺の身体と違い、他の人たちは何日も働けば疲れる。それに、地上で1時間しかなくても、俺はダンジョンに入ればたっぷり眠ることができる。


「で、田中君はドルチェの方も頼むよ。何を出すつもりなんだ?」

「パンナコッタとボネです。お酒飲まはるやろし、ちっこおて食べやすいもんがええと思うんです」

「うん、それでいいと思う。アフォガードくらいは出せるように、ジェラートもお願いしていいか?」

「昼間はもう暑いあついさかいね。こしらえときます」


 話も終わったことだし、明日のレセプション、明後日の開店に向けて仕込みを始めるとしよう。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


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